【レポート】ZIGZO、全国ツアー<across the horizon>東京公演で「しぶとくライブをやり続けてます」

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ZIGZOが約7年ぶりのオリジナルアルバム『across the horizon』を引っ提げ、全国8都市を廻るツアー<ZIGZO TOUR 2021-across the horizon>を開催中だ。初日の大阪公演が延期になったほか、会場変更を余儀なくされるなどの事態にも挫けず(大阪公演は9月11日および12日に振替)、彼らが信じるロックンロールを鳴らし続けてきた。

◆ZIGZO 画像 / 動画

9月4日(土)、ツアー終盤戦となる新宿BLAZEのステージには、コロナ禍という現状にまっすぐ立ち向かいながら、とにかくライブを心から楽しむZIGZOの姿があった。そして、そんなメンバーを信じて待っていたオーディエンスがいた。感染拡大防止のための制約なんて影響しないほどの、灼熱の愛情に包まれた一夜をレポートする。


暗転した会場に、お馴染みのピンク・フロイド「原子心母」のSEが流れ始める。『across the horizon』の制作にも全面参加したサポートキーボード 吉田トオルを加えた5人がステージに現れると、アルバムのオープニングナンバーでもある「Humor,Rumor」でライブがスタートした。黒スーツに赤いシャツを合わせた髙野 哲(Vo, G)を中心に、全員が黒系でシックにまとめた衣装。大人のロックバンドのムードを漂わせつつ、一気にヤンチャな爆音を解き放っていく。

そして、「We are ZIGZO!」という髙野のコールとともに、間髪入れず「Bow Wow」のリフが炸裂した。アルバム発売から2ヵ月半、ライブで生のアルバムSOUNDを体験できるこの日を心待ちにしていた人も多いだろう。ハネるリズムに合わせてオーディエンスも手を掲げて応え、新曲とは思えない一体感が早くも会場を満たしていた。ダンサブルな「Bow Wow」などをライブで聴くと、特にキーボードの存在をより強く感じる。櫻澤泰徳(Drs)のタイトなドラムと大西啓之(B)のうねるベースが牽引する強力なリズム隊に、キャッチーなリフやソロで彩りを加える岡本竜治(G)。この盤石なバンドサウンドに吉田の軽やかな鍵盤が加わることで、ポップさと奥行きが増し、心も体も躍らされてしまう。ツアー全行程参加という旅の中でさらに結束が強まったそのアンサンブルを、ステージ上のメンバー自身も楽しんでいるようだった。



続く「RUSH」では、サビのメロディを大西と岡本に託した髙野が吉田にちょっかいを出したり、櫻澤の横でスティックを握ってドラムに参加したりなど、いたずら心も満載。一転して、「笑う月」は身振り手振りを加えながらエモーショナルに歌い上げ、がっちりとオーディエンスの心を鷲掴みにする。髙野の類い希な歌の力は、そのあと披露された『across the horizon』収録のミドルチューン「Blue」「CONTROLL」でも堪能できた。切ない郷愁を湛えながら、“今”を歌う力強さ。少年のような遊び心と、堂々たるロックシンガーの貫禄が共存する声は、ZIGZO20周年を走り抜け、その先に立つ彼ならではのものだ。

「アルバムの中でもちょっと変わった曲、という印象があるかもしれませんが……」と髙野が紹介した「Don’t」で、各メンバーのスキルがせめぎ合うさまもまた百戦錬磨のZIGZOだからこそ。7/8拍子の難解なリズムを土台に、櫻澤のトリッキーなフレーズが暴れ回り、そこに語り調のリリックを載せるアレンジが絶妙。“♪Don’t think! Feel the Beat!”という言葉どおりの高揚感に酔い痴れた。



そのままハイスピードな「PEAK!」になだれこんで駆け抜けたあと、『THE BATTLE OF LOVE』(2012年発表)収録曲「I’m in Love」から、“Are you ready to Love?”と歌う最新アルバム収録曲「Ready to Love」に繋ぐ巧みなセットリスト。ポップなメロディに合わせてオーディエンスが一斉に手を振り、ピースフルな空気に包まれる。「Ready to Love」のイントロのピアノにザ・ビートルズっぽさを意識した流れか、髙野が岡本を「リョージ・ハリスン」、吉田トオルを「トール・マッカートニー」、大西を「デン・レノン」などと命名して笑いを誘っていた。最後に自ら「ブライアン・哲ッツアー」と名乗るオチはさすがである。

ムーディーな「The Loop」、ミドルバラード「空飛ぶピアニスト」に続いて披露されたのは、アルバムタイトルを冠した重要な1曲「across the horizon」。吉田がキーボードで奏でるストリングスサウンドに導かれ、“♪連れて行くよ 君が僕に 見せてくれた理想郷へ”というストレートな詞が胸に沁み渡る。先ほどまで音でバトルを繰り広げていたメンバーも、この曲ではメロディに寄り添うようなグルーヴを生み出す。壮大なサウンドスケープがどこまでも優しい。現状を乗り越えた先に続く未来を信じて、今を生きていく強い意志が込められた音と歌声。5人でツアーを経てきたからか、音源よりもはるかに頼もしく、確信に満ちているように感じられた。



じんわり目頭が熱くなり、感動のフィナーレーかと思いきや、そこで終わらせないのがZIGZOだ。“♪物語は終わらない”と断言する骨太なロックチューン「モノクロック」から、「衝動」「ひまわり」「FOREVER YOUNG」と、立て続けにキラーチューンを連打。オーディエンスも思い思いにジャンプし、手を振り、熱狂を示していく。「ひまわり」のサビをあえて歌わずに、一人ひとりの顔を見つめていた髙野。彼にも、会場にいた全員にも、心の大合唱が聞こえていたに違いない。さらに、「FOREVER YOUNG」では、“♪だけど僕たちには ロックがあるじゃないか”の部分を“僕らにはZIGZOがあるじゃないか!”とアレンジしてシャウト。コール&レスポンスができなくとも大合唱や大歓声が感じられるほど、たしかな絆がそこにあった。

ラストには、『across the horizon』の中でもひときわアッパーな「Starduster」が贈られた。オーディエンスの笑顔にキラキラしたオルガンサウンドが降り注ぎ、盛り上がりは最高潮へ。この日一番の手拍子が湧き起こる中、髙野が「配信の方、必ず会おうね」とカメラに語りかける。そして、会場と配信先のすべてのオーディエンスに向けて「俺らはこうやってしぶとくライブやり続けてますんで! また必ずお会いしましょう!」と約束を交わした。


終演後の会場に残っていたのは、ピュアなロックンロールの音を思いっきり浴びた心地よさと、身体は大きく動けずとも、心が躍りまくった多幸感だった。序盤のMCで「今日もたぶん不器用な、愛情表現が下手くそ同士な感じのロックコンサートになるでしょう」と宣言していた髙野。その言葉どおり、変わらずバンドに明け暮れて生きるメンバーと、そこに希望を重ねるオーディエンスという両者の愛情が、不器用に、今あるがままに交わる光景がたまらなく美しかった。交わした想いを糧に歩み続ける5人のZIGZOは、まだまだ進化していくはずだ。

ZIGZOは今後、前述した大阪振替公演を経て、自身初ライブの場所である渋谷La.mamaでの2日間4公演<ZIGZO TOUR 2021 -across the horizon- 追加公演>を予定している。なお、この新宿BLAZEのアーカイブ配信も9月10日まで楽しめるので、ぜひチェックを。

取材・文◎後藤寛子
撮影◎今井俊彦

■<ZIGZO TOUR 2021-across the horizon>9月4日(土)@新宿BLAZE セットリスト

01. Humor,Rumor
02. Bow Wow
03. RUSH
04. 笑う月
05. Blank Generation
06. Blue
07. CONTROLL
08. I cult you
09. Don't
10. PEAK︕
11. Iʼm in Love
12. Ready to Love
13. 君をいつまでも
14. The Loop
15. 空飛ぶピアニスト
16. across the horizon
17. モノクロック
18. 衝動
19. ひまわり
20. FOREVER YOUNG
21. Starduster

■配信<ZIGZO TOUR 2021-across the horizon->

9月04日(土) 新宿BLAZE
▼視聴チケット
¥4,000-(税込)
視聴可能期間:2021年9月10日23:59まで
発売:2021年9月10日19:00まで
https://eplus.jp/zigzo20210904/st/

■<ZIGZO TOUR 2021-across the horizon- 大阪振替公演>

9月11日(土) OSAKA MUSE
open18:00 / start18:30
9月12日(日) OSAKA MUSE
open17:30 / start18:00
(問)キョードーインフォメーション 0570-200-888
▼チケット
前売:¥7,000- (税込 / 立ち位置指定)
当日:¥8,000- (税込 / 立ち位置指定)
※入場整理番号付き
※入場時ドリンク代別途必要
https://eplus.jp/zigzo/


■<ZIGZO TOUR 2021 -across the horizon- 追加公演>

9月17日(⾦) 渋⾕La.mama
・昼の部「アコギなマチネ」open15:00 / start15:30
・夜の部「ジグゾ、おかわり!」open18:00 / start18:30
9月18日(⼟) 渋⾕La.mama
・昼の部「アコギなマチネ」open14:00 / start14:30
・夜の部「ジグゾ、おかわり!」open17:30 / start18:00
▼チケット
昼の部:前売 ¥5,000- / 当⽇ ¥6,000- (税込)
夜の部:前売 ¥8,000- / 当⽇ ¥9,000- (税込)
全席⾃由
※⼊場整理番号付き
※⼊場時ドリンク代別途必要
⼀般発売:9月5日(⽇)
※イープラスのみ ※スマチケ(分配可)
(問)ディスクガレージ 050-5533-0888

■ミュージックビデオ集『across the horizon 青盤』

2021年9月4日(土)発売
【初回限定盤(DVD)】zgz-21620-blue 5,500円(税込)
・初回限定ブックレット:A4変形カラー48ページ (撮影◎今井俊彦)
・ビニールフォルダカバー
・A2ポスター付


01. Humor,Rumor
02. Bow Wow
03. Blank Generation
04. Blue
05. CONTROLL
06. Ready to Love
07. Don’t!
08. The Loop
09. Starduster
10. モノクロック
11. across the horizon


▲『across the horizon 青盤』A2ポスター

■5thアルバム『across the horizon』

2021年6月20日(日)リリース
¥5,000-(外税)


01. Humor,Rumor
 music by 吉田トオル&ZIGZO lyrics by 高野哲
02. Bow Wow
 music by 岡本竜治&ZIGZO lyrics by 高野哲
03. Blank Generation
 music by 高野哲&ZIGZO lyrics by 高野哲
04. Blue
 music by 岡本竜治&ZIGZO lyrics by 高野哲
05. CONTROLL
 music by 岡本竜治&ZIGZO lyrics by 高野哲
06. Ready to Love
 music by 高野哲&ZIGZO lyrics by 高野哲
07. Don’t!
 music by 岡本竜治&ZIGZO lyrics by 高野哲
08. The Loop
 music by 岡本竜治&ZIGZO lyrics by 高野哲
09. Starduster
 music by 高野哲&ZIGZO lyrics by 高野哲
10. モノクロック(Mono’c’Rock)
 music by 高野哲&ZIGZO lyrics by 高野哲
11. across the horizon
 music by 高野哲&ZIGZO lyrics by 高野哲

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