【インタビュー】我儘ラキア、見せ場を全員で奪いに行く新ミニAL『SUPERIORITY』

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■全員で奪いに行ってやろうぜ

──4人の個性はステージだと一目瞭然ですが、その要素が音源にも反映されていると思ったんです。ヴォーカルでこれだけグルーヴを生んでいるのも小気味よいというか。

MIRI:前作で“星熊とMIRIばっか目立ってる”という意見をもらったりもしたんです。だから今作は“全員で奪いに行ってやろうぜ”って。それぞれ自分が歌いたいパートを練習してきて、レコーディングで“わたしここ歌いたいんですけどいいですか?”と申し出たんですよね。そのなかで“ここはこう歌ってみたら?”と提案し合って、アイディアを共有し合ったり、4人で高め合うことができて。そこが前作から今作にかけていちばん成長したところかな。

──「GIRLS」は顕著にそれが出ていますよね。先ほど星熊さんが“ボーダーをぶち破っていく強い女性像が反映されている”とおっしゃっていましたが、こういう凜としたしなやかな逞しさは、もともとダンスミュージックの世界のものだった気がしていて。

川﨑怜奈:わたしはダンスミュージック育ちなので、「GIRLS」を最初に聴いたとき“わっ、きたこれ! めっちゃ好きや!”という感覚になったんです。だからこそもっと歌いたい、奪いにいきたかった。この曲のメッセージと同じく、ライヴでもかっこよくて憧れられる女性像でありたいし、それを表現したいんですよね。

──女性の凜々しさを抽出しているいっぽうで、女性という枠にとらわれない強さや美しさを表現している曲だと思いました。我儘ラキアを体現するような曲ではないかと。

星熊南巫:“風の時代”と言われる現代の時代観も出てますよね。個々の独自性が生きていって、不必要なものや汚いものが廃れていって──それって本物しか残らないということだと思うんです。偽ったものは崩れていくけれど、本心でやりたくてやったこと、本当にかっこいいと思ってやったことが何年経っても色褪せないのは、信念が真ん中に通っているからで。アイドルって日本の感覚だと期間限定じゃないですか?

──そうですね。20代になると同時にカウントダウンが始まるというか。

星熊南巫:若い時代限定の刹那的な美しさが求められていたと思うんです。でも時代が変わって、無理をしていない、そのまま光り輝けるかっこいい女性像が支持を集めるようにもなって……自分たちもそういう存在になりたいんです。その思想が音にも歌詞にも詰まってる気がします。

──そういうメンタリティや4人の結束が土台になっているから、我儘ラキアの音楽や表現は心地いいのかもしれませんね。これだけバラバラの4人の個性が、反発し合わずに自然体で存在しているのも理想的な在り方だと思います。

星熊南巫:MIRIはマルチにできるけど、それぞれ得意不得意がはっきりしてるから、お互いをリスペクトしながら凸凹を4人で埋めて、我儘ラキアというものを作っている感覚が強いんですよね。

MIRI:“こいつのここムカつくけど、ここは尊敬できるしなあ……”って思うんですよ(笑)。

川﨑怜奈:わかる!(笑) だからすごく自由にやらせてもらってます(笑)。

星熊南巫:海羽さんはほんっと変わり者なので、いつもみんなで“相変わらず凜は変わってるな~”と楽しんでますね(笑)。

海羽凜:(笑)。ライヴのMCで80%の確率で言葉に詰まっちゃったり、変なことを言っちゃったりするんですけど──。

MIRI:80? 90の間違いじゃない?(笑)

海羽凜:90%でした(笑)。混乱して“ヤバい……!”と血の気が引いたときとかに、ふっとMIRIとかがフォローしてくれて星熊にバトンを渡してくれたり、怜奈がわたしの足りない言葉を補助してくれたりするんです。いつも助けてもらってるなと思ってます。

──言葉にできない気持ちを、さっと掴んでくれるメンバーさんがいるのは、とても心強いですよね。

川﨑怜奈:凜ちゃんとわたしは言葉にするのが得意じゃないので、MIRIと熊が率先してそこをフォローしてくれているんです。だからわたしも、言葉ではない場所でラキアを引っ張っていきたい。その気持ちはすごく大きいですね。

星熊南巫:MIRIとはもともと仲が良かったのもあって、阿吽の呼吸みたいなものが出来上がってて。ツアーでもMIRIがわたしのMCの流れを察知してサポートドラムの人にカウントの合図を出してくれてるんです(笑)。そういうメンバーと一緒に活動できるのは、本当に助かってます。

MIRI:そういうメンバーの結束は音源を聴いただけではわからないかもしれないけど、そうやって支え合っているからこそ出来た音源だと思います。レコーディングは期間が長いし、いろんな方面からダメ出しもあるし。自分の限界を超えていかないといいものはできないけど、その過程でメンタルが折れちゃうことは誰しもあると思うんですよね。そこで“あ、あの子が落ちてるな”と気付いたらほかのメンバーがフォローするし、怜奈みたいに何も考えていないメンバーは“おいおい!”ってウザ絡みしてくるし(笑)。

川﨑怜奈:おいおい!(笑) 何も考えてないわけじゃないからね?(笑)

MIRI:はははは。気が張ってるときは、そういうのが助かったりするんですよね。じつはそういうバックグラウンドがあったうえで『SUPERIORITY』は完成している──そういう作品だと思いますね。

──メンバー同士でしのぎを削って、協力し合って、ひとつの作品を作ったことは、グループにとってすごく大きい出来事ですよね。

星熊南巫:すごく大きいですね。前作で発音にものすごく苦労したから、今作ではかなり練習をしていったのに全然うまくいかなくて、焦りや不安がどんどん膨らんじゃって、うまいテイクが録れないままどんどん時間だけが過ぎていくという悪循環に陥って。そしたらMIRIがわたしの好きなプリンを差し入れで持ってきたんです(笑)。敢えて言葉にしないけど、じつは助けてくれてる。それがなかったら、こんな作品にはなってないと思うんです。

──自分とは違う部分や自分が持っていない部分を、面白いと思えるからこその友好関係だろうなと。

星熊南巫:そうですね。わたしみたいなのが2人も3人もいたら、まじで無理っすね(笑)。

全員:無理無理無理!

MIRI:わたしが2人も3人もいても無理だよ(笑)。

川﨑怜奈:わたしも無理(笑)。みんなそうだね(笑)。

──『SUPERIORITY』と我儘ラキアの間に矛盾が生じていないんですよね。だから聴いていて違和感がない、とても自然なんです。「JOURNEY」を聴いていると、我儘ラキアのライヴや、ステージに立つ4人の表情が一気に頭のなかに浮かんできました。

▲我儘ラキア/『SUPERIORITY』

星熊南巫:いろんなことがあるかもしれないけれど最後には勝ち誇るという内容の歌詞で。作詞を担当したKTRさんは、我儘ラキアが<WAGAMAMARAKIA TOUR>で感じるであろうことをこの曲の歌詞で書いてくださったらしいんです。……泣けてきますね。最初は自分たちと自分たちの事務所だけで活動してきたけど、いろんな人がラキアの手助けをしてくれるようになって、最初は警戒してたんです。

──“この人は自分たちをどうするつもりなんだろう?”と。

星熊南巫:そうです。あんまり人のことを信用できなかったんですよね。でもみんなラキアが売れるためにどうするべきかを深く考えてくれてることが伝わってきて。その信頼関係が出来上がった今、「JOURNEY」を聴くと、ほんっとに泣けてくる。前作と今作で大事な人がものすごく増えたんです。その人たちに“こいつらの面倒を見て良かったな”と思ってもらいたい。その気持ちは大きいですね。そのためにも女性としての強い信念を持ったグループに、もっともっとなっていきたいんです。そのうえでこの国を代表するアイドルになりたいんですよね。

川﨑怜奈:そうだね。“我儘ラキア”というものをもっと確立させて、どこにも属さず、いろんなジャンルに対応できる唯一無二のグループになっていきたい。

──“売れたい”という言葉ではなく、具体的な精神性やポリシーが言葉として出てくるところも我儘ラキアらしい。

星熊南巫:ありがとうございます。死ぬほど売れたいですけど!(笑)

全員:あははは!

MIRI:大きいところでライヴもやりたいしね(笑)。

星熊南巫:ただ、自分たちがやりたくないことをしてまで売れたいとは思わない。自分たちがかっこいいと思った表現をして、みんなに認めてもらって、その規模を大きくしていきたいですね。

海羽凜:ラキアはこういうスタンスなので“アイドルじゃないみたい”と見られることも“アイドルの枠を飛び越えている”と言ってもらうこともあるんですけど、自分たちはどうしたってアイドルで。そのアイドルのなかで、自分たちにしかできないことをやっていくべきだと思っています。ラキアを愛してくれている人たちが広めてくれるおかげで自分たちは大きくなっているので、もっと気持ちを前に飛ばす気持ちで1本1本しっかりライヴもやっていきたいです。

MIRI:ラキアをアイドルと思ってくれる人にとってはアイドルでありたいし、アーティストだと思ってくれる人にとってはアーティストでありたい。いい意味でカメレオンなグループでいたいですね。我儘ラキアの今のスタンスはぶれることなく活動を続けていきたい。そのためにもまだまだ4人も成長していきます。

取材・文◎沖さやこ

New Mini Album『SUPERIORITY』

2021年6月30日発売
通常盤 (CD+DVD)WW-1003 ¥3,300(税込)

CD:
1.JOKER
Produced by Mr.X
2.FUTURES
Produced by Nob(MY FIRST STORY)
3.GIRLS  
Produced by HIDE/AG(NOISEMAKER)
4.FLASHBACKS
5.JOURNEY
Produced by Kuboty

DVD:
「WAGAMAMARAKIA TOUR at Shimokitazawa SHELTER Live & Documentary」
収録曲:SURVIVE / Letting Go / Leaving / Like The Star / One / There is surely tomorrow

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