【インタビュー】INORAN、アルバム3部作完結「いつか絶対にハッピーになるよ」

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コロナ禍においてもその歩みを止めることなく、LUNA SEAの活動と並行してソロとしての楽曲を作り続けてきたINORAN。

◆撮り下ろし画像

『Libertine Dreams』、『Between The World And Me』に続く3部作の完結編となるアルバム『ANY DAY NOW』が10月20日にリリースされた。未来に向けてまばゆい光を放つメッセージと疲弊した心を癒してくれるサウンドワーク、ヴォーカリゼーションは完結編でありながら、強くて柔らかなスタンスで新しい世界へと歩き出したINORANの“今”を映し出しているかのようだ。

今作も作曲、アレンジ、演奏、リズムトラックのプラグラミングは全て自身が手がけたもの。そして驚くべきことに本作では全くギターを弾かなかったと言う。その理由について問うと、INORANというアーティストの本質が見えてきた。

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■“自由”は与えられるものじゃなくて作り出すもの

——ニューアルバム『ANY DAY NOW』は2020年にリリースされた『Libertine Dreams』と今年2月にリリースされた『Between The World And Me』に続く、3部作の“完結編”ということですが、サウンドもヴォーカルスタイルも曲調も心地良く新しいところに踏み出した印象を受けました。3部作のラストはどういうポジションに当たると思っていますか?

INORAN:『Libertine Dreams』と『Between The World And Me』はコロナ禍に突入した中、音楽を止めてはいけないと思って作り始めた曲たちが収録されているんです。今年に入ってまだ先は見通せないものの光は少し見えてきたと思うんですね。曲作りをスタートさせたのは3月なんですが、もうちょっと強い光が見えるようなアルバムにしたいなぁという想いがありました。




——2枚のアルバムと今作は制作時期が全然違うんですね。

INORAN:違いますね。前の2枚はほぼ同時期にできていたので。

——時期が変われば心境も変わってきますよね。

INORAN:そうですね。2枚のアルバムに関しては「音楽人だからこそ、この時期に止まっていられないよね」っていう気持ちがものすごく強かったんです。今回は「止まってちゃダメだよね。失ったものを嘆くよりも、次の目標だったり希望だったり、もう少し先を見ないとね」っていう心境でした。「元通りの世界にならないのかな」って思う時期は過ぎて「もう元通りには戻らないけど、新しいところに行くでしょ」みたいな。

——コロナ前と同じ世界が戻ってくるわけではないけれど。

INORAN:そう、そう。みんなの頭の中も変わっているだろうし、世界的にも変わっていくだろうし、自分自身もそう思いたい。

——それは音楽制作のスタイルも含めてですか?

INORAN:制作もそうだし、考え方の変化が活動に影響してくると思うんですよ。例えばライヴを例にとったら、去年は「有観客でやりたいけど、この状況じゃできないから配信だよね」とか「マスクしてて声も出せないけど、本当はみんな声出したいよね」って。でも、今はマスクで歓声がなくても、目を見たら表情がわかるし、いろいろ制限があっても素晴らしいライヴはできると思っている。この先、もっと開放されたらコロナ前より新しい繋がり方ができるんじゃないの? って。気持ちも状況も去年とは明らかに変わってきているんですよね。「会えないから会いたい」じゃなくて「会えるって信じてる」って思うようになったりとか。そういう意味で曲の作り方だけじゃなく、曲に込める想いも変化したんじゃないかな。今作には、「“自由”は与えられるものじゃなくて作り出すもの」っていう想いも込めています。


——ライヴでいうとソロとしては9月に約2年ぶりの有観客ライヴを実現させましたが、アルバム『CROSS』を掲げたLUNA SEAのツアーは有観客だったので、ステージに立って気持ちが開けたところもあったんでしょうか?

INORAN:ライヴをしながら、ふだんの人生も歩みながらですよね。シンプルに言うと「友達に会いたいな」じゃなくて「いつか絶対に会う」。「旅に行きたいな」じゃなく「いつか絶対に行く」っていう、強い気持ちを持つだけで全然変わるんだなと思ったんですよね。そういう想いは必ず伝わるし。

——強い気持ちを持ったのは今年に入ってからですか?

INORAN:そうですね。緊急事態(宣言期間)が長すぎたから、いろいろ考えたし、先が見えなくても明けていくものはあるから、その時に思いきり気持ちを伝えたいと思ったし、それぐらいのポテンシャルでいたいですよね。

——3部作の完結編でありながら、新しいステップを踏み出したのが『ANY DAY NOW』という捉え方でいいんでしょうか?

INORAN:そうですね。

——前の2枚にはバンドサウンドに置き換えたらこうなるのかなって想像できるロックな曲やブルースも収録されていましたが、『ANY DAY NOW』はレゲエやヒップホップ、エレクトロなどの要素が盛り込まれ、チルなサウンドになっていると感じました。

INORAN:ジャンル的なことは意識していないけれど、天候を選んで曲を作ってましたね。晴れたら、自分がどこかに旅しているのを想像して、旅先でこういうサウンドが流れていたらいいなって。なので、雨の日は曲作りをやめました。雨も美しいけれど、カラッとした青空の中、気持ちが入っていくような作り方をしてましたね。

——晴れた日に似合いますよね。メッセージは力強く前向きだけれど、サウンドにはアグレッシヴというより優しさが感じられます。

INORAN:誰かと会った時や1日の終わりには笑っていたいですよね。最近よくライヴで「みんなを笑顔で帰したい」って言うんですけど、そういう想いを込めたサウンドアプローチをしたかもしれないですね。

——ヴォーカルも声を張る歌い方ではなく、曲によってファルセットを使っていたり、コーラスも含めて溶け合うような世界観だなと。

INORAN:うん、ただ感情は1色ではないから、日々、いろいろなことが起きる中、コロナ禍で経験したことだったり、延期になったLUNA SEAのツアーだったり、感じたことを素直に曲に落とし込んでいるんですよね。RYU(RYUICHI)の横でコーラスしていると、彼のキーや歌の温もりだったり、いろいろ学ぶことがある。単に家にこもってひとりで曲を作っていたのではなく、リアルタイムで経験して歩んでいることが複合的に作用していると思います。歌もテクニック的に何かを変えたことはいっさいなく、自然とそうなったというか。



——打ち込みを用いて海や空の星々や虹など、広がりがあってオーガニックな世界を表現できるのか考えていたのかなと思ったのですが、そのあたりはどうでしょう?

INORAN:確かにサウンドはオープンエアーな感じはありますね。

——スタイルは変わってもINORANさんの核がそこにあるのかなと。

INORAN:うーん、そもそも核なんてまだ出来てないと思っているんですけどね。まだまだ探し続けているし、その時のトレンドに素直にこれからも音楽を作っていくと思うし。

——トレンドというのは、例えばふだん聴いている音楽だったり? 今作には洋楽のチルアウトミュージックの影響も感じられました。

INORAN:影響はあるでしょうね。音楽はいろんなものを聴いてるし、曲作りは無我夢中で楽しんでやっているので。

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