【インタビュー】KENN ×阿部 敦、MEZZO”1stアルバムリリース「アプローチできる武器が増えた」

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■「Tears Over」はMEZZO”の飛躍を感じさせる一曲

──アルバムに収録されている10曲のなかで、おふたりの推し曲を教えてください。

阿部:本当に、全部いろいろな思い出があるので、全部といえば全部なんですけれど……。

KENN:僕も、1曲に選ぶのかなり難しい! 全部じゃダメですか?(笑)

阿部:難しいよね……! でも、個人的に衝撃を受けたのは「雨」ですね。アニメのサプライズエンディングという特殊なポジションで歌わせていただいたのでこれがMEZZO”のいつの時間軸の話なのかはわからないのですが、すごく情感に溢れていて今までとちょっと違うな、と。「雨」という題名を聞くと、「俺が雨から君を守るよ」みたいな印象を受けるじゃないですか。それが全然違っていて(笑)。「傘いらねぇ!」みたいな歌詞なんですよね。それまでは、どちらかというと可愛い恋や淡い恋を歌うことが多かったのですが、これはもっと大人のドロっとしたやつだ!と思って、そういった意味でも衝撃でした。ちょっと屈折した匂いがするのも面白くて。

KENN:僕は「Dear Butterfly」かなぁ。環とそーちゃんがお互いを思って歌っているんだろうな、と想像させてくれる歌詞がとても好きですし、自分たちが自分たちを見つめ直して変わっていくという「バタフライエフェクト」にもぐっときました。バタフライエフェクトって、蝶が羽ばたいた風が巡り巡って竜巻を引き起こすという考え方なんですよね。日々の小さな積み重ねがいいことに繋がるよ、というポジティブなバタフライエフェクトは僕らにとっても希望を感じますし、そーちゃんが本当にやりたかった作曲に前向きな気持ちで取り組んでいいんだよ、というメッセージをすごく感じたので、彼が救われるとてもいいきっかけになったのかな、としみじみ感じています。

──では、この10曲のなかでサウンドが好きな曲はありますか?

阿部:僕は「カレイドスコープ」ですね。ドラムから入る冒頭のフレーズなど、軽快なロックサウンドが好きなんです。劇中劇『妖万華鏡 空虚咎送り』の主題歌として作っていただいた曲なのですが、歌詞は和や妖怪をイメージさせつつも疾走感のなかに漂う少し怪しい雰囲気のサウンドがお気に入りです。

KENN:僕は「Tears Over」かな。もちろんバンドサウンドやロックも好きだし、「雨」とか「月明かりイルミネイト」などのバラード曲もすごく好きなんですが、「Tears Over」は今までとはまた違った部分でもエモーショナルに訴えかけるという意味で、僕個人としては本当に挑戦的なアプローチでしたね。環としてこの曲に向き合ったときに何ができるんだろう、KENN本人だったらこう歌うけど、でも環だからな……というところで新しい環くんを引き出してくれた楽曲なので、アルバムにふさわしい一曲だと思います。

──これまでアイドルを演じてきて、改めて感じた彼らの魅力を教えてください。

KENN:環は第1部から家族のことでいろいろあったけど、徐々にいろんな経験をしたことで、今まで自分のことしか考えられなかった彼が、誰かのために自分ができることって何だろうと考えるようになって。そーちゃんを本当に信頼して100%の気持ちでぶつかっていくからこそ悔しい思いや悲しい思いをすることもあるのですが、でもそうやってぶつかり合うことでどんどん角が取れてお互い丸くなって、より良い関係が築けているんじゃないかなって。今回の新曲でも、そんな片鱗を感じていただけると思います。

阿部:壮五の魅力は、めちゃくちゃ個性の幅が広いところ。僕のなかでは、幅の広さでいえば『アイドリッシュセブン』のアイドル随一だと思っています。元御曹司で品があって辛いもの好きでお酒を飲むとやばくて怖いものが好きでTRIGGERオタクで音楽オタクで……一つひとつ並べると、個性がかなり渋滞しているんですよ(笑)。でも、どんな状況でも本人はいたって真面目なんです。本人は大真面目だけど傍から見ると面白いってコメディの基本だったりするのですが、それを全部素でやっちゃう子。さらに今は作曲にも挑戦していて、僕自身本当にこの子に対して声のあてがいを感じていますし、それくらい面白い子だと思います。

KENN:そーちゃんは「静」と言いつつ激情家ですからね、実は。普段が静かなだけで、心の中は激しく動いてますから。

阿部:そうなんですよね。それに、今まで抑え込んでいたぶんめちゃくちゃ熱いものを持っている子だと思います。表現者って1を100にする仕事だと思うのですが、作曲は0から1を作る作業なわけで。それができるアイドルって『アイドリッシュセブン』でも限られてくるんですよね。僕は何かを作る作業はあまりしたことがないのですが、0から1を生み出すのはすごく大変なことだと想像できるんです。それをわかったうえで、生みの苦しみに正面から向き合おうとするのは本当に成長したと思うし、すごいなと感じます。

──『Intermezzo』には壮五が初めて作曲した「Forever Note」が収録されていますが、ソロバージョンだった「Monologue Note」からMEZZO”のふたりで歌うための「Forever Note」になったのは、ストーリーとも連動していてとても衝撃的でした。「Forever Note」ではどういったディレクションがあったのでしょうか?

阿部:結構前なので細かいところは覚えていないのですが「冒頭の2行は優しく歌ってほしい」というディレクションがあって。もちろん優しく歌うことはできるのですが「なんでだろう?」と役者の癖で考えたときに、単純な理由として絶対的に環くんがいるから、というものがあるんだろうなと思って。僕のイメージですが、この曲はお客さんに向けてというよりは、環くんのほうをふっと見てほほえみながら歌っているという印象なんです。なので、たくさんの人に届けるというよりは、ふたりで会話している距離感で歌わせていただきました。改めて「Monologue Note」と「Forever Note」の完パケを聴いたときに、やっぱり出だしが全然違ったんです。でも、いい対比だなと思いました。皆さんも、2曲比べて聞いていただければ歌い方やサウンド、歌詞の違いを感じていただけると思うので、面白い試みだったなと思います。

──たしかに「Monologue Note」は初期衝動のままに作ったというか、いい意味で荒削りというか。

阿部:願望入っているし、余裕がない感じもしますよね。でも「Forever Note」になると一転ちょっと余裕があるじゃないですか。その違いもすごくいいなと思っていて。それに、頭のサビが終わった後の音がすごく好きで、洗練された楽曲だなと感じています。

KENN:かなり前なのであまり覚えていませんが、今までの楽曲とはガラッと雰囲気も違うのでやっちゃいましょう!って感じだった気がします。今改めて聞くとガツンと疾走してますね(笑)。

ライブ中にそーちゃんを見ると安心する

──『アイドリッシュセブン』といえばライブも毎回話題になりますが、今までのライブで印象に残っていることはありますか?

阿部:単純にまず、会場の大きさに笑いましたね。会場自体も広いのですが、ステージから観客席を見たときに、本当に広いな……!と実感して。そして、その会場に入った満員のお客さんがサイリウムを振っている姿が本当に綺麗でとても衝撃を受けたんです。お客さんの感情って、サイリウムの振り方でわかるんですよね。一人ひとりの動きというより全体でひとつの大きな生命体というイメージがあって、そのサイリウムの振り方で「今すごく喜んでくれているな」と伝わってきて、すごくうれしい気持ちになったことを覚えています。楽曲的には1stライブ1曲目の「モンジェネ」(「MONSTER GENERATiON」)でステージに出ていったときは、緊張しつつも「うわぁ、ついに始まった!」という昂まりがありました。

KENN:懐かしー!

阿部:「モンジェネ」って、ある意味始まりにして頂点みたいなところがあるじゃないですか。なので、1stライブが「モンジェネ」から始まって2ndライブが「モンジェネ」で終わったというエモさも印象に残っています。

──KENNさんは、ライブでMEZZO"として阿部さんと歌うなかで印象に残っていることはありますか?

KENN:大きい会場ゆえスタンバイが別々なので、直前は一緒に話せることはあまりないんです。ふたりで歌うブロックの数曲前にちらっと会えたら「よろしくお願いしますー」みたいなやりとりをするくらいで。でも、そーちゃんは安心感がすごいんです。僕から見ると全然緊張していないんですよ。ご本人はわからないですけど。

阿部:全然緊張してるよ(笑)。よく言われるんですけどね。

KENN 僕は緊張しいだから本当に震えちゃうんですが、そんな中で落ち着いたそーちゃんとステージの上で目が合うとすごく頼もしいし、安心感を覚えます。そーちゃんは本当にミスがないのでかっこいいなと思います。あと印象に残っているのは、IDOLiSH7の曲でそーちゃんと一緒に肩を組む振りがあったのですが、本番中にお互いの衣装が引っかかって離れられなくなっちゃったんです。どうしても外れないからブチって引っ張って、後から衣装さんにすごい謝ったことがありましたね(笑)。引っかかったときに一瞬パフォーマンスを忘れちゃって、そこで笑い合ったのが印象に残っています。

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