【対談連載】ASH DA HEROの“TALKING BLUES” 第10回ゲスト:NOBUYA [ROTTENGRAFFTY]

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ASH DA HEROをホスト役に、毎回ゲストを迎えてトークセッションを繰り広げる連載が“TALKING BLUES”だ。あるときは同じミュージシャン目線で、またあるときは異ジャンルに斬り込む同対談連載が今回で第10回目を迎える。

◆ASH DA HERO × NOBUYA [ROTTENGRAFFTY] 画像

所属事務所VAMPROSEの先輩であるHYDEやL'Arc-en-CielのKen、気鋭ギタリストのDURANやJUON、175RのSHOGOなど、錚々たる面々が登場してきた“TALKING BLUES”の記念すべき10回目のゲストは、ROTTENGRAFFTYのNOBUYAだ。数万人を動員する冬フェス<ポルノ超特急>を主催するほか、PIZZA OF DEATH主催<"SATANIC CARNIVAL'19>では大トリを務めるなど、シーンを牽引するライブバンド中のライブバンド。両者の組み合わせは意外に思われるかもしれないが、そうではない。「ROTTENGRAFFTYは僕の音楽人生において道しるべのような存在なんです」とASH自身が語るロットンへのほとばしる想い、デビュー前から培った信頼の厚さ、そしてスタッフ同士の熱き兄弟関係が初めて明かされる、貴重な対談の実現だ。

対談撮影前日となる6月16日、Zepp TokyoでROTTENGRAFFTYのアコースティックツアー<Goodbye to Romance Tour 2021>を観たASHは、撮影中もトークが止まらない。9月に自身初のZepp Tokyo公演を実施することが決定しているASHにとって、ライブもこの対談も大いなる刺激となったようだ。対談ではお互いの関係性はもとより、ボーカルスタイルについて、コロナ禍とライブシーンについて、そして未来への約束など、熱く語り合ってもらった。“これは話したことがない”など、これまであまり語れることのなかった2人の深層に迫る1万字越えのトークセッションをお届けしたい。

   ◆   ◆   ◆

■“バンドマン心”を持ってるヤツだってことは
■ASHと出会った人間なら全員が分かる

──かなり前から知り合いだったそうで?

ASH:僕の記憶では約10年前。当時はまだ名古屋に住んでいて、もともとROTTENGRAFFTYが大好きだった僕は、名古屋公演を観にいかせていただいたんですよ。絶対に対バンしたいし、繋がりたいと思っていたから。2012年に僕は東京に出てきたんですけど、共同作業者でもあるアレンジャーの宮田“レフティ”リョウにNOBUYA君と繋いでもらったんですよ。

──最初に観たROTTENGRAFFTYの印象は?

ASH:今ほどROTTENGRAFFTYの名前が世に知れ渡っていなかった時期だったと思うんですけど、“圧倒的なライブをするバンド”だということは知っていたんです。僕もバンドマンだったから、“さて、どんなもんなんだろう。絶対に俺のほうがカッコいい”とか思ってたんじゃないかな……そういう“負けん気”で観ることってあるじゃないですか(笑)。ところが、ROTTENGRAFFTYのライブはやっぱり圧倒的すぎて、“このままじゃマズいな”と。これは今まで、誰にも言ったことがなかったんですけど、ROTTENGRAFFTYは僕の音楽人生においてキーポイントであり、ターニングポイントになったバンドなんです。

▲NOBUYA [ROTTENGRAFFTY]

──ライブを通してカツを入れられた?

ASH:そう。もっと言うと、当時の僕は、作っていた楽曲に対して“こうしなければならない”とか“こうあらねばならない”とか、“ねばならない症候群”に陥っていたんです。そんな自分にとってROTTENGRAFFTYは指針になった。“こういうミクスチャーの形ってありなんだな”とか“俺もこういうライブを求めてたんだよな”とか。とにかく刺激だらけでした。

NOBUYA:今、話を聞きながら、“出会いはいつだったかな?”とかすごく考えていたんだけど、微かに思い出した。約10年前にうちのマニピュレーターをやっていたTacがレフティと繋がっていて。それでASHもライブによく来てくれるようになったんじゃないかな。だから初めて挨拶したのは東京かな。

ASH:ですよね!

NOBUYA:そう。Tacは“いろんな人と繋がろう”って意識の高い人間で、“ASHはイケてる。NOBUYAさんに紹介したい”ってことで引き合わせてくれたんだと思う。その挨拶の場にTacとレフティとASHがいたことは覚えてるから。ASHと話してみたら名古屋のヤツで、当時からライブに来てくれてたってことも話してくれたんじゃないかな。

ASH:僕がASH DA HEROを名乗る前のことなんですよ。当時、自分は音楽人生の新たなフェーズを迎えていて。

NOBUYA:当時のシーン自体がミクスチャーからラウドロックに移行していく転換期で。名古屋からcoldrainが出てきたり、神奈川にSiMがいたり、同期にPay money To my Painがいたり。そういう時代だったからこそ、各ライブハウスがエネルギーに満ち溢れていたんだよね。それをオーディエンスにしっかり届けようとしていた時期だったし、そんなシーンや音楽にいち早く反応したのがASHだったんじゃないかな。

▲ASH DA HERO

──やる気あるヤツは匂いとかオーラでお互いに分かるもんですか?

NOBUYA:それはASH自身も絶対に感じていることだろうしね。ASHは今、ソロシンガーとかクリエイターとして頑張っているけど、俺からするとバンドマンとなんら変わりはないんで。

ASH:嬉しいです。

NOBUYA:“バンドマン心”を持ってるヤツだってことは、ASHと出会った人間なら全員が分かるんじゃないかな。スキルが高くてもバンドマン心がないと、すぐに消えていってしまたり、裏方に回ったり。これはディスってるわけではなくて、ステージで勝ち上がるってことにこだわっているヤツって、そいつのライブを観たら分かるんで。

──NOBUYA君は、これまでASHのライブを観る機会はありました?

NOBUYA:ライブ映像は観てるけど、生のライブはまだ。というのは、自分の中でASHに関してのルールを決めているから。対バンするまで観たくないんですよ。人のイベントとかフェスであまり観たくないアーティストって感じかな、俺にとって。ライブハウスで対バンしたときに観たい。

ASH:めちゃめちゃ嬉しい言葉ですよ。自分もその感じ、ちょっと分かりますから。

NOBUYA:そこに嫌悪感を抱くバンドマンもいるよね? “知り合ったらすぐにライブ観てほしい”みたいな人とか。でも、フェスとかイベントのステージって嘘つくバンドマンもいるから、観ててもあんま楽しくないことがあるんですよ(笑)。もちろん全部のバンドマンのことじゃないし、僕らもフェスに出演するときは、そのフェスのコンセプトとかお客さんに寄せていかなきゃいけないときもあるから、それは重々分かってる。でもね、ライブハウスで対バンというシチュエーションは、バンドマンが絶対剥き出しでやるんですよ。ステージに立つ意義や意思がフェスとは全然違う。その対バンで勝つことにこだわるのがバンドマン。ASHはそのカテゴリーに入ってるんで、初めて生のライブを観るなら、ライブハウスで対バンがいいなって思ってるんです。

ASH:ROTTENGRAFFTYは大好きなバンドだし、さっきも言ったように、ある種の道しるべのような存在なんです。だからこそ敬意を持って、対バンライブでブッ飛ばしたい。ほんとに10年前から、いつでも対バンしたいと思っているんですよ。

──あとはどっちが誘うか、ですね。

NOBUYA:それはROTTENGRAFFTYからですよ。ここまで言ってくれるASHに対して、ASH側から誘わせるようなことはしない。僕らもそうだったんです。ケンカを売った先輩バンドから「じゃあ来いよ」って対バンに誘っていただいたことが、これまでも多々あったから。僕らの立ち位置でASHに対してできること、それを全力で示していかなきゃいけない。そういう気持ちは心の中にずっとあるので。僕らがASHを呼べるような形をいつか作らなきゃいけないね。

▲NOBUYA [ROTTENGRAFFTY] × ASH DA HERO

ASH:ぜひお願いします! ボクシングのタイトルマッチのような決闘の様相になりそうな感じがしてます。そういう対バンって昨今、希薄になっているじゃないですか。凌ぎを削り合って、シーンの起爆剤になるようなおもしろいものになると思うんです。ROTTENGRAFFTYはキャリアを重ねても、先輩後輩問わず、常に闘う相手を必要としてるようにみえますし。

NOBUYA:それはとっても必要なことでさ。アンテナをちゃんと張れてないバンドマンは、すごくカッコ悪いと思ってるんだよね。アンテナ感度の低いバンドは、やっぱり消えていく。ジャンル問わず、名前が上がってくるということは、そこになんらかの理由が絶対にあるんだよ。それは絶対に知っていないといけない。ASHのように、「ROTTENGRAFFTYは道しるべだ」って言ってくれるヤツとはしっかり話をしたいし、そういうヤツと音楽でやり合うのはバンドマン冥利に尽きるというか、いくつになっても一番楽しい。

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