【レポート】布袋寅泰、生配信トークセッションで初ドキュメンタリー映画制作発表も「始まった瞬間から布袋節」

6月30日、布袋寅泰のオフィシャルYouTubeチャンネルで『布袋寅泰 40th Anniversary EP & Live Film リリース記念 スペシャルトークセッション』が放映された。

◆布袋寅泰 画像 / 動画

午後5時、ライヴ配信イベントはスタート。司会のクリス・ペプラー氏が迎え入れると「いやあ、ひさしぶり」と満面の笑みで布袋が登場した。実際、日本よりコロナによる状況が厳しかったロンドン。こうして来日して様々な人と実際に会うのは本当にひさしぶりのことらしい。



「40年目の布袋も布袋らしく」「周年はみなさんに感謝するとき」。そんな言葉を聞かせてくれたあと、話は新たなEP「ペガサス」のことへ。まずタイトル曲。「初めにペガサスという言葉が浮かんだ」というこのナンバーは、クリス氏がギターのことに言及すると「始まった瞬間から布袋節。聴いていると弾きたくなる。でもそう簡単にはコピーできない曲にした」と笑った。また詞の世界では「みんな自分自身を縛っている。そこから解放を」という想いを説明。そういえば同曲のミュージックビデオには主人公を演じる笠松将が自分自身と闘うシーンがあった。

2曲目「10年前の今日のこと」ではタイトルにちなんで“10年”という年月が会話の中心に。布袋は「10年前の今日は震災復興のためにCOMPLEXの再結成の準備をしているころだった」ことをスタッフに頼んで突き止めたと明かした。そして「この歌は10年前をうたいながら今を歌っている。今を感じるための10年前だ」とまとめた。

続く坂本九の代表曲「上を向いて歩こう」カバーは「ロックダウン中、家でギターを弾く機会が多くなり、ふとこのメロディーを爪弾いていた」ところから収録に至ったのだそうだ。そして「言葉にしなくても歌える曲だ」と思ってインストに。が、満足いくテイクを得るまでに70回以上も弾いたという。

そしてラストの「D.O.F. (Death or fight)」。すでにRIZINのテーマとして使われている同曲。ここではスポーツから得られるエネルギー、そして自分を表現するのではない作品を作ることのおもしろさが語られた。


ここで話題はEPと同時発売の映像作品『40th ANNIVERSARY Live "Message from Budokan"』のことへ。400日ぶりのライヴ、大好きな武道館でのアニバーサリー……、様々な期待が一転、無観客での開催になったことの哀しみにも触れた。一方で「BOØWY時代はギターで表現するしかなかったサウンドも、今回サックスが入ったりしたことで完全化できた」「それぞれが好きな席で味わって欲しい」「僕に合わせて腿上げしてみるのもいいかも（笑）」とポジティヴ発言も連発だった。

そのあと各地2デイズで行われる新たなツアー＜BLACK&WHITE?＞について「何があるかわからない2日間」と気になる発言をしたのち、映画『Still Dreamin'〜布袋寅泰　情熱と栄光のギタリズム〜』の制作発表へ。現在も製作進行中だという同作品だが、単なるドキュメンタリーではないのだそうだ。そして「見終わったあとに自分と重なって、“よし！がんばろう”って思えたらいいな」と作品の後味に触れた。

このあと、おそらくは予定を若干オーバーして話が弾み続ける。かつてロンドンで見たローリング・ストーンズは70代。「生きる恐竜のように見えたけど、オレも恐竜になるんだ（笑）」とクリス氏と年齢談義。が、そこでは終わらず、一瞬にして「僕が見て感じてきた世界を音楽にして届けたい」「まぶしいものはまぶしいと言える先輩でいたい」と双方向のスタンスを示したのはさすが。「この先は感謝の気持ちをいろんな形で返していきたい」とファンにメッセージして、約2時間後に迫ったインスタ・ライブへと立ち去っていった。

取材・文◎今津 甲
撮影◎山本倫子