【ライブレポート】友希、シンガーソングライターとしての新たなスタートを刻んだバースデーライブ<#YOLO>

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声優アイドルユニットi☆Risの若井友希。声優として、アイドルとして活躍し続ける中、友希名義でi☆Risの楽曲の作詞・作曲も手掛けるなど、シンガーソングライターとしても活動していた。そこからシンガーソングライターとしての能力を磨いていき、19年10月に友希として1stソロライブを開催、友希名義での活動が本格化するのかと思った矢先に新型コロナウィルスが流行してしまう。社会が大きく変化していく中で有観客でのライブは難しくなり、昨年の誕生日は配信ライブを行った。

そのライブから1年、彼女の誕生日である10月30日に、約2年ぶりとなる有観客でのワンマンライブ<友希 Birthday Live 2021 #YOLO>を恵比寿 ザ・ガーデンホールにて行った。

このライブは、これまでのライブともまた一線を画す、友希として、そしてシンガーソングライターとしての新たにスタートを切った日でもあった。その2部の模様をレポートする。また、8曲披露された新曲のうち「No more」が12月15日に配信リリースされることも決定。ぜひ彼女の新たな世界を感じてほしい。

◆ライブ写真


誕生日のライブということで、ファンのみんなと楽しく、和気あいあいとした時間を過ごすステージになるのかと思っていたら、まったくそんなことはなかった。2曲を歌ったあとの最初のMCで「26歳の誕生日の開催だけど、誕生日というより、いいライブをしようと思ってしまって……。今日は皆さんに私からプレゼントをするつもりで、いろいろ持ち帰ってもらいたいと思っています。シンガーソングライターとしてステージに立つことはずっとやりたかったことで、だから今日は私にとっての新たなスタートでもあります。つまり新曲がたくさんあります! 新しい私の世界をお見せします!」とはっきりと言葉にしてくれたのだが、その前のオープニングナンバー「No more」から、まったく新しい何かが始まった気がしたし、本気のライブであることはすぐにわかった。

ドラムがリズムを刻み観客にクラップを促すと、ギターのおしゃれでカッコいいイントロが鳴り響く。そこから鍵盤を中心にしたグルーヴィなサウンドが響き、その音に包まれながら歌う友希。高音の伸びやかさと低音の力強さが、とても気持ちいい。続く「Moon Power」もそうだが、パワフルさとファルセットを活かした繊細な表現力が素晴らしく、改めて彼女の歌の実力を思い知った。


ギターのカッティングがクールな「YOLO!」は、J-POPとはまた違うノリがあって、洋楽を聴いているかのよう。ポップさとキャッチーさを兼ね備えているので、一度聴いただけでクラップをしながら踊れるところが楽しい。怪しいムード漂うギターリフが最高だった「Daydream Devil」は、リズムに緩急をつけたり、歌声も表情豊かだったので、ずっと気持ちを昂ぶらせながら聴くことができた。

バンド紹介を挟んでの洋楽カヴァーコーナーは、彼女のルーツも垣間見えた気がする。マルーン5の名曲、日本ではCMソングとしてもお馴染みの「サンデイ・モーニング」。ジャジーでロックなサウンドだが、これをソウルフルに歌い上げる。続くヴァネッサ・カールトンの「サウザンド・マイルズ」はピアノのリフが特に印象的な名曲だが、こちらも優しいボーカルで聴かせてくれた。グラミー賞アーティスト、ブルーノ・マーズの「Just The Way You Are」は原曲からテンポを落としバラードにして届ける。彼女の歌声でこの曲を聴くと、メロディラインがより際立って聴こえて、歌の新たな魅力に気付かされた。

ライブの後半最初のMCでは自分の想いを吐露する。「小さい頃からの夢がシンガーソングライターでした。もっとやりたいこと、見せたい音楽があって、もっと変わりたいと思っていました。その最初の一歩を踏み出せたのがこのステージだと思っています。今日ここに立てているのは変わりたいと思う自分がいて、それを叶えてくれるみんながいて、目の前にそれを受け取ってくれるみんながいるからです」と伝え、彼女の作詞・作曲をした「Hello My Dream」を心を込めて歌い、続けて「カフェラテ」を届けた。

実はカヴァー曲と、その流れから歌ったこの2曲以外は、会場の観客が初めて聴く新曲となる。つまり最初の4曲とここから歌った本編ラスト4曲がそうなのだが、この8曲は、自分が本当に表現したい世界を歌にするために、作曲をバンドマスターである宮田'レフティ'リョウ(Key)と共作で書いたものだという。ちなみに作詞はすべて彼女が担当(「ex」のみ共作)。2人がいいケミストリーを起こした新曲たちは、どの曲も初めて聴くのにも関わらず心からノれる、そして浸れる楽曲だったので、本当に素晴らしい出会いだったのだと思う。



そんな新曲についてを語ったMC後に歌ったのは、宮田'レフティ'リョウのプロジェクトとして一緒に作った「ex」。サウンドのアプローチが違うのも印象的だったが、2人だけでしっとりとしたステージを作り上げていた。再びバンドメンバーが戻り、壮大なバラード「Lost」を歌い上げる。この曲では友希もテレキャスターを手にして、サビではバッキングでサウンドに厚みを持たせ、大きな感動を誘っていた。そこから爽やかに、どこまでも遠くに届いていきそうなポップチューン「Beautiful sky」、本編最後は、ぬくもりのあるエレアコの響きが新鮮だった「リナリア」で締めくくる。この曲も友希のロングトーンやフェイクが本当に心地よく、何より彼女自身が気持ちよく歌っているのが強く感じられたのが良かった。


大きな拍手に応えてのアンコールで、オリジナル楽曲の「アカリ」を披露。その後、バンドメンバーからバースデーソングを贈られ、会場のファンと写真を撮って幸せを分かち合ったあと、さらなる嬉しいお知らせとして、12月15日に「No more」のデジタルリリースが決定したことを発表! ラストに笑顔でもう一度「No more」を歌いライブを終えた。

最後のMCで「自分で変わりたいと思ったあの日から、思いは通じるんだと思った。ここからスタートですし、まだまだこれから。人生山あり谷ありだけど、これをやっていくんだという強い意志は変わらないので、それを持って生きていきたい」と力強く語っていたが、自分自身で変わりたいと願い、ちゃんと一歩を踏み出して、実際に変わっていく。そのすべてがこのライブには凝縮されていた。何よりも曲が素晴らしかったことがすべてだと思う。シンガーソングライター友希の本当の意味での誕生を見たライブだった。

取材・文◎塚越淳一


<友希 Birthday Live 2021 #YOLO>

2021年10月30日(土)恵比寿 ザ・ガーデンホール
1部 15:00 開場 / 15:30 開演
2部 18:30 開場 / 19:00 開演

■第2部セットリスト
1. No more ★新曲
2. Moon Power ★新曲
3. YOLO! ★新曲
4. Daydream Devil ★新曲
5. Sunday Morning(Maroon 5 カバー)
6. A Thousand Miles(Venessa Carlton カバー)
7. Just The Way You Are(Bruno Mars カバー)
8. Hello My Dream 作詞・作曲:友希
9. カフェラテ 作詞・作曲:友希
10. ex ★新曲
11. Lost ★新曲
12. Beautiful sky ★新曲
13. リナリア★新曲
En.1 アカリ
Ec.2 No more ★新曲

New digital single 「No more」

2021年12月15日(水)
iTunes、Apple Music、Spotify、Amazon Music、LINE MUSIC など主要音楽配信サービスにて配信開始
作詞:友希
作曲:友希、宮田‘レフティ’リョウ

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