【インタビュー】Mary's Blood、セルフタイトルの6thアルバム完成「原点回帰、メタルといったキーワードが自由度を拡げた」

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Mary's Bloodにとって通算6枚目にあたるオリジナルアルバムが、9月29日に登場する。しかもそのタイトルは『Mary's Blood』で、資料には“原点回帰となる、ヘヴィメタルを表現した作品”といった言葉が躍っていたりもする。

◆Mary's Blood 画像 / 動画

来年2022年には、現在のラインナップでの活動開始から満10年を迎えることになる彼女たちが、今、改めて自らの作品にこの表題を掲げ、改めてごく根本的なテーマに基づいたものを形にしようとしたのはいったい何故なのだろうか? 9月上旬のある日、4人に話を聞いた。

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■Mary's Bloodはメタルをやるのが
■いちばんいいと思ってる

──まずはアルバム完成の手応えから聞かせてください。

MARI:すごくメタルな1枚になりましたね。ドラマー目線で言うと、すごく叩いてて熱くなれる曲、メタル魂が燃えるような曲が多いんです。自分自身のテンションも上がるようなメタルアルバムが完成したことを、嬉しく思ってます。

EYE:歌的なところで言うと、今回、歌詞をみんなにお願いしていて。作曲者はその曲の歌詞も、という形でメンバーそれぞれの書いた詞が入ってるわけなんですけど、自分で書いた歌詞を歌うというのとは、やっぱり心境というか心の持ちようが違うところがあって、新鮮な感じがしましたね。自分で歌詞を書いてると、メロディに合わせて先に言葉をチョイスしちゃったりすることも多いんですけど、この形式でやると作者のイメージ先行になってくるんで、私なりにその世界に入って表現することになってくる。そこが今までとはちょっと違うかもしれないですね。でも、それができたような気がするし、これまでとはベクトルの違う達成感を味わえてます。


RIO:なんか、アルバム全体で1曲、みたいなものができたような気がしてます。たとえば「Starlight」がリード曲になってたりもするし、もちろん1曲1曲が独立してるんですけど、1枚を通して1曲みたいな組曲的な感触があるなあ、と。

SAKI:今までもずっとヘヴィメタルをやってきたつもりだし、それを一度もやめたつもりはないんですけど、こうして敢えてヘヴィメタルを標榜して作ろうというのは初のことだったので、それに沿った激しいアルバムができたんじゃないかな、と思います。音像的にもここ2作とは違ったものができたかな、というのがありますね。

──改めてヘヴィメタルをテーマとしながら作られた、という情報を聞いてしまうと、どうしても“原点回帰か?”というふうに捉えてしまいがちになります。ただ、長い年月の中で音楽的にも少なからず変遷を経てきたわけですけど、僕が今作を聴いて感じたのは、ここで出発点に戻ったというよりは“いろんなことを経てきた4人が今、まっすぐにメタルアルバムを作るとこうなるよ”という作品になっているんじゃないか、ということで。あ、なんかいきなり質問が長くてすみません(笑)。

SAKI:いえいえ。でも実際、そういうことだと思います。

EYE:うん。“戻った”とかじゃなく、どっちかというと“証明した”みたいなところがあると思います。私たちはこうなんだよ、というのを改めて再提示したような感じですね。原点回帰とか言ってしまうと、なんかどこかに寄り道して帰ってきたみたいじゃないですか(笑)。そういうことでは全然ないんで。


──ええ。前作はアニメと関わりの深い曲のカヴァー集でしたし、それ以前にもコンセプチュアルな作品とかいろいろなものに挑んできましたけど、寄り道ではなかったはずです。

EYE:そこでもちゃんと、軸はロック、メタルというところが間違いなくあったし、その道筋をズレないように歩いてきてるつもりです。

──アルバム全体で1曲のようなアルバムという感覚があるのも、やっぱりテーマが明確にあって、それを体現するのに必要な振り幅を伴った作品になっているからだろうと思うんです。

RIO:そうですね。なんか、物語みたいなアルバムですよね。最初は静かな曲で幕を開けて、そこからいきなり“ドッパーン!”みたいな感じの曲が始まって(笑)、いろんな流れを経ながら綺麗な感じに終わっていく。そんな1枚になった気がしてます。

──曲同士が綺麗に噛み合っていて、ひとつの流れに乗りながら最後まで一気に聴ける感じがしました。実際、メタルの名盤とされるものにはそういう作品が多いですよね。象徴的なSEがあって、畳み掛けるような曲の展開があって、みたいな。そうした“作品としての型”みたいなものを意識した部分はありましたか?

SAKI:そこについてはプロデューサーの久武(頼正)さんの意向というか、助言もありましたね。こういうアルバムにするからにはこの位置にこういう曲を入れよう、みたいなことはみんなでも結構話してきたし。自分としてもアルバムの冒頭にはホントに“ザ・オープニングSE”みたいなのが付くのがいいなあと思っていたからこそ、「Last Daybreak」を作ってきたんです。こういったSEみたいな要素があったほうがメタルアルバムは締まるかな、というのは前々から思ってることでもあるし。


──アルバムの門構えみたいなものというのも重要ですよね。しかも今回はメタルアルバムというところに重きを置いているばかりじゃなく、初めてバンド名がそのままタイトルに掲げられているじゃないですか。デビューアルバム以外でセルフタイトルの作品を出す時って、重要な転機だったり、新たな原点確立みたいなタイミングだったりすることが歴史的にも多いと思うんです。それこそブラックアルバムと呼ばれるメタリカの第5作がそうだったように。これは、どういった意図での判断だったんでしょうか?

MARI:実は結構以前から『Mary's Blood』というアルバムは作りたいな、と思ってたんです。セルフタイトルのアルバムというのは。かなり初期の頃から考えていて、ずっとそのタイミングを見計らっていたところがあるんですけど、今回はなにしろメタルをテーマとしたアルバムなので、そう名付けるのにいちばん相応しい機会なんじゃないかな、と。曲自体についてはもちろん、細かいところに至るまでメンバー個々の意向とかが色濃く出てるアルバム、つまりMary's Bloodとしての意志がすごく込められたアルバムになったという自負があるので、今回こそがそのタイミングだな、と判断したんです。

EYE:前回、結成10周年を迎えて、念願のひとつでもあったカヴァーアルバムを出して……ある意味そこで一周したというか、ここで気持ちを新たに、みたいな感覚というのもありましたね。だから音楽的な軸は変わってないんですけど、原点回帰、メタルといったキーワードが逆に自由度を拡げてくれたというか、結成当時の“楽しく作る”みたいな気持ちに立ち返らせてくれたようなところもあるように感じていて。そもそも『Mary's Blood』というタイトルはMARIからの提案だったんですけど、そういう感覚だったから私も賛成したし、なんか“みんなで楽しく作れそう”という期待感があったんです。ああ、そういうタイミングが来たんだな、という感じでもあったし。

──今みたいな発言を聞いてしまうと「作ることが楽しめていなかった時期もあったんですか?」と突っ込みたくなるところではあります。

EYE:そういうわけじゃないんですけど、たとえば前々作の『CONFESSiONS』の時には“闇”というコンセプトがあったわけなんですね。そんな中で、あれもやってみようこれもやってみようって実験しているうちに、なんだか頭が固くなってしまう時もあったというか。それに対して今回は、そういうのを全部取っ払って、素直にメタルアルバムを作ってみた、みたいな気持ちなんですよね。だからべつに、これまでのアルバム制作が辛かった、というわけではなくて(笑)。


──ヘヴィメタルというのは昔から音楽的に狭いものみたいに言われることが多いですけど、改めてそのテーマに沿って作ってみた時、実はそんなに狭苦しくもなければ窮屈なものでもないことを実感できた、みたいな部分もあるんじゃないですか?

EYE:全然狭くないですよね。まったくその通りです。

SAKI:久武さんもそのあたりの解釈が広い感じの方なんです。ただ、それ以前にやっぱり自分はメタルがすごく好きだし、Mary's Bloodはメタルをやるのがいちばんいいと思ってるので、なんか……いい意味で気ままに作れたかな、というのはありますね。

RIO:自由さもあり、楽しくもあり。というかそれ以前に、私自身、このバンドでそういう不自由さを感じたことがないので、スタンス的にはさほど変わってないんですね。ただ、フレーズ的にはちょっと自由度が増してたかもしれないです。具体的に細かいところまで指定されることもなかったし、いちベーシストとしての自由は味わえたな、と思います。

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