【インタビュー】BREAKERZ、6年ぶりアルバム『WITH YOU』に未来への光「あなたと一緒に前へ」

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BREAKERZが8月25日、『Ø-ZERO-』以来6年ぶり、通算7枚目となるオリジナルフルアルバム『WITH YOU』をリリースする。10周年記念アルバム『X (クロス)』や『BREAKERZ × 名探偵コナン COLLABORATION BEST』を経てリリースされるオリジナルアルバムは、ドラマ主題歌であり最新シングル「I love my daughter」や、映画主題歌「BARABARA / LOVE STAGE」など既発曲4曲を収録した全10曲。アルバムのテーマは、タイトルとイコールの『WITH YOU』だ。DAIGOが自粛期間中にファンのことを思い浮かべて書いたこのタイトルトラックを初めて聴いたとき、AKIHIDEは「曲の持つエネルギーに引っ張られてアルバムが形成された」と語り、SHINPEIは「優しさに溢れた曲に導かれた奇跡」と振り返る。

◆BREAKERZ 画像 / 動画

「新しいBREAKERZとこれまでのBREAKERZが混在している」と、3人が口を揃えて形容する本作には、AKIHIDEがライヴをイメージして書いた攻めのハードなナンバー「Judgment」や倉木麻衣のゲストコーラスが曲の切なさを増幅させる「I lost (with Mai Kuraki)」、2018年のファンクラブライブのためにSHINPEIが書き下ろした「End Roll」などタイプの異なる全10曲を収録。不安に揺れる世界の中、今、BREAKERZがいちばん伝えたい“あなたと一緒に”というメッセージが全体を貫いている。

なお、BREAKERZは9月4日の大阪・梅田CLUB QUATTROを皮切りに2年ぶりのツアーを開催。ライヴは2部制で1部はファンクラブ限定、2部はアルバム『WITH YOU』を中心に据えたセットリストになる予定だ。

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■コンセプトは“夜明け前”
■確実に光が差し込んでいる

──6年ぶり通算7枚目となるオリジナルアルバム『WITH YOU』は、コロナ禍もあって思い入れも一際深いと思いますが、メンバー間でどんなことを共有して制作に入ったんでしょうか?

DAIGO:それはSHINPEIから話してもらいましょう。

SHINPEI:タイトル『WITH YOU』には“あなたと共に”という意味があるんですが、その通りのメッセージがアルバムに含まれています。おっしゃっていただいたように、コロナの感染状況が世界中を苦しめていて、人と会って握手することさえ難しい。そんな中でも人と人がつながることのできる最たるコミュニケーションが、僕は、音楽だと思っていて。たとえ活動が制限されていても、BREAKERZができることは音楽を作って届けること。こうやってアルバムをリリースすることで少しでも前に進んでいきたい、という気持ちを込めて作りました。


▲DAIGO (Vo)

──いつ頃から制作に取りかかっていたんですか?

DAIGO:そもそもは2020年にリリースしようと思ってたんです。ただ、 “アルバムをリリースするならツアーをやりたい”という想いがロックバンドとしては強いので、自然と“今ではないな”という結論から延期になっていたんです。それでも僕たちは、みなさんとつながっていたいし、BREAKERZの音楽がパワーになればと思って、シングル「BARABARA / LOVE STAGE」(2020年9月発表)をリリースしたり。その頃から少しずつライブも開催できるようになってきたので、本当に1年越しで出せることになったフルアルバムですね。

──では、今作には書きためていた曲が収録されているという?

DAIGO:最初の曲出しの時から残っている曲もあれば、去年のステイホーム期間中に自宅で作った曲もありますね。ですから、コロナ前のものもコロナ以降のものもある。それらをみんなで持ち寄って、アルバム収録曲を決めていったという流れです。

AKIHIDE:シングルリリースされた「闇夜に舞う青い鳥」(2019年9月発表)や「BARABARA」を含めて、僕が原曲を作ったアルバム収録新曲(「Blue Moon」「Judgment」)は、今、DAIGOくんが話したように1年以上前からある程度できていたんです。ところが、コロナの影響でリリースの目処が立たなくなり、その間にDAIGOくんが「WITH YOU」や「I lost(with Mai Kuraki)」といった新曲を作ってきたんですね。この2曲は今の状況やリアルな気持ちをより反映させたもので、特に「WITH YOU」のデモを聴いたとき、“前向きに進もう”っていうエネルギーをすごく感じたんです。そのパワーがこのアルバムを引っ張ったし、形作ったと思う。僕自身、新しいBREAKERZを感じましたから。

──「WITH YOU」という曲がアルバムの方向性の決め手になったんですね。

AKIHIDE:そうですね。DAIGOくんに細かく話を聞いたわけではないんですが、曲のメッセージやメロディが持っているエネルギーがダイレクトに伝わってきました。

──温かくスケール感のある「WITH YOU」は、ファンに向けた曲のようにも恋愛ソングのようにも響いてきます。これはコロナ禍以降に作った曲ですか?

DAIGO:最初の緊急事態宣言の時(2020年4月〜5月)って、“人生の中で、こんなに家にいたことってあったっけな?”と思うぐらいだったんですけど。その間は映画を観まくったり、普段できないことができたり、いろいろインプットできる時期でもあったんです。「WITH YOU」は“♪チャッチャチャ”っていう最初のフレーズからキーボードで作ったんですが、デモデータをシンピー(SHINPEI)に送信して土台をアレンジしてもらい、最終的にアレンジャーのMasanori Takumiがブラッシュアップしてくれたんです。

──オーケストラアレンジのようなニュアンスも持っていますが。

DAIGO:最近はいい意味で、僕がBREAKERZ用に作る曲が似てきちゃった部分があったので、BREAKERZという枠組みを取っ払って作った曲ではありますね。


──最新シングル「I love my daughter」(2021年2月発表)にはアコースティック調のミドルバラードという新たな側面がみられましたが、この曲とはまた違う意味合いがある?

DAIGO:「I love my daughter」はアコースティックライブをやるかもしれないという時期に生まれた曲だったので、“椅子に座って聴いてもいい曲だなって思ってもらえるようなものをバンドでやったらいいんじゃないかな”っていうのがあったんです。新しいという意味では近いですけど、発想は逆ですよね。

──なるほど。

DAIGO:「WITH YOU」は選曲会に持っていったら、AKI様(AKIHIDE)が「1曲目にいいんじゃないかな」って言ってくれて、あとから歌詞を書いたんです。自粛期間の中、いろいろな想いがあって作った曲ですね。

──“♪君がいた当たり前の奇跡 取り戻せたら”という歌詞が出てきますが、ライブが思うようにできずにファンと会えなかったり、会いたい友人と会えなかったりする背景が感じられます。

DAIGO:そうですね。ライブやイベントができなくて、今までとは全く違う生活になったし、予期せぬ出来事が続く日々の中、ファンの方々は“元気かな?”とふと思ったり。そういう想いをアルバムのオープニングを飾る曲のテーマに込めたかったんです。

──DAIGOさんからデモを受け取ったSHINPEIさんは、どういう印象を受けたんでしょうか?

SHINPEI:BREAKERZには攻めの姿勢の楽曲が多いですけど、「WITH YOU」はロックというより、優しさや思いやりに包まれた曲だなって。一番最初のフレーズや歌い方からして、それに溢れていましたね。デモの段階から仮タイトルが「WITH YOU」で、さっきAKIHIDEさんも言ったように、この曲に導かれるようにいろいろな曲たちが集まってアルバムになっていったんです。BREAKERZはこれまで6枚のオリジナルアルバムを発売していますが、『CRASH & BUILD』『FIGHTERZ』『GO』など、“破壊する”とか“突破する”というバンド名に通じるようなアルバムタイトルがほとんどだったんです。『WITH YOU』というアルバムタイトルはこれまでと違う、優しいテイストですね。

──ロックバンドだからこそ、時代性が自然と作品に反映されたという。

SHINPEI:はい。たぶん自然に出てきたものだと思いますね。

▲『WITH YOU』初回限定盤

▲『WITH YOU』14周年記念 Special Deluxe Edition for TEAM BREAKERZ

──アルバムのアートワークには、どのような思いが込められていますか?

DAIGO:今もコロナ感染に終わりが見えない状況ですが、コンセプトは“夜明け前”。三歩進んで二歩下がる現状かもしれないけど、一歩ずつ進んでいるし、確実に光が差し込んでいて絶対に未来が見えてきている、そういう想いを込めたんです。ですから、夜明けを背景にメンバーが光のほうへ歩いて行くイメージだったり、“あなたと一緒に行こう”って手を差し伸べるイメージだったり。そういう意味を込めています。

──3人の衣装をはじめ、AKIHIDEさんとSHINPEIさんが持ってるギターはモノトーンを基調としたものですが、ここにも意味が?

DAIGO:ロックバンドなので、ロック感を携えながら、ショウが始まる期待感も持たせたいと思って選んだ衣装です。ギターはどうなの?

AKIHIDE:モノトーンなのは偶然ですかね(笑)。

SHINPEI:ただ、ジャケットのコンセプトに似合わないギターは自然と選ばなかったですね。

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