【レポート・インタビュー】城之内早苗、『DAM CHANNEL演歌』の五代目MCに就任。中澤卓也からバトンタッチ

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■「私が一番間近で楽しめるファン代表みたいな感じ」
■城之内早苗(DAM CHANNEL演歌 五代目MC)インタビュー


1986年に「あじさい橋」で演歌歌手としてデビュー、今年で歌手生活35周年記念を迎えた城之内早苗が、『DAM CHANNEL演歌』の五代目MCに就任した。前任の四代目MC中澤卓也から番組を受け継ぐのは一見意外な気もするが、インタビュー中に城之内が触れているように中澤が演歌・歌謡界のアイドル的な存在だとすると、アイドルグループ・おニャン子クラブ在籍中に演歌歌手としてソロデビューした城之内へのバトンタッチは正統的ともいえる。そんな城之内に、MCへの意気込みと、最新両A面シングル「恋衣/あなたで良かった」と森昌子「越冬つばめ」のカバーへの思い、さらに35周年を迎えた心境について話を聞いた。

   ◆   ◆   ◆

──『DAM CHANNEL演歌』五代目MC就任おめでとうございます。就任にあたっての率直なお気持ちを聴かせてください。

城之内:ここ数年、『DAM CHANNEL演歌』にお世話になる機会が何回かあって、「こういう番組があるんだ、楽しいな」と思っていたんですけど、その番組に自分がMCとして関われるというのが嬉しくて、「えっ!? 私でいいんですか?」って思いました。なので、ワクワクしておりますが……歴代MCの方は、私より若い方が多かったんですよ。20代、30代、50代みたいな(笑)。だけど、そんな私だから出せる上から目線的な(笑)ところもみなさん楽しんでいただけたらいいかなあって思います。


──城之内さんはもともとトークがお上手ですよね。

城之内:上手じゃないんですよ。歌とおしゃべりとどっちが大変だろうって考えるんですけど、やっぱりおしゃべりも大変です。

──これまで、こうした司会進行役をやったことはありましたか?

城之内:同じような感じで、ゲストに歌い手さんに来ていただく番組をテレビ埼玉で2年ぐらいやらせていただいたり、ラジオ番組とかはあります。人からお話をいろいろと伺えるのがすごく楽しいです。自分のことを言うよりもみなさんがお話してくださるのがすごく面白いので、大好きですね。歌手って、聴いてくださるみなさんに楽しんでもらおうという気持ちが強いんです。みなさんそういうつもりでお話してくださると思いますし、私が一番間近で楽しめるファン代表みたいな感じでお届けできるので、幸せですよね。

──ファン目線で聴きつつ、たまに上から目線になる?(笑)

城之内:それはもう、たまには一応威厳を見せないと(笑)。でもこの世界だと、私が35周年といっても、中堅なんですよ。だって、北島三郎さんとか大先輩方を見ると、もう60周年とかなので、それを考えるとまだまだ半分なんですよ。だから先輩がゲストに来たらへりくだり、後輩が来たら上からっていう風に、色々使いわけながら楽しくやろうと思います(笑)。

──四代目MCの中澤さんは、ほぼ全員先輩だったので緊張感もあったようですけど、それを考えると後輩も先輩もたくさんいる城之内さんならではの幅広いトークができるのではないでしょうか。

城之内:できるかどうかはわからないですけど、新人のときって、案外先輩に甘えたくても甘え方がわからないんですよ。でもこの歳になってようやく甘え方がわかるようになってきたんです。先輩方も、後輩に甘えてほしいという部分もあるんですけど、なかなか後輩が甘えてこないっていう感じで。だからその中間でうまく立ち回れればいいなと思います。

──先ほど、中澤さんとMCの交代式が行われましたが、いかがでしたか?

城之内:なんか、すごくショックだった。

──ショックといいますと?

城之内:「みなさんにお知らせがあります。今日で卒業します」って言ったときに、「ええっなんで卒業しちゃうの!?」って(笑)。中澤さんの声で始まるひとときってすごく魅力的だったので、それがなくなっちゃうとみなさん寂しいでしょうし、あと1年やってもいいんじゃないの?って。

──そこはやっぱりファン目線なんですね(笑)。

城之内:そうそう(笑)。


──中澤さんとは「夏ざかり ほの字組」をデュエットされましたけど、意外な選曲でした。

城之内:なんであの曲選んだの?って思いました。彼とはこの間、浜圭介先生の「北空港」という、演歌のデュエット曲の代表作をしみじみ歌わせていただいたんですけど、「なぜこの曲?!」って聞いたら、ディレクターの好みだったみたいで。でもこういう場でもないと歌わない曲だと思うので。隣を見たら中澤君がリズム取りながら歌っていて、絵面的にもいいかもって思いました。

──中澤さんの歌う姿はちょっとトシちゃんぽかったですよね。

城之内:そう、やっぱり演歌界のアイドルじゃないですか? だから私も変な話「役得、役得」って思いつつ研ナオコさんのパートを歌ったら、どうも勝手が違ったらしくて、そこを彼が紳士にフォローしてくださって、また「役得、役得」みたいな(笑)。本当に楽しかったです。

──ちなみに城之内さんはデビュー前にカラオケって行ったことありましたか?

城之内:その頃はまだカラオケって「カラオケスナック」しかなかったんです。1人歩きできる頃にはおニャン子クラブに入っていたんですけど、その後にポツポツとカラオケBOXが出てきたんです。だから、カラオケは父に連れられてスナックに行った記憶しかないんですよ(笑)。本当に、初めてカラオケルームに行ったのはここ10~15年ぐらいなんです。お友だちと歌の練習のために行ったんですけど、本当に自由だなって思いました。そうしたら、ありがたいことにレコード会社の地下にカラオケルームがあって、DAMの最新機器が入ってるんですよ。四方の壁にいろんな映像が映写される環境の中で、曲を選ぶ機器もすごく気が利いていて、ちょっと何かしゃべるだけでも反応してくれるんです。ここまで時代は進んでいるのかって、驚きました。最高ですね。

──4月に予定されていたDAM★とも、徳間ジャパン合同企画<第一回城之内早苗オンラインカラオケ大会決勝大会>が残念ながら延期になってしまいましたけど、城之内さん自ら数曲を動画で事細かにワンポイントアドバイスしていましたよね。

城之内:本当にねえ。このご時世なので、カラオケ大会もオンラインですごく楽しみにしていたんです。スタッフみんなでどの方を選ぶか話あって決めたにも関わらず、本当に残念です。だからこれはいつかやりたいと思っております。

──アドバイス動画でも取り上げられていた「恋衣」は芸能生活35周年記念のダブルA面シングル(「恋衣/あなたで良かった」)として発売されました。改めまして、35周年おめでとうございます。

城之内:ありがとうございます。めでたくないですよ~(笑)。

──いやいや、おめでたいですよ(笑)。「恋衣」と「あなたで良かった」はとても対照的な曲ですね。どんな思いのある曲ですか?

城之内:本当に対照的な曲でどちらも良い曲なので、選びきれなくてダブルA面になったんです。そもそもこの曲は、35周年で一区切りというところで、どなたか曲を書いてもらいたい人がいないかって聞かれたときに、だったら私が大好きな森昌子さんの代表曲「越冬つばめ」を書いた石原信一さん、円広志さんに書いてもらいたいということで、1つぐる~っとつながって、「恋衣/あなたで良かった」が誕生したんです。

──なるほど、2021年2月3日に発売された「恋衣/あなたで良かった」DX盤で「越冬つばめ」をカバーされていますが、もともと尊敬する森昌子さんの「越冬つばめ」を書いたお2人に35周年記念シングル曲を書いてもらおうというコンセプトが先にあったわけですね。

城之内:じつはそうなんですよ。そこをちゃんと伝えたいなって思います。

──円広志さんといえば自ら歌ったヒット曲「夢想花」のイメージが強いですが、「越冬つばめ」は作曲家としての代表作ですもんね。

城之内:そう、それを知らない人が多いんですよね!? ご本名名義(篠原義彦)だから、意外にみんな「え~!?」って言うんです。私は「え~今更!?」って思うんですけど(笑)。でもそういう方に書きおろしていただけるっていうのは、本当に幸せですし、何よりも35年過ぎても、「あ、私やっと歌手になれたんだ」って思う瞬間なんですよね。「憧れの方の歌と同じ作詞作曲の先生に、テレビの中にいるあの円広志さんに、曲を書いてもらったんだ。私すごいじゃん!」って(笑)。結構、いろんなシーンでそう思うことが多くて、改めて歌手になれて幸せだなって思います。

──今回DX盤で「越冬つばめ」をカバー収録したのは、どんな経緯があったのでしょうか。

城之内:「恋衣/あなたで良かった」を発売して(2020年1月29日発売)、コロナ禍でキャンペーン等が何もできなくて。でも良い曲だから、コロナ禍だけど改めてもう1回やりましょうってスタッフさんがみんなが言っていて。私もそれはありがたいと思ったんだけど、ただもう1年やるとなると、何か形を変えないとできないということで、『DX盤』にして、2曲入りだったものを1曲プラスしましょうと。じゃあ何をプラスするかってなったときに、やっぱりこのシングルを作る元になっている森昌子さんの「越冬つばめ」にしましょうって言われたんです。でも、「私が「越冬つばめ」を歌うんですか!?」って悩んだんです。

──それだけ、特別な思いがあるんですね。

城之内:でも、「今歌わないと」って言われて、確かにそうだよなって。昌子さんはこの曲を20代で歌われたわけだし、だったら自分なりに挑戦してみようって思って、何か1つ踏ん切りをつけて歌うことにしたんです。

──歌ってみていかがでした?

城之内:むずかしかった(笑)。むずかしかったけれども、昌子さんの声がちゃんと自分の中に入っていて、自分の声で歌うと「あ、ここは昌子さんの声じゃない、ここは昌子さんのこぶし回しじゃない」って、拒絶反応みたいなことが起こるんですよ。でも、「違う」って思うのが、私の声、私の歌なんだなって。自分がファンであることも発見させていただいたんですけど、自分が歌手であることも、森昌子さんの「越冬つばめ」で発見をさせていただきました。

──ありがとうございます、思いが伝わってきました。32周年のときにインタビューさせてもらった際に、「これからの30年は地に足をつけて進んでいきたい」とおっしゃっていましたが、35周年を迎えた今はどのような心境ですか。

城之内:浮き足立ってます(笑)。だって、こんな世の中になると思っていなかったですから。当たり前のことが当たり前でなくなっちゃうと、どう対応していいかわからないですよね。でも、娯楽っていうのは無くても人は生きていけるけど、やっぱりあった方が潤うじゃないですか?この1、2年、自分の仕事とも向き合うっていうことも考えさせられたし、地に足をつけてやっていきたいと思ったけど、その地が揺れることもあるんだなって。だからこそ今はじっと耐えて、少し浮足立っているぐらいにして、いろんなことができるようになったときに改めて地に足をつけて、長く歩いていきたいなって思います。

取材・文◎岡本貴之

城之内早苗 リリース情報

「恋衣/あなたで良かった」
発売中
【DX(デラックス)盤】12CDS TKCA-91335 ¥1,350(税込)
【通常盤(CD)】12CDS TKCA-91230/MTS ¥1,350(税込)
【カセットテープ】TKSA-21520 ¥1,350(税込)

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