【インタビュー】花澤香菜、コロナ禍で見えた音楽活動への思い

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『鬼滅の刃』など多くのヒットアニメに出演する声優・花澤香菜。2012年には、歌手としてのデビューも果たした。そんな彼女が、7月にポニーキャニオンに移籍。9月29日に移籍第1弾シングル「Moonlight Magic」をリリースする。

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移籍に際して花澤は「積極的に末永く音楽をお届けしていきたいという、前向きな理由」と語り、シングル「Moonlight Magic」についても「この9年でパワーアップした私たちの全力を注ぎました」と語った。また、歌詞には「窮屈な世の中だからこそ自分が幸せを感じる時間を大切にしてほしい」という想いが込められているという。

コロナ禍でライブもストップしてしまった2021年。花澤香菜はソロアーティストとしてどのような思いでこの作品に取り組んだのだろうか。

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■音楽活動って自分のやりたいようにできる
■そういう意欲がすごく湧いてきた


──まずは昨年来のコロナ禍で、どんな日々を過ごされていたのかお聞かせいただけますか?

花澤:コロナ前は毎日お仕事がある状態で、なかなか自分の好きなことをする時間を確保できていなかったんですね。もちろんお仕事はすごく楽しいので、それで満足していたんですけど、1ヶ月くらいお仕事がまばらになったときに“あ、家の中にさえいれば何でもできるんだな”って気づいたんですよ。そこから“お仕事以外で自分が本当にしたいことって何なんだろう?”とか、“何を自分は幸せに感じるんだろう?”って考える時間がものすごく増えて。好きなことをしていたら、あっという間に自粛期間が過ぎちゃいました。

──好きなことって、具体的には何を?

花澤:家周りで人の少ないところを調べて、ちょっと早めに起きてラジオを聴きながら散歩するとか、あとは韓国ドラマにハマッたり、オンラインライヴとかを観ながら家で踊ったり(笑)。世の中は大変な状況だけれど、個人的には趣味に時間を使えたのが良かったので、自分を幸せにする時間は絶対にこれからも確保していかなきゃなって思いましたね。

──充実した時間が過ごせたと。声優さんとしてのお仕事も、比較的早く復活しましたよね。

花澤:そうなんです。少人数でアフレコできるように、スタッフさんがすごく工夫して時間割を組んでくださって。スタッフさんも可能な限りZOOMで繋いで人数を最小限にしたり、一回使ったマイクは絶対消毒してから次の人に渡したり。おかげで今、スムーズにお仕事ができているのが本当に有り難いです。音楽活動に関しては、ちょうどアコースティックライヴツアーの<かなめぐり>をやっていた最中にコロナが始まって、本当に全く何もできなくなってしまって。オンラインライヴをやらせてもらったりはしたんですけど、みんなが満足する形って何だろうな?って考えながら手探りの状態が続きましたね。


──移籍発表時の直筆メッセージにも“積極的に末永く音楽をお届けしていきたいという、前向きな理由”と書かれていましたよね。つまり、コロナ禍で改めて“自分を幸せにする術”を顧みた結果、自分にとって音楽は無くてはならないものなんだという結論に至ったということ?

花澤:音楽活動って本当にパーソナルな部分を出して、自分のやりたいようにできるじゃないですか。そういう意欲がすごく湧いてきたというか、もっと積極的にやりたいと思ったのかもしれないですね。あとはSACRA MUSICで佐橋(佳幸)さんと活動させていただいた時間がすごくクリエイティヴで、佐橋さんとのやり取りの中で作詞の仕方も学べましたし、佐橋さんだからこそご一緒できたアーティストの方もいらっしゃいましたし。その期間を経て、ちょっとですけど自分自身がパワーアップできたような気がしていたので、じゃあ、この状態で初期にご一緒していた北川勝利さんとやったらどうなるんだろう?というのは、ずっと考えていたんです。それで今回、北川さんにプロデュースをお願いさせていただいたんですよ。

──そこで移籍第一弾となった「Moonlight Magic」は、最初からドラマ『お耳に合いましたら。』の主題歌として書き下ろされたわけではないとか。

花澤:はい。移籍第一弾シングルの曲ということもあり、「タイアップが付けられるようにキャッチーな歌詞にしようね」とは、北川さんからも言われていたんです。で、私が仮で声を入れた状態の楽曲を先に作っていました。そして、今回、ご縁があって、『お耳に合いましたら。』のオープニングテーマに選んでいいただきました! 好きなものに対するドキドキする気持ちやキラめく気持ちを歌った曲なので、ヒロインがポッドキャストやチェンメシに熱い想いを持っているというドラマ内容に、本当にピッタリだなと思うんです。しかもオープニング映像では、いきなり曲名と私の名前がクレジットで出てくるっていう演出もあって、“わ、こんなことしてくれるの?”ってビックリしましたね。あのジオラマの可愛らしい世界観と楽曲もメチャクチャ合っているし、何よりヒロインの美園ちゃんがメッチャ可愛いんですよ! あんなにフィーチャーしていただけて、すごく嬉しかったです。


──ドラマのオフィシャルサイトでは“大好きな人やものに対して大人ながらもときめく気持ちを歌った曲”とコメントされていましたが、そもそも何故そういった歌詞を書こうとされたんでしょう?

花澤:私、歌詞を書いていると、どんどん内に入っていって、暗くなるタイプなんですよ。だから「ポップに!」って言われても、それだけの曲にはしたくなくて、今の自分の気持ちも散りばめたんですね。

──なるほど。“会いたいときに会っておかなくちゃ”とか“その優しいお喋りを どうか止めないで”とか、今、聴くとドキッとしますもんね。

花澤:そうそう。コロナ禍で“ああ、もっと人と会っとくんだったな”とか、“もっと頻繁に、じいちゃんばあちゃん家に行っとくんだったな”とかって思ったんですよね。でも、後悔してからじゃ遅いし、それこそ好きな人だったら、今、会っておかなきゃいつ会うんだ!っていう。


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