【速レポ】＜京都大作戦2021＞dustbox、「今しかできない京都大作戦を見せてくれ！」

眩しい日差しを万能傘が遮ってくれる正午すぎ。この晴天にふさわしいアクトは、京都大作戦の常連バンドであるdustboxの3人だ。「京都大作戦！！」とSUGA（Vo,G）が叫び声をあげ、「行きますよ」というJOJI（B,Vo）の声とともに、「Riot」でライブは幕を開けた。

◆dustbox 画像

SUGAは歌いながら「太陽、呼んじゃったな」という。朝の雨でぬかるんだ地面から、熱気が立ち上ってきて源氏ノ舞台の気温はぐんぐん上昇している。YU-KI（Dr）のドラムに飛び跳ねる観客の熱気も加わって、フェスのいい光景が生まれている。

「自分のその場所で、思いっきり楽しんでくれ」──SUGA

その言葉でスタートしたのは「Try My Luck」。さらなるファストなメロディックチューンに観客のコブシが勢いよく上がり、大きな音を全身に浴びるようにしてジャンプする。「暑いな、っていうかめっちゃ楽しい！　こんなの明日の朝までやりたい。朝まで、朝まで踊ろうって曲──」と「Dance Until Morning」へと続き、間髪入れずに「Right Now」を連投。


冒頭から4曲連続で、気温もBPMも上がりっ放しで最高だ。観客はもちろん、バンドも楽しんでいるのが、その笑顔や前のめりなプレイからも伝わってくる。JOJIは後ろの方の観客にまで大きく手を振って、大きな拍手に湧く会場の様子をじっくりと堪能して「大変だと思うよ、10-FEETも制作側も。なんだよ、これ？」と目を細める。

SUGAはギターを奏でながら、「ライブできるだけで最高なんですよ、ありがとう！　リハをやっていたときから思っていたんだけど、みんなルールをちゃんと守って楽しんでいるのが伝わってきて感動しました。いろいろ思うことはあるかもしれないけれど、みんなも俺らも同じだと思う。でも、俺たち以上にみんなには我慢をさせちゃってるかもしれない。だけど、今は100パーセント楽しめるようになるまでの大きな第一歩として、今日は今できる100パーセントやろうぜ、よろしく」と観客に語りかけた。



そして「10-FEETに贈ります」という一言でスタートしたのが、10-FEETの「ヒトリセカイ」だ。伸びやかなSUGAのヴォーカルとJOJIのコーラス、そしてたっぷりのリスペクトを込めてプレイするこの「ヒトリセカイ」には、本家10-FEETも登場。ギターソロではギター代わりに竹ぼうきを抱えたTAKUMAがSUGAの横でエアギターをし、NAOKIもベース代わりに竹ぼうきを抱えてコーラスを取り、KOUICHIはドラムスティックではなく大きなブラシで演奏に加わる。シンガロングのできない観客はハンドクラップでリズムを刻んで、6人プラス観客での「ヒトリセカイ」が生まれる。「＜大作戦＞は、これなんだよ」と言って、JOJIは嬉しそうにこの空間を味わう。

さらなるエネルギーを得た3人のアンサンブルは、「You Are My Light」のブライトなメロディをキラキラに輝かせる。イントロのギターの高速リフに観客が興奮のコブシを掲げる「Hurdle Race」では、「今しかできない、京都大作戦を見せてくれ」というSUGAの声をきっかけに観客は高くジャンプをし、またビートに合わせその場で全力で走るように楽しむ姿が見える。



続いては、JOJIがベースをハンドマイクに変えて、ステージを掌握。「全部出し切れ、今日は！！」と叫ぶと、「Neo Chavez 400」でシャウトを決める。代わりにベースを務めるのは、KOUICHI……いや、KOUICHIは賑やかしのエアベースで、NAOKIがしっかりとdustboxの低音を担う。JOJIがHRシンガーばりに喉を震わせる横で、TAKUMAもエアベースで加わったりと、ステージ上は6人の遊び場と化している。毎回、京都大作戦でのdustboxのステージは10-FEETが乱入してわちゃわちゃとした6人のグルーヴが楽しめるが、今回もそれは変わらずだ。

「10-FEETありがとう。いろいろ大変だっただろうけど、今年も大成功しますように」──SUGA

来週の分までの願いを込めるようにしてラストに放ったのは、「Jupiter」。キレのいいアンサンブルにグッドメロディが冴える。観客の熱いエモーションも全部乗っけて、夏の空に思い切り放つようなパワーで、これぞdustboxというライブとなった。

取材・文◎吉羽さおり
撮影◎HayachiN／青木カズロー／瀧本 JON...行秀