【インタビュー】POETASTER、困難を超えてまばゆい力を贈るロックAL『The Gift of Sound e.p.』

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■「職業・ロックスター」みたいな感じ。
■ロックスターを目指せば、バンドをずっとやっていける


──あと、今回ミュージックビデオを作ったリード曲「君に話があるんだ」の話も聞きたくて。これ、前に一度リリースしている曲ですよね。

高橋:そうです。『romance』を出す時に、一度「アルバムが出せない」ということになって、でもツアーは中止にしたくなかったんですよ。だから、当時の事務所に「自分たちでレコーディングしてCDを作るので、会場限定で出させてくれ」とお願いして、若干反対されつつもOKをもらって、曲の確認もしないで自分が好きな曲を勝手に作って(笑)。それを持ってツアーを回ったんですけど、その時のツアーでkoboreと一緒だった時にPaddy fieldがこの曲を聴いて、「めちゃくちゃいいじゃん」と言ってくれた、出会いの曲ですね。それを今回、ミュージックビデオをどうする?という話になった時に、「この曲ですかね」ということになりました。


──タイミング的には、『Imagination World』に入れようと思えば入れられたものを、なぜ今回?

高橋:会場限定で出しちゃってたこともあったし、前作は「第二章スタート」みたいな感じだったので、今までの曲は入れないで、全曲新曲で行こうという感じだったので。でもみんなが「いい曲だね」と言ってくれて、自分的にはそんなに自信はなかったんですけど、「そんなに言われるならいい曲なんだな」と思って(笑)。満を持して入れることにしました。

──「聴き手にストレートに語り掛ける歌」という今回のアルバムのテーマにも、ぴったり合っているし。たぶん2年前から、そういうことをやりたい気持ちがあったんでしょうね。

高橋:そうですね、ずっとそういう気持ちでした。それまでは恋愛ソングが多かったんですけど、これは「俺が思うロックスター像」を書いた曲なので。Aメロ、Bメロのところは特に「男の子が思うロックスターってこういう人だよな」みたいな感じです。

──ロックスター? ああそうか、この歌詞を堂々と歌ってあげられるのは、確かにロックスターかもしれない。「世界平和も愛も全部君にあげる」とか、「君を泣かせる奴は許さない」とか。

高橋:そうなんです。ロックスターって、大げさに歌うものだと思うので(笑)。この曲を作った時に、僕の人間性がすごく出ているといろんな人に言われて、「俺ってこういう感じか」と。大げさに書いたつもりだったのに(笑)。「こういう存在でありたい」というのは、本当に思ってはいるんですけどね。

──2年たって歌い直しても、言いたいことは変わっていない。

高橋:そうですね。この曲をライブでやっていると、見ている人たちとぐっと近くなれる感じがするので、ちゃんとCDにしてあげられて良かったです。

──あと、全部の曲を聴いて思うのは、メロコア出身という重さやスピード感、ギターのカッティングの感じと、邦ロックのキャッチーなメロディやリフのかっこよさと、歌詞のわかりやすさとかが、バランスよく共存しているなぁということで。それってたぶん、バンド初期から変わってない気がするんですね。

高橋:ああ、そうですね。

──それは今、どういう感じで融合していると思いますか。

高橋:どうなんですかね? 最初はメロコアみたいなことをやってはいたんですけど、当時から速いツービートが嫌いだったんですよ。ツービートばかりやっちゃうと同じに聴こえちゃうし、メロディックパンクではあったけど、エイトビートをやっていたし、メロコアバンドとは違うかな?と思っていましたけど、ポップさはありつつもエモーショナルな、感情が表に出るようなサウンドは、当時から変わっていないと思います。ただ今回のEPは、「1枚目のアルバムの初期衝動を取り戻そう」という気持ちはありましたね。僕が初めてバンドサウンドを聴いたのがBUMP OF CHICKENで、初めてパンクを聴いたのがHi-STANDARDで、ギターを持ってコピーバンドをやって、というところから始まっていて、自分たちが最初に出せたCDが『声命力』(2017年)というミニアルバムで。あれは本当に初期衝動だけで作ったアルバムで、当時の事務所に、ほとんど何も言われずに出させてもらった唯一のCDなんですよ。「あれを超えていける曲を揃えよう」というテーマはありました。

──それが、達成できたと。

高橋:僕は自分で作っている側だから、「どうなんだろうな?」という気持ちが強かったんですけど、メンバーを含めて周りの人がみんな、「マジ来たな」と言ってくれたのがうれしかったですね。マスタリングが終わった帰りの車の中で、全員が「マジかっけー」みたいになってくれて。レコーディングも、僕がずっと好きなFUCK YOU HEROESというバンドのドラムのANDREWさんにやってもらったんですけど、ミックスした曲を聴きながら「かっけー」と言ってくれてるのも聴いてて、「よかったー」みたいな(笑)。自分は、いつまでもこういう感じなんだと思うんですね。「前作を超えたい」と思っていつもやっているから、自分じゃわからんという感じです。周りの人に言ってもらえて、初めて「これでいいんだ、よかった」みたいな感じです。

▲POETASTER/『The Gift of Sound e.p.』

──ちなみに、このEPの中で一番作るのに時間がかかった曲というと?

高橋:どれだろう? 「ラルム」「GIFTSONG」は制作期間の後半にできたんですけど、その2曲ですかね。「ラルム」はいろんなことを無視して、気持ちのままに書いてみた感じで、歌詞カードを読まないと意味わかんない歌詞を書いちゃいました。読んでくれたらわかるけど、聴いてるだけじゃわかんない。CDを買ってくれた人にこそ伝わる曲だと思います。

──「ラルム」って、「涙」でしたっけ。

高橋:フランス語で「涙」ですね。

──「思い出を振り切って、もっと遠くへ」というような、哀愁メロディでありつつ、ポジティブな曲だと受け取りました。

高橋:僕は、ネガティブで曲を終わらせられないんですよね。そういうバンドは好きですけど、自分が曲を作るとなったら、どうしてもネガティブでは終わらせられない。「俺はそういう人間じゃない」ということになっちゃいます。うじうじしないんですよ。メンバーが抜けても、アルバムが出せなくなっても、平気でライブやってたし、そういう(ネガティブ思考の)人じゃないのかな?って(笑)。

──それが一番の強みだと思います。

高橋:「よし、次行ってみよう!」みたいな感じなので、ネガティブなことは書けないです。ちゃんとへこみますし、悲しい時もあるけど、歌にする時は前向きに。自分の経験を前向きに伝えて、誰かのためになりたい気持ちが強いです。

──そして、目指すはロックスター、ですか。

高橋:そうですね(笑)。「職業・ロックスター」みたいな、ロックスターを目指せば、バンドをずっとやっていけるだろうみたいな感じで、軽く思ってたんですよね。今も、何かに迷った時とか、頭を使う時が来たら、「こういう時、ロックスターはこうするよな」とか、ずっと考えたりしてます。ガキっぽいですけどね。

──じゃあ最後に、今パッと思い浮かぶ、理想のロックスターというのは?

高橋:誰だろう? 理想というか、めちゃくちゃ感動したのは、このバンドをやり始めて最初に「マジこの人やべぇな」と思ったのは尾崎豊です。それまで全然聴いてこなかったけど、日本語のバンドをやるならそういうものも聴こうと思って、ライブ映像を見たら、すごい汗かいて、声ガラガラで、マジすげぇなと思いました。曲もいいし。もちろん、洋楽のバンドのルーツもありますけど、この人超かっけー、ただのイケメンじゃねえと思ったのは、尾崎豊でしたね。あと、ドレスコーズの志磨遼平さんが好きで、ああいう色気のあるロックスターにもあこがれます。あの人は音楽がめちゃくちゃ好きで、文学も好きで、自分の思想がちゃんとあって、そういうのはいいなぁと思いますね。甲本ヒロトさんもすごい好きで、かっこいいと思うんですけど、たぶん僕より好きな人がたくさんいるから、名前を出すのはおそれ多いです。でもインタビューはめっちゃ読んだし、何を考えて曲を作ってるんだろう? とか、すごく考えます。

──目指すのは、そういう人たちが住むフィールド。

高橋:そうですね。まだまだ全然遠いですけど、頑張ります。

取材・文◎宮本英夫

1st EP『The Gift of Sound e.p.』

2021年8月25日発売
PADF-020 ¥1,500+tax
収録曲:
1.GIFTSONG
2.HEART OF GOLD
3. ラルム
4. 望碧
5. 君に話があるんだ

<POETASTER “君に話があるんだ TOUR2021”>

2021年
9月17日(金)兵庫 神戸太陽と虎
9月18日(土)香川 高松DIME
9月24日(金)愛知 名古屋APOLLO BASE
10月3日(日)山梨 甲府KAZOO HALL
10月8日(金)神奈川 横浜F.A.D
10月15日(金)新潟 新潟CLUB RIVERST
10月22日(金)宮城 仙台enn 2nd
11月6日(土)高知 高知X-pt.
11月7日(日)広島 広島ALMIGHTY
11月19日(金)福岡 福岡Queblick
11月20日(土)大阪 福島2nd LINE
-TOUR FINAL-
11月29日(月)東京 渋谷CLUB QUATTRO

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