【ライブレポート】7ORDER、7人のポテンシャルをさらに開拓した<武者修行TOUR>堂々完走

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7ORDERが、本日9月2日に全国ツアー<武者修行TOUR ~NICE“TWO”MEET YOU~>を完走した。

◆ライブ写真

7人の人間力とひとつのグループとしての可能性を十二分に感じる、圧巻のステージだった。7ORDERとして初の全国ツアーとなる<武者修行TOUR ~NICE“TWO”MEET YOU~>。YouTubeにアップされたツアートレーラー映像内のインタビューでメンバーが“このツアーで7ORDERが変革期に入っている”と言っていたが、それはただ方向性をシフトするという意味だけでなく、7人それぞれのポテンシャルを生かすこと、この7人でなければできないことを追求していくという意味での変化であるように推測する。真剣な眼差しを浮かべ、過去の経験を糧に新しい挑戦へと立ち向かっていく姿は非常に頼もしかった。今回BARKSでは全20公演のツアーの折り返し地点ともなる10公演目、2021年8月21日のZepp Haneda昼公演をレポートする。

   ◆   ◆   ◆

ステージ中央後方にツアーロゴのフラッグが掲げられたボックスが置かれ、両脇にキーボードセット、ドラムセットがそれぞれ配備されている。メンバーによるユーモラスな影アナからほどなくして場内が暗転すると、無音のなか全員が定位置についた。通常、ライヴのオープニングと言えば華々しく壮大なSEに、刺激的な映像が流れたりするものだ。このシンプルさこそ、今回のツアーへの姿勢を物語っていることを、後々痛感することになった。

萩谷慧悟のドラムを合図に、ギターの真田佑馬、ベースの森田美勇人、キーボードの長妻怜央が音を鳴らすと、場内は一気に明るく照らされる。安井謙太郎の“いくぞ東京!”の掛け声とともにパワフルなロックナンバー「Break it」で幕を開けた。ボーカル陣の安井、諸星翔希、阿部顕嵐は全身で音を届けるがごとく、熱気を帯びたパフォーマンスを繰り広げる。


こう書くと、どんなアーティストにもよく見られるライヴの1曲目の光景だと思う人も少なくないだろう。だが彼らは多彩な表現方法を持つクリエイティブ集団。7人のマイクリレーと、フォーメーションを変えながら立ち回るという視覚的にも聴覚的にもカラフルなステージングを展開してゆく。たとえば森田がマイクスタンドから瞬時にマイクを取り、ベースを抱えながらステージのセンターでハンドマイクでラップを披露したあと、安井がそのマイクを受け取って森田のスタンドへ返し、森田はステージの前方でベースをプレイするといった具合だ。

7人それぞれで役割をサポートしながら繰り広げられるステージング。舞台で言う黒子の立ち回りも自分たちで行うだけでなく、それを表現の一部にしてしまっていること、熱量のあるアクトを繰り広げながらも滑らかに行う鮮やかなコンビネーションに、開始早々目を丸くした。


さらに2曲目「タイムトラベラー」ではさらに集中力の通ったエモーショナルな演奏と歌声、躍動感のあるグルーヴで会場を牽引。楽器隊のソロ回しから諸星のサックスソロへと駆け抜けるシーンや、ラストの真田の伸びやかなギターソロも心地好く、続いての「LIFE」では長妻が演奏の合間で客席を見渡しながら大きくクラップを、安井がこまめに観客に言葉を投げかけるなどして積極的にコミュニケーションを取ってゆく。緊張感を持ちながらも一瞬一瞬を楽しみ、観客を楽しませようという気概が一挙手一投足にまで通っていた。

バンドセットから一転、スムーズに楽器やマイクスタンドを袖に片付けると、阿部が“みなさん盛り上がってますか!?”と荒々しく呼びかけ、長妻がクラップを促し、「Perfect」、「Make it true」と立て続けにダンスで魅せるセクションへ。フリーで立ち振る舞える箇所や、それぞれがフィーチャーされる箇所なども多々あり、彼らが身ひとつでステージに向かって体当たりしていることが伺えた。ここで“武者修行”という言葉を理解する。このツアーはメンバーのパフォーマンスにスポットを当てているのだ。LEDモニターや特効といった派手な演出もなければ、セットもロゴのフラッグが掛けられたボックスのみ。衣装も七人七様のナチュラルなスタイル。装飾を極限まで排除したストイックな空間で、極上のエンターテインメントを追求している。なんてオルタナティブなスタンスだろうか。



後衛の萩谷と長妻がそれぞれの楽器のポジションにつき、前衛5人が袖から自分のマイクスタンドや楽器を持ってきながら、和やかな語り口で観客へ“初めて7ORDERを観る人?”や“調子はどう?”、“みんな、オーキー?(※7ORDER語録でOKの意味とのこと)”など問いかける。安井が“せっかく一緒の場所に集ったんだから、みんなで協力して楽しいライブを作りましょう”、“みなさんのお力を借りられればと。手拍子などしていただけると、2階にいるみんなの音もしっかり聞こえているので”と呼びかけ、グループ初の試みとして生でカバー曲を披露する。


本家のリスペクトを込めた丁寧な演奏と歌でORANGE RANGEの「花」を届けると、ORANGE RANGEのNAOTOとHIROKIが提供した「SUMMER様様」へ。7人は“一緒に踊りましょう! 手のひらを見せてください”と、曲ごとに様々な楽しみ方を提示していく。長妻がプレイの合間を狙って盛り上げ役を買って出るようにダイナミックなパフォーマンスをし、諸星はサックス演奏とハンドマイク歌唱をするなど、スムーズな立ち回りで演奏。歌い終わるや否や安井が“みなさん素晴らしいダンス、ありがとうございます!”と観客に賛辞を述べると、メンバーもそれに続いて観客に拍手などを送った。

ライヴ中は同じホテルに宿泊しているというメンバーたち。MCでは安井が前日のライヴ後に観たRADWIMPSの配信ライヴに高揚したこと、ほかのメンバーもそれぞれの部屋でそれを観ており、グループLINEで興奮を語り合ったことを嬉々として話す。“いつか野外でもやりたいですね”と真田が言うと、雨男の安井が瞬時に“やりたい! 雨降っても野外来てくれる!?”と客席に尋ね、場内には拍手が沸き起こった。

若い順に自己紹介を始めると、年長者の安井が3番目に割り込んだことをきっかけに“若く見えるランキング”をつける流れに発展したり、ホテルでのインキーのエピソードに花が咲いたりと男子高校生の放課後のような空気感に和んでいるうちに、ステージは様変わり。ツアーロゴのフラッグが掲げられていたボックスの正体は、段状の台車だったことが明らかになる。

萩谷がカホン、安井と真田がアコースティックギター、諸星がサックス、森田がベース、長妻が鉄琴とパーカッション、阿部がタンバリンを持ち、メンバーが台車の上と周辺の配置につくと“雰囲気を作りたいので、お手元のリングライトとペンライトを一旦オフにしていただいて、みなさんの手拍子を僕たちの音楽のなかに入れて2曲作っていけたらと思います”という安井の言葉から、アコースティックアレンジで「BOW!!」と「27」の2曲を届ける。

萩谷のカホンのタッチは細やかで柔らかく、6人も彼の作るリズムに合わせて音を重ねていく。ステージはたちまちミュージカルの一幕のようにロマンチックな空間に。特に「27」は電球のような小さいライトが台車のてっぺんの近くにひとつ浮かび上がり、薄明かりのなかで響く繊細で感傷的なヴォーカル、安井のフェイクとサックスのハーモニーなど、内省的な世界観で会場を包む。真田がアコギのアルペジオを弾き終わり、電球のそばで小さくフィンガースナップをすると消灯。7人がじっくりと曲のなかに入り込んで音を届けていくことで、我々観客もおだやかな夢のなかへと誘われてゆくようだ。


その流れを汲み、さらに感性を刺激するステージが展開されてゆく。「Monday morning」ではそれぞれ異なるハットを深めに被った7人が横並びでマイクスタンドを携え、指先の美しさが際立つダンスと落ち着きと豊かさのあるヴォーカルで魅了。ヘッドセットマイクで歌唱する「&Y」はセンシュアルなムードを醸し、阿部と森田は引き続きハットを被りパフォーマンス。阿部はハットも演出の一部に組み込んでダンスを繰り広げ、楽曲の物語をより華やかかつリアルに浮かび上がらせる。そこに諸星によるムーディーなサックスソロが入ることで、よりディープな空間に。恋愛の駆け引きのような、引き算で魅せるステージだった。


ドラムセットについた萩谷にスポットライトが当たると彼がドラムを叩き始め、そこに森田と長妻がダンスを繰り広げると、真田と諸星もステージに現れ……と気付くと全員がたちまちバンドセットにシフトして「What you got」へ。大体なライヴアレンジが施されており、ひりひりと攻撃力のある阿部のラップ、森田のスラップベース、萩谷の鋭い打撃音、諸星と安井のアカペラ歌唱など、緊迫感のある音とステージで観客の意識を強烈に引き付ける。

7人がハンドマイクになるとそこからさらに「GIRL」と「Love shower」と「Sabãoflower」をミックスして披露。シンプルなメドレーではないところに彼らの一癖ある遊び心が感じられる。長妻が急遽コサックダンスをすると隣にいた森田が驚きながらもそれを真似するなど全員が思い思いにその場を楽しんで、最終的にはバンドセットでフィニッシュ。途中観客にしゃがんでジャンプをしてもらい、観客を巻き込んでひとつの空間を作り上げた。


ほかのアーティストのライヴで、恥ずかしい気持ちから一歩踏み出してはしゃいだら新しい自分を見つけられたという安井は“みなさんにもそんな気持ちにちょっとでもなってくれたらうれしいなと思って……めちゃめちゃ煽ってすみません!”と笑い、“これからもどうか一緒にライヴしてください”と頭を下げた。“それでは最後に、みなさん、心で歌ってくれますか?”と言うとバンドが一斉に音を出し、本編ラストは「雨が始まりの合図」。無邪気で力強く品のあるサウンドとまっすぐな歌声が会場一帯を晴れやかに彩る。アコースティックセクションで活躍した段状のステージにも軽い身のこなしで昇り降りするメンバーの身体能力や、恐れという感情を封じ込める度胸を感じる佇まいに、彼らのステージに賭ける強い覚悟を痛感した。


アンコールでは「SUMMER様様」を全員ダンスで披露。森田がカメラを持って客席を映したり、萩谷が逆立ちで歌ったり、それに対してメンバーが“萩ちゃんすげ~な!”と感心したり、ラップを長妻と森田で披露したり、サングラス姿の森田が「東京」と書かれた銀のお盆を掲げたりと、コメディ的な要素をふんだんに盛り込む。《SUMMER様様》という歌詞を《皆様様》や羽田と掛けて《JAL ANA JAL》と歌うのも小粋で、笑いに巻き込まれていると気付かぬうちにラストではバンドセットに様変わりしていた。

“最後みんなで、拳を上げて盛り上がるっていうのはどうでしょう!? 1曲ペンライト置いてもらってもいいですか?”と安井が観客に呼びかける。今回のツアーグッズにリングライトがあるのは、ペンライトと拳の役割を一挙に引き受けるからだろう。本編ではアコースティックで披露した「BOW!!」をバンドセットで演奏。ポップなロックナンバーをパワフルに披露し、ライヴを締めくくった。

最後の挨拶で、メンバーはしきりに“みんなで一緒に”と呼びかけていたのが印象的だった。より7ORDERの表現を追求するにあたり、観客を困惑させてしまうのではないかという一抹の心配もあるのかもしれない。だが阿部の“ペンライトのある景色も綺麗ですし、みんなの手が見えるのもすごく素敵なので、どっちも使って盛り上がっていきましょう”や、真田の“ペンライトを下ろしてくれていると、(たとえマスクをしていたとしても)みんなの幸せそうな顔がよく見えてうれしい”という言葉のとおり、彼らは自分たちなりの楽しむ方法を丁寧に伝え、観客に楽しんでもらえる環境を丁寧に育もうとしている。この媚びないけれど思慮深い礼儀正しさが、7ORDERが誠実なグループであることの証明だ。

全員が感謝の言葉を伝えて手を振ったり、拍手をしながら袖に下がると、最後尾の阿部が振り向き様に小さく投げキッス。最後の最後まで観客を惹きつけるステージだった。

“ひとつの大きな強みがあることが表現者やクリエイターには重要だ”と言うことがある。それも一理あると思いつつ、個性や魅力、表現方法といった武器がたくさんあって語っても語り切れないとは、とても幸せなことではないだろうか。そのせいでこのレポートも途轍もなく長くなってしまったし、それでもまだ魅力を伝えきれてない気がしてしまう。それも7ORDER一人ひとりがつねに成長するために、我々と一緒により楽しい空間を作るために力を尽くしているからに他ならない。

これだけたくさんの強みを持った7人が揃っているのだ。様々なアーティストが集う野外の夏フェスなんて彼らにお誂え向きではないだろうか。より幅広いフィールドで活躍する7人の、そしてグループの未来を感じさせる、充実の90分間だった。

取材・文◎沖さやこ
PHOTO◎Gaku Maeda


セットリスト<武者修行TOUR ~NICE “TWO” MEET YOU~>

2021年8月21日(土)Zepp Haneda 昼公演
1.Break it
2.タイムトラベラー
3.LIFE
4.Perfect
5.Make it true
6.カバー(ORANGE RANGE「花」)
7.SUMMER様様
8.BOW!!
9.27
10.Monday morning
11.&Y
12.What you got
13.ミックス(GIRL×Love shower×Sabãoflower)
14.雨は始まりの合図
EN1.SUMMER様様
EN2.BOW!!

<7ORDER LIVE TOUR 2021-2022 「Date with.......」>

2021年
11月27日(土) TACHIKAWA STAGE GARDEN【東京】
12月5日(日)  仙台銀行ホール イズミティ21 大ホール【宮城】
12月11日(土) グランキューブ大阪 メインホール【大阪】
12月12日(日) グランキューブ大阪 メインホール【大阪】
12月19日(日) カナモトホール(札幌市民ホール)【北海道】
12月25日(土) 上野学園ホール【広島】
12月27日(月) 福岡サンパレス ホテル&ホール【福岡】
12月29日(水) 熊本城ホール メインホール【熊本】

2022年
1月13日(木) 名古屋国際会議場 センチュリーホール【愛知】
1月14日(金) 名古屋国際会議場 センチュリーホール【愛知】
1月16日(日) アクトシティ浜松 大ホール【静岡】
1月18日(火) オリックス劇場【大阪】
1月19日(水) オリックス劇場【大阪】
1月20日(木) オリックス劇場【大阪】
2月11日(金・祝) 神戸国際会館こくさいホール【兵庫】
2月12日(土) 神戸国際会館こくさいホール【兵庫】
2月19日(土) ぴあアリーナMM【神奈川】
2月20日(日) ぴあアリーナMM【神奈川】
2月26日(土) 国立代々木競技場 第一体育館【東京】
2月27日(日) 国立代々木競技場 第一体育館【東京】

会場への直接のお問い合わせはご遠慮ください。
詳細の発表は9月末を予定しています。
お問い合わせ→ https://7orderproject.com/

スカパー!放送情報

■『7ORDER 武者修行TOUR ~NICE “TWO” MEET YOU~』Zepp Haneda公演
放送日時:10月放送予定
チャンネル:BSスカパー!(BS241/プレミアムサービス 579)
※スカパー!オンデマンド同時配信
視聴方法:スカパー!のご契約者は無料でご視聴いただけます。

※放送スケジュールは変更になる場合がございます。

【関連番組】
■『7ORDER 初武道館公演「WE ARE ONE」』
放送日時:10月放送予定
チャンネル:100%ヒッツ!スペースシャワーTVプラス(CS321/プレミアムサービス 643)
※スカパー!オンデマンド同時配信

■『真田・森田のローカルデリバリー』
放送日時:9月より放送予定(全7回)
チャンネル:100%ヒッツ!スペースシャワーTVプラス(CS321/プレミアムサービス 643)
放送日時:10月より放送予定(全7回)
チャンネル:BSスカパー!(BS241/プレミアムサービス 579)
※スカパー!オンデマンド同時配信

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