【対談】Psycho le Cému × Waive、同期バンドの歯に衣着せぬ本音「今日は発破を掛けに来た」

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Psycho le Cémuは1999年に姫路で、Waiveは2000年に大阪で結成。ほぼ同時期に同じ関西で産声を上げ、共にヴィジュアルシーンを牽引した戦友同士である。理由は異なるが、同時期に一旦歩みを止めたものの、紆余曲折を経て2020年代現在、バンドとしてステージに立っている点も共通している。

◆Psycho le Cému × Waive 画像

新型コロナウイルス感染症の影響による制限の下、20周年記念公演<20th Anniversary Special GIG「ライブハウス渋谷公会堂へようこそ。」>を2月23日、LINE CUBE SHIBUYA (旧渋谷公会堂)で成し遂げたWaive。制限が解除された暁には満員の渋谷公会堂で再会できることを願って、2022年1月29日に同会場での<Waive 2Øth Anniversary Again GIG「2Ø22 -俺たちの戦い(20周年)はこれからだ-」>開催を発表するなど、未来への希望を繋いでいる。

一方、Psycho le Cémuの20周年もコロナ禍に直撃された。記念ツアーの多くが延期/中止となり、2020年5月3日、結成記念日に地元姫路で行うはずだった<理想郷旅行Z 〜二十年後の僕たちへ・・・〜>はLINE CUBE SHIBUYAに場所を移し、1年後の2021年5月3日の実施を目指していた。この対談は3度目の緊急事態宣言が発出される直前、4月23日に実施したものであり、当時はまだ状況が不透明な中ではあったが、この日に懸ける特別な想いを語ってくれている。結果的に公演は見送りとなったが、先ごろ8月14日に姫路市文化センター大ホールでの振替公演開催が決定した。

それぞれの20周年、コロナ禍の影響からトークは思わぬ方向に展開。他の対談相手だったら絶対に引き出されなかったであろう言葉の数々は赤裸々で強烈、そして温かかった。Psycho le Cému からDAISHI(Vo)とseek(B)、Waiveからは田澤孝介(Vo)、杉本善徳(G)が参加したトークは、自主規制一切なしのシリアスで熱いロングセッションとなった。

   ◆   ◆   ◆

■善徳くんに「キてるバンドがおんねん」って
■紹介されたんですけど、そんなこと初めてで

──両バンドの出会いはいつ頃だったんですか?

seek:最初の出会いは、DAISHIさんと善徳さんの前身バンドですね。

杉本:えっ? この4人全員の中で最初がそこ? こっち(seekとDAISHI)より俺とのほうが先に知り合ってるの?

DAISHI:そうや。善徳くんのほうが先に出会ってる、seekより。

杉本:そうか。あれはたぶん1997年とかかな?

DAISHI:分からないことだらけだった僕が、善徳くんにすべてを教えてもらったという感じですね。「バンドとはこうなんだ」って。

善徳:僕が童貞を奪ったぐらいのレベルで(一同笑)。

seek:一言がエグい(笑)。

DAISHI:これ太字でいけますか?

田澤:太いとか細いとかの話じゃないねん。載らんで、これ(笑)。

DAISHI:既に人気がすごくありましたし、芸歴的に先輩だというのがあったので、前身バンドでは善徳くんにイベントへ呼んでいただいたりして。

seek:同じような方向性の歌もののバンドだったんですよ。で、善徳さんのバンドのパワー感を見て、「これは勝てへんかも」と。そこでいろいろ考えてPsycho le Cémuをつくったという話はBARKSさんでしましたよね?


▲DAISHI (Vo / Psycho le Cému)

DAISHI:そうです。善徳くんがWaiveの前にやってたバンドのボーカルとタカ(田澤)くん。この2人ですね。タカくんの歌を聴いた時、僕はボーカリストとして客観視できるタイプなので、“すごいな。これはダメだ”と思って。でも逆に、それでアイディアは湧いてきましたけどね。タカくんは意識してなかったやろ? 周りのバンドなんて。

田澤:いやいや。善徳くんに「キてるバンドがおんねん」みたいな感じで紹介されたんですけど、そんなこと初めてで。DAISHIくんの前身バンドの音源はオムニバスCDで聴いてて、カッコいいなと思ってたんですよ。僕からしたらDAISHIくんは声がいいから羨ましいんです。そんな、「タカくんがおるから」とか言ってくれてますけど、何言ってるんですか?と思ってます。

DAISHI:いやいや。正直、当時の大阪周りのコテコテのバンドボーカルは、歌詞が何を言うとるか分からんような子らばっかりやったやん? そんな中でなら“自分の歌で勝負できる”と思ってたんですよ。ところが、タカくんの歌を聴いて、“うぉ~、こんなバケモンおんねや!”と思ってましたから。

seek:しかも、当時はデモテープでしたからね。Waive結成後に初めてデモテープをもらって、機材車のボロボロのスピーカーで聴いても、「この曲と歌、ヤバいな」という話になったくらい。

DAISHI:曲もええわ、歌もええわ、ボーカルがこれでブスやったらまだ許せたんですけど、子犬みたいなカワイイ顔してるやん?

田澤:あはは!

DAISHI:当時から人気がすごかったですね。

──田澤さんからは実際、Psycho le Cémuはどう見えていたんですか?

田澤:ええっ?

杉本:先に注釈しておくと、田澤くんは記憶喪失だと思うんですよ。

田澤:結構、忘れてるんです(笑)。

杉本:最近、どのインタビューでも「覚えてないな」しか言ってない印象なので(笑)。

田澤:ははは。でも、seekはとにかくライブで客席にダイヴする人っていうイメージやったな。ステージングがすごくて、衝撃でした。

──WaiveとPsycho le Cémuは同じぐらいの時期に東京に拠点を移されたんですかね?

seek:先に事務所の契約が決まってたのはWaiveさんやったんですよ。

杉本:声が掛かったのは僕らが先だったんですけど、リーダーだった僕が契約をなかなか承認しなかったので(笑)。後に声掛かったけど、先に契約を結んだのはPsycho le Cémuだった、と。

seek:あと、既にその前のレーベルのときに僕らは東京へ上京していたので、東京に来たのは僕らが先やったのかな?

杉本:小平を東京と呼ぶなら、の話ですけど。

seek:はははは! 地元の連れに「東京に行きます」と言って出てきた以上、東京という住所は確保したかったんですよ。不動産屋さんには「川崎のほうが近い」とか言われたんですけど、東京にこだわって小平へ行ったんで。ま、市外局番は“03”ではなかったですけど、東京やと思います。


▲Psycho le Cému

──MUCCを含めた3バンドで、2018年に対バンツアー<MUD FRIENDS>を開催しました。18年ぶりにほぼ同期と言える戦友が集まったイベントでしたが、今振り返ってどうですか?

DAISHI:めっちゃ楽しかった! またやりたい。ストレスフリーというか(笑)。僕は楽しさが一番勝っちゃいますね。

seek:<MUD FRIENDS>は、いろいろな想いが強いイベントです。まだPsycho le Cému自体が、正式に再始動していなかった時期から話をしていて、2018年に実現に至ったんですね。僕らも、再始動したら再始動したなりに事情を抱えたり、活動の流れがあったりで、当時の僕は<MUD FRIENDS>に対して、手放しで“みんな好きやから、やるぜ!”というテンションにはなかなかなれなかったんです。「Psycho le Cémuのことをいろいろとクリアしてからじゃないと。ごめんなさい、できません」とずっと言ってたから。だから、できた時はすごく嬉しかったし、もう一回やりたいですけど、それぞれのバンドの事情もあるしね。Waiveさんは解散中ですし(笑)。

──杉本さんはいかがでしたか?

杉本:あんまり覚えてないですね。もちろんやったことは覚えてはいるんですけど、感情を覚えてない。なんか普通(笑)。というのは、Waiveって解散以降、一回も対バンしてなくて、初の対バンイベントだったから。めちゃくちゃ久しぶりだったのかもしれないけど、“2005年の対バンから、2018年までの間にいろんな対バンをしたな”とか、“その間に時代が変わったな”とかを知らないんですよ。MUCCは3バンドの中で一番コンスタントに活動を続けてるから、“久々にこのメンツで、しかも大阪MUSEとか高田馬場AREAでやってる”とかいう特別な想いがあったかもしれないですけどね。でも、“Waiveはコールドスリープから目覚めただけで、地続きやねんけど?”みたいな感覚で(笑)。そういう意味ではあんまり特別じゃなかったかも。

seek:3バンドが揃った事前撮影では、みんなでワチャワチャしてたんですけど、イベントの趣旨としては、それとは違って。やっぱり本番は、久しぶりにファンの方々がWaiveのステージを観ることになるわけだから、「そこでみんながワチャワチャしちゃうのは良くないんじゃないかな?」という話になって、セッション系をやめたんですよ。「バンドごとのステージにしよう」という話をした記憶があります。

DAISHI:で、出演順をくじ引きで決めたんだよな。

seek:ああ~、したな。撮影の時に。

DAISHI:俺は「くじ引きとか止めたら?」と思ってたの。だって、「ここではWaiveがトリでしょ?!」とか、その土地土地に相応しいバンドがトリを飾るべきだっていう考え方があったから。で、実施にくじ引きしてみたら、その土地でトリを飾るべきバンドと、くじ引きの結果が全然合わなくて(一同笑)。

杉本:誰が得すんねんな(笑)。

──演出ではなく、ガチのくじ引きだったんですね?

seek:くじ引きするとき、カメラも回ってましたからね(笑)。

DAISHI:ガチだったんですよ! でも、「ファンの方も、この土地ではWaiveをトリで観たいやろ! せっかくの復活やのに」と。俺は戦略を考えて組み立てるほうが得意なので、賽を振って決める、みたいなのは……(笑)。

田澤:誰も求めてないリアリティ(笑)。

DAISHI:あれはちょっと気になったけど、Waiveっぽいと言えばぽかったですよね。

──<MUD FRIENDS>があったからこそ、その後のWaiveとしての動きが活発化したわけですよね?

杉本:それはそうですね、たしかに。意識はしてなかったですけど、そう言われるとそうだって気がします。

──全く別のバンドとの対バンイベントだったら、その後のWaiveがこういう展開にはなっていなかった?

杉本:それ以前に他との対バンだったら、まず出演してないですからね。

田澤:うん、やってない。余程じゃないとやらないよね。

杉本:もちろん“対バンしたいな”と思うバンドもこの世の中にはいるので、そういうところからの話だったらやってたかもしれないけど、大半は断ってたと思うので。それはデカいですね。

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