【ライブレポート】ASKA、豪華編成&初挑戦で届けた“見たことのない配信ライブ”

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ASKAが6月23日(水)、自身初となる配信ライブ<すべての事には理由がある>を開催した。このライブはファンクラブ会員、さらにはASKAの音楽にフォーカスしたTOKYO FM『Terminal Melody』の番組のリスナーから抽選で選ばれた40人のファンを招待し、有観客で行なったライブを事前に収録し、その日の夜に配信するという形態で行われた。ここでは、その収録現場で観たライブの模様をお届けする。

◆ASKA 写真

これは凄い! ASKA初のオンラインライブは、ASKAとASKAバンドとストリングス隊、三位一体で繰り広げた<higher ground>に続いて、今回はなんと、これまでASKAに携わってきたバンドメンバー総勢15人(+ロンドンから1人)が大集結。終わってみれば、そのメンバーたちが入れ替わりながら演奏していくここでしか絶対に見られないだろう超豪華編成で進行していくコンサートに加え、ライブ中に『Terminal Melody』を公開収録するなど、こんな配信ライブ見たことないというプログラムを作り上げてみせたASKAだった。


会場周辺だけが突然のゲリラ豪雨に襲われた直後、ライブは開幕。ステージの裏にスタンバイしているASKAとASKAバンドが“ウォー”と気合い入れをする声が客席最後尾までつつぬけになるほど、会場はコンパクト。暗転した場内に“世の中すべてバランス〜”とASKAの散文詩の朗読が流れてくると、メンバーたちはオンステージ。そうして、始まったのはソロ楽曲を代表する「はじまりはいつも雨」だった。オープニングから<すべての事には理由がある>を体現するような雨つながりの選曲からして神がかっていたこの日。体を絞り、シュッとしたASKAは動きが軽やか。活力が声だけではなく身体中から弾けていて、カジュアルな服装と合間ってとても若々しく、溌剌としていてカッコいいのだ。


洋楽のソングライティングをバンドの演奏がさらにオシャレに仕立てた「恋人はワイン色」では、ラグジュアリーな男の匂いをまとって、リスナーをこの曲の世界へとエスコート。続けて、力強い歌とアトムポーズを繰り出すと、ヴァイオリンが間奏で炸裂。そこに、ドラムが激しく畳み掛け、演奏が一層パワフルになっていった「UNI-VERSE」までを一気に駆け抜けてみせたASKA。「こんにちは」といったあと「あ、こんばんはか」と配信の時間を考え、挨拶をし直す。そうしてオンラインライブは「初めてやらせてもらうんだけど」と伝えた上で「力まず、いつものようにやれたらと思ってるんで最後までおつきあい下さい」と語りかけ、次はピアノが奏でる美しい旋律のイントロから「Man and Woman」へ。ASKAの集中力が高まる。ライブでは、音符では表せない形状をした独特な歌い回しがさらに強まるASKA。この日は、この曲の出だしをふわり、ふわりと花びらが空に舞い上がるような歌唱で、見事に歌声を空間へと紡ぎだしていった。

この後、バンドメンバーを紹介。数人のメンバーチェンジがあったあと、ステージ後方にスクリーンが降りてきてASKAが「ロンドンから」というと、そこにはJess Baily(スタンダーバレーのkeyとして活躍し、CHAGE and ASKA作品に参加)が現われ、Jessとともに「幸せの黄色い風船」をプレイ。ASKAの嬉しそうな笑顔とともに、場内に開放的たっぷりのムードが充満していったところで、Jessとはお別れ。「百花繚乱」をバンドサウンド、コーラス一体となってすさまじい熱気を放出しながらアクトしたあと、「FUKUOKA」でASKAはその空気を一旦沈めたあと、1点に集中させ、ミュージカルでも歌い上げるかのように朗々と抒情を宇宙に届きそうなパワーで、魂の歌にして解放していったところは間違いなく前半のクライマックス。歌い終えたASKAもさすがに「いま僕、頭真っ白なんだけど」と本音をポロリ。そのあとスタッフに次の段取りを説明されると、観客にフランクな口調で「はけるんだって」と伝え、にこやかな表情でステージを後にした。前半、調子は上々。

このあと、ステージ上には番組パーソナリティーの小山ジャネット愛子が現れ、ASKAを迎え入れて『Terminal Melody』の公開収録がスタート。番組では、今日のライブについてASKAが語ったあと、「朝はノニジュースを飲んでる」ことや「気がついたら革のソファーで寝ている」など、ASKAのプライベートを深掘り。そして、7月14日に2年ぶりに発売するシングル「笑って歩こうよ」について質問が及ぶと「1970年代のメロディを作って、それがいまの楽器を着たらどうなるかな」というのをテーマに曲を作ったと解説。そうしてASKAが「ねえ、聞いてもらおうよ」と予定外のおねだりをスタッフに投げかけると、その行動を前もって予想していたスタッフが「笑って歩こうよ」のワンコーラスを場内に流してくれるというサプライズに、観客は歓喜。日本の70年代のポップス、ニューミュージックの息遣いを脈々と感じさせる懐かしくキャッチーなメロディ、“〇〇っちゃう”というなんとも可愛らしい響きの歌詞のフック。インパクトは絶大だ。


そんな新曲の驚きの余韻に浸る間もなく、ライブは再開。ここから後半戦へ。ASKAのギターが加わり、トリプル編成で奏でるギターリフがヘヴィなサウンドを生み出す「リハーサル」で幕開けすると、ASKAの歌スイッチはいっきにエモーショナルモードへとシフト。それに合わせてスキャット、フェイクに様々なビブラート、ハミングで歌う即興のメロディなどが自由に放たれていく。それらの変化を瞬時に感じ取って、呼吸を合わせてバンド演奏を並走させていくさまは本当に見事でスリリング。みんな、ASKAとのこんなセッションを待っていたかのように、バンドメンバーは緊張感のなかにいながらも笑顔が絶えない。いい空気だ。荘厳なイントロから始まった「NO PAIN NO GAIN」はバンドに続いて、ASKAがコーラス隊と駆け引きしながら、スリリングなドラマを展開していくところが見ものだった。ASKAの心の奥にある不安や苦悩を吐露する歌に、サビでコーラス隊の分厚くエモーショナルなハーモニーが加わると、その不安感が拭い去られ、そこから前に進もうとする感情を“うぉお〜”とノンブレスでダイナミックに歌い上げたASKA。バンド、コーラス隊との濃厚な結び、それをすべてエネルギーに変換したASKAは本編のクロージングとなる「歌になりたい」では、ラストに向けて生命力を歌にどんどん宿していき、それが祈りのようなものとなって観客の心に降り注ぐという見事なパフォーマンスで最後を感動的に締めくくって見せたのだ。

アンコールが始まる前、<higher ground>ツアーのアンコール公演として、10月9日から全国ツアーを行なうことを電撃発表したASKA。「僕の音楽の歴史のなかにはCHAGE and ASKAという母体がありました」と静かに場内に話しかけるように語ったあと、<higher ground>のアンコールでも披露したCHAGE and ASKA不動の人気曲「PRIDE」、続けて壮大なクラシックロック「BIG TREE」をアクト。声は破格のスケールを描きながらも、その一方で観客が涙するほど一人一人の体に染み入って心と共鳴を引き起こしていく歌声は、もはや神がかり的。そんな完璧なまでのクライマックスを心に刻み込んだあと、アンコールはフィニッシュ。



終演後は、出演者全員をステージに集めて挨拶をしたASKAは、生ライブ育ちだからこそ自分は「オンラインライブというものには偏見があった」と告白した上で、それでも今日ライブをやってみて「生ライブといろんな活動のなかに、こういうものもあることが分かった。僕をこんな気持ちにさせてくれてどうもありがとう」と自分の気持ちが変化したことを報告。そして、そうなれたのは、この収録を有観客でやったことが大きく影響していると明かし「本当、来ていただいて助かったよ。僕の歌いたいこと、伝えたいことを察してくれてるって実感できるからね。それに敏感じゃないとシンガーにはなれないから」とその理由について説明したあと、もう1度ASKAは「今日は本当に来てくれて助かった」と伝え、頭を深く下げたあとステージをあとにした。

この記念すべきASKA初の配信ライブ<すべての事には理由がある>は6月26日(土)までアーカイブ視聴が可能だ。配信チケットは26日18:00まで発売中。

取材・文◎東條祥恵

ASKA 配信ライブ<すべての事には理由がある>

▼配信チケット情報
[視聴券販売期間] 6/9(水)12:00~6/26(土)18:00まで
[視聴券] ¥3,000(税込)
[販売先] ローチケ LIVE STREAMING(ZAIKO)
*アーカイブ視聴3日間:6/24(木)〜6/26(土)
[販売URL] https://l-tike.com/aska0623/

[お問合せ]
ASKA Official Web Site「Fellows」| https://www.fellows.tokyo/

CDシングル「笑って歩こうよ」

2021年7月14日(水)発売
品番:DDLB-0018
価格:¥1,430(税込)
レーベル:DADA label
[収録曲]
「笑って歩こうよ」
「プラネタリウム」

<ASKA premium concert tour -higher ground- アンコール公演>

出演:ASKA
ASKA BAND:澤近泰輔(Pf、編曲)、江口信夫(Dr)、是永功一(Gt)、鈴川真樹(Gt)、荻原基文(Bs)、SHUUBI(Cho)、一木弘行(Cho)
弦楽アンサンブル:Get The Classics Strings

■日程
2021年
10月 9日 (土)16:30開演(15:45開場) 府中の森芸術劇場
10月16日(土)16:30開演(15:45開場) 熊本城ホールメインホール
10月24日(日)16:30開演(15:45開場) 静岡市民文化会館
11月 5日 (金)18:30開演(17:45開場) 岡山市民会館
11月 6日 (土)16:30開演(15:45開場) 広島文化学園HBGホール
11月10日(水)18:30 開演(17:45開場) 相模女子大学グリーンホール
11月16日(火)18:30 開演(17:45開場) LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)
11月17日(水)18:30 開演(17:45開場) LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)
11月23日(火・祝)16:30 開演(15:45開場)高崎芸術劇場
11月26日(金)18:30 開演(17:30開場) 東京国際フォーラムホールA
11月30日(火)18:30 開演(17:30開場) フェスティバルホール
12月 9日 (木)18:30 開演(17:30開場) ロームシアター京都
12月17日(金)18:30 開演(17:45開場) 仙台サンプラザホール
12月22日(水)18:30 開演(17:45開場) 名古屋国際会議場センチュリーホール
12月28日(火)18:30 開演(17:45開場) 福岡サンパレスホテル&ホール

※現時点での公演スケジュールとなります。追加等の情報は、随時特設サイト及びオフィシャルサイトで更新致します。
※本公演は各会場撮影が入る可能性がありますので予めご了承ください。

〔チケット情報〕
◆チケット価格:10,900円(税込・全席指定・来場者特典特製プログラム付)
※未就学児童入場はお断りしております。
※本公演は全席着席指定となります。
※本公演は、着席時の通常座席数を使用しての開催とさせていただきます。
政府からのイベント等感染拡大防止ガイドラインに加え、収容率50%を超える公演となるので、下記の徹底した感染防止を行います。
1.会場内ではマスクの着用をお願いします。
2.声をあげての歓声・声援・歌唱はおやめ下さい。

◆一般チケット発売日:2021年9月4日(土)
※先行販売のスケジュールは後日発表致します。

7/1(木)よりファンクラブ先行受付(ASKA Official Fanclub「Fellows」会員対象)を開始します。
6/29(火)23:59迄にFanclubにご入会者いただいた方が対象となります。
※詳細は、ASKA Official Web Site 「Fellows」をご覧ください。

主催:Get The Classics実行委員会
企画制作:Get The Classics実行委員会

公演公式HP:
https://www.classics-festival.com/rc/aska-premium-concert-tour-higher-ground-2021/

※公演当日までに、新型コロナウイルスの感染状況に伴い、政府や地方自治体の方針変更があった場合、開催内容(キャパシティ、開場開演時間)等の変更や、公演中止の可能性もございます。皆さまに安心してご来場頂けるよう努めて参りますので、ご理解とご協力をお願い致します。

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