【インタビュー】鈴木雅之、「新しいルールの中でも“音楽でつながる喜び”を届けられる」

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鈴木雅之がシャネルズ(後のラッツ&スター)のリーダー/リード・ヴォーカリストとしてデビューしたのは1980年。デビューシングル「ランナウェイ」は100万枚を超える大ヒットを記録。それまでドゥーワップ/ロックンロールを独力でものにしてアマチュアコンテストを勝ち抜いてきた、いわばストリートスタイルのグループに一躍スポットライトが当たり、日本のポップス・ヒストリーにシャネルズと鈴木雅之の名前が記される第一歩となった。

ここから現在に至るまで、ドゥーワップをはじめとする、いわゆるブラックミュージックのエッセンス、そしてソウルを日本の音楽シーンに植え付けていったことを振り返れば、まさにパイオニアとしての記念すべき第一歩でもあった。

◆ライブ画像

2020年、そのデビューから40年を記念して、鈴木雅之が制作したアルバムが豪華3枚組(初回盤は4枚組)の『ALL TIME ROCK 'N' ROLL』。40年以上歌い続けてきた洋楽カバーとシャネルズ/ラッツ&スターの最新セルフカバー、シャネルズ/ラッツ&スター/ゴスペラッツのベスト・セレクション、そして最新のヒットを含むオリジナルの新曲集と、40年の「ALL TIME」を見事に集約させている。

「ここで掲げているROCK 'N' ROLLは、音楽ジャンルとしてのロックンロールというよりは、音楽を最高に楽しもう! パーティーは続くよ! そんな気持ちを象徴させたかったんだよね」と語る鈴木雅之。その言葉通りに最高に楽しく、最高の40周年記念となる全国ツアー<masayuki suzuki taste of martini tour 2020/21 ~ALL TIME ROCK 'N' ROLL~>が現在進行中だ。コロナ禍の影響を受けて昨年から延期され、「40年プラス1」となった今回のツアー。7月7日の大阪公演のWOWOWでの生中継も決定したいま、コロナ禍での開催となったこのツアーと40周年への思いを語ってもらった。

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■音楽の神様はいるんじゃないかって本気で思えた瞬間

──すでにライヴに足を運んだファン、関係者から「最高でした」と絶賛の声があがっていますね。

鈴木雅之:ありがとうございます。まあ、自信はありましたが(笑)、あらためてみんなの声が届いて、40年間重ねてきた「鈴木雅之の音楽」「鈴木雅之のライヴ」が間違ってなかった、やってきてよかったと本当に感じることができています。何よりね、ステージが楽しいんですよ。お客さんはもちろんですが、自分が最高に楽しめていますね。アニヴァーサリー好きの鈴木雅之ではありますが、これまでにも増して「40周年(プラス1年)」の充実度は、大袈裟に言えば歴史的価値があるものになりました。

──40周年記念アルバムと同じく、ドゥーワップあり、ロックンロールあり、そしてみんなが聴きたいシャネルズ/ラッツ&スターのナンバーあり、さらにソロ曲あり、最新のヒットあり、とまさに「ALL TIME」の選曲が印象的です。

鈴木雅之:ネタバレにならない程度にお話しすると、実は今回の選曲と曲順は、2020年に予定していたツアーの当初の選曲とは変えているんですよ。コロナ禍で延期されたことで時間的には余裕ができたので、思いっきり練り直して再構築しました。アマチュア時代から大事にしているドゥーワップの曲はもちろん、ラッツ&スターの再集結(1989年、大瀧詠一プロデュースの「夢で逢えたら」がヒットを記録)のときのライヴのオープニング曲を隠し味にしてみたり。あ、ネタバレ寸前かな(笑)。

──いや、まだライヴを見ていない熱心なファンには楽しみが増えそうです。もちろんドゥーワップやロックンロールにあまり触れてこなかった方もいると思うんですが、曲を知っているとか知らないとか、そういうことは関係ないんだなと、今回のステージで気づかされました。

鈴木雅之:それこそが「ROCK 'N' ROLL」に込めたかった意味かもしれない。曲を知っていればより楽しいということはあるにしても、楽しさは知識じゃなくて「生の体験」なんだっていうイメージかな。


──そんなお家芸的なナンバーの完成度、盛り上がりにプラスして、公式動画の総再生回数が6,000万回を超えた最新のヒット曲「DADDY ! DADDY ! DO ! feat. 鈴木愛理」や「ラブ・ドラマティック」での盛り上がりも凄いですね。

鈴木雅之:「アニソン界の大型新人」なんて言ってきましたが、ステージから見ていると、長年ライヴに通ってくれているファンも、しっかり「DADDY ! DADDY ! DO !」の振り付けを楽しんでくれてるのがわかるんですよ。つまり、それこそが「ALL TIME ROCK 'N' ROLL」。コロナ禍のライヴですから、歓声が上げられないにもかかわらず、「楽しい!」っていう声が舞台まで届くんです。WOWOWで生中継される7月7日のステージには、「DADDY ! DADDY ! DO !」でコラボした鈴木愛理が登場してくれることになりましたので、鈴木雅之との生パフォーマンスもぜひ楽しみにしていてください。ライヴとは別にWOWOWならではのサプライズ的な趣向も画策中ですから。

──声が出せない客席の様子も含めて、コロナ禍での開催となったことには、どんな思いで臨んでいますか。

鈴木雅之:もちろん最初は不安でした。間隔を空けた座席で、客席はマスクをしていて、歓声やコール&レスポンスはなし。どんな感じになるんだろう、どこかで「鑑賞する」みたいな雰囲気になるんじゃないか、そんなことを思っていたんだけど、心配は杞憂でしたね。今回、「声なきコール&レスポンス」を導入していますけれど、それでも聴こえるんですよ「心の声」が。それこそ音楽の神様はいるんじゃないかって本気で思えた瞬間。鈴木雅之は、音楽の神様からもらったGIFTを聴いてくれるみんなへのGIFTとして届けたいって言ってきましたが、その音楽=GIFTがすべてを救ってくれている。この新しいルールの中でも「最高に楽しい生のライヴ」「音楽でつながる喜び」を届けられるんだ、そんなことが証明できたと思ってます。


──そういう意味では40周年とコロナ禍が重なったことで、ある意味で新たな鈴木雅之も見えてきたのではないですか。

鈴木雅之:これはステージでも言わせてもらっていますが、40年とプラス1年を振り返ってみれば、時代的にも哀しいこと、辛いことがたくさんありましたよね。大きな震災、災害がいくつもあったし、個人的なことでは父親と母親を亡くした、そんな40年でもあります。そんなことから逃れられるわけではないけれど、立ち止まるのではなくて前に進む力になりたい。そんな気持ちを新たにしました。特に東日本大震災が起きた時には、音楽に何ができるのだろうと考え込んだこともあったけど、いまは「音楽は誰かの背中を押すことができる」とはっきりと思っています。今回、ちょうど時期的にも重なったので、ステージでは「音楽は心のワクチン」って言わせてもらってます。音楽は、そしてライヴは、人の気持ちを豊かにできる、前を向いて進むことができる特効薬だと信じて、これからも歌い続けていきたい、そう思います。

──その言葉を聞くと、あらためて「ALL TIME ROCK 'N' ROLL」というメッセージの「楽しさ」の奥にある意味合いも深まっていく感じがします。

鈴木雅之:アルバムを出した時点では、ALL TIME=「鈴木雅之のデビューから現在」っていう意味が強かったんだけど、このライヴツアーを届けることができていることで、ALL TIME=「鈴木雅之のデビューから現在、そしてこれから」っていう意味合いに変わった気がする。「これからも楽しもう、ずっとALL TIME ROCK 'N' ROLLでいこう!」って宣言することができましたね。

──そんな現時点での到達点としてのツアーになりました。これから参加するファンの皆さんに伝えておきたいことはありますか。

鈴木雅之:デビューを共にした、つまり同じく40周年を迎えた佐藤善雄が、素晴らしい低音ヴォーカルをステージで披露してくれています。彼が芯になった男性だけのコーラス隊のハーモニーをぜひ楽しんでください。そしてさらにもうひとりの桑野信義は、ご存知の通り病気の快復を目指してリハビリを続けています。個人的にも彼がステージにいないことが寂しいし、桑野は「リーダー、オレを置いていかないで」って、きっと悔しがっているに違いない。特にシャネルズ/ラッツ&スターからのファンのみんなには、桑野の姿も見えていてほしいし、彼のトランペットの音が聴こえていてほしいと思います。ちょっとマニアックなところでは、これだけ懐かしいスタイルのナンバー、エイトビート中心の選曲でありながら、決してノスタルジックな、いわゆる「営業的な演奏」にならない、そんな我がバンドのエモーション&テクニックも見どころ聴きどころです。ステージセットや照明なども含めて「チーム・マーチン」の底力をぜひ堪能してください。


──最後にWOWOWで見てくれる全国の皆さんへメッセージをお願いします。

鈴木雅之:今回、WOWOWの生中継で見てくれる皆さんには、特権があることをお伝えしておきます。さっきも言った通り、会場では「心のコール&レスポンス」がしっかり届いていますけれど、ご自宅であれば、声を出してもいいじゃないですか。歌詞や振り付けなんかちゃんとわかっていなくてもいいですから、ぜひ一緒に「在宅パーティー」を楽しんでください。ご近所の迷惑にならない程度にお願いしますが(笑)。

取材・文◎渡辺祐
写真(LINE CUBE SHIBUYA公演/5月27日開催))◎岸田哲平

番組情報

生中継! 鈴木雅之 taste of martini tour 2020/21 ~ALL TIME ROCK ’N’ ROLL~
7月7日(水)夜6:30 [WOWOWプライム] [WOWOWオンデマンド]※放送同時配信のみ

※スマホやタブレットでも見られるWOWOWオンデマンドでは無料トライアル実施中

収録日:2021年7月7日
収録場所:大阪 フェスティバルホール

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