【インタビュー】TEE、海風と自然体な姿を刻み込んだ新作AL『NATURAL』

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バラエティに富んだアーティストがプロデュースを手掛けた前作『Golden 8』から約2年。表情豊かな歌声とオープンマインドなキャラクターでリスナーを魅了し続けているTEEが、待望の新作『NATURAL』を完成させた。聴けば一瞬でビーチサイドへトリップ出来そうな夏感満載の楽曲が収められているが、もともと海や自然が好きだったからという理由だけではなく、昨年デビュー10周年を迎え、それこそ自身の第2章ということを考えた時にいちばんナチュラルな状態で思いを発信できるのがこのスタイルだった、ということのようだ。胸いっぱいに吸い込んだ海風が、音楽となって刻み込まれたかのような全9曲。奇跡的な出会いなども巻き込みながら完成したという今作について、じっくり話を聞いた。

   ◆   ◆   ◆

■自分の好きなことは何かと言ったら、
■やっぱり海だったり、自然になれるもの


──アルバムは2年ぶりになりますね。

TEE:そうですね。でも自分で歌詞を書いてメロディー書いてというのは、5年ぶりくらいなんですよ。前回の『Golden 8』はいろんな人のプロデュースで、その前の『MASTERPIECE〜THE WORLD BEST COVERS〜』は洋楽のカバーだったので。

──ということは、書きたいことが溜まりに溜まっていたんじゃないですか?

TEE:溜まってましたね。でも性格的に締め切りがこないとやらないタイプだったりするので(笑)、やりたい願望はあったけど、これといってガツンと制作しようかっていうところには至ってなくて。ちょっとスイッチを入れた瞬間に、ドドドッと出てきた感じでしたね。

──スイッチを入れるタイミングとしては、このコロナ禍という状況も影響しました?

TEE:ありましたね。うん、ありました。ライブもできない日々が続き、制作もどうしたもんやらとなっていた時に、やっぱり自分と向き合って、自分にとって音楽ってなんだろうとか、歌い手ってなんだろうとか考えたんです。それくらい向き合えた時に出てきたのが、いつ何が起きてもおかしくない状況になったんだから、もうやりたくないことをやっている場合じゃないなということで。じゃあ自分の好きなことは何かと言ったら、やっぱり海だったり、自然になれるもの。そうやってそれこそ自然と、そういうものと向き合い始めたんですよね。海沿いに引っ越したりもして。

──ご結婚も発表されましたし、前作からの期間は人生そのものを見つめ直す時間になっていたのかもしれないですね。

TEE:はい。そういうこともあって今回のアルバムは全曲海に合う曲っていうものになったし、自分の中でも、ちょっとアーティストイメージを固めようかなと思うようにもなって。もちろん音楽は自由にやりたいので、今までやってきたオールジャンルっていうのは置いておきながら、でも全ての曲が海とか自然に合うよねっていうような曲をやっていきたいなって思ったんです。1回そういう自分でありたいと思いながら、曲を書いていきました。

──その思いが、今回の『NATURAL』というアルバムタイトルにもつながったんでしょうね。

TEE:そうですね。自然にそばにありすぎて最後まで悩みに悩んだんですが(笑)、「やっぱり」って感じでした。『NATURAL』でいいじゃん、って感じで。

▲TEE/『Natural』

──収録されている楽曲に関しては?

TEE:海が好きなので、沖縄とか海の近くにわざわざ行って制作したりってことが多かったんですね。そうやって作っていた「どこまでも」や「Sunset」など、書きためていた曲は割と今回のアルバムに合うようにアレンジをし直して入れたりもしています。ただ1から作った曲で、久しぶりに自分が「来た!」って感じ、プラス、今のこの時代のメッセージとしていちばん伝えたかったことが書けたなと思った曲は「LA PAPA」でしたね。

──6月にまずその「LA PAPA」が先行配信されましたが、この曲はまさに、積もりに積もったものが爆発したような勢いがあります。

TEE:本当にそうなんですよね。今なかなかやりたくてもできないことがあるからこそ、アツい気持ちとかそういうのを詰めようと。でも、いわゆるアツい曲ってたくさんあると思うし、この曲もそうなんですが、サビの「LA PAPAPAPAPA」ってところで少し肩の力が抜けて、「なんだ、このアホな曲は(笑)」って思ってもらえるような感じにしたかったんですよ。もう我慢できないこととかがスポン!と出て、しっかり心掴んで背中押してやろうっていう気持ちからの、サビで「LA PAPAPAPAPA」。このフレーズがあることによって、フッと肩の力が抜ける。あの歌詞が、意外にこの曲のバランスをとってるなと思うんですよね。

──すごく耳に残るし、一緒に歌いたくなりますよね。

TEE:フェスでやりたいですよね。こういう、スカな感じで飛んだり跳ねたりしたいなって思う曲。ちなみにあの《LA PAPAPAPAPA》ってところ、言葉は何でもいいんですよ。僕の中では「LA PAPA」で出てきただけで、みんなは「くそー!」でもいいし「あー!」でも何でもいい。いろんな思いをそこに詰めてもらえたらいいなって思ってるんで、ぜひ歌ってみて欲しいです。

──MVは明るい海の景色が印象的で、プチ旅行をさせてもらってる気分になれました。


TEE:嬉しいです。あれ、淡路島で撮ったんですよ。お天気もすごく味方してくれて、最高の映像になりました。

──だけど、ライブハウスで誰もいないフロアに向かって歌うシーンはグッときました。

TEE:ありがとうございます。本当はここに人が溢れているはずなのに、それができていない状況っていうのを表現したかったんです。自分で動かしているイベントも今回で4回目の中止になったし、僕だけじゃなくいろんな方のイベントにも出られなくなった。自分だけじゃなく、甲子園球児もそうだし、飲食店も全部そうだし、言い出すとキリがないんですけどね。でもそういうメッセージを受け取ってもらえたらいいなと思って、あのシーンだけは絶対に外さないでくれと懇願したんです。実際あのシーンを撮ってみて、自分の中でもすごく感極まるものがありました。

──こちらも先行配信されていましたが、「臆病Love Song」は多保孝一さんとの共作になっていますね。

TEE:多保さんと2人で作るのは初めてでした。これは完全にリモートだったんですが、僕はすごく相性いいなと思いながら作ってましたね。同世代でもあるんですよ。だから結構言いたいことも言い合えるし、夜中とかも自分が電話したり、多保さんも朝方電話してきたりして。「TEEくん! あそこはこういうフレーズがいいと思うんだけど!」とか、あぁ制作してるって感じ!こういうのこういうの!って思いながらやってました(笑)。歌詞は1人で書いてるんですけど、これ、めっちゃよく書けたと思ってるんですよ。ちょっと隙のない歌詞かなと。

──ただ君が好きで終わらない、そのもっと奥の思いまで伝わってくる気がします。TEEさんはいわゆるラブソングを書く時に、何か心がけていることがありますか?

TEE:鼻歌ってみんな歌うじゃないですか。僕はよく《泣きなさい 笑いなさい》(という歌詞の「花」)とか、「涙くんさよなら」とか、ちょっと寂しい曲ばっかり歌ってるんですよ。別に、辛いとかそういうことじゃないんですけどね(笑)。なんか自分の中で切ない曲っていうのを欲しているというか、合ってるのかなっていう思いを抱いていて。「ベイビー・アイラブユー」を書いた時もそうだったんですが、ハッピーなラブソングだけじゃなく、届けたくても届けられない気持ちっていうところに向き合ってみようかなと思ったんです。この「臆病Love Song」も、ハナからそういう少し涙がちょちょ切れるような、心がウッと掴まれるような曲を書こうと思って書き始めましたね。なので、きっと片想いの人とか、伝えたくても伝えられない人とかにはすごく刺さるんじゃないかなと思います。というか、男ってすっごく多いんですよ。みんな臆病(笑)。だから男の人には特に、刺さるかなと思いますね。

──MVでは、TEEさんが手にしている花が最初は白で、ラストは赤に変わっていたのも印象的でした。


TEE:あえてここでは(そのシーンに込めた)メッセージは言わないしネタバラシもしないけど、白から赤に変わったことを、見てくれたあなたの気持ちと重ねてもらえたらいいなっていうのはありますね。あとこだわりとしては、歌詞の位置もいろいろ試したんですよ。思い切って真ん中にしたことでめちゃくちゃよくなったんで、そこもぜひじっくり見てみてください。

──「BUCKET LIST feat.Blue Vintage,Baby Kiy」もMVを撮られたそうですが、こちらは?

TEE:たぶんアルバムの発売日あたりに公開されると思います(※インタビューは発売日前に実施)。やっぱり楽しいですよね。1人じゃなくてみんないると。みんな海が好きですし。


──バケットリストという言葉は今回初めて知りましたが、死ぬまでにやりたいことを書いたリストのことを言うそうですね。

TEE:この曲ではもう本当に今やりたいこととか、やりたいんだけどずっとできなかったこととかをみんなで書き出していったんです。レコーディングも楽しかったですよ。Kiyちゃんはすごくいい声だし、しかもガンガン来るタイプだったりするから、彼女自身の良さも全然埋もれてないんですよね。Blue Vintageは前作の『Golden 8』でも一緒にやったんですけど、本当に最高。この曲、今回ギターもすごくいいんですよ。ギターのTaigaが魔法をかけてくれたおかげで、音もアレンジもさらに良くなりました。

◆インタビュー(2)へ
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