ヤマハ、電子ドラム「DTX Drums」の新製品『DTX10シリーズ』『DTX8シリーズ』発売

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ヤマハから電子ドラムのハイエンドモデル「DTX10シリーズ」「DTX8シリーズ」が登場。「DTX10」「DTX8」ともに2種のヘッドタイプ×2カラーを揃えた合計8機種のラインナップで9月25日より発売となる。9月16日に行われたオンライン記者発表会には今井義頼さん、川口千里さんが登場、演奏を披露するとともに新モデルの魅力を語った。

「DTX10」は2010年以来11年ぶりとなるフラッグシップモデル、「DTX8」はフラッグシップモデルの本質を継承したハイグレード・スタンダード・モデル。「DTX10」は「DTX900」の、「DTX8」は「DTX700」のそれぞれ後継となる。いずれもアコースティックデザインシェルを採用し、選べる2種類のヘッドタイプをラインナップ。カラーバリエーションはリアルウッドとブラックフォレストの2種類を用意する。


▲DTX10K-X RW。ヘッドタイプはTCSヘッド、カラーはリアルウッド

▲DTX8K-M BF。ヘッドはメッシュヘッド、カラーはブラックフォレスト

▲DTX10K-M BF(メッシュヘッド/ブラックフォレスト)、DTX8K-X RW(TCSヘッド/リアルウッド)

■ドラムトリガーモジュールDTX-PROX・DTX-PRO

サウンドの核となるドラムトリガーモジュールは、「DTX8」が昨年発売の「DTX6」と同じDTX-PROを採用、「DTX10」は新開発のDTX-PROXを採用している。両機種とも音質を最大限に追求し、著名なスタジオで録音された本物のサウンドとアンビエンスを忠実に再現し、高精細ステレオサウンドを実現。プレイヤーの演奏表現力をさらに広げる奥行き・広がりのある豊かなサウンドがより豊かな演奏を可能にする。また独自のヘッドホンアンプを電子ドラム用に開発。演奏者に届けるヘッドホンの音質にも最大限こだわった。また、「DTX10」にはBluetooth機能を搭載、スマホなどと接続してオーディオといっしょに演奏が楽しめる。


▲新開発のDTX-PROXは新たにLEDロータリーフェーダーを搭載。さまざまな機能を直感的にコントロールできる。DTX-PRO同様、KIT MODIFIERも搭載。

▲DTX-PROは3つのノブでサウンドメイクできるKIT MODIFIERを搭載。

ドラマーが求めるサウンドメイクををサポートするのがKIT MODIFIER。ノブを回すだけで自在にドラムサウンドを変化させることができる。サウンド全体の響きをコントロールするAMBIENCEノブは0~50%がスタジオで収録したアンビエンス、51~100%は高品質なデジタルリバーブとなる。COMPノブは音の粒を揃え、EFFECTノブは各ドラムキットの音源に最適化されたエフェクトをコントロール。カンタンかつ直感的な操作で音作りができる。

加えてDTX-PROXにはLEDロータリーフェーダーを搭載。キック、スネアなどそれぞれのインストに対してパラメーターの変更が可能。フェーダーセレクトノブで6つのプリセットから操作したい機能を選択し、直感的なコントロールが可能になる。入出力端子は最大8つのサウンドを個別に出力できるINDIVIDUAL OUTPUTのほか、PAシステムからモニター音を入力できるAUX IN、PCやスマホ/タブレット接続してオーディオ/MIDIを送受信できるUSB端子、そしてMIDIを IN/OUTを備える。

豊富なトレーニング機能も魅力。両モデルともリズム感を鍛える10種類のトレーニング機能、高機能なプログラマブルメトロノーム、レコーダー機能、さまざまなジャンルを学べる37のトレーニングソングを揃え、初心者から上級者まで日々のドラム練習に有用な機能を搭載し、上達をサポートする。

■選べる2種類のヘッドタイプを用意

▲左がTCSヘッドと打感イメージ。右がREMO社製2Plyメッシュヘッド。

ヘッドタイプはTCS(テクスチャード・セルラー・シリコン)ヘッドとメッシュヘッドの2種類から選択可能。TCSヘッドは内部に無数の気泡を含んだ発泡シリコン素材を使用し、静粛性、耐久性に優れ、適度な硬さとリバウンドにより、演奏時の自然な打感を再現、アコースティックドラムに近い打感で演奏が可能だ。また、スネアパッドには打点検知機能を搭載。新しい音源モジュールとのマッチングにより、さらに表現力が増している。一方のメッシュヘッドは新たに投入されるもの。REMO社製2Plyメッシュヘッドはヘッドテンションの調整が可能。スネアパッドには3つのセンサーを搭載し、繊細なスティックワークにも容易に反応する。

■ドラマーの心を刺激するアコースティックデザインシェル

▲「リアルウッド(RW: Real Wood)」カラーと「ブラックフォレスト(BF: Black Forest)」カラー。

ルックスを特徴づけているのが新たに採用されたアコースティックデザインシェル。ヤマハのアコースティックドラム工場で製造・塗装されたバーチ材のシェルで、バッジ、ラグ、フープなどパーツに関してもアコースティックドラムと同じものを採用。カラーはリアルウッドとブラックフォレストの2種類から選択できる。

■新開発のパッドとラックシステム

「DTX10」ではキックパッドとシンバルパッドに新モデルを採用。キックパッド「KP128」は、REMO社製2Plyヘッド+3層クッション構造で、強打から弱打までこれまでにない心地よい演奏感を実現。シンバルパッド「PCY175」は17インチの大口径ライドシンバルで、3ゾーン仕様であらゆる奏法に対応。DTX-PROXとのマッチングで繊細なシンバルワークが可能だ。


▲新採用のキックパッド「KP128」、シンバルパッド「PCY175」。

ラックシステムは両機種で異なる。「DTX10」の「RS10-HXR」はアコースティックドラム用のHEX RACK IIを使用。高い堅牢性と柔軟なセッティングを実現している。「DTX8」の「RS8」はL字型の脚部により安定性が向上。セッティングの自由度もアップ。いずれもクランプやシンバルホルダーにヤマハ製ハードウェアを採用している。


▲「DTX10」の「RS10-HXR」、「DTX8」の「RS8」。

■動画撮影や音楽制作に使えるアプリも用意

練習・録音/録画・演奏を強力にサポートするのは、新DTXと接続できるすアホアプリ「Rec'n'Share」。iOSとAndroidの両デバイスに対応し、お気に入りの楽曲の演奏・録音が可能。演奏動画の撮影、編集からアップロードまでカンタンに行える。「ドラム叩いてみた動画」の作成やドラムレッスン時の動画共有などさまざまな用途に対応するアプリだ。また、PC用には「DTX6」に引き続きDAWソフト「Cubase AI」が付属。録音・編集・ミックスなど音楽制作の基本作業をこれ一つで行える。

■発表会には今井義頼さん、川口千里さんが登場

オンラインで行われた製品発表会には、日本を代表する若手トップドラマーの今井義頼さん、川口千里さんが登場。まずは川口千里さんが、「DTX10KX」のリアルウッドモデルで、愛用している生ドラムと同名の「Absolute Hybrid Maple」という音色で演奏。TCSヘッドの魅力として従来のDTXパッドと同様、生ドラムから切り替えた時の打感のギャップが少ない点を挙げた。


「電子ドラムで練習して、本番をアコースティックドラムしますっていう時にあまりのギャップに思った演奏ができないとか、逆に今までアコースティックドラムでやってたパフォーマンスを電子ドラムでやってみようとなった時に、全然打感が違う! やりづらいってことも正直あったと思うんですよ。そこで演奏スタイルを変えて、工夫してやらないといけないというのが、電子ドラムに手を出しづらい要因になってたと思うんですよね。DTXパッドが出てからそのギャップが少ないな、と思っていて。なんならアコースティックドラムが横にあってがんがん叩いたあとに、すぐこっち(DTX)でやってくださいって言われてもある程度近いスタイルで演奏しても違和感がないっていうのが、このTCSパッドの一番の強みなんじゃないかな」と感想を述べた。

音源については「すごく自然になってます」と一言。「普段から私がうたってるフレーズを再現しやすい」「私は一音一音フルスイングで鳴らすというよりは、六連風のフレーズとか、速いテンポでもルーディメンツを生かしたフレーズで細かく埋めることが多いんですよ。そういう時にゴースト・ノートというか、落とした時の音、アコースティックドラムで10から1のダイナミクスがあった時に電子ドラムでは10から3くらいにしとこうかな、みたいな。ダイナミクスを無意識下でコントロールするんですね。ここまでしか発音しないから、これぐらいでやんなきゃいけないなというのをやってたんですよ。それがですね、こうして今日叩かせてもらって、めちゃくちゃそのコントロールをやらなくていいっていうのが、体感でわかっていて。なのでいつもどおりの10から1のダイナミクスを生かしきった演奏を、ほんっとうにしやすいです。なので、私の普段からのフレージングも出せるっていのがほんとにすばらしいと思っています。」


「さらにもう一つほんとにお伝えしたい」と触れたのは、操作のわかりやすさ。機械オンチという川口さんでも「触りやすい」「各パーツの設定が表に出ているので目視でわかりやすいし、感覚的にめちゃくちゃいじりやすい」と熱弁。さらに感動した点として、音を聞きながらハイハットのサイズをプリセットの14インチから普段使っている13インチに変更、ライドは大きいのが好きだからサイズアップする、さらにタムのピッチを上げるといった設定がカンタンにできることを挙げ、「自分の理想の音、やりやすい音にすぐたどり着ける感じは今まで以上。そこが強み」と締めた。

続いて「DTX8」でも同じ音色でプレイ。まずは「10よりはお手頃なんですよね」「いきなり一番高いグレードに手を出せるかな? という方にとっては、これなら手をだしてみようかなっていう気持ちになれる」とその価格に触れ、「個人的に好きなのはラック」と「DTX10」と「DTX8」の違いに言及。「DTX10」がアコースティックドラムらしいセッティングなのに対し、「DTX8」は「電子楽器チックなセッティング」「見てて振り切っていてかっこい」とそのデザインを評価した。音源についても一言。「私が普段うたっているフレーズを演奏できるすばらしい音になっているので、使いやすいドラムセットだと思ってます。」


今井義頼さんはメッシュヘッドタイプの「DTX10」で、お気に入りの「Swedish Metal」という音色を選択。ロック~メタル寄りのヘヴィなサウンドで、すさまじい演奏を聴かせた。「リハーサルから叩かせてもらって、本番は息があがっちゃいました。っていうのも、このセット、すごい気に入っちゃいました」とまずは笑顔。モジュールの音の感じとメッシュヘッド、これがすごくなじみがいい」とマッチングの良さについてコメント。「とにかく自然な生ドラムの音の出す感覚、僕が持ってる生ドラムの感覚にすごく近い」「どんどんこのセット全体に自分のプレイが引き出されていく感じ。その感覚のためについついいっぱい叩いちゃいましたね」「自分のエモーショナルな演奏のやりたいこと、っていうものにちゃんとセットがついてきてくれる感じっていうんですか。こちらの熱い思いに、弱々しいんじゃなくて力強くついてきてくれる感じ」「楽しく演奏させていただきました。」

また、メッシュヘッドは生ドラム同様の構造でチューニングキーで締め付けて張る形となっているが、「これがまたいいんですよ」「張り気味にするといつものピッチにできるし、緩めるとロックな感じ。感触がいろいろ自分の自由にいじれる」と説明。今回も自分がイメージどおりに叩けるようチューニングしたという。また、ドラムセット全体について気に入っている点を「見た目ですよ、見た目」と力説。「生ドラム同様の見た目で、どーんとセットできる。パッドも生ドラムに近い大きさで、いつも叩いている自分のドラムセット、要塞セットじゃないですけど(笑)。僕いっぱい付けるんですけど。その広さの感覚っていうものをすごくリアルに再現できた。今日はいつもの自分の感覚で演奏するための、自分のある意味“城”にカンタンに出来上がる。まず見た目ですね。これが演奏をするうえでの気持ちをすごく高めてくれるっていう意味で、非常にこれは助けられたな、っていう感じがします。」


音質についてはかねてから開発者から強化されたと聞かされていたという今井さん。「イヤホンで聴いてみてびっくりしました。シンバルの音がすごい長いんですよね。エレドラって言うと、音を長い時間鳴らすオーディオデータって重いので、そんなに長い音がいっぱい入らないはずなんですよ。それがすごく生の音を見事に収録して、いい音で鳴ってくれて。シンバルの音の長さって多分、今気持ちよく叩けた感覚、これにすごく関係してるなって思ったんですよね」。さらにシンバル回しをした際のサウンドも「自然とかいうレベルじゃないんですよ」と気に入った様子。「エレドラを叩いていると、やっぱり“エレドラ”って感じになっちゃうんですけど、まるで生のドラムを叩いているかのように僕の演奏を引き出してくれた」と感激しきり。

音色の豊富さにも触れ、「太くて強い音」というブレイクビーツっぽいプリセット「45RPM」や、カウベルやシェイカー、ティンバレスやアゴゴを収録したプリセット「Percussion」の演奏も披露。「ずっと叩いちゃう。夜まで叩いちゃうので、これぐらいにしておきたいと思います(笑)。」

さらに「DTX8」も「Swedish Metal」音色でラウドにプレイ。「とにかくこの音が気に入っているので、今日は多めに叩いているんですけど」と言ったあと、話題は両モデルの違いについて。ラックは「DTX10」が銀色で「DTX8」が黒だが、「(新しい)シェルと色が合っている」「(DTX8は)廉価版といいますか、少しスペックは下がると言われているんですけど、僕としてはそういう感じはまったくない」「この値段でこのクオリティは恐ろしいなっていうくらいのすばらしいキット」と評価。

自身の作品でもDTX-PROを使ってレコーディングしたことを明かし、「エンジニアさんもこのモジュールの音については絶賛しておりました」と続けた。「今後もこのキットで何ができるかなっていうことを、僕も楽しみにしています。」


▲ラストは二人で。今井さんが制作中の作品において川口さんとのツインドラムでDTX-PROを使ってレコーディングされた楽曲を演奏。

▲生ドラムのサウンドとブレイクビーツのサウンドでお互い別のパートを叩きながら曲の途中入れ替わるというセクションがある、今井さんいわく「生ドラムにはできない新しい世界を切り開く」楽曲で圧巻のプレイ。

製品情報

◆DTX10K-X RW/BF
価格:528,000円(税込)
◆DTX10K-M RW/BF
価格:473,000円(税込)
◆DTX8K-X RW/BF
価格:341,000円(税込)
◆DTX8K-M RW/BF
価格:286,000円(税込)
※品番の末尾はヘッドタイプとシェルカラーを表す(X:テクスチャード・セルラー・シリコン・ヘッド、M:メッシュヘッド、RW:リアルウッド、BF:ブラックフォレスト)。
発売日:2021年9月25日
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