【コラム】ポルノグラフィティからのエール

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ポルノグラフィティが“新始動”を宣言し、再び表舞台に帰ってきた。

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メジャーデビュー20周年の集大成として実施した2019年9月の東京ドームでのライヴ後、メンバーそれぞれのソロ活動に打ち込んでいたポルノグラフィティが、約2年の時を経てついに動き出す。その皮切りとなるのが、9月22日にリリースされるシングル「テーマソング」だ。すでに先行配信がスタート、YouTubeにドキュメントムービーが公開中の、新藤晴一(G)が作詞、岡野昭仁(Vo)が作曲を手がけた表題曲は、最近のポルノグラフィティを追えていないような方にも、ひさしぶりにぜひ耳を傾けてもらいたい! そう激推しできるほど、会心のナンバーに仕上がっている。



まず、サウンド面から「テーマソング」を見ていこう。マーチ的なドラムで幕が開け、歌詞に描かれた青空の光景を活気づけるハンドクラップ、その裏で鳴る爽やかなアコギの音、まだ脈打っている命の鼓動が確認できるような4つ打ちのビート、ストリングス隊の勇壮な響き……と、開始30秒足らずで色とりどりの芳しさが心の琴線に触れてくる。この淀みない流れが早くも素晴らしい。

ピアノの伴奏、BメロのEDMテイストを孕んだアレンジ、鮮やかな転調など、その後もキャッチーな歌をより引き立てる粋なアプローチが続く中、“壮大”というワードとともに開けていくサビの輝きはとりわけ印象深い。ここで“フレーフレー”と歌われる切ないメロディに思わずグッときてしまうのは自分だけじゃないはず。2回目のサビでは、コーラスのパワーがさらに増し、いつの間にかポルノグラフィティの励ましに力をもらっていたと気づかされるような展開になっているのもニクい。終盤のシンガロング“ラララ”を経て、冒頭と同様の歌詞がまったく違った感触で聴こえてきたのなら、それは曇っていた心にちゃんと一筋の光が差した証と言えるだろう。

歌詞についても、ずいぶん唸らされた。ポルノグラフィティが「テーマソング」に込めたのは、混沌とした時代の中でプラスもマイナスも受け止めて生きていこうというメッセージ。しかし、多くの人々がもうギリギリで持ちこたえている世の中に対し、闇雲にポジティブな言葉を歌い放つだけじゃその真意は伝わらない。苦しいコロナ禍において、彼らのエールはどうしてブレずに届く、響くのか。それは例えば、先に述べたライン──“フレーフレー この私よ そしてフレー 私みたいな人”をはじめ、直後の“ともに行こう”など、そこかしこに対等の目線が感じられることが大きいと思う。誰かに振りかざすように歌うのではなく、まずは自分を奮い立たせるように。自分に向けてフレーフレーと歌う。起点がしっかりと足元にあるゆえ、「テーマソング」はやさしく、懐の深い楽曲になったのではないか。

“「ただ自分らしくあれば それが何より大切」 などと思えてない私 何より厄介な存在”という2番の歌詞もいい。この一節で、現代社会に生きる複雑な感情を抱えた人たちの姿がありありと浮かぶし、そんな状況にある人にも届く歌にするため、想像を必死に巡らせるポルノグラフィティの苦悩も同時に伝わってくる。どうにかして普遍的な魅力を曲に宿そうと、さらに一歩踏み込んだ表現に挑み、最高の完成形に漕ぎ着けたのがきっと「テーマソング」なのだ。そう考えると、やっぱりポルノグラフィティってすごい。約4分の楽曲にさまざまな要素を加えつつ、ここまでナチュラルに聴かせるのだから。しかも、もう何度も聴いてきた馴染み深い曲のように。

ポルノグラフィティは、一発撮りの演奏で見せる『THE FIRST TAKE』でも「テーマソング」を披露。大反響となった初登場の「サウダージ」(公開から1週間で680万再生を記録!)に続き、岡野昭仁の歌唱力の高さが注目を集め、Twitterのトレンド入りを果たすなど、今回も話題を呼んだ。パフォーマンス前には、岡野と新藤が約2年ぶりの新曲について語っている。



『THE FIRST TAKE』のパフォーマンスでは、岡野がマイクに何度もぶつかりながら熱く歌うさまから伝えたい想いの大きさが見て取れる。新藤が弾くエレキギターのフレーズがくっきりと聴こえるのも嬉しい。途中、“その胸は 震えてるか?”のところで岡野がこちらを指差すシーンはまるでライヴのよう。コメント欄にも“一発撮りとは思えないクオリティ!”“昭仁さんの動作一つひとつに心を動かされた!”“また大好きな曲が増えました”“つらいことがあってもこの動画を観ればがんばれそう”“元気をもらえました!”など、絶賛の声があふれた。



そして、シングル「テーマソング」のカップリングには、2020年12月4日に東京・LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)で行なったハイブリッド型ライヴ『CYBERロマンスポルノ'20〜REUNION〜』のアンコールで初披露され、その後改めてスタジオレコーディングされた「REUNION」。新藤が作詞・作曲を手がけた「IT'S A NEW ERA」をセット。この2曲もコロナ禍の世界を踏まえた、今にふさわしい出来栄えとなった。また、初回生産限定盤には同ライヴを全曲収録したBlu-rayまたはDVDが付くので、こちらもお楽しみに。



9月25日(土)からはシングル「テーマソング」を引っさげて、20ヵ所28公演に及ぶ全国ツアー『17thライヴサーキット“続・ポルノグラフィティ”』を開催するポルノグラフィティ。充電期間を経た彼らの今後の動きも見逃せない。

文◎田山雄士

ニューシングル「テーマソング」

9月22日(水)リリース
■収録曲
1.テーマソング
2.REUNION
3.IT’S A NEW ERA

■ダウンロード・ストリーミング配信日:9月8日(水) ※表題曲「テーマソング」のみ
・初回生産限定盤:【CD+BD ¥5,500(tax in)】【CD+DVD ¥5,000(tax in)】
・通常盤:¥1,500(tax in)

<初回生産限定盤 特典映像内容>
昨年12月に行われた“CYBERロマンスポルノ’20 ~REUNION~”のライヴ映像を全曲収録。

全国ツアー<17thライヴサーキット“続・ポルノグラフィティ”>

※全国20箇所・28公演
9月25日(土)東京 LINE CUBE SHIBUYA ※オフィシャルファンクラブ「love up!」会員限定公演
10月1日(金)静岡 静岡市民文化会館 大ホール
10月5日(火)兵庫 神戸国際会館こくさいホール
10月7日(木)滋賀 滋賀県立芸術劇場びわ湖ホール
10月8日(金)奈良 なら100年会館 大ホール
10月11日(月)大阪 オリックス劇場
10月12日(火)大阪 オリックス劇場
10月15日(金)福岡 福岡サンパレスホテル&ホール
10月16日(土)福岡 福岡サンパレスホテル&ホール
10月25日(月)宮城 仙台サンプラザホール
10月26日(火)宮城 仙台サンプラザホール
10月28日(木)群馬 高崎芸術劇場 大劇場
11月2日(火)高知 高知県立県民文化ホール 
11月4日(木)香川 サンポートホール高松
11月9日(火)石川 本多の森ホール
11月10日(水)石川 本多の森ホール
11月15日(月)神奈川 神奈川県民ホール 大ホール
11月25日(木)広島 広島文化学園HBGホール
11月26日(金)広島 広島文化学園HBGホール
11月28日(日)愛知 アイプラザ豊橋
11月30日(火)愛知 名古屋国際会議場センチュリーホール
12月1日(水)愛知 名古屋国際会議場センチュリーホール
12月6日(月)栃木 栃木県総合文化センター メインホール
12月8日(水)千葉 千葉県文化会館 大ホール
12月13日(月)北海道 札幌文化芸術劇場hitaru
12月14日(火)北海道 札幌文化芸術劇場hitaru
12月21日(火)東京 東京ガーデンシアター(有明)
12月22日(水)東京 東京ガーデンシアター(有明)

チケット代:全席指定11,000円(税込)
※本ツアーは、皆様に安心してご来場いただけますよう、お客様、出演者、スタッフ、すべての公演関係者の新型コロナウイルス感染症対策を徹底し、政府および各都道府県の方針とガイドラインを受け、定められた人数上限・収容率の範囲内で開催致します。
※8月4日(水)よりポルノグラフィティオフィシャルファンクラブ「love up!」のチケット先行受付開始。

※その他詳細は下記特設サイトをご覧下さい
https://sp.pornograffitti.jp/17lc/

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