【インタビュー】松浦航大、ものまねの応用から極めた“声”の研究。「いろんな人のものまねをしたら、自分らしいものが絶対に出てくる」

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■コーラスからボーカルまで
■喉から出す「~っぽさ」を1つ1つ研究する


──松浦さんは今年に入ってからオリジナル曲を次々とリリースしていますが、吸収してきたことを自分なりの表現に昇華するというのを精力的にやっている印象がします。

松浦:ものまねを通ってきている人間だからこそ発信できることを、これからも曲にしていくべきだと思っています。そういうメッセージを忘れずにやっていきたいですね。ものまねから自分の曲をヒットさせた人って、まだいないんです。だから、そういう存在になりたいです。

──8月に「七色」も配信リリースしましたが、あの曲はwacciの橋口洋平さんの作詞作曲でしたね。どのような経緯で生まれたんですか?

松浦:橋口さんとすごく話し合って、想像以上のものを作っていただきました。「あの時にこう言ってしまった」「怒ってしまった」「泣いてしまった」とか、自分を好きになれない出来事が、人生の中ではたくさんあると思うんです。そういう部分を受け入れる必要はないし、無理に肯定する必要もないのかなと。でも、1つわかっていて欲しいのは、「自分の中にプラスの部分とマイナスの部分のコントラストがあるからこそ、人生というキャンパスは美しいものになるんじゃない? 輝いて見えるんじゃない? それがわかっているだけで何かが変わるんじゃない?」っていうことなんです。橋口さんにお伝えしたのは、そういうことでした。

▲松浦航大/「七色」

──歌詞の冒頭の《「君らしくないね」って言葉が ほんとはあんまり好きじゃないんだ 誰かが期待する自分でいる必要なんかないのさ》という一節が、とても印象的です。

松浦:橋口さんも「最初の1行から耳を傾けてもらいたい」っておっしゃっていました。まさにそういうものになっていますし、サビとの絶妙な対比にもなっているんですよね。

──様々なクリエイターの方々と曲を作っていくというのは、今後もやっていきたいですか?

松浦:はい。自分で曲を作るのもいいんですけど、他にもやりたいことがいっぱいあるんですよ。動画を作るのもそうですし、得意なことは曲を作ること以外にもっとあるので。曲は何ヶ月もじっくりと時間をかけないと作れないんです。だったら自分で作ることにこだわるよりも、コンセプトを共有できる人と発信していく方が合っているんだと思います。

──ご自身のエネルギーを注ぐべきものが、他にもいろいろあるということですね?

松浦:まさにそういうことです。「ものまね=かっこいい」とか、「ものまね=若者の憧れ」みたいなことを伝えるのが松浦航大としての活動の一番の理念なんです。そのために楽曲をヒットさせたいので。もちろん僕が書いた曲でヒットしたら嬉しいですけど、そうじゃなくても僕は嬉しいんですよ。

──なるほど。橋口さんに作っていただいた「七色」は、コーラスのハーモニーがすごく綺麗なのも、大きな聴きどころだと思います。

松浦:コーラスは楽器のひとつというか。オケの一部を担っている大切な要素なんですよね。


──複数の声を融合させて効果的な響きを生む工夫は、ずっと追求してきていますよね?

松浦:はい。ものまねの技術の応用というか。硬い声を出すのか、柔らかい声を出すのか、アクセントをどうつけるのかというのを調節してやっています。アレンジャーの意図を汲み取って、自分の声で再現するやり方によるコーラスの調整ですね。

──同じ人から発せられる複数の声を重ねるからこそ生まれる効果も、あるんじゃないでしょうか?

松浦:ありますね。同じ人が歌うと声がまとまるんですよ。声質が揃っているから。

──声って相性もありますよね? アイドルグループとかのユニゾンも、「この人の声があるから全体がまとまっている」っていうのがありますし。

松浦:「きみがユニゾンの中心です」というような戦略もありつつ調節しているんだと思います。アイドルだったらそのグループのカラーに一番合った発声をするメンバーがいると思うので。

──声に対する洞察力も活かしつつオリジナル曲のリリースを重ねていらっしゃいますが、YouTubeも引き続き絶好調ですね。企画力のすごさにも唸らされています。

松浦:嬉しいです。面白い企画であっても、ぱっと目に留まった時の「観たくなる」と「観たくならない」との差がYouTubeはすごく大きくて。なるべく多くの人が扉を開きたくなって、最後まで観てもらえる動画を心がけています。


──最近だと「Cry Baby/Officiial髭男dism 1人7役ものまねメドレー。」が最高でした。GReeeeNをひとりで見事に表現していたのに驚きました。

松浦:HIDEさんが1人で歌うところは1人で歌って、全員で歌うところは自分で重ねて録ったんです。そうやるとGReeeeN感が出るんですよ。

──槇原敬之さん、桜井和寿さん、クリス・ハートさん、鬼龍院翔さん、米津玄師さん、GReeeeN、HYDEさんのものまねで歌っている動画でしたけど、特徴の捉え方がどれも素晴らしかったです。1人1人の声を解析しながら近づけていくわけですよね?

松浦:はい。「喉のどこに声を当てたらいいのか?」とかを、1つ1つ研究しました。

──「Dynamite/BTSを大物アーティストがハモった時の妄想してみた。」も素晴らしかったです。Diggy-MO'さんのものまねを盛り込むポイントが絶妙でした。

松浦:SOUL'd OUT は小学生の頃からずっと好きで、中学の後半からハモネプが大好きになったんですよ。だから、小中高で好きだったものが、今になって全部活きているっていうことですね。

──ハモネプの動画のシリーズに関しては「うっせぇわを怒り狂った大物アーティストがハモった時の妄想してみた。【Ado】」が面白かったです。フレデリックの三原健司さんのものまねが、「うっせぇわ」に見事にはまっていてびっくりです。

松浦:フレデリックもそうなんですけど、「~っぽさ」っていうのはボーカルが作っている部分も大きいんですよね。そういうことを最近すごく感じています。

──動画を作る際は、「ここのフレーズは、あの人のものまねで歌うと効果的」という確信が、おそらくあるんですよね?

松浦:めちゃくちゃありますね。あと、「この歌詞だからあの人のものまねで歌おう」とかいうのもありますし。

──YouTubeは子供たちも観ますし、松浦さんの動画から受ける刺激は、数年後の何らかの新しいカルチャーに繋がっていきそうな気がしています。

松浦:今までのものまねってテレビ出演や、テレビをきっかけとした営業の仕事で稼ぐのが主流だったんですけど、それを変えられたというか。あと、ものまねは、それをやっている人にファンが付く例が少ないんですよ。でも、SNSも使って発信すると自分のファンになってくれるようにもなるんですよね。「自分で発信して自分で話題を作って活動を広げていくことがものまねでもできるんだよ」っていう1つの例にはなれたのかなと思っています。

──パソコンやスマホとかを使って、自分自身ですぐに動画を編集して発信できるっていうのも、いろんな可能性に繋がっていますよね?

松浦:はい。SNSでの発信って、やっていることがすごかったら編集はインスタントでも良いっていうか。最後まで観てもらう工夫とかはもちろんすごく大事なんですけど、数字に結び付かないこだわりは重要じゃないんです。プロっぽく感じてもらえる編集の仕方にこだわらずにできるのが、YouTubeの良さなのかなと。質の高さも大事ではあるんですけど、トレンドに自分1人で素早く乗っていけるのがSNSの良さ。僕の活動がそう感じていただけることにも繋がっているんだったら、すごく嬉しいです。

──新しい道を切り拓くことへの意欲を、すごく持っていらっしゃいますよね?

松浦:はい。誰もやったことがないことをやらないと意味ないと思っているので。100失敗したとしても、角度を変えていろいろやってみるのが大事なんです。ありがたいことに、やってみたいことの弾数がまだ尽きていないんですよ。それが自分の取り柄というか。「次、こういう角度で攻めてみたい」っていうのがちゃんと浮かび続けているのがいいなあって自分でも思っています。

取材・文◎田中大


リリース情報

デジタルシングル「アホウドリ」
2021年10月6日(水)リリース
作詞:松浦航大
作曲:右近輝明・松浦航大
編曲:小川ハル

デジタルシングル「七色」
2021年8月25日(水)リリース
作詞・作曲:橋口洋平
編曲:小川ハル
ジャケット : Designer akie(superbus inc.)

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