【インタビュー】倉木麻衣、“無条件の愛”がテーマの2年2ヵ月ぶりアルバム完成「1曲1曲ポジティヴに、より直球で」

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■どの曲もワクワクしながら作っていて
■歌い方も曲によって全部変えたんです

──ドラマ『ムショぼけ』主題歌「ONE LOVE」はどうですか?

倉木:「ONE LOVE」は、1980年代、1990年代のR&Bの感じですね。私がすごく好きな時代の音に仕上げたくて、私の“好き”が詰まった楽曲になっています(笑)。内容としては、様々なシチュエーションの中で、自分の理想と反したことが起こってしまったり、一瞬ネガティヴになりそうになったりするけれど、それをチャンスに変えて、ハッピーエンディングを目指して頑張っていこうよという歌です。それを表現するのに、鼓動を感じるというか、グルーヴを感じるところにフォーカスして、作っていきましたね。コーラスもたくさん重ねて。ミディアムだけど、グルーヴ感が強い楽曲に仕上げたかったので、海外のミックスエンジニアさんにこちらからいろいろお伝えして、サウンドの面でもこだわって作っていった曲でもあります。

──ドラマの設定を見ると、かなりクセが強い感じですよね(笑)。一見、倉木さんの世界観からは遠いような。

倉木:楽曲を作る前に第一話だけ見せていただいたんですけど、ドラマの中では、主人公が刑務所から出てくると、周りの状況が全部変わってしまっていて、そこで自分の理想と反したことがたくさん起こってくる。それにリンクさせて書いた歌詞でもあるんですけど。それって誰しもが共感できる部分でもあったり、予期せぬことが起きると、不安はつきものだと思うんですね。その不安を、どうしたらポジティヴに変えられるのか。私はいつも、音楽や、ファンのみなさんの応援メッセージだとか、そういうものを感じて気持ちを切り替えることが多いので、それをサポートできるような曲にできたらいいなと思って、「ONE LOVE」という曲を作らさせていただきました。


▲『unconditional L♡VE』通常盤

──納得です。1曲1曲に背景とストーリーがあって、すごく面白いです。アルバムには、そんなタイアップ曲のほかに、新曲もたくさんあって、1曲目のタイトル曲「unconditional L♡VE」がいきなりカッコいいです。

倉木:ありがとうございます。「unconditional L♡VE」は、実は最後に出来上がった曲なんです。アルバムに収録した12曲は、“こういう曲を作っていこう”ということで選曲していったんですけど、この曲のデモを聴いた時に、これはまさに「unconditional L♡VE」というテーマにぴったりだなと。イントロ部分や全体を通して繰り返し入っているメロディに、「unconditional L♡VE」という言葉がぴったりハマるなと思ったので。すごく勢いがある曲ですよね。こういう深いフレーズだからこそ、音を楽しみながら、気軽に聴けるような曲ということで作れたらいいなと思って、制作していきましたね。「unconditional L♡VE」という言葉だけ聞くと、“無条件の愛”というと、ちょっと重い感じがするかもしれないですけど、でもきっとみんなの中に「unconditional L♡VE」は生まれた時からあって。疎外感や孤独や不安を感じてしまった時に、それを見失って、人に当たってしまったり、イライラしたりすると思うんですね。でもそんな時に、ふと自分や相手を想う気持ち「unconditional L♡VE」というものを思い出してもらえればということで、そういう曲を作ろうと思ったんですね。

──実は、気になる歌詞があるんです。“丸い気持ちで落チ着イテイケヤ”って、すごいインパクトがある言い方で(笑)。

倉木:“メロディに乗せるにはこの言葉しかない!”と思ったんです(笑)。表記をカタカナにしているんですけど、上から詞を読んでいった時に、あそこで一回フックを入れるというか、“これは何だろう?”みたいな感じですね。大変なことがあると、本来の自分自身を見失ってしまう、“だから何があっても落ち着いて、今を感じることが大事だよ”ということを伝えられたらいいのかなと思って、そこをあえて強調させていただきました(笑)。メロディ自体も、速いテンポではあるけれど、そこだけちょっとスローなテンポに変わるんですね。そこにその言葉を入れることによって、“ちょっと落ち着いていこう!”と、自分に言い聞かせてるんだと思います。

──“落チ着イテイケヤ”って、親しく話しかけられてる感じがして、いいと思います。

倉木:“落ち着いていけよ”でもいいんですけど、自分自身に対しても、聴いてくださってる方にも、“落チ着イテイケヤ”のほうが、自分の中にあるハイヤーセルフが言ってるみたいな感じにできるのかなと思って、そういう言葉が出てきましたね。


▲『unconditional L♡VE』FC&Musing盤

──面白いですね、言葉の表現って。意味は同じでも、ちょっと表記を変えるだけで伝わり方も変わってくる。

倉木:メロディが、新しい言葉を連れてきてくれたと思いますね。今回も、どの曲もワクワクしながら作っていて、歌い方も、曲によって全部変えたんです。R&Bテイストの強い楽曲たちは、張って歌っていたりするんですけど、ウィスパーボイスもありますし、いろんな感じで楽しんでいただけるように歌やサウンド面を作りながら、歌詞は共通してそれぞれの愛と思いやりと優しさを込めた相手を想う気持ちをテーマにしています。「Wで包むよ」も、大切な人を守っていたいという愛の気持ちを表現した1曲なんです。

──「Wで包むよ」も、ハウスメーカーのCMソングになりましたね。

倉木:『クレバリーホーム』さんの『Wウォールテクノロジー』とコラボレーションさせていただいています。タイアップによって自分の新しい世界を見出すということは、けっこうあるんですね。「Wで包むよ」は、私の中ではクッションみたいな、安心できる、ピュアな、優しく包むような楽曲にしたいなと思っていて、楽曲自体もまさにフィーリングッドな、グルーヴを感じる楽曲で、これも自分の“好き”がたくさん入っている曲です。私がリスペクトするアーティストの、マイケル・ジャクソンやジャスティン・ティンバーレイクからインスパイアされたサウンドの要素も取り入れながら作った1曲なんです。


──歌い方でいうと、新曲の「UNBREAKABLE」が、カッコよくて好きです。特にラップの部分が。

倉木:ありがとうございます。ここまでラップしたのは、久々ですね。「UNBREAKABLE」は、詞を先に全部書いて、それから曲を作っていただいたんですけど、メロディをいただいた時に、2番の部分にラップが入っていて、“すごくカッコいい楽曲だな。これをどうやって作っていこう”って、ワクワクしながら、リズムを感じながら歌っていきました。ラップがあって、Aメロ、Bメロがあって、サビがあって、どんどん展開していくような、みなさんに楽しんでもらえるような曲に仕上がっていると思います。これも海外のエンジニアさんにミックスしてもらって、いい感じの音に仕上げていただきました。

──1曲目「unconditional L♡VE」と、2曲目「UNBREAKABLE」の破壊力はすごいですね(笑)。全力疾走のスタートダッシュという感じで。

倉木:最初からノリノリで、元気になっていただきたいという気持ちで作っていって、曲順にもかなりこだわりました。曲順はかなり悩んだんですけど、最後はやっぱり「ZEROからハジメテ」で、一回ゼロになって、そしてまた戻ってみようというような流れにしています。

──10曲目、11曲目に入っている新曲のバラード2曲も、とても素敵です。シンフォニックコンサートを彷彿させるような、ゴージャスな音作りになっていて。

倉木:10曲目の「Proof obf being alive」というのは、“生きた証”という意味なんですけど、メロディに起伏があって、歌うのがすごく大変だったんです。どの曲も一回シミュレーションして、何回か家でしっかり練習してからレコーディングスタジオに行って、歌って、聴き直して、“ここはこういうふうに歌おう”とか、考えながら作るんですけど、この曲は特にその作業をたくさんやりましたね。しっくりくるまで、何度も何度もやり直しました。張り上げて歌うこともできるし、ソフトに歌うこともできるし、というところで、1曲の中でいろんな感情を出せたらいいなと思って作った曲なので、そこはこだわって作りました。ストリングスサウンドが印象的な曲でもあるので、またシンフォニックライブでお届けできたらいいなと思っているんですけど。そして、11曲目「Sea wind」は、初めて、作曲家の来生たかおさんに書いていただいた曲ですね。ゆったりとした癒しのサウンドとエバーグリーンなメロディで、今はどこにも行けないけれど、南の島に行ったような気持ちになってもらえたらいいなという思いで作っています。歌詞は “すべての生命を愛していこう”という、とても壮大なテーマなんですけど、聴いて、感じていただけたらいいなという曲です。それぞれに思う癒しの景色が見えたらいいな、と思います。

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