【ライブレポート】Kroi、極上のグルーヴとフレンドリーな遊び心

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2018年に結成後、バンド名どおりブラックミュージックへのリスペクトを持ちながら、ファンクやヒップホップ、ロックなどを自由に取り込んだ音楽性で大きな注目を集めてきたKroi。

◆ライブ画像(37枚)

メジャー1stアルバム『LENS』で、さらにポップかつディープなKroiサウンドを開花させた彼らが、全国8箇所を回るツアー<Kroi 1st Album Release Tour “凹凸”>を完走。関東圏のソールドアウトを受け、東京・LIQUIDROOMで追加公演を行った。

ステージには、“凹凸”からのインスピレーションと思われるテトリスのブロックを模した照明が置かれ、開演前にしてカラフルなイメージを演出。感染対策のため、オーディエンスはマス目に沿って並ぶわけだが、声は出せずとも踊る準備はできている、といったポジティブなムードが漂っていた。


予定時刻を少し過ぎた頃に暗転し、無音のステージにメンバー5人が現れる。おもむろにそれぞれが楽器を鳴らすラフな雰囲気から、ドラムのカウントが切り込み、1曲目の「dart」がスタートした。

内田怜央(Vo)が「みなさん、調子どうですか?」と尋ねながらパーカッションを叩くと、応えるようにフロアからも手拍子が湧き、ハネるビートに身を委ねていく。ファンキーなフレーズにラップを乗せ、サビのキャッチーなメロディを挟んでさっそく関将典(B)のベースソロと千葉大樹(Key)のキーボードが炸裂。次々に表情を変える展開の中、笑顔でメンバー同士目を合わせながら楽しんで音を重ねているのが伝わってきた。

3曲目に、早くもアルバムのリード曲「Balmy Life」を投下。前のめりなリリックとけだるいファンクネスが融合し、耳にも身体にも心地良い。印象的な「おどれ おどれ」というフレーズのとおり、オーディエンスも思い思いに揺れ、手を掲げて応えていた。


カッティングが軽やかな「Sanso」もニューアルバムからの1曲だ。途中に長谷部悠生(G)がステージ前方に出てきてギターソロを掻き鳴らすと、自然とフロア全体から拍手が沸き起こる。あとのMCで内田が「ヤバイなと思ったらいつでも、ひとりでも拍手して」と言っていたのもあり、ソロパートやアレンジ、フレーズなどに対して多くの拍手が送られていた。

曲が終わったタイミングや、メロディに対してだけではなく、演奏そのものへの喝采は昨今珍しい。全員がフロントマンと言ってもいい主張のあるメンバーと、そのすべてをしっかり楽しんでいるオーディエンスだからこそ、制限があるとは思えないほどの一体感が生まれるのだ。即興のアレンジや、音源よりもはっきりと聞こえるフレーズなど、ライブでどんどん覚醒していくKroiのバンドアンサンブルに対して、驚きと歓びを伝える拍手が随所で湧き起こり続けるさまは爽快だった。


とはいえ、Kroiのライブは音楽的敷居の高いものでは決してない。力強いトライバルなリズムにアレンジされた「Monster Play」では、「この日のために企んでいたことがございまして」という内田のフリから、益田がギターソロを、内田がドラムを担当するという展開に。ツアーを通してやってきた試みらしく、益田は見事にブルージーなソロを弾きこなし、拍手喝采を浴びていた。

さらにそのあと、急に「トイレ行ってきていい?」と離脱した長谷部以外の4人でインストナンバー「ichijiku」を演奏後、不意にスタートしたのはマイケル・ジャクソンの「Smooth Criminal」のカバー……と思いきや、なんと長谷部がマイケル風のいでたちで登場。ワンコーラス分しっかりとダンスを踊り、ハットを投げてキメるというパフォーマンスを披露してみせた。のちのMCによると、古着屋でマイケル風の服を発見して、自ら発案して猛練習したとのこと。


誰よりもメンバー自身が、ライブという空間と音楽を楽しみ、観客の想像を(時に笑いを交えて)軽々と超えてくる。このフレンドリーな遊び心がKroiの魅力なのだ。

グルーヴにも脂が乗りきった後半戦は、アゲるだけではない楽曲の幅広さを堪能しつつ、内田の多彩なボーカリゼーションに驚かされた。「Custard」では怒濤のラップをこなし、「Page」では熱いソウルシンガーのように歌いあげ、「帰路」では切なく繊細なファルセットを響かせる。さらに、「侵攻」ではかすれ気味な声でダウナーな楽曲の世界をけだるく表現するなど、曲ごとに色を変えていく変幻自在の声は圧巻だった。

身体を揺らさずにいられない「HORN」から、ライブはラストスパートへ突入。軽快なコーラスに対して「みんなでここを歌えなかったのが悔しい」とこぼしつつ「爆ノリしてもらっていいですか!」と煽り、会場のテンションも最高潮だ。


そこからグッとテンポダウンし、ゆるやかなムードが心地良い「Shincha」で本編ラストを迎えた。内田からの「最近は世の中大変ですけど、どうしようもないことは、全部俺らにぶつけてください。不安を打ち消すためにあると思うんで、助けて!っていう時に、俺らにすがってください」と頼もしい発言が音とともに心に沁みる。

「またKroiと一緒に踊って♪」とメロディに乗せてエモーショナルに訴え、「どうもありがとうございました。Kroiちゃんでした!」と一礼してステージをあとにした。


アンコールでは「重大発表」として、この日のライブが配信されること、さらに11月のニューEPリリースとそれを引っ提げての対バンツアー開催が告知された。笑顔で「絶賛制作中」と語るメンバーの表情から、さらなる新しい音楽が生まれていることに期待が募る。

盛り上がるオーディエンスへ、「ぶち踊れよ!」という内田の言葉を合図に贈られたのは「Fire Brain」。キレキレのラップとシャウト、極上のグルーヴで魅了し尽くし、フィナーレを飾ったストイックな音楽とラフなスタンスを両立させ、独自の感性で新時代のバンドシーンを切り拓くKroiの快進撃は、まだまだ止まりそうにない。

文◎後藤寛子
撮影◎Momo Angela

■セットリストプレリリスト
https://lnk.to/kroi_outotsu

セットリスト

1.dart
2.Mr.Foundation
3.Balmy Life
4.sanso
5.shift command
6.a force
7.Monster Play
8.ichijiku
9.Custard
10.selva
11.Page
12.帰路
13.Pirarucu
14.侵攻
15.夜明け
16.Network
17.HORN
18.Shincha
19.Fire Brain

<Kroi Live Tour 『Dig the Deep』>

2021年11月27日(土)福岡 Drum Be-1
2021年12月11日(土)名古屋 CLUB QUATTRO
2021年12月18日(土)梅田 CLUB QUATTRO
2022年1月8日(土)渋谷 CLUB QUATTRO
2022年1月9日(日)渋谷 CLUB QUATTRO

[出演者 / 料金 / チケット情報]
後日発表

<Major 1st Album『LENS』Release Tour “凹凸”>配信概要

配信日程:10月2日(土)OPEN 19:30 / START 20:00
チケット:1,500円(税込)
チケット販売期間:2021年10月8日(金)21:00まで
見逃し配信期間:2021年10月8日(金)23:59まで

【LIVEWIRE】
公演サイト・チケット購入:https://w.pia.jp/t/livewire-kroi-outotsu/
【Zaiko】
公演サイト・チケット購入:https://kroi-official.zaiko.io/e/kroi211002

◆Kroi オフィシャルサイト
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