【インタビュー】EOW、グルーヴィーな5人が3週連続で奏でる“光の三原色”

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■光の三原色って赤、青、緑。
■ポケモンで最初に選ぶのも赤、青、緑。ここからまた始まる


──ちなみに、ロジカルとパッションの相乗効果がうまく作用した曲を挙げるとすると?

Laco:「百花」ですかね。私が出したいメッセージも、EOWがかっこいいと思う音楽も最大限に出せた曲だと思います。

──確かにメッセージが強いですね。《愛してるよ》のリフレインとか。

mamushi:あの部分はデモからあったんですよ。あそこをかっこよく聴かせるために、他をどうするか?っていう作り方をしたので。

Laco:私以外のメンバーはトラックが作れるので、まずデモをみんなに作ってもらって、会議をした中で選ばれたものに私がメロディと歌詞をつけるという流れが多いんですけど。「百花」に関しては、私がお風呂に入っていたときに、あのメロディと歌詞が降りてきて、それをボイスメモに録ったんです。

Yutaro:その《愛してるよ》を連呼しているところが、シンプルで熱くてエネルギーがあるからこそ、コードにこだわりました。表面はちゃんとシンプルなんだけど、後ろはちゃんと計算されているっていう。


──「百花」もそうですし、「バックミラー」「(this is the) DAY」「ライト」と、2021年に発表された楽曲はどれも本当に力作揃いで。ターニングポイントになる楽曲も多かったですか?

Laco:曲を出すたびにターニングポイントが来るんですよ(笑)。全員の意思をひとつにして、EOWという生き物を大きくしていくことって、やっぱりものすごく大変だし、心も体力も使うんです。でも、そのたびに見えてくるみんなの新しい一面があるし、みんなへの信頼がどんどん高まっていくし、それがバンドへの信頼にも繋がるし。曲を出すたびに脱皮を繰り返して、自分達が一番あるべき場所に邁進している状態ではありますね。

──脱皮を繰り返していく中で、10月には3週連続で楽曲をリリースされます。10月6日に「Green Back」、10月13日に「RED」、10月20日に「blue fudge」と、それぞれ「緑」「赤」「青」と色付けされていますが、どういうものを打ち出そうと考えていましたか?

▲EOW/「Green Back」

▲EOW/「RED」

▲EOW/「blue fudge」

Laco:8月に「ライト」という曲を出したんですが、光の三原色って「赤」と「青」と「緑」になっているということと、メンバー全員「ポケットモンスター」が好きなんですよ。

──なるほど(笑)。

Laco:ポケモンって、赤、青、緑の中からどれかを最初に選ぶんですけど、そこは、11月のワンマンライヴと関係していて。去年の11月にワンマンをやったときはまだ6人体制で、5人でのワンマンはこれが初なんですね。だから、ここからまた始まるんだという意味合いも込めて、この3色にしました。

──いろんな意味があったんですね。楽曲の方向性もそれぞれ異なっていますね。

Laco:赤が火、青が水、緑が草というそれぞれのエレメントを想像できるような曲にしようとなったので、最初の「Green Back」は大草原というか、とても広い場所をイメージして、「RED」は男女の火照ってしかたない感じの熱を表現したいと思って作りました。「blue fudge」は、水って、流れていくこともそうだし、断ち切るみたいなイメージもあって。なので、好きな人のいいなりになって流されていた自分から、意思のある強い自分になろうという断ち切りの覚悟を描いた曲にしていますね。

──その元にあったのがポケモンだったとは(笑)。そんなに好きなんですね。

Otake:前身バンドのCandy Makes (you) Strongっていう名前もそうなんですよ。

Yutaro:そうそう。ふしぎなアメから持ってきたんです。

Otake:アメをあげたら強くなるっていう。

Yutaro:俺が一番嬉しかったのは、LacoがポケモンのCMをやったときですからね。

Laco:「ポケモンGO」さんのCM曲を歌わせてもらったことがあって。ギャラドスがギャオー!って鳴いて、私の声があんまり聴こえなかったんですけど、私もポケモン大好きなんで全然いいです!って(笑)。

──ギャップがすごいですね。サウンドはめちゃくちゃスタイリッシュですけど。

Laco:楽曲は頑張ってスタイリッシュにしますけど、本人達はまったくスタイリッシュじゃないです(笑)。

Otake:どちらかというと、虫取り少年が集まった感じ。

──そうなんですね(笑)。「Green Back」は、ダンサブルで、力強くて、それこそ笑顔だけど泣きながら踊れちゃう感じがありますね。どういうところから作り出したんですか?

Yutaro:2019年に『Switch』というアルバムを出したんですけど、そのときにデモをたくさん作っていて。今回の3部作を出すにあたって、その中から見つけてみようっていうことになったんですよ。「Green Back」の元になったのは、僕が作った「バキファンクくん」っていう名前のデモがあったんですけど、それをOtakeが発掘してくれて。

Otake:なんとなく、今の自分達に必要なものがあるんじゃないかなって思ったんですよ。

Yutaro:1曲目のテーマに「爽やか」というのがあって、これをそっちのほうに持っていくとおもしろいんじゃない?って。今のJ-POPって爽やかな曲って結構あるし、それこそシティポップじゃないですけど、そういう自分達なりの爽やかな1曲を作ってみようって。

Laco:あと、「百花」「ライト」と、メッセージ系がかなり続いていたし、「ライト」でEOWとしては最大限に攻めたので、これが続くとちょっと胃もたれしそうかもと思って。そうなったときに、改名したのと同時に出した『EOW』というEPがあるんですけども、あの当時にやっていた感じに立ち返ろうっていうのもありました。メッセージというよりは、身体が勝手に動いちゃうものにしようって。

──確かに『EOW』は、シティポップ色が強めの印象がありましたけど、「Green Back」は、雰囲気的にはその頃のニュアンスはありながらも、いまのEOWの形になってますね。

Laco:私たちとしては、シティポップの枠に入りたい感じはあまりなくて、そこから抜け出そうと思って作ったのが「百花」であり「ライト」だったんですよ。でも、そういうふうに見てくださっている方々もいますし、結局は私達もこういう音楽って好きだよね?って。

mamushi:それで当時のデモフォルダを漁って、発掘して。

Otake:そうそう。あのときはそこ止まりだったけど、ここまで経験してきた自分達のフィルターを通したら、進化したものとして出せるんじゃないかって。

Yutaro:うん、テイストは残しながら脱却したいっていう。

Laco:メッセージとしても、今っていろんな情報が溢れていてカオスになっているし、不確かなものばかりで、何を選んでいいのかもわからない時代じゃないですか。だけど、好きなもの、大切な人に向ける思いって、本当に一直線というか。それだけは濁りのない確かなものだと思うんです。それに、それを感じられるだけで、身体も軽くなるし、元気も出てくるし、なんだったら宇宙まで飛べちゃうかもしれないっていう、そういうパワーのあるハッピーなものにしたいなと思いました。

──先ほど「メッセージというよりは、身体が勝手に動いちゃうもの」というお話がありましたけど、言ってもメッセージは強いなと思いましたよ。今Lacoさんがお話されたこともそうですし、自分達が周りにいる人達を引っ張って、みんなで一緒に楽しいことをしていきたいという意思がものすごく漲っているなって。

Tomoaki:一番感じて欲しいところを感じてもらえていて嬉しいです。

Laco:うん。伝わっていて嬉しいです。私、アベンジャーズが大好きなんですけど、元気が出ない人達に対してパワーを与えられるような存在になりたい、引っ張っていきたいという気持ちを込めて、歌詞にも書いたんですよ。

Yutaro:この曲は特に「ひとりじゃない」感があるよね。

Laco:そうだね。それを出したかった。

──その3週連続リリース後、先ほどお話にもあったワンマンライヴ「BREAK THRU」を、11月3日にShibuya duo MUSIC EXCHANGEで開催されます。

Laco:今はいろんな壁があるけど、アベンジャーズとしてそれをぶち壊していくぞという思いを込めて、このタイトルをつけました。あと、ダジャレにもなってます。そろそろ「ブレイクする」っていう。

Otake:我々がね。

mamushi:オヤジなんよ、それは(笑)。

──(笑)。ここからどんな活動をしていきたいですか?

Laco:やっぱり、気づいたら泣きながら踊って一緒に歌っちゃってるみたいな、エモーショナルでハッピーな空間を作りたいというのが、私達の最大の願いとしてあって。それが、今応援してくれている方々ももちろんですし、これから出会う方々も巻き込んで、もっともっと大きな渦にして、本当に大きな会場でそれを達成できる日が来たら、そんなに嬉しいことはないなって思いますね。そこにいる全員が、EOWの音楽に踊り狂って、泣き狂って、幸せになれる空間をとにかく大きくしていきたいと思っています。

──日本はもちろん、世界の人達も泣き踊らせたいですか?

Laco:その気持ちはめちゃくちゃありますね。ソロ活動で、劇伴作家の澤野弘之さんが作曲された「進撃の巨人」の曲を歌わせていただいたんですが、その繋がりで海外の方からもメッセージをいただくことがすごく増えたんです。その中で以前、ミャンマーの男の子からDMが来たんですよ。「今、僕達の国はものすごく大変だけど、あなたの声にいつも癒されています。いつもありがとうございます」って。そのメッセージをいただいたときに、言葉にできない感動が自分の中にあって。私の歌にそう思ってもらえたこともそうですし、もしEOWの音楽で同じようなことができたとしたら、本当にアーティスト冥利に尽きるというか。世界の方達にも元気を与えられるバンドになっていきたいなと思っています。

Yutaro:世界の人達に聴いてもらいたいというところだと、俺もひとつあって。俺、スティーヴィー・ワンダーが大好きなんですけど、「Sir Duke」っていう曲があって。聴いた当時は歌詞が全然わからなかったんですけど、曲がめちゃくちゃいいなと思ったんです。それで後になって歌詞を調べてみたら、「音楽は誰にでも理解できる言葉なんだ」って書いてあって。身をもって感じたんですよね、音楽って言葉がわからなくても届くものがあるんだって。俺達も、世界中の人達があのときの俺と同じような体験をできるように、音楽を届けていけたらいいなと思ってます。

取材・文◎山口哲生

リリース情報

「Green Back」
2021年10月6日(水)Release


「RED」
2021年10月13日(水)Release


「blue fudge」
2021年10月20日(水)Release

ライブ情報

<EOW ONE-MAN SHOW BREAK THRU>
2021年11月3日(水・祝)Shibuya duo MUSIC EXCHANGE
OPEN 16:30 / START 17:30
チケット:¥4,000(+ドリンク代)
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