【プロミュージシャンのスペシャル楽器が見たい】saji ユタニシンヤが15年間愛用し続けるギブソンフライングV'67モデル

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アニメのテーマソングも数多く手がけていることで知られる北海道出身の3人組バンド、sajiのひときわ目立った存在感を放つのがギターのユタニシンヤだ。彼のメインギターは、そのキャラクターにぴったりのギブソンフライングV。高校生の時に入手して以来15年間使い続け、改造も施しているというフライングVを、彼はどんな想いで弾いているのだろう。ユタニシンヤに話を訊いた。

――ユタニさんのメインギターは、フライングV。

ユタニシンヤ(以下、ユタニ):2006年製レギュラーラインの'67モデルです。

――いつ頃入手したものですか?

ユタニ:高校生のとき、貯めてあったお年玉やバイト代で買いました。発売されてすぐだったので、15年くらい前ですね。僕は北海道の帯広市に住んでいて、近くの楽器屋さんにはフライングVがなかったので、インターネットで買いました。だから試奏もしないで、形が気に入っただけで買っちゃいました(笑)。


――それ以来、メインギターとしてずっと使っているんですね。

ユタニ:そうです。レコーディングではほかのギターを使うこともありますが、ライブはほとんどこのフライングVだし、こういう取材のときにも基本的にこのギターです。

――なぜフライングVを選んだ?

ユタニ:僕はもともと目立ちたがり屋で、あまり他人と同じものを使いたくなかったんです。だからいわゆる変形ギターが欲しいと思っていました。ファイアーバードとかエクスプローラーとか色々ある中で、一番カッコいいなと思ったのがフライングVでした。色についてはちょっと悩みましたが、白はあまり好きじゃなかったし、黒はたぶん自分に合う色ではないと思ったので、このチェリーレッドにしたんです。



――ギブソンの'67モデルを選んだ決め手は?

ユタニ:同じギブソンのフライングVでも年代によって色々違いがありますが、67年タイプにした一番の理由はピックガードですね。このデカいピックガードがついているのがカッコいいと思いました。あと、アームがついているモデルもありましたが、フライングVについているマエストロアームはあまり好きではないんです。マエストロアームとかビグスビーとか、レトロなルックスのアームは見た目がけっこう苦手ですね。

――このギターにどんな音を期待していましたか?

ユタニ:その頃はギターの音のことはよくわかっていなくて、見た目だけで買ったので、とくになにも考えていませんでしたね。その前に使っていたのが父親から譲ってもらったTokaiのストラトキャスターだったんですが、ちょうどハードな音楽を聴き始めたところだったので、次はハムバッカーのギターを弾いてみたいと思っていました。だからハムバッカーがついてればいいや、くらいの感じでしたね(笑)。

――お父さんからもらったTokaiのストラトはどんなギターだったんですか?

ユタニ:普通にシングル3つのストラトでした。でもこれが難しいギターで(笑)。父親が入手する前に誰かが改造したモデルだったんだと思いますが、セレクターのほかにピンスイッチがいくつもあって、何がどうなっているのかさっぱりわからなかった。もうバラしてしまったのでわかりませんが、今思えば、フェイズスイッチだったのかな?

――そのストラトからフライングVに持ち替えたときの印象は?

ユタニ:ギターが届いてすぐ弾いてみたんですが、ストラトに比べて生の鳴りがかなり大きかったのがちょっと驚きました。フライングVってこんなに鳴るものなんだと。


――仕様はオリジナルのままですか?

ユタニ:ピックアップを替えてあります。ピックアップって、やはり替えてみたくなるじゃないですか(笑)。リアはもともと500Tというピックアップだったんですが、専門学校に行っていたころに、ネットの情報だけを頼りにディマジオのAir Classicというのに替えてみたんです。でも出力がフロントよりも下がってしまって、音がちょっと細くなってしまって、どうしようかなと思いながらも、しばらくそのまま使っていたんですが、その後両方とも、犬山にあるInuyama Guitar Factoryさんにお願いして、Inuyama製のオリジナルピックアップにしました。それで出力も上がってワイルドな音になっています。どちらかといえばダンカンみたいな音ではなくて、もっとクラシックな、粗っぽい感じの音ですね。それと、内部の配線も全部替えてもらいました。とくに大きな変更はないんですが、各パーツのグレードをアップしてもらっています。

――そのほかに替えたところは?

ユタニ:ピックガードも替えました。これが見た目の大きな特徴になっているところだと思います。もともとは真っ白なタイプのピックガードだったんですが、これもInuyamaさんで白のパールのものに替えてもらいました。白のパールって好きなんですよ。レコーディングなどで使っているサブのストラトも、ピックガードをパールに替えてあります。


――このギターの音の特徴は?

ユタニ:けっこうミッドに寄っている音、という印象ですね。レスポールでもストラトでも出ない中域が出るし、かといってSGとも違う。そんなところが特徴だと思います。たとえばレコーディングで、ストラトを使ってみてちょっと違うな、レスポールにしても音がカブっちゃった、さてどうしよう、というときにこれを使うと、ああいいんじゃない、と落ち着くこともあります。良いところが抜けてきてくれるんです。逆に、曲によってはイヤなところが目立つ場合もあるので一長一短ですが、ハマったときは気持ちいいギターです。


――フロントピックアップの横にテープが貼ってありますが、これは?

ユタニ:これは、ネジのゆるみ防止のためです。僕の弾き方だと、ピックアップを留めているネジのところによくピックが当たってしまうんです。それでネジがゆるんでフロントピックアップが落ちてしまったこともあるので、ピックが直接当たらないように、ネジの上にテープを貼ってあります。まあダサいっていえばダサいんですけどね(笑)。


――裏側のストラップピンのところにも、テープが貼ってありますね。

ユタニ:これは、ディマジオのClipLockのストラップを使っているからなんです。このストラップはもともと、高校の先輩が軽音楽部に置いていったもので、フライングVを買ったときから使っているんです。つけたり外したりも簡単だし、すごく使いやすくて好きなんですが、これを使うにはピンを替えないといけないんです。でもそれはイヤだったので、もともとのピンをそのまま使っているんですが、動いたときにねじれるので、専用のピンでないと抜けてしまうんです。ライブでもゆるむたびに締め直していたんですが、それも面倒なので、ねじれないように、動かないようにテープで固定しています。カッコよくはないですが、これだけでがっちり留まってます。


――つまみは3つで、2ボリューム、1トーンですね。

ユタニ:そうです。つまみはいつも、ほぼフルテンで使っています。ピックアップは、リアを使うことが多いですね。ソロなどでやわらかく弾きたいときはフロントも使いますが、センターはほとんど使いません。

――フライングVはよく弾きにくいと言われますよね。

ユタニ:もう慣れましたね。最初は座って弾くときにどう持ったらいいのか、というところから悩みましたが、今は脚を組んで支える方法も編み出したので、ばっちり安定して弾けますよ。ネックも薄めだし、今は弾きにくいという印象は全然ないです。

――アンプは?

ユタニ:メサブギーのRoadsterがメインですが、レコーディングではそのほかにマーシャルのJCM900やJCM2000を使っています。決まった音作りというのはとくになくて、今でも違うアンプにつなぐたびに、ギターに合うセッティングを探しながらやっています。歪みは基本的にアンプで作るんですが、エフェクターも使います。

――ではそのエフェクターも紹介してください。

ユタニ:エフェクターはいつもはボードに組んでいて、レコーディングなどのときにはバラして組み替えたりしていますが、どんなときもこの2つは絶対に外さない、という2個を今日は持ってきました。まず、オーバードライブはBOSS OD-3 Mod.というモデル。もとはBOSSのOD-3ですが、9OVERDRIVE9というメーカーが改造を施したものです。ヴォーカルのヨシダタクミがメーカーさんからこのモディファイモデルを送ってもらって、使ってみたらすごくよかったので、僕も使うことにしました。



――どのあたりが改造されているんですか?

ユタニ:中身のパーツがグレードアップされているので、音抜けが良いです。もともとのOD3よりも元気のいい音がするので、弾いていて楽しいですね。これはライブでは絶対につないでいるエフェクターだし、レコーディングにもいつも持って行きます。DRIVEをあまり上げずにLEVELだけを上げて、ブースター的に使うこともありますが、あまり過激に歪ませるような使い方はしていませんね。タクミの音はわりとモダンな音なんですが、僕はちょっと古めの音が好きなんです。とくにソロなどを聴いてもらうと、古い音がしているのがわかると思います(笑)。

――もう一つはディレイですね。

ユタニ:これはBOSSのDD-20。10年くらい使っているもので、ライブには欠かせないディレイです。僕はテンポに同期したディレイを鳴らすことが多いので、以前はコンパクトタイプの普通のディレイのほかに、タップでディレイタイムを決められるものをつないでいたこともありました。でもこのDD-20を使ってみたら、できることも多いし使い勝手もすごく良かった。それならもうこれ一つでいいな、と。


――ではディレイでもっとも重視するところは、タップの機能ですか?

ユタニ:それと全体的な使い勝手ですね。これは使いやすいところも気に入っています。ディレイの音については、アナログもデジタルもあまりこだわりはないので、タイミングをバッチリ合わせられるデジタルのほうが使いやすいです。これの後継機種だともっと色々なことができそうなので、買い替えようかなと思ったこともあるんですが、、いかにもデジタル機材っぽく、設定が凄く細かすぎる感じになっていて。僕はそういうのがちょっと苦手なので(笑)これをずっと使い続けています。

――フライングVのほかによく使うギターは?

ユタニ:ライブでは、ギブソンのエクスプローラーをサブで使っています。エクスプローラーのほうはVよりもガッツのある音がするので、より強いソロを弾きたいときにエクスプローラーを使うこともありますね。



――次に欲しいギターはありますか?

ユタニ:やはり次もフライングVに興味がありますね。ホントはメダリオンとかコリーナとかが欲しいですけど、高くてとても手が出せないです(笑)。個人的な好みではなく仕事用で考えると、テレキャスターとレスポールかな。レコーデイングではいつもその2本は借りて使いますから。僕らの楽曲には、下を支えるガッツリしたギターが必ず入っているので、そういうときにはレスポールを使いたいし、ガッツリしたアルペジオならテレキャスで弾きたいです。でもとりあえずは、このギターを改造していこうかなと思っています。

――どのあたりを?

ユタニ:まずはピックアップですね。今よりもちょっとだけ優等生というか、丸い感じの音になるといいなと思っています。

――このギター、そしてユタニさんのどんなところを見てもらいたい?

ユタニ:やはり、このキラキラ感、目立ち具合を見てほしいですね。ギラギラ反射するピックガードをつけたりしていますし(笑)。これを持ってステージでも前に行って目立つという、そういう僕のスタイルは今後も変わらないと思います。音についてはこのピックアップのワイルドなサウンド。とくにソロでのワイルドな粘り具合をぜひ聴いてもらいたいですね。

取材・文:田澤仁


New Single「ハヅキ」

2021年10月27日(水)発売
品番:KICM-2108
定価:¥1,320 (税抜価格 ¥1,200)
形態:CD Only
[収録内容]
M1:ハヅキ
M2:タイトル未定
M3:タイトル未定

<saji Live 2021~夜の兎は眠らない~>配信情報

アーカイブ期間:~2021年8月22日(日)23:59まで
配信チケット料金:3,000円(税込)
配信チケット販売期間:~2021年8月22日(日)21:00

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