【インタビュー】ブラン・ニュー・ヘヴィーズのオリジナル・リーダー“ヤン・キンケイド”のユニット“MF・ロボッツ”、「10年後に見てもまだかっこいいと思うものを」

ツイート

ブラン・ニュー・ヘヴィーズ(以下、BNH)のオリジナル・リーダーとして圧倒的なセンスを持つヤン・キンケイドが、BNHでメイン・ヴォーカルを務めていた歌姫ドーン・ジョセフとタッグを組んだユニット、MF・ロボッツとしてセカンド・アルバム『Break The Wall』をBBEからリリースする。

先行発売されルイ・ヴェガやトレヴァー・ネルソンが強力にサポートしているシングル「Happy Song」や「Good People」を筆頭にデヴィッド・ボウイ、レニー・クラヴィッツなどのバックを務め、超一流のセッション・ミュージシャンであるベーシスト、ゲイル・アン・ドーシーやヴルフペック・コレクティブのメンバーで、ソロ・アーティストとしても活躍中のギタリスト、コリー・ウォング(「Shine」「Make Me Happy」参加)などの著名人のゲスト参加し、インコグニートや現行TBNHなどのサウンドにも通じるアップデートされたブリット・ファンクを展開した話題作と言えるだろう。

まずはアシッド・ジャズの全てを知る男、ヤン・キンケイドのインタビューをお届けしよう。

◆  ◆  ◆

■ファンクやソウルはカルト的な支持を保っていて
■それこそがこのシーンの強さだと思う

──MF Robotsはどのように結成されたのでしょうか? ジョセフさんは、あなたと出会う前に、どんな音楽活動を行なっていたのですか?

ヤン・ キンケイド(以下、キンケイド) ドーンはかなり売れっ子のセッション・シンガー&ソングライターとして、数年前から確立されたキャリアを持っています。僕と出会う前に、マイケル・マクドナルド、シーロー・グリーン、カイリー・ミノーグ、ラマゾッティ、スパンダー・バレー、クレイグ・デイヴィッド、フィル・コリンズ、リック・アストレーなど、幅広いアーティストと共演を果たしています。BNHのメンバーとしてドーンと出会いました。エンディア(ダヴェンポート)が公演に出られないときの代役者を探していたときに、誰かに素晴らしい歌手がいると言われ、推薦されたのが彼女。会った途端に意気投合し、すぐに二人で作曲し始め、相性が良かったんですね。その後、時が経つにつれてバンドにいることが不満になり、MF・ロボッツを結成するに至りました。

──あなたにとってロンドンはどんな街ですか?


キンケイド ロンドンは、本当の意味での「メトロポリス」であり、世界中の大都市の多くと同様に常に流動と変化している多忙な都市であり、また未だに多くの人がこの街が紹介している文化と音楽を求め訪れている都市ですが、UKの他の都市同様、繁栄したカルチャーと音楽シーンが存在します。若者の文化は活発的で、ジャズ・シーンとそれから派生されたすべてのシーンは活性化された感じがします。いいタイミングで新世代の若いプレイヤーたちが登場したと思います。他ジャンルの音楽もまた繁盛していて、近年の技術革新により、今ではより音楽制作、そしてオンラインでの視聴者の獲得、ソーシャル・メディアとインターネットを介した世界中の人々へのリーチするのが、これまでになく簡単になりました。文化は常に進化し続けており、ロンドンは多民族社会で構成されており、それぞれの文化の意見と影響が調和/混合され、音楽、アート、文学や他のカルチャーを通して、多くの逸話を語れられる、新たな雑種が産み出されています。ロンドンは、常に世界に分かち合える、提供できるものを持っていると言えるでしょう。


──いまはコロナ禍でロンドンは大変だと思います。ヤンさんの今のライフスタイルは?

キンケイド 今回のパンダミックは全世界に影響を与えました。 2020年はとてもショックな年であり、皆さんに取って大変革であり、皆パンダミックスが投げかけ、発生させた問題に対して変化し、余儀なく対処しなければなりませんでした。我々個人について語ると、本作のミックスを運良く、最初のロックダウンが2020年の3月から始まる1週間前に終わらせることができました。その時点で、本作を完成する残りの作業がマスタリングを行うことでした。ロックダウン中にアートワークの作業を行う必要があり、また本作用の写真撮影は自宅で行いましたが、他の作業はオンラインを通じて行いました。困難なことはライヴができないことであり、結局予定されていたすべての公演はキャンセルされ、何公演かは延期され、他のほとんどは来年まで延期されました。もちろんライヴの延期は経済的な大打撃でしたが、何とか生き延びることが出来ました(笑)。そして最も酷いことが、我々がとても愛してやっていることですが、バンドと一緒に居てライヴ演奏し、また友達と家族と会えないことでした。今、ワクチン接種のプログラムが上手く進んたお陰でこちらの状況が大きく変わり、ライヴができるようになり、他の活動が再開し始めましたが、全世界の状況を見ると元通りに戻るまで多くの道のりを辿り着かなければならないかと思います。

私とドーンは、本作の制作をし始める前に、ロンドンから南海岸沿いに引っ越しをしたので、海、そして田舎に住むというすべての利点を受け、天候のお陰で屋外に多くいることができました。それにロックダウン中の多くの人々と同様に、家の修繕を多く行いました(笑)。料理、読書、映画鑑賞と、心身の健康に気を使ってましたね。ドーンは自分で裁縫して衣装を作っていました。一方の私は多くのレコードを聴きまくっていました。現在はロックダウンが解除されたので、我々はまた多忙で、いくつかの公演を行い、すごく楽しみにしている本作の宣伝の準備に入っています。



──ところで、BBEレコーズ代表のピーター(・アダークワー)とはどのようにして出会ったのですか? あなたにとってBBEレーベルとは?

キンケイド 新作を作り始めるころにピーターと初めて会いました。レコード・コレクターとして、もちろんレーベルのことは知っていたし、我々は似たような業界で活動しているので、共通の友人がたくさんいましたし、ピーターのことは他からの評判を通じて知っていました。BBEはファンの趣味はもちろん、リリースしている音楽の歴史と多様な影響を深く理解し、多岐に渡り、幅広い音楽を出しているレーベルだと思います。我々と同様にピーターと彼のスタッフは音楽に対して情熱を注いでおり、リリースしている作品の品質と芸術性に関して細心の注意を払っており、常に忠実な形で出しているお陰で、音楽業界の中で非常に尊敬されていると思います。ジャズ、ヒップホップ、ファンク、ソウル、ハウス、ディスコやアフリカン・ミュージックなどどちらにせよ、彼らはレーベルとして、どのジャンルの権威であることで知られています。情熱と愛情を注ぎ、世界中の音楽コレクターの間で共有している素晴らしい音楽を宣伝し、広げていると思います。


──ヨーロッパでのファンクやソウルバンドの状況を教えてください。またライブに関しては?

キンケイド ファンクとソウルは、多くの新しいバンドや全く新しい世代が興味を持ち始めながら、ヨーロッパと世界中の音楽ファンに変わらず人気がある、大まかな印象を持っています。このシーンはコマーシャルなシーンではないかもしれないが、小さなクラブやアンダーグラウンドなパーティで盛り上がっており、カルト的な支持を保っていて、それこそがこのシーンの強さだと思うんです。ライブに関してですが、多くのオファーが少しずつ来始めていますが、今回のパンデミックでは特に娯楽とコンサート事業は酷い状況です。国々がそれぞれの状況により元に戻るまで、かなりの時間がかかるでしょうね。ツアーに出るのは待ち遠しいし、我々が最善に出来ること、それはワクワクさせるようなMF・ロボッツの公演を行うことだと思っています。


──スーパープロデューサーのあなたは何がきっかけで音楽の制作を始めたのですか? それと、あなたの音楽的なバックグラウンドを教えてください。

キンケイド 恐らく私は、プロデューサーとはどんな仕事なのか知らず、偶然にプロデューサーになったと言えるでしょう。10代前半のころからレコードを買い始め、それからずっと続けており、多くのジャズ、ファンク、ソウル、ヒップホップ、レゲエ、ディスコなどすべてのブラック・ミュージックのスタイルや少しのロック、ブラジル・ミュージック、サントラ、ラテン・ジャズとサルサなどの多大な、多岐に渡るコレクションを所有していますが、私自身のツボや、自身の耳と魂を感知する音楽であれば何でも持っています。

アルバムに参加しているミュージシャン軸やプロデューサー軸で別の音楽を聴いたり、アルバムのバック・カヴァーに明記している情報を読み漁り学んだり……若いころから同時にピアノを弾くことを勉強し、10代の前半からはドラムを教えて貰い、気に入っている音楽は、演奏したいと思うようになりました。バンドに入りプレイし始めたころに、どのようにあのサウンドを出せるのか、どのようにグルーヴが構築されたのかを、レコードから学んだ知識を応用し、具現化しようと試みていました。頭の中のアイディアを具現化するような作業は昔から好きだったんです。クィンシー・ジョーンズ、チャールス・ステップニーや多くの他のプロデューサーは私自身のアイドルでしたし。彼らが静寂から魔法を創造する方法に圧倒されます。そうこうしているうちに、私自身の制作スキルが良くなり、プロデューサーとしての仕事はその楽曲の良さを最大限に引き出し、ミュージシャンとエンジニアは、リスナーに感動を与える完成品を創造するのを指示することだと思っています。音楽作品がどのように聴こえるのかというビジョンと、それを具現化できる知識と適切なミュージシャンが必要。言い換えると、素晴らしいクリエーティブ・チームが必須なんです。私に取って、作品を手がけることは、自分自身の分身みたいなものであり、どんな気持ちを相手に伝達したいのか……それにミュージシャンであり、他の気の合う人と一緒に音楽制作のプロセス全体を行うことに大興奮するんです。


──MF・ロボッツはさまざまな音楽と融合し、発展していると思います。そして過去の先人もアーティストの音楽も継承していると思います。あなた自身はどう思いますか?

キンケイド もちろんその通りです。私とドーンは常に音楽を聞き続けています。もし聞くのを辞めたら、学ぶことも止まる。過去の大御所から計り知れないほど学ぶことがあります。彼らの音楽は生き続けます。過去へのオマージュにしか聴こえないように、現在のリスナーに対して、関連性を持たせるために新しいテクノロジーやモダンなサウンドを取り入れようと試みているんです。


──ジャイルス・ピーターソンなどが発信している最新の音楽などに影響は受けますか? また彼の古くから変わらないジャズ、ソウル、ブラジル、アフリカ音楽なども好きでしょうか?

キンケイド もちろん多くの最新の音楽に影響され、音楽に関して引き続き学び続け、自身のスキルを進化させるために、音楽の膨大な知識を持っているジャイルスみたいなDJの番組をよく聴いていますが、何か学ぶことのできる、何かしら感動させる音楽でなければなりません。私自身の音楽の旅と成長に取って、DJとセレクター、音楽的なテイスト・メーカー達はいつも重要な役割を果たしています。常に新作/旧作を聴いており、また今まで聴いた音源を薦められ、音楽を手がけるひとつの刺激になる材料でもあります。


──最初のアルバムをリリースした後、メディアからも高い評価を受け世界中をライブやPRで回ったと思います。新たな生活は変わりましたか? あなたはもうBNHで世界中で大成功を収めているのですが、また違った新たなユニットになって何か変わりましたか?

キンケイド 間違いなく、MF・ロボッツを結成してから私の人生は良くなりました。私とドーンは、自由でオープンな、制限がない、エゴで喪失していない環境で情熱を注いだ音楽を作る意気込むスピリットで一緒になりました。私はBNHに長い間加入しており、最後の3年はドーンとバンドのメンバーでした。そこで彼女と会ったんです。しかしメンバー間の関係はすでに下降気味で……私は音楽に対する熱意を再び得たかったんですね。ドーンといくつかの素晴らしい曲を共作してに気づいたことは、そのワクワク感を封じ込めたい新しいプロジェクトを始め、熱意を持っているミュージシャンたちと一緒に音楽をやりたくなったんです。MF・ロボッツでは全てその要素が勢揃いしていて、ドーンたちと一緒にいると30年前に持っていた音楽に対する気持ちが蘇って……僕らが作り出している音楽は、全く新しい観衆に受けて、BNHとは別の人気の波に入り、そのことが我々をワクワクさせています!


──あなたは過去にも日本でプレイしたことがありますよね? またどの都市やフェスティバルが最も印象に残っていますか?

キンケイド 私は世界中で演奏しています。その中でも私の最も好きな観衆は日本にいるんです。言葉(音楽が言語だ!)を超越する、音楽の知識と敬意が日本にはあり、観衆により接近できるような気がします。MF・ロボッツとしてこれまでヨーロッパ全土で演奏しており、南アや南米などの新境地での大規模の公演を行う予定でしたが、パンデミックが起き延期になりましたが、いつかたどり着くかと思いますが、日本でこのバンドがライブを行ったら、絶対盛り上がるに違いないと思うので、そうなるまで待ち遠しいです!


■現在の良質な制作を生み出すトリックは
■プログラミングと生演奏の境界線を分からせないこと

──今回のアルバム『Break The Wall』のコンセプトを教えてください。

キンケイド 本作のコンセプトは、今、全世界に置いてこれまで以上に必要とする、“愛”がゆるいテーマのような気がします。それは決まり文句のようですが、私たちを結びつけるのは愛であり、地球を癒すために我々のそれに対する愛情を表さなければならなく、そして近代社会で直面する多くの問題を解決するためにお互い愛する必要があるからです。気候変動、貧困、飢饉など、皆の相違に焦点を当てず、お互い何が共通であることを探すべきです。

──ストーリー性があって、サウンドトラックのようなドラマチックなあなたの音楽の影響はどこから生まれているのでしょか?

キンケイド この質問を聞いてくれたのは嬉しい。現在の良質な制作を生み出すトリックは、プログラミングと生演奏との境界線がどこにあるのかを分からせないことです。例えば「GOLD」では、最初に自宅でパーカッション・ループを作り、ベースラインを弾き、キーボードのパーツを上乗せし、ドーンと私は歌詞のないメロディ、バック・ヴォーカルなどの案を投げ合い、骨格ができるまで試み、ある程度形が収まった感じがしたとき、その楽曲の歌詞を書き始め、自宅で全てのヴォーカルを録音しました。次の過程は、そのデモを持ってより大きなスタジオに入り、ドラム、生ベース、ギター、追加キーボードなど録音し、最初から録り溜めた素材の選別を行いました。他のスタジオで、生打楽器と管楽器の録音を行いました。

その後、自分のスタジオに持ち帰り、さらにドラマを構築するためにシンセを追加し、楽曲が完成した時点で、クリントン・マクレアリーという信頼におけるエンジニアに持っていき、どんなドラマと物語を視聴者に伝えたいのかをまとめるために、彼と最終ミックスを手がけます。ほとんどの楽曲はほぼ生演奏されていると言えますが、録音された後の素材を操作するためにコンピューター・プログラミングを録音装置として使用します。


──『Break The Wall』は、非常にクオリティの高い楽曲がそろっていて、あなたの素晴らしいセンスとアイディアとが詰まっていると思います。楽器の音やアルバムのエンジニアリングも素晴らしいと思います。楽器とプログラミングの比率は?

キンケイド 基本的な制作は、私がスタジオで昔簡単に作った、気に入ったヴァイブスが溢れている、ある音楽素材を見つけ、それを元にバンドのキーボード奏者とベーシストと一緒にジャズ・セッションを行い、さらに素晴らしいヴァイブスを生み出すと、すぐにドーンが面白いアイデアを思い浮かび、新しいデモができてくるんです。そして先ほども言ったように、ドーンと私はメロディ案投げ合い歌詞を書き始めます。

二人で歌詞を書くのが上手くなりました。お互いの案に対してすごくオープンであり、この作業は最初に出会ったときから始まり、どんどん上達しました。自然に楽曲が成長します。うまくいくコンセプト、いくつかの言葉、コーラスなど、我々は自然に構築してから、歌詞入りの歌の録音を試します。さらに女性用、男性用のバック・ヴォーカルを追加し、相性が合う感触を掴めるまで試行錯誤します。歌の主要な部分、ヴォーカル・ラインと全ての基本的なバック・ヴォーカルのパーツがまとまったら、ドーンは必要とするアドリブ・パーツを追加し、それから我々は楽曲を次の段階に持って行き、演奏を付け加え、楽曲を完成させます。

ドーンと一緒に作曲するのは大好きです。彼女は素晴らしい才能の持ち主。彼女のヴォーカル・スタイル、異なる歌唱方法、ゼロから歌を展開する方法の知識は素晴らしい。スタジオとライヴ両方で、異なるジャンルの、多くの世界のトップ・レベルのアーティストと一緒に仕事をしたことがあるからこそ知っていて、また私が所有している音楽を長年聴いて、それから学び続けているからでもあります。クィンシー・ジョーンズやルーサー・ヴァンドロスとの現場仕事で、すでにドーンは学んでいて、我々が作曲の作業をしている際に、歌に何が必要か、まるでテレパシーっぽい暗黙の了解的な理解がお互いにあります。私が何を求めているのかをあまり説明しなくてもいい。だから物事がうまく進むんです。


──前作との大きな違いは? タイトルの意味するところは?

キンケイド 1作目では、我々の中に過去のバンドとの長年の欲求不満が溢れていて、音楽的に貯めていたことを一気に出してしまった感じでした。コンセプト的なアイディアはなく、独自のサウンドを作ろうとし始めている最中で……そうは言っても、作っている最中はすごく楽しくて、素晴らしい楽曲がいくつも収録されています。また何曲かはライヴ・オリエンテッドな作品になっていると思います。今回の新作では、制作する前にバンドと一緒にしばらくツアーに出たので、バンド自身のサウンドが育成することができたのも大きい。本作を制作しようと思ったときに、才能に溢れる若きミュージシャンたちの新しいヴァイブを取り込もうと思いました。

我々はジャム・セッションを行い、本作の楽曲のいくつかがそのとき生まれました。また、1作目の制作の終盤に作曲を完璧にしましたので、今後どんな音楽を作りたいのかのビジョンが明確化しました。我々のサウンドは自然に成長しましたが、本作全体とそのコンセプトはフル・アルバムとして上手くまとまっていると思います。各メンバーの性格を上手く出せたと思い、本作を手がけているときに楽しさと喜びのヴァイブスを上手く表現できたのかと思います。



──デヴィッド・ボウイ、レニー・クラヴィッツなどのバックを務め、超一流のセッション・ミュージシャンであるベーシスト“ゲイル・アン・ドーシー”やヴルフペック・コレクティブのメンバーで、ソロ・アーティストとしても活躍中のギタリスト“コリー・ウォング"について教えてください。

キンケイド 数年前にレニーのツアーで前座を務めたときにゲイルと知り合いました。当時、我々は新人バンドだったので、レニーの前座を務めるのは我々に取って大躍進でした。ゲイルは我々のライブを何回か観てくれて、我々がやっていることを気に入っってくれたので、その後連絡を取り合いました。本作を制作し始めようとしたときに、何曲かベースを弾いてくれないかと彼女にオファーをしました。驚くことに彼女は引き受けてくれ、「The Love It Takes」「Make Me Happy」などに参加してくれました。

コリー・ウォングは、ヴルフペックの作品から知っていて、お互いのマネージャー同士が知り合いだったので声をかけると、彼は喜んで参加したいと言ってくれました。彼はギターの達人です! 彼の演奏力はすごくタイトでファンキーで、どんなものを曲に入れる必要があるのか正確に知っています。二人共、僕が必要とする自分たちの要素を分かってました。だからこそ、彼らはミュージシャンの間で高く尊敬されているんだと思います。コーリーは「Shine」「Make Me Happy」の2曲と次作で使用する別の曲でプレイしました。

──アルバムのアートワークについて教えてください。

キンケイド 単に我々自身の写真が表1に飾っているようなイメージではなく、アーティスティックで興味深いアルバム・カヴァーが欲しかった。我々は表1が目立つように、またクラシックな感じで、早く老化しなく、かっこいいものにしたかったんです。10年後に見てもまだかっこいいと思うもの……それは我々の音楽にも同じく当てはめたい。長い間に渡り、サウンドがかっこよく聞こえ、色褪せず、使い捨てではないように目指しています。


──最後に今の世界情勢についてどう思いますか? あなたのようなアーティストで影響力がある方からメッセージがあると助かります。

キンケイド 世界は今、変動と変化の状況にいますが、この変化が必要で、全体として一緒に、より意識的に動かなければならないことを気づくのが重要。我々が抱えている問題、気候変動、貧困、人種差別などは世界的な社会問題であり、国境、人種、性、階級、宗教、政治を超越し、人間として考えなければなりません。

『Break The Wall』は、私たち全員に影響を与える問題を解決するために、人間として皆が一緒になり、私たちを阻む障害を打ち破るため、実践するための必要な力と意志を持つことをテーマにしています。これを出来るのであれば、より良い世界を創造できる機会がやってきます。本作のコンセプトと本作全体の方が大事であり、各楽曲についてあえて個別には説明しないようにしたい。皆で集合すること、愛の力で癒すこと、何をしなければならないのか、必要とする勇気……我々が一緒になり、手伝うことができればという概念の理解、今あることに対して感謝すること、人生の中に喜びを探すこと、肯定的なエネルギー、人生の中より良い見解を創造すること、お互い尊敬しながら対応すること、我々の生活と他の人の生活をもより良くするための最善の意図が希望に満ちていて、最終的にバラ色になるだろうというのがアルバムの内容となっているんです。

『Break The Wall』

2021年11月24日(水)
BBE
CD(国内仕様盤) ¥2,400+税

2021年11月28日(日)
BBE
CD (輸入盤) オープン価格
LP (輸入盤) オープン価格

■TRACKLIST
1. Interlude(Somewhere in South London)
2. Change
3. Crazy Life
4. Gold
5. Good People
6. Make Me Happy
7. Shine
8. Brand New Day
9. The Love It Takes
10. Mother Funkin' Robots
11. You
12. Birthdays
13. Happy Song
14. Make the Call

◆MF・ロボッツ Facebook
◆BBE オフィシャルサイト
この記事をツイート

この記事の関連情報

*

TREND BOX

編集部おすすめ

ARTIST RANKING

アーティストランキング

FEATURE / SERVICE

特集・サービス