【俺の楽器・私の愛機】365「まるで保護猫活動の様な…」

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【スクワイヤ 完全ジャンク品】(大阪市 くま 57歳)


このコロナ渦、ある程度時間が出来たので古いグレコの愛機、ビンテージストラトのネックをローズウッドからメイプルに替えたくなりました。

それから休日ごとに中古ショップを探しに探した末、やっと見つけたスクワイヤーのテレキャスター。ペグ以外は完全に完璧にすべて取り払われ、ピックアップ廻りは3ピックアップに改造した跡のザクリの跡が痛々しい状態ながら、三千円だったのでよろこび勇んで即購入!

自宅に帰ってネックを取り外したところで…気が付きました。「お、俺は今、何をしようとしていたのか…!」と。「俺がやろうとしていることは、もはや完全に人の道から外れたことではないのか?、そんなことをするくらいなら綺麗さっぱりギターなどやめてしまった方が良い…」

つまり…この子は、口減らしのため? それとも素行が悪かったのか? なんらかの理由で体はとことんまで傷つけられ、しかも最後には身ぐるみ剥がされて放り出された…それはまるで病気になったから…と、捨てられた弱りきった瀕死の子猫の様な状態だったのです。それを…私はこともあろうに「メイプル・ネックが見つかった!」…と、アホ丸出しで大喜びし、ボディを取り外してそれを捨てようとしていた…恥ずかしい、本当に恥ずかしい瞬間でした。

それから私は猛省のあと、「そうだ、この子をしっかりと育ててあげよう、そして私色に染めてあげよう!」と決心をしました。(まるで保護猫活動、の様でした)

それから「もし今、オーダーでギターを作るとしたら、どんなギターを発注するか?」と、57歳になった私が自らに問い、熟考しました。

「国産ビンテージだが、レスポールとストラトは持っているからテレキャスターが一本だけ、欲しい」
「中学時代に聴いてコピーした憧れのホテル・カリフォルニアのソロ・パートの最初がレスポールではなく、実はテレキャスターだった。出来ればあの音に近い音が出せるギターが欲しい」
「高校時代に買ったぞうさんギターが壊れて、ハムバッキングが部屋に転がっている」
「出来ればストラトのように音色豊かなギターが良い」
と、コンセプトがブレブレの上記を基本に1からパーツを買い集めたり、自分の古いパーツなども流用しながら自作することを決心したのです。

コンセプトをまとめると…
1.フロントは手持ちの古いハムバッキングを流用する
2.テレキャスターのピックアップ(フロント+リア)を付ける
3.結果、3ピックアップになるのでセレクターはストラト用を装着する
4.各ポッドは調子を見て塩梅の良いモノに都度変更して仕上げる
5.ハイ落ちを防止するハイパス・コンデンサーを導入する

しかし、その後、さらにアイデアが浮かんだのですが後にその”アイデア”が自らを心底苦しめることにもなります…そのアイデアとは…

「そうだ… このテレ子ちゃんの悲しい過去を払拭してげるべく、塗装からやり直してあげたい…」
そんな思いで全塗装を剥がすことから作業は始まりました。(これが非情なる苦労の始まり、でした)
塗装を剥がすなどやったことがなかったのでネットで検索しながら四苦八苦、何度も何度も挫折しかけながら約20時間近くかけて塗装を剥がしました。
それからオイルフィニッシュ…という塗装、これがなんか味があって良いなぁ…と思いついてまた検索して勉強、材料をネット購入して夜な夜な塗り重ねました。(この間、塗装のシーラー部分がオイルの浸透を邪魔していて塗装剥がしに逆戻り…も、2度経験しました 汗)
ネックのヘッドにも同じ赤のオイルフィニッシュを施しました。ハイポジションが弾きやすいようにネックの角を削り、それに合わせてジョイントプレートもカットしました。

結局3週間以上かかって塗装と表面処理を行い、パーツを発注したのですがピックアップ、ボリュームとセレクターのセットがそれぞれ2週間後、1ヶ月後の到着… 今から考えるともっと早く入手できるパーツを選べばよかった…とも思いましたが、当時は「ディア○スティーニみたいで楽しいな…」程度に考えてのんびり待っていました。そのパーツの到着にも一波乱、二波乱あったのですが話が長くなりすぎるのでここでは割愛…

パーツを組み付けて行く作業を進めていくと、例の前所有者ザクリの跡が大いに邪魔をしてくれます。購入したブリッジを取り付けてもザクリの穴が見えてしまうのです…(泣)
仕方なく、その穴二箇所を目隠しするプレートを自作。ついでに…総費用的に安く上げるためにVol/ Tone 、セレクターのプレート、ジャックのプレートも自作しました。


パーツ類が到着するまでの間には、ピックガードのセンター部分の穴あけ、フロント用ハムの拡張穴あけ工事。
バイパス・コンデンサーを簡単に交換できるよう、専用の穴を空け、プレートも自作しました。ついでにストラップも古い友人に貰った大きな本革から自作しました。

最後に、ほぼ自分が今現在欲しいギターが完成したことを記念して自分なりの(ちょっとふざけた)ロゴシールも作ってヘッドに貼り付けました。

あまりにも苦労しすぎて、もともと持っていたビンテージのレスポールとストラトよりもある意味愛着が湧いてしまい、”州桑井屋照子”(すくわいや・てれこ)と名前まで付け、「よし、この娘と最後まで添い遂げよう…」と、最初は”保護猫活動”だったのが、いつのまにか、”遊女の身請け”…に変わってしまっておりました。

おわり…



   ◆   ◆   ◆

瀕死のテレが見事に蘇生、どこにもない世界で1本の個性派ギターに生まれ変わるまでのストーリーですね。こんな熱量たっぷりの試行錯誤が繰り広げられたのも、コロナ禍のおかげでしょうか。お家時間が増えたことで楽器が売れているとは聞くけれど、こういう形での愛機誕生もいいですね。世界中でいろんな楽器が生まれているんだろうなあ。(JMN統括編集長 烏丸)

★皆さんの楽器を紹介させてください

「俺の楽器・私の愛機」コーナーでは、皆さんご自慢の楽器を募集しています。BARKS楽器人編集部までガンガンお寄せください。編集部のコメントとともにご紹介させていただきますので、以下の要素をお待ちしております。

(1)投稿タイトル
 (例)必死にバイトしてやっと買った憧れのジャガー
 (例)絵を書いたら世界一かわいくなったカリンバ
(2)楽器名(ブランド・モデル名)
 (例)トラヴィス・ビーン TB-1000
 (例)自作タンバリン 手作り3号
(3)お名前 所在 年齢
 (例)練習嫌いさん 静岡県 21歳
 (例)山田太郎さん 北区赤羽市 X歳
(4)説明・自慢トーク
 ※文章量問いません。エピソード/こだわり/自慢ポイントなど、何でも構いません。パッションあふれる投稿をお待ちしております。
(5)写真
 ※最大5枚まで

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