【インタビュー】DREAMS COME TRUE「いいコンテンツは皆が共有しなければいけない」

ツイート

まだまだコロナ禍の影響下にあり、自粛生活が続くまま2021年も半年が経過してしまったが、とはいえ、余裕ができたおうち時間をどう楽しむかで、日々の潤いや笑顔の数も変わってくるもの。

そんなところに7月7日、我らが「ドリカムの日」が今年もやってきた。昨年2020年の大企画を遥かに上回る特大のスペシャル企画が目白押しで、DREAMS COME TRUEの魅力を存分に堪能できる夢の日々の到来だ。この日のために新たに収録されたヒット曲連発のアコースティックライヴ映像<Premium Acoustic-Mi Live Show>の公開/吉田美和と中村正人が自らの音楽を紐解<Unveil>全4話/ドリカムをこよなく愛するゲストを招き本気のライヴ&トークを交わすホスト中村正人の番組<Sound Venue>全6話といった特別施策を始め、様々な斬新な取り組みがAmazonで公開となっている。

DREAMS COME TRUEというオーセンティックな音楽が、そのラジカルな精神性で時代を牽引する進化を遂げていく…その変遷をリアルタイムで味わうことのできるエポックメイキングな施策が「2021年ドリカムの日」でもある。今もなお挑戦的、尖鋭なアーティスト像を創造し続けるDREAMS COME TRUEの本質を捉えるべく、中村正人にインタビューを試みた。エネルギッシュでハイテンションな施策を、柔らかな物腰で実行に変えていくドリカムの魅力をお伝えしたい。


──昨年の「ドリカムの日」は、Amazonで様々な取り組みが行われましたが、手応えはいかがでしたか?

中村正人:ファンの方々はもちろんですけれど、ドリカムをご存じない方や「名前は聞いたことはあるけれど、どんなライヴをやってるんだろうな」っていう方からの反響が大きかったんですよね。そこがすごく嬉しかったです。

──今年は、それにも増して魅力的なコンテンツが目白押しですから、多くの音楽ファンがまたドリカムの魅力に引き込まれることになりそうですね。限定ライヴ映像も、今回のための撮りおろしなんだとか。

中村正人:はい、撮りおろしです。しかもいわゆるスタジオ収録じゃなくて、ライヴハウスに特別なセットを組んでの収録だったので、吉田美和のパフォーマンスがすごくいいんです。普通のスタジオだとやっぱり緊張しちゃって本領が発揮できないのですが、ライヴハウスという設定なので、彼女の目の前にお客さんが見えてくるんですよね。いい意味での慣れも出てきてパフォーマンスもどんどんよくなっていく。セットもオーガニックな密林のようなセット…ようするにAmazonだったので、それ自体がスペシャルなものでした。ライヴやスタジオ収録の場合、どうしてもそれなりのカメラ割りになってしまうのですが、今回は収録のためのライヴですから、カメラのポジションもきちんと凝ることができて、なかなかない映像が出来上がったと思います。

──ドリカムの長い歴史の中でも、初の手応えですか?

中村正人:初めてですね。うちはいつもは大編成ですが、今回は三密を避けるかたちでアコースティック風味…シンプルな音でやったということもあります。リハーサルもバラバラで、僕と吉田(美和)のふたりだけでリハをしていたので、改めて自分たちの楽曲に向き合うことができた。りんこ(浦嶋りんこ)さんも隣にいないので、僕とギターのJUONくんがコーラスを担当して、デビュー当時、西川(隆宏)と僕がずっとバッキングヴォーカル/バックコーラスをやっていたんですが、あの当時を思い出して、逆にすごく楽しかったですね。

──最少人数での表現ですね。

中村正人:そうですね。最初にバンドを始めた頃の気持ちになりました。吉田も普段は演出のほうに時間をとられてしまって、自分自身のリハーサルはなかなかできないんですね。そういう意味でも、今回は自分のリハーサルができたので、お互いにすごく良かったと思います。

──シンプルなアレンジだと、楽曲そのものの魅力も一層際立つことでしょう。

中村正人:アレンジもリズムと和音だけなので、そういう意味では新しい発見もいろいろありましたよね。

──そんなライヴ映像とともに、今回はトーク&ライヴ・コンテンツもあるとお聞きしていますが。

中村正人:そうなんです。ひとつの番組は<Unveil>という全4話の番組で、ゲストMCに陣内孝則さん、亀田誠治さんを迎えてドリカムの音楽について真剣に語るという、あったようでなかったものです。しかも毎回話題を細かく設けて、そのテーマごとに話していくという番組なので、これは地上波ではできない…Amazonならではの内容だと思いますよ。今回、特に吉田美和が非常によく語ってくれていて、僕も初めて聞くような話もたくさんあります。これはドリカムファンだけでなく、音楽が好きな方々…いまYOASOBIやBTSを聴いている方にとっても、「アーティストはどんなふうに音を生んで、どんな風にアレンジ、ライヴをしているか」…意外と共通している部分もあるので、いろんな方に楽しんでいただけるような面白い番組になったと思います。

──ミュージシャンシップが分かる内容なんですね。

中村正人:そうですね。とはいえ、エンターテインメント性のある話題が多いので、ちんぷんかんぷんな話ではないですよ。学校の行事とか、会社でのそれぞれの仕事のヒントになるような内容にもなっているんじゃないかな。

──面白そう。

中村正人:「ドリカムの秘密をはがしていく」というものですが、結局は「エンターテインメントとは?」「プロとは?」という面に光を当てたい企画だったので、とてもいいものになりました。

──亀田誠治さんはベーシストでありクリエイター/プロデューサーであるという点は、中村さんと共通点が多いですね。


中村正人:そうですね。彼も多くのアーティストで結果を残している人間ですから、客観的にドリカムを見ていただいて、僕らもそういう話を聞くのが楽しかったです。陣内さんはもともとフジテレビで僕らが出ていたバラエティ番組のパートナーで、吉田が初めてレギュラーでTVバラエティをやるというのを目撃している方なので、吉田も心を開くのが早くて、とてもいいキャスティングだったと思います。

──ミュージシャンじゃないと語れないものこそ、我々が見てみたいものですから。

中村正人:こんな番組を作って「OK」と言ってくれるのはAmazonさんくらいだったんじゃないですかね(笑)。もうひとつの番組は、ゲストを招いてライヴをやっていただいて、僕がインタビューするというもの。全6話6組のあらゆるジャンルのアーティストを招いています。「ミュージシャンならではの聞き出せること」「普通だったらちょっと話したくないかな、ということも中村だったら話していいか」という雰囲気も出るので、これもとてもおもしろい企画だと思います。

──6組に絞るのも大変だったでしょう?

中村正人:プロデューサーの意向で、ものすごい幅広いラインナップですよ。丁寧にライヴを撮る番組でありたいので、ミックスに至るまで最上級のクオリティで制作し、インタビューをするというのは、なかなかできない番組だと思います。

──今回の施策は、そのアイディアとクオリティの高さが際立っていますが、ここに至った背景にはコロナ禍の影響がありますか?

中村正人:オンラインツアーも経験し、いろいろなプラットフォームで動画配信をしてきたので、必然的にここにたどり着いた気がします。コロナ禍で大変な思いをされた方に心からお見舞い申し上げる気持ちがいっぱいの中で、一方でダメージをほとんど受けていないビジネスもあります。僕らのビジネスは全滅した状態ですが(笑)、一方で業績をあげたビジネスもあり、それは素晴らしいと思います。例えばTikTokとか動画で自分の作品を発信し続けるアーティストは、マイナスの影響を受けていない。逆にいえば、籠っていた中でそういう新しいエンターテインメントが価値を大きく上げたわけで、僕らもそういう状況がなければ、ここまでの展開を行ったかどうかはわからないですよね。

──動画をアップするという点では、新たにスタートした「ドリアプリ」というアプリでは、すごい動画(笑)が公開されていますが。

中村正人:そうですね、あの動画はダメですね(笑)。絶対やっちゃいけないことですよ(笑)。もともと僕は保守的でいろいろ躊躇する人間ですが、「そこまでして音楽を売りたいのか?」という概念が一方ではあるかも知れないですよね。でもね、ただ、楽しみたいじゃないですか。「還暦過ぎて何を躊躇してるんだ?」と。やってみて嫌だったら辞めればいいだけの話だし、そういうところから関係を築いていけたらいいなと。

──あのすごい映像を見て、私…ちょっと癒やされてます(笑)。

中村正人:逆にね、どうやってすごい動画を撮るかは腐心するんですよ(笑)。あの感じは作ってできるものではないし、起きてすぐの瞬間じゃないと嘘になっちゃうでしょ?あれ本当に朝イチなんですよ。自分でも本当に挑戦だったんですが、面白かったです。すごい頭が撮れて、おはようおやすみシリーズは結論づいたかな。

──「そこまでして音楽を売りたいのか?」とありましたが、これで音楽が売れるとは思えないし(笑)。

中村正人:確かに(笑)。ひっくり返して考えると、誰にでもはできないでしょ?そういう意味ではウチにしかできないことを、このアプリでやってみたいなと考えています。

──チャレンジという意味では、「こっちのドリカム」と「あっちのドリカム」の展開も面白い動きですね。

中村正人:「こっちのドリカム」はリアル、「あっちのドリカム」はヴァーチャルです。もともと、オリジナルアルバムのジャケットで実写を使わなくなった時期がありまして、実はそこからヴァーチャルが始まっていて、実肉体と僕らの音楽を切り離したところで、我々の音楽を楽しんでもらいたいと思っています。昨年リリースした『DOSCO prime』というアルバムは、忙しい中でも15秒だけ聴いてもらえれば分かるというものにドリカムの作品をコンヴァージョンしたもので、それを表現するのが「あっちのドリカム」=ヴァーチャルドリカムですね。「こっちのドリカム」だったら絶対にありえない<VTuber Fes Japan 2021>に出させてもらえたり、「あっちのドリカムだったらできます」と返事ができたりする。例えば、2021年度東京シティ競馬(TCK)イメージソングが「あっちのドリカム」によるものです。肉体から離れたところでの活動なので、音楽は「こっちのドリカム」がしっかりプロデュースしますが、表現やパフォーマンスは(「あっちのドリカム」で)勝手にやってくれ(笑)、と。

──それはいいですね。発明だ。


中村正人:なので、今は着々と「MASADO(マサド)」と「MIWASCO(ミワスコ)」で…MASAとMIWAを取ると「DOSCO」になるんです。この「MASADO」と「MIWASCO」がボイスキャラクターになって、バラエティや、もしかしたらM-1グランプリに出たって楽しいですよね。そうやってドリカムを遊んでもらいたいなと思っているので、昨年行なったオンラインツアーをきっかけに、本格的に活動をはじめました。

──人間はいつか朽ちていきますが、音楽は永遠に生き続けますから、今のうちに「こっちのドリカム」から「あっちのドリカム」へバトンを渡せればいいんですね。

中村正人:はい。僕の仕事は、吉田美和と我々の楽曲を伝えるということなので。最近、坂本龍一さんも自分のデータを取っていて、坂本さんのデータがピアノを弾くみたいなことに挑戦されていますよね。ウチはそこまではいけないですけれど、こういう時代だからこそ「あっちのドリカム」がどんな形であれドリカムの音楽を伝えていく。ドリカムの作品ってそういう仕様に耐えらるものだと思っているんです。ヒットとか流行という意味ではちょっとずれますが、「何度でも」のように必要なときにみなさんに聴いてもらうことでヒットにつながったということもあります。タイミングを失わないためにも、「あっちのドリカム」があちこちで活動してくれていることが入口だと思っています。


──Alexaに「アレクサ、ドリカムのメッセージを聞かせて」と頼むと、スペシャルメッセージを流してくれるとか。

中村正人:そうですね、ワーワー言ってますね(笑)。AlexaとMASADOとMIWASCOがしゃべりだしてもおもしろいだろうし、そういう発展をどんどんしていくと思います。

──これからがますます楽しみですね。

中村正人:「フォートナイト」も「あつ森」も映画「マトリックス」にも究極のヴァーチャルな世界が描かれていますが、その善し悪しは別としても人間のクリエイティビティは、こだわってちゃダメということですよね。時代の瞬間瞬間で「ミュージシャンとしてありたいという姿と表現方法」を持っていないとダメかなと思っています。

──そういう意味でも、Amazonはドリカムにとっていいパートナーになっていますね。

中村正人:しかもグローバルに配信していただける。我々はアメリカ進出に失敗した最たるバンドと言われますが(笑)、今は日本語のまま世界中のファンが手に取ってくれる時代になりました。僕らが尊敬する先輩方のシティポップ音楽も世界で流れ始めているということを考えると、Amazonが提供してくれている環境は、我々にとっては嬉しいことです。今は、いいコンテンツは皆が共有しなければいけないと思うんです。その先には膨大な世界が開けていますから。

取材・文◎烏丸哲也(JMN統括編集長)



「DREAMS COME TRUE Prime Video Show」概要

※配信内容・スケジュールは予告なく変更になる場合がございます。
配信開始日時:2021年7月7日(水)

[配信作品]
● 『DREAMS COME TRUE Premium Acoustic-Mi Live Show』 *独占配信
● 『DREAMS COME TRUE 「Unveil」』(全4話)*独占配信
● 『DREAMS COME TRUE 中村正人「Sound Venue」』(全6話)*独占配信

[アーカイブライブ映像]
● 『史上最強の移動遊園地 DREAMS COME TRUE WONDERLAND 2019』
● 『ENEOS × DREAMS COME TRUE ドリカム30周年前夜祭 〜ENERGY for ALL〜』
● 『DREAMS COME TRUE CONCERT TOUR 2017/2018 - THE DREAM QUEST -』
● 『DREAMS COME TRUE 裏ドリワンダーランド 2012/2013』
● 『史上最強の移動遊園地 DREAMS COME TRUE WONDERLAND 2011』
● 『WINTER FANTASIA 2010 〜 DCTgarden “THE LIVE!!!”』
● 『20th Anniversary DREAMS COME TRUE CONCERT TOUR 2009 “ドリしてます?”』
● 『史上最強の移動遊園地 DREAMS COME TRUE WONDERLAND 2007』

視聴ページ: https://www.amazon.co.jp/dp/B095SX8PT8
予告編: https://youtu.be/b50piIOIULI
(C)DCT entertainment, Inc.
2021年7月7日(水)よりAmazon Prime Videoで7言語・グローバル独占配信
*視聴にはプライム会員登録が必要です
字幕 : 7言語(英語、フランス語、ドイツ語、イタリア語、ブラジルポルトガル語、スペイン語、 南米スペイン語)
制作 : THReee entertainment

(C)DCT entertainment, Inc.

Amazon Music プレイリスト「Best of DREAMS COME TRUE」

https://music.amazon.co.jp/playlists/B08C541NS1

Blu-ray&DVD『WINTER FANTASIA 2020 - DOSCO prime PARTY !!! -』

2021年7月7日(水)発売
Blu-ray 2枚組(ROS-4002/3)/DVD 2枚組(PROS-3010/1)
※Amazon限定販売
特設ページ: https://www.amazon.co.jp/dreamscometrue
収録曲:
[Disc1] こっちのドリカム編
<ACOUSTIC-MI LIVE SHOW at ブルーノート東京>
うれしはずかし朝帰り
a little waltz
時間旅行
2人のDIFFERENCE
さぁ鐘を鳴らせ
悲しいKiss
あなたにサラダ
未来予想図
週に1度の恋人
どうぞよろしく
夢で逢ってるから
いつのまに
Ring! Ring! Ring!
しあわせなからだ
愛して笑ってうれしくて涙して
空を読む
マスカラまつげ
大っきらい でもありがと

<DREAMS COME TRUE 32nd Anniversary PARTY!!! PP限定だ!Part2 より>
YES AND NO
G

<DOSCO prime PARTY !!! より>
DOSCO prime PARTY !!! 厳選名場面集

[Disc2]あっちのドリカム編
うれしい!たのしい!大好き!- DOSCO prime Version -
決戦は金曜日 - DOSCO prime Version -
大阪LOVER - DOSCO prime Version -
何度でも - DOSCO prime Version -
やさしいキスをして - DOSCO prime Version -
LAT.43°N 〜forty-three degrees north latitude〜 - DOSCO prime Version -
その先へ - DOSCO prime Version -
TRUE, BABY TRUE. - DOSCO prime Version -
朝がまた来る - DOSCO prime Version -
LOVE LOVE LOVE - DOSCO prime Version -
未来予想図II - DOSCO prime Version -
雪のクリスマス - DOSCO prime Version -
G - DOSCO prime Version -

・S+AKS「DREAM CATCHER 3」スペシャルパフォーマンス ダイジェスト
・みんなで踊ろうドリカムディスコ2020 ダイジェスト
・Dosco de Dance 〜高校生の部〜 ダイジェスト


▲Blu-ray&DVD『WINTER FANTASIA 2020 - DOSCO prime PARTY !!! -』ジャケット

「次のせ〜の!で - ON THE GREEN HILL - DCT VERSION」

2021年7月7日(水)配信開始
(伊藤園「お〜いお茶」タイアップソング)


Photo: Yudai Maruyama

◆DREAMS COME TRUE特設ページ(Amazon)
この記事をツイート

この記事の関連情報

*

TREND BOX

編集部おすすめ

ARTIST RANKING

アーティストランキング

FEATURE / SERVICE

特集・サービス