【インタビュー】ASKA、様々な時代を軽やかに渡る日々…新作CD「笑って歩こうよ」

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■生身の人間ができる最高レベルまで達してた音楽。それが70年代
■俺たちが聴いたあの感覚をやってみよう


──ここからはシングル「笑って歩こうよ」について聞いていきますね。資料にも書かれている通り、この曲のキモとなるのは1970年代を彷彿させるメロディーライン。70年代に着目した理由は?

ASKA:いま若いアーティスたちは80年代終わりから90年代の音楽を楽曲を作るときのヒントにしていて、多くの若い子たちはそのメロディーを新しいものとして聴いているから90年代のメロディーブームが起こってるというのをずっと聞かされてきてたんですね。90年代ってまさに自分たちの時代なんです。そんな僕らはなにに影響されたのか。70年代の音楽なんですよ。80年代に入るとコンピューターが入ってくるんです。コンピューターがあるとなんでもできてしまう。それがない時代、70年代は人間だけでどこまでできるのかっていうサウンド作り、メロディー作りをやっていた時代で。生身の人間ができる最高レベルまで達してた音楽。それが70年代なんですよ。メロディーひとつとっても、コンピューターがあればすぐに変えられますけど、その頃はレコーディング当日までに練りに練って構築していかないとダメな時代だった。だから、本当にいいんですよ。いま自宅で流れる音楽を70年代のオールディーズにしてて、お客さんが来たときはまずそれをつけるんだけど。するとね、みんな会話をしながら「あ! この曲」ってかならずなるの。

──それだけみんなに浸透してるということ。

ASKA:そうだね。それで、自分なりに「70年代ってどうだっけな」って作ったのがこの曲。だから、なんか懐かしい感じがするでしょ?

──はい。Aメロとか特に70年代の匂いが。

ASKA:ああー。そう感じてもらえたら成功ですね。

▲「笑って歩こうよ」

──しかもAメロ、A‘の歌い方を変えていくんですよね。ASKAさんは。

ASKA:よく気づきましたね。本来ならそのメロディーを憶えてもらうためには同じであるほうが望ましいんですけどね。でも、それってよくよく考えると概念だから。海外の楽曲なんかはメロディーも歌い方も言葉の詰め込み方も全部変えてて、それで成立してるでしょ? だから、そこはあまり気にしてなかった。ただ、2番のAメロの頭の“僕もぉお〜”、あれはちゃんとした仕掛けです。

──えっ、どんな仕掛けなんですか?

ASKA:あそこって印象に残るところで、歌ってくれる人たちがあそこがくると、ついついああいう歌い方をやりたくなる場所になってると思うんです。

──たしかに。えっ、それを狙って作れるって凄くないですか?

ASKA:いやいや。でもやりたくなるでしょ? ああいう特徴がある歌い回しがあったら。

──なります、なります。

ASKA:ふふふふっ(笑)。そういう仕掛けです。

──イントロを超コンパクトにしたところにもなにか仕掛けが?

ASKA:イントロは短くしようと思ってたの。“ジャーン”で始まってもよかった。

──でも、あの短いなかに曲の懐かしさとせつなさが凝縮されてるところとか凄いです!

ASKA:今回、アレンジを松本晃彦が土台をやってて。その上を澤近泰輔が飾り付けをするという、贅沢なアレンジなんですが。「70年代に俺たちが聴いたあの感覚をやってみようぜ」というのに反応してくれた結果です。だってね、70年代はみんな大好きだから。カーペンターズ。好きでしょ? サイモンとガーファンクル好きでしょ?

──いまそれ聞いて気づいたんですけど、間奏に入ってるコーラスも70年代っぽい気が。

ASKA:そうそうそう。

──歌詞のテーマは?

ASKA:僕は男女のラブソングとして書き始めたんですけど、そのラブソングの幅を超えたみたいで。聞き手によってはそうじゃなく受け取る人も多いんじゃないかな。このMVには女優の尾野真千子さんに出ていただいたんですよ。


──なんで尾野真千子さんだったんですか?

ASKA:彼女もずっと聴いてくれてたみたいで、オファーしたら受けてくださったんですよ。僕はドラマ、自分が主題歌をやったドラマ以外はまったく観ないんですけど。

──えー、韓国ドラマ観てるじゃないですか。

ASKA:日本のドラマはってことね(笑)。だけどね、たまたま『カーネーション』の連ドラだけは、コシノ三姉妹のお母さんのお話だから観ててハマってたんです。そこで彼女の演技と表情を見てて、尾野真千子さんは僕が思う素晴らしい役者さんのなかの3本指に入ってた訳ですよ。その彼女が出てくれるってなったから、驚いたのは僕の方で。MVについて僕が監督に投げかけたのは、自分がパフォーマンスする世界と、日常で起こりうる僕の計り知れない1人の人物に焦点を当てた世界があって。それが歌のなかでシンクロしてればいいなというのだけ。監督はそこから構築して、この女性にはなにがあったんだろう、なにかがあったに違いない、なぜならば一生懸命涙をこらえているからという人物像を考えて。

──それを、尾野真千子さんが表情だけで演じているところが素晴らしかったです。

ASKA:演技力は凄いね。監督のアイデアで、あれはカット割りなく、ずっと1カメ長回しで撮ってるんだけど。人の気持ち、その変化を彼女は顔の表情だけで表現して。あの演技で、この楽曲をもっと作品にしてくれました。「尾野真千子すげー!」って感じですよ(笑)。

──この歌詞のなかで、雨に青いシャツを着せたところがすごく気になったんですが。

ASKA:だいたい雨が降るときって灰色でしょ? 雲から降ってくる雨の色は。青いシャツというのは、語るのが非常に難しいんですけど。自然は常に僕らに「なにかがあるぞ」という情報を与えてくれてるんですよ。それを人間は無視してるだけの話で。そのメッセージを天候として「今日は雨だね」、「晴れだね」といってるのは僕らだけ。気象というのは本来は地球環境のことなんです。その地球を守っているのはオゾンなんだよね。これらを伝道するメッセージとして“青いシャツを着た“という言葉にすることで、いまの時代の希望となるワードを色として表した部分です。ここは。

──ではC/Wの「プラネタリウム」についても聞かせて下さい。こちらは「イイ天気」や「どうしたの?」の流れにあるラブソング。

ASKA:同じ系統ですね。今回のシングルもいままでの僕だったら1曲目がああいう感じだったら、2曲目はバリエーションを見せるためにもド派手なマイナーロックを持ってきたりしてたの。だけど、今回はそうならなかった。「プラネタリウム」はいまから6〜7年前、50代のときに作った曲なんだけど。そのときは、作ったものの小っ恥ずかしくて歌えなかったの。50代のシンガーにとって、ラブソングは苦難の領域だよね。書いてはみたもののこれは歌えないな、と。でもメロディーは気に入っての。それで60代になったら、恥ずかしさがなくなったんですよ。“還暦”とはよくいったもので、元に戻ったらまた純粋な感覚で昔のことも歌えるようになったんです。

──歌詞のなかの“家具のようなギター 僕のプレゼント ときどき音を合わせてあげる 君の隣で”というところは、いろいろと妄想をそそる部分ですが。ストレートに聞きますが、ここはASKAさんの昔の実話ですか?

ASKA:いやいやいや(笑)。きっとミュージシャンはみんなそういう彼女がいますよ(笑)。

──生々しすぎです、ASKAさん(笑)。

ASKA:だってさ、野球選手だったら「俺の大事なバットをここに飾っといてくれ」とか絶対いってると思うもん。警察官だったらね、「俺のピストルをここに置いといてくれ」って(笑)。

──それは絶対にいわないです。

ASKA:いわないか(笑)。ギターはね、弾けなくても飾って置きたい人は多いと思うんですよ。弾けやしないのに「これ置いといて」とかいう人もいるでしょうし。ミュージシャンだったら、時々音を合わせてあげるのが「クソ面倒せぇな」と内心思うかもしれないけど、そこには触れないで(笑)、絵的に綺麗だなと思うところを書きました。

──なるほど。そうしてASKAさんはついに、10月からのツアー<ASKA premium concert tour-higher ground-アンコール公演>を開催。ステージは、前回に続きASKAさんとASKA BAND、弦楽アンサンブルが三位一体となって行なうもので、アンコール公演といいながらも内容は新メニューだとおっしゃってましたが。

ASKA:そうそうそう。アンコール公演ということは、前のツアーの評判がとてもよかったってことでしょ? 

──はいはいはい。

ASKA:だから、前回のツアーでやった三位一体という編成でのアンコール公演ということで、メニューは新しいものです。でもアンコールと言っちゃったからには、前のライブのダイジェストとなる場面はどこかに入れようかなとは思ってます。

──ストリングスがいる華やかなステージングとサウンド、今回も楽しみですね。

ASKA:ストリングスってなんであんなに美しいんだと思う?(弓の持った手が上下するときの)シンクロの美なの。シンクロってね、すごいパワーを持ってるんです。しかも、コンサートのなかでは音楽芸術に対して、パフォーマンスという意味でのシンクロだから視覚的にすごく綺麗なの。

──ツアーに向けての抱負を一言。

ASKA:別に他の会場と区別するつもりはないんですけど、僕も人間ですから、前回できなかった大阪と熊本はね、どうしても力が入ってしまいますよね。もちろん、今回のツアー全域そうですけど、いま頭の中にあるものがちゃんと形になればものすごい満足のいくツアーになりますので、ぜひいらしてください。

──最後に、読者にメッセージをお願いします。

ASKA:いまこのような状況になってみなさん大変だと思うんですけど、大変なのは僕らも同じで。音楽業界でも失業率はひどい状況です。みなさんも日々いろんな状況がおありでしょうけど、やっぱり僕ら音楽をやってる人間として音楽を続けていきたいので。サブスクは便利でしょう。それは認めます。ただ、音楽は買ってもらわないとミュージシャンを続けられません。別に作ったものの苦労を知ってもらおうとは思わないですけど、作品に対しての対価としてちゃんとCDを買ってください。


取材・文◎東條祥恵

CDシングル「笑って歩こうよ」

2021年7月14日(水)発売
品番:DDLB-0018
価格:¥1,430(税込)
レーベル:DADA label
[収録曲]
「笑って歩こうよ」
「プラネタリウム」

[配信リンク]
■ハイレゾ音源&通常音源配信サイト
e-onkyo「Weare」
https://www.e-onkyo.com/music/album/ddlb0018/
■通常音源配信サイト
iTunes Store
https://music.apple.com/jp/album/1574434757?app=itunes
amazon music
https://www.amazon.co.jp/dp/B097Y98HYM
mora
https://mora.jp/package/43000033/PA00088964-0-1/
レコチョク
https://recochoku.jp/album/A1017892552


<ASKA premium concert tour -higher ground- アンコール公演>

出演:ASKA
ASKA BAND:澤近泰輔(Pf、編曲)、江口信夫(Dr)、是永功一(Gt)、鈴川真樹(Gt)、荻原基文(Bs)、SHUUBI(Cho)、一木弘行(Cho)
弦楽アンサンブル:Get The Classics Strings

■日程
2021年
10月 9日 (土)16:30開演(15:45開場) 府中の森芸術劇場
10月16日(土)16:30開演(15:45開場) 熊本城ホールメインホール
10月24日(日)16:30開演(15:45開場) 静岡市民文化会館
11月 5日 (金)18:30開演(17:45開場) 岡山市民会館
11月 6日 (土)16:30開演(15:45開場) 広島文化学園HBGホール
11月10日(水)18:30 開演(17:45開場) 相模女子大学グリーンホール
11月16日(火)18:30 開演(17:45開場) LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)
11月17日(水)18:30 開演(17:45開場) LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)
11月23日(火・祝)16:30 開演(15:45開場)高崎芸術劇場
11月26日(金)18:30 開演(17:30開場) 東京国際フォーラムホールA
11月30日(火)18:30 開演(17:30開場) フェスティバルホール
12月 9日 (木)18:30 開演(17:30開場) ロームシアター京都
12月17日(金)18:30 開演(17:45開場) 仙台サンプラザホール
12月22日(水)18:30 開演(17:45開場) 名古屋国際会議場センチュリーホール
12月28日(火)18:30 開演(17:45開場) 福岡サンパレスホテル&ホール

※現時点での公演スケジュールとなります。追加等の情報は、随時特設サイト及びオフィシャルサイトで更新致します。
※本公演は各会場撮影が入る可能性がありますので予めご了承ください。

〔チケット情報〕
◆チケット価格:10,900円(税込・全席指定・来場者特典特製プログラム付)
※未就学児童入場はお断りしております。
※本公演は全席着席指定となります。
※本公演は、着席時の通常座席数を使用しての開催とさせていただきます。
政府からのイベント等感染拡大防止ガイドラインに加え、収容率50%を超える公演となるので、下記の徹底した感染防止を行います。
1.会場内ではマスクの着用をお願いします。
2.声をあげての歓声・声援・歌唱はおやめ下さい。

◆一般チケット発売日:2021年9月4日(土)
※先行販売のスケジュールは後日発表致します。
主催:Get The Classics実行委員会
企画制作:Get The Classics実行委員会

公演公式HP:
https://www.classics-festival.com/rc/aska-premium-concert-tour-higher-ground-2021/

※公演当日までに、新型コロナウイルスの感染状況に伴い、政府や地方自治体の方針変更があった場合、開催内容(キャパシティ、開場開演時間)等の変更や、公演中止の可能性もございます。皆さまに安心してご来場頂けるよう努めて参りますので、ご理解とご協力をお願い致します。

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