【インタビュー】G.RINA「他者を受け入れることが巡り巡って自分自身を受け入れることになる」…新AL『Tolerance』の妙味

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■年齢、性別、国籍、文化。いろんな価値観が入ったアルバムにしたかった

──アルバムのタイトルにもなった「Tolerance」には韓国シンガーソングライター・Xin Sehaさんが参加していますね。

G.RINA:実はアルバムを作る前に、Xin SehaくんとHahmくんというプロデューサーの2人から、「韓国の有名なアーティストに楽曲提供するコンペがあるので一緒に曲を作りませんか?」というオファーをいただいたんです。2人は私の音楽を好きで聴いてくれていたみたいで。その曲は採用されなかったけど、一緒に作った時間がすごく楽しかったんです。だから改めて私から「今度アルバムを出すので一緒にやらない?」とオファーしました。

──ちなみにその採用されなかったコンペ用の曲は今どういう状況なんですか?

G.RINA:未発表曲としてストックされてるので興味ある方はいつでもお声がけください(笑)。その曲もすごく良い感じなんですよ。でもアルバムのトーンとは違うので3人で新曲を作りました。

──この曲はどうやって制作したんですか?

G.RINA:2人は韓国にいるので、英語ベースでメールでやりとりしながら作りました。私が最初に楽曲のイメージを伝えて、ベースになるトラックを2人に作ってもらって。そこに私が歌を入れて、Xinくんにも歌ってほしいと戻しました。それをさらに3人でブラッシュアップする、みたいな感じですね。

──「最初に伝えたイメージ」とは?

G.RINA:先ほどお話したFNCYをお休みしてた頃に感じたことですね。それを拡大したり縮小したりして、自分のことでもあり、周りの人のことでもあり、というような状態にしたかったんです。

──G.RINAさんの曲にハングルの歌が入るのは新鮮でした。

G.RINA:韓国の言葉で歌ってほしかったんです。いろんな価値観が入ったアルバムにしたくて。年齢も性別も国籍も文化も。

──そう考えるきっかけみたいなことがあったんですか?

G.RINA:FNCYの活動で久しぶりにヒップホップの現場に行くことが多くなったんです。そこで改めて思ったのは、ヒップホップっていろんな人がいて、どんな人にもチャンスがあるというか、難しいものを抱えている人ほど輝ける可能性があるのが良いところだなって思ったんです。ありのままの自分をどれだけ表現できたかってところで勝負できる。そこがいいところだし、好きなところ。今回のアルバムの前半のメッセージはそういう現場を久しぶりに見たことも関係していますね。

▲G.RINA/『Tolerance』

──「夏の夕凪 feat. Kzyboost」はG.RINAさんらしいメロディが印象的でした。

G.RINA:前からの私のアルバムを聴いてくれてる方がスッと入れる曲も入れたくて。特に「夏の夕凪」は何も考えずに作れる曲(笑)。でも「らしい」曲だけだとつまらない。

──「カーディガン」はリリックが面白いですね。彼氏が知らない女とお茶してるを目撃して、しかもその女は自分のカーディガンを着てるっていう。

G.RINA:修羅場ですよね。でもちょっと笑える。この曲は音作りながら歌詞書いて、歌詞書きながら音直して、みたいなのを何度も何度も繰り返してできた曲です。実はビートでオマージュをしのばせてみたり。大昔に作ったデモが元になってて、機が熟してようやく形にできた曲です。

──最後の「新陳代謝」も今作で特に好きな曲でしたね。

G.RINA:この作品で参加してくださったstarRoさんは一個上で高校の先輩だったんですよ。当時は全然知らなかったんですけど。今回オファーさせていただいたのは、starRoさんがシンガーソングライターとしてPOPS研究会名義で出したアルバム『Am I weak enough to be strong? "The idea of desirable difficulty”』が素晴らしかったから。なので最初は歌手としてデュエットしてもらうつもりだったんです。

──ですが、starRoさんはプロデューサーとして参加していますね。

G.RINA:はい。実はスタジオにお邪魔してお話したり、試行錯誤の制作を続けて柔軟に、最終的にはトラックメイカーとして関わっていただくことになりました。

──なるほど。ちなみにトラックの制作はどのように進めたんですか?

G.RINA:一緒にスタジオに入って、starRoさんが手を動かして、私は横で見てて気づいたことがあったら、お願いするくらいの感じですね。自分とは違う作り方を眺めたり、お話して感じたことを歌詞にも落とし込みました。starRoさんに限らず、今回はできるだけゲストの方たちが普段録音してる環境に私が行って、その景色を一緒に見ることを大切にしました。それを持ち帰ると自分の制作にもすごく良いフィードバックがあるんです。だから願わくば韓国にも行きたかった(笑)。

──その感覚は「Body Temperature」の際のお話と繋がりますね。9月にFNCYのアルバムリリースが発表されましたが、ソロとして今後どのような活動を予定していますか?

G.RINA:うーん……。今はやり切った気持ちですね。私は毎回「今回が最後かも」と思ってソロアルバムを作ってるんです。なので時間が経ってみないことには、今後のソロ活動についてはなんとも言えないかな。先ずはこのアルバムのライヴやビデオをじっくり作って、音楽が少しでも届くようにできればと思っています。

取材・文◎宮崎敬太

アルバム『Tolerance』

発売日(CD):2021年6月23日(水)
VICL-65516

<参加アーティスト>(客演順)
the Others、鎮座DOPENESS、NENE(ゆるふわギャング)、Xin Seha(シン・セハ)、Kzyboost(カズヤブースト)、BIM(ビム)、ZEN-LA-ROCK(ゼン・ラ・ロック)、StaRo(スターロー)

<収録曲>
01.Body Temperature
作詞 G.RINA 作曲 G.RINA/the Others 編曲:the Others

02.i wanna know feat. 鎮座DOPENESS
作詞 G.RINA, 鎮座DOPENESS 作曲 G.RINA, 鎮座DOPENESS 編曲:G.RINA

03.魅力
作詞:G.RINA 作曲:G.RINA 編曲:G.RINA

04.PMS feat. NENE
作詞 G.RINA, NENE 作曲 G.RINA 編曲:G.RINA

05.Tolerance feat. Xin Seha
作詞 G.RINA, Xin Seha作曲 G.RINA, the Others編曲:the Others

06.夏の夕凪 feat. Kzyboost
作詞 G.RINA, Kzyboos 作曲 G.RINA, Kzyboost 編曲:G.RINA

07.カーディガン
作詞:G.RINA 作曲:G.RINA 編曲:G.RINA

08.you make me feel all right ~ Magnetic, Galactic Reprise
作詞:G.RINA 作曲:G.RINA 編曲:G.RINA

09.White Night (356 ver.) feat. BIM 
作詞 G.RINA, BIM 作曲 G.RINA 編曲:G.RINA

10.Simple Pleasure feat. ZEN-LA-ROCK
作詞 G.RINA, ZEN-LA-ROCK 作曲 G.RINA 編曲:G.RINA

11.新陳代謝
作詞 G.RINA 作曲 G.RINA, starRo 編曲:starRo

BIM appears appears by the courtesy of SUMMIT, Inc.

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