【対談】DAISHI [Psycho le Cému] ×綾小路 翔 [氣志團]、地元とファンへの愛を語る「僕ら20年選手がやっと辿り着く場所」

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■故郷に凱旋して錦を飾った後は
■また小競り合いの旅をしたい

──「もう楽しいことしかしたくない」というのは20年選手のバンドマンならではの話かもしれませんね。

綾小路:「ロックってのはこうだ」とか昔は先輩たちから言われたりもしたけど、ハッキリ言って、我々の世代は、バンドマンにとって未知の場所にもう足を踏み入れている。これまでは10年やったらたいしたもんだ、だったと思うんです。それが、20年とか30年続くって、僕らの世代が初めてだと思うんですよね。その一方で、こんな世の中になって普通にライブができなくなっちゃっているんで、“今日が最後かもしれない”って思いでやっている。だから、空撃ちしてる場合じゃない、思い立ったことをやろうっていう感じがあるんですね。やりたいと思ったことを後回しにしていると、それこそ死んじゃうかもと思っていて(笑)。今はそういうモードになってます。

DAISHI:バンドだけじゃなく、人生の考え方ですね。なるべくそういうふうに生きたいですよ。

綾小路:いやホントに。時にはやりたいことのために、やりたくないこともやらなきゃいけない、とかあると思うんですけど、基本的には下積みみたいなことはやり終えたかなと思ってて。ちょっと前にDAISHIくんとトレーニング中の与太話で、「こんなライブハウスがあっておもしろかった」とか、「一緒にやりたいですね」って会話もしましたけど、実は僕の中ではもう計画を立てていて。Psycho le Cémuもぜひ呼びたいし、また相談に乗ってもらえたらなと思っています。前は自分たちの活動のことだけで精一杯だったんですけど、友達と一緒にライブをやるという、あんなに当たり前だったことが今はできなくなって。僕はね、今はホントに友達とただライブやりたいと思ってるんです(笑)。

DAISHI:翔さん、それを最近よく言いますね(笑)。


▲Psycho le Cému有観客+配信ライヴ<NEW BEGINNING>2021年3月12日(金)@KT Zepp Yokohama

綾小路:うん。アマチュアの頃、仲がいいバンドもわずかにいたけど、今は彼らも活動していなかったり。自分たちがメジャーになってからは、ワンマン会場をどれだけ大きくしていけるかってことに特化していたんで、自分たちがいつ楽しめばいいか分かんなくなっちゃったり。でもこの前、仙台GIGSというライブハウスへ行ったら、どの楽屋からも配信できるぐらいの作りになってて、楽屋だけでフェスができそうなくらいおもしろすぎて。あそこを一週間借り切って、友達ばっか集めて、僕らは毎回トップバッターやって。コロナが明けて、お酒も飲めるようになってたら、そこでライブから打ち上げまで全部できちゃうし、最高なんですよ。俺、打ち上げやりたくてバンド始めたんで(笑)。その夢を叶えに行こうと思ってます。たいして儲からないかもしれないし、こういうのは友達にじゃないと言えないから、まずPsycho le Cémuからお願いしようと思って。

DAISHI:ぜひ!

綾小路:ありがとうございます。経費ばっか掛かるバンドだけどね、お互いに(笑)。

──こういう状況下だからネガティブな気持ちに向かってしまいがちですけど、おもしろいことが始まる予感しかしないですね。

綾小路:俺たちはほぼほぼ同期で、20年前に六本木で対バンしていた頃からスタートしていて。一昨年、20年ぶりぐらいにPsycho le Cémuの対バン企画<Live Battle「ライバルズ」>へ誘っていただいたんですけど、やっぱりときどき対バンをやっていかないといけないと思ったんです。ベテランと呼ばれる世代になっているのに、対バンとなったら、大人げなく小競り合いするんですよ(笑)。そういうところがバンドマンのおもしろいところで、どんなに仲良くなっても、どっかでやっつけてやろうって気持ちでお互いにやるので。それをどれだけファンのみなさんに見せるかってところだし、その小競り合いがその後の打ち上げの爆発力につながる(笑)。

DAISHI:たしかに対バンは、ちょっとイヤらしい部分も出るんですよね(笑)。

綾小路:そう。どっかでやっつけてやろうってのが出る。その大人げなさが、みんなが観ていて一番楽しいところだと思うんです。前回の対バン<ライバルズ>でも、両バンドのメンバーだけの野郎10人で、一晩中騒ぐ打ち上げになりましたよね。スタッフがひとりもいないんですから(笑)。あんなのがまたしたいなと。お互いに故郷に凱旋して、錦を飾った後は、また小競り合いの旅をしたいと強く思ってます。

DAISHI:小競り合いの旅(笑)、いいですね。


▲<氣志團万博2019 -房総ロックンロール最高びんびん物語->9月14日(土)+15日(日)@千葉県・袖ケ浦海浜公園/撮影◎青木カズロー

綾小路:僕は姫路に飲みに行ったとき、本当に驚愕したんで。姫路の魚町?

DAISHI:魚町と塩町です。

綾小路:ただただ、ずっと大きな声を上げてるおじさんがいて、その後ろにヨタヨタ歩いているおじいさんもいて。1時間ぐらい飲んで店を出たら、そのおじいさんはマジで20メートルぐらいしか進んでないんですよ(笑)。大きい声を上げてるおじさんは、まだ大きい声を上げてるし。“どんな街やねん!? これは木更津みたいなところに来ちゃったな”って勝手にシンパシーを抱いているので(笑)。タイミング合えば、お互いの街を行き来するのもありだと思うし。全国20ヵ所とかになると難しいかもしれないけど、3ヵ所とかでいいから、一緒に廻りたいなと。

DAISHI:翔さんからそう言われるのは本当に嬉しい。それを目標に頑張ります。

──今後、Psycho le Cémuは8月の姫路文化センター大ホールのライブが控えていて、そして氣志團は今もツアー<氣志團メイジャーデビュー20周年記念 センチメンタルライブハウスツアー2021『緊急密会宣言』>中ですね。

綾小路:コロナ禍においてツアーをしっかり完走させる、という目標を達成させたいと思っています。<氣志團万博>も出演者発表ができていない状況ですけど(この対談は7月17日に実施)、一難去って、また一難、一進一退、二転三転、七転八倒…みたいな。日に日に状況が変わるので、正直どうなるか分からないけど、音楽というものを止めずに、次につなげながら、みんなで回していきたいと思っています。自分たちがあまりやってこなかった配信GIGも、Psycho le Cémuの話とかを聞いて、ライブをただ流すだけではなく、自分たちでしっかり作り込んだものをやってみたいって気持ちにもなってきたし。どんな形でも音楽を止めずに進んでいきたいと思ってます。

DAISHI:そうですね。一度、コロナ禍になって活動を止められたんで、逆にメラメラしている感じはあります。それに最近、特に翔さんとお話させていただく機会が増えてから、姫路でフェスみたいなものをしてみたいって気持ちがより強くなっているんですよ。

取材・文◎長谷川幸信


■<Psycho le Cému 理想郷旅行Z ~二十年後の僕たちへ…~> 振替公演

2021年8月14日(土) 姫路市文化センター大ホール
open17:15 / start18:00
▼会場チケット
S席 ¥19,800 / A席 ¥9,800
一般発売:8月8日〜
▼配信チケット
open17:45 / start18:00
アーカイブ:公演終了後、アーカイブ作成完了〜8月17日(火)23:59
https://cb-agent.zaiko.io/e/PLC-Himeji0814

■<氣志團メイジャーデビュー20周年記念 センチメンタルライブハウスツアー2021『緊急密会宣言』>

※終了した公演は割愛
8月15日(日) 愛知・Zepp Nagoya
8月22日(日) 福岡・Zepp Fukuoka
8月29日(日) 大阪・Zepp Osaka Bayside
※全公演 1日2回公演
第一部:「2001-2009」16:00 開演
第二部:「2010-2021」19:45 開演

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