【インタビュー】SOMETIME’S、“己の質をもっと高めろ”と強く教えてくれたニューアルバム

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各種サブスクリプションサービスのプレイリストやラジオチャートを賑やかし、支持を拡大している音楽ユニットSOMETIME'S。彼らがメジャー1stアルバム『CIRCLE & CIRCUS』を2021年8月25日にリリースした。

◆撮り下ろし画像

新曲10曲に加え、2020年10月にリリースされた『TOBARI EP』から3曲、今年5月にリリースされた『Slow Dance EP』から2曲を含む全15曲を収録。これまでのトレンド感のあるサウンドスケープ以外にも、さまざまなジャンル感を混ぜ込んだ斬新なアレンジ、シンプルに聴かせるバラード、レゲエナンバー、彼らの仲間を思うメンタリティが感じられるポップソングなど、振れ幅の広い作品に。これまでに見たことがないSOMETIME'Sを感じられる1枚となった。

今回のインタビューには、SOTA(Vo)とTAKKI(G)も“第3のメンバー”と話すアレンジャーの藤田道哉も参加。SOMETIME'Sと彼の出会いから3人の関係性、今作の制作に関する話などを話してもらった。

  ◆   ◆   ◆

■SOMETIME'Sにまとまった芯を感じるのは
■バランス感覚から来るものだと思います


──藤田さんの話題はSOMETIME'Sのインタビューで頻繁に出てきますが、それを記事で読んで藤田さんはどのように感じていらっしゃるのでしょう?

藤田道哉:“俺も出してくれ!”と思ってました(笑)。

SOMETIME'S:あははは!

──藤田さんはTAKKIさんのかつてのバイト先の後輩さんだそうですね。

藤田:はい。前々から漠然と“音楽で食べていきたい”という気持ちがあったんですけど、どうやって始めたらいいか、何をしていいのかがわからなくて迷走していて。それで音楽に関わるいろんなことをやってみようと思ってスタジオで働くことにして、そこにTAKKIさんが働いてらっしゃったんです。


──TAKKIさんによると“藤田道哉がアレンジャーとしてSOMETIME'Sにジョインしてくれるのに半年掛かった”とのことですが。

藤田:それ、いろんなインタビューで読むんですけど、僕は誘ってもらっているなんてまったく思ってなかったんですよ(笑)。

TAKKI(G):いやあ……そんなはっきり「アレンジャーとして参加してくれ」なんて言えないじゃないですか(笑)。遠回しに遠回しに言い続けていたので半年掛かりました(笑)。

SOTA(Vo):TAKKIは外堀から埋めるタイプだもんね(笑)。

藤田:察せなかったです(笑)。やっぱり当時、TAKKIさんは僕にとって職場の先輩ですから。だから初めてアレンジをしたときも1回きりだと思っていたし、アルバイトの延長線上のつもりだったんです。そしたら「これもお願いしていい?」と頼んでもらって。そこで初めて「あ、これは一緒に制作をやらせてもらえるのかな?」と思ったんです。それが今もずっと続いている、という感じですね。

TAKKI:僕は道哉と一緒にやりたいけれど、道哉の力量や、SOTAとの相性を見るために最初ひとまず1曲お願いしてみて。そしたら道哉は軽々と合格点を超えてきたんです。


──藤田さんの得意なジャンルとSOMETIME'Sの音楽性が合ったということでしょうか?

藤田:僕はもともと得意なジャンルがあるというより、シンセサイザーが好きで。だからシンセが印象的なYMOや坂本龍一さん、小室哲哉さんばっかり聴いてきた、エレクトロやテクノ育ちの人間なんです。僕の育ってきたテクノやエレクトロと、バンドミュージックの中間点にあるのがファンクで。僕もやりたいことができるし、ある程度のポップさもあるので、SOMETIME'Sの音楽性はここに落とし込んでいくのがいいなと思ったのが始まりですね。それで出来たのが「Honeys」なんです。



──藤田さんが感じるSOMETIME'Sの秀でた点とは?

藤田:おふたりともリスペクトできる存在なんですよ。SOTAさんは作るメロもいいし、なにより歌唱力がダントツに優れている。デモの時点でほぼほぼ歌の持つムードや世界観が出来上がっているんです。TAKKIさんは音楽面だけでなく僕のメンタルを支えてくれますね。僕はひとつのことが気になると周りが見えなくなるタイプなんですけど、TAKKIさんは俯瞰した意見を言ってくれて。SOMETIME'Sの音楽が多彩なジャンルでありながらもまとまった芯を感じるのは、そういうバランス感覚から来るものだと思います。

SOTA:……可愛い後輩(笑)!

藤田:僕だっていろいろ考えてるんですよ(笑)。

SOMETIME'S:あははは!


──TAKKIさんは今も藤田さんにとって頼りがいのある上司なんですね。

TAKKI:いやいや(照れ笑い)。僕らも下積みが長いから、どれだけ自分のことを信じたらいいのかがわからなくなる瞬間がたくさんあるのも知っているし。道哉はまだまだ若いからいろんな未来が待っているし、僕らが道哉に見せてあげられるものもまだたくさんあるなと思うんです。だから“下積みの心得伝授”ですね(笑)。

──大事ですね。軌道に乗るまでは浮き沈みが激しい世界ですし、そこを持ちこたえられた人たちがプロになれるという側面は今もありますし。

TAKKI:僕らはライヴやメディア露出といった活動もあるけれど、ミッチー(藤田)はSOMETIME'Sにとってアレンジャーだから稼働が制作とレコーディングしかないんですよ。僕らが制作以外の活動をしている間にミッチーのメンタルやモチベーションが落ちてしまうのは不本意なので、そういう部分もカバーしたい気持ちはありますね。

藤田:SOMETIME'Sチームには“この人大丈夫かな?”と不信感を抱くような人がいないんですよ。だから僕も自分のことに集中できる。ちょっとでも音がずれてると気になって仕方がなかった僕が、SOMETIME'Sでアレンジをするようになって、生ドラムのビートの気持ち良さや、音のズレがグルーヴになっていくことを知ったんですよね。だからすごく勉強になっているし、まだまだ勉強が必要だなと思っています。


◆インタビュー(2)へ
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