【インタビュー】“Elle Teresa”というジャンル、カルチャーを作る

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ミックステープ、ミュージックビデオ、ライブなどを通じて着々と支持層を拡大してきたElle Teresaが、7月に「Bby girlll」でメジャーデビュー。8月にリリースした「on my Side」、10月に配信した「baD bitch」を経て、活動の勢いをさらに増しそうな気配だ。

◆撮り下ろし写真

シンプルでストレートな言葉を通じて切れ味の良いメッセージを放つ彼女の音楽は、ヒップホップミュージックのコアなリスナー以外の心も捉えていくだろう。自由奔放でありつつも、独自の視点と冷静な自己分析に基づいて活動している姿が、今回のインタビューからも伝わると思う。

   ◆   ◆   ◆

■「ラッパー」って一括りにされるのは嫌

──曲、かっこいいですね。

Elle Teresa:嬉しい! 照れる(笑)。

──地元は静岡県の沼津?

Elle Teresa:はい。

──狩野川が流れている風景が素敵な町ですよね。駿河湾で獲れる桜エビの旬の時期を毎年楽しみにしています。最近不漁だと聞いておりますが。

Elle Teresa:そうらしいです。でも、私はあんま桜エビが好きじゃないから(笑)。

──本題に入りましょう(笑)。小っちゃい頃からダンスをしていたんですよね?

Elle Teresa:そうです。両親がダンサーで、ダンススタジオをやってるんです。で、エルが生まれたっていう感じ。

──そういう環境だったから、海外のヒップホップミュージックとかに自然に触れながら育ったんですね。

Elle Teresa:はい。レコードとかいっぱいありました。

──つまりラップするとかより、踊るためのものとして音楽に触れたのが最初?

Elle Teresa:そうです。自分でラップとかするとは思ってなかった。

──ダンスは好きでした?

Elle Teresa:好きでした。っていうか、気づいたら踊ってたみたいな感じだったから、めっちゃダンスやりたくてやり始めたとかではないです。環境がそうだったからで。

──音楽が流れたら踊るというのが自然と染みついていたということですね。

Elle Teresa:かもしれない。今はもうずっと踊ってないですけど。


──中学に上がる頃に友だちとクラブに遊びに行って、Yuskey Carterさんと出会ったのがラップを始めるきっかけだったと聞いております。運命の出会いというやつですね。

Elle Teresa:もともと“地元の先輩”って感じで知ってはいたんですけど、そこから自分がやり始めるとは思ってなかったです。

──沼津はクラブシーンが盛り上がっているんですか?

Elle Teresa:どうだろう? 小っちゃい町だからクラブが2個くらいしかなくて。遊ぶところがほぼそこしかないみたいな。

──クラブミュージックが好きな地元の人同士が自然と知り合う感じですね。

Elle Teresa:そうそう。

──今後、沼津の音楽シーンが盛り上がっていったらいいですね。

Elle Teresa:それ、目指してるんですよ。フェスとかやりたいです。でも、やっぱ難しいですね。アメリカのカルチャーだから、日本でメインでやるのは難しいかも。

──Yuskey Carterさんは沼津で活動していますが、「ラップしたら?」って勧められたんですか?

Elle Teresa:はい。私、その時やりたいことがそんななかったんです。ダンスはやってたけど、「じゃあダンスでどうなりたい?」とかもなかったし。その時誘ってくれたから、「新しいやりたいことが見つけられるかもしれない」って思ったんです。

──ダンサーになりたいっていう感じでもなかったんですね。

Elle Teresa:「ダンサーになりたい」ってすごく漠然としてるというか、その先を考えた時に具体的なものがなかったんですよね。例えば「ダンスの先生になりたい」「バックダンサーやりたい」とか。でも、ダンスをやってたので今の自分があるから、やってて良かったなとは思いますけど。

──ダンスやっていたからリズムの捉え方は身体に染み込んでいるのかな。

Elle Teresa:たしかにそれはあるかもしれない。

──Yuskey Carterさんに勧められてラップを始めて、その数ヶ月後には「Coca-Cola」がバズった、と。

Elle Teresa:バズったのかな(笑)? まあ、「新しいやつが出てきた」っていう感じだったんだと思います。良い面でも悪い面でも広まった気がする。「なにこいつ? 変なやつ来た」みたいな。でも、そういう反応に対しては「うける!」みたいな感じで、傷つくとかはなかったです。

──発信したものに対していろんな人からの反応があったのは、それが初めての体験?

Elle Teresa:そうでしたね。でも、反応があるのは当たり前だと思ってました。だって、新しいことをやり始めた人に反応するのは、当たり前じゃないですか? その頃、女の子のラッパー自体が少なかったですし、エルの今のスタイルみたいなことやってる人もあんまいなかったから。新しいものが出てきた時に批判する人がいるっていうのはよくあること。男勝りな感じの女の子のラッパーはいたけど、女の子でかわいらしいラッパーがその頃あんまいなかったからちょっと目立ったんだと思います。

──音楽はもともとローリン・ヒル、TLCとかが好きだったみたいですね。

Elle Teresa はい。アーティストとしてめっちゃいいなあって。

──洋楽が好きだと、ラップと歌を分けて考える感覚はあんまりないんじゃないですか?

Elle Teresa:そうですね。あと、自己紹介で「ラッパーです」とか言う人も、アメリカとかだとあんまいなくないですか?

──いない気がします。

Elle Teresa:名前を言うだけで、「それが私です」っていう感じですよね。「ヒップホップやってます」「ラッパーです」とか言うのも、エルはあんましっくりこない。

──「エルやってます」っていう感覚?

Elle Teresa:そうそう! 「ラッパーだぜ」みたいな感じの時期もあったのかもしれないけど、今はそういうのはあんまない。なんかそういうので一括りにされるのは嫌だから。

──つまり、「エル」っていうカルチャーを作りたい?

Elle Teresa:そう! ずっと表に立つとも思わないし。

──ヒップホップは音楽だけじゃなくて、グラフィティ、ダンス、ファッションとか、いろんなことに結び付いている大きなカルチャーですからね。

Elle Teresa:そうなんですよ。エルは自分の良さがわかってる。自分の良さがわかってない人が多いんですよ。エルは自分の悪いところも良いところだと思ってる。みんながそういう意識を持つようになったら、ヒップホップの中でももっといろんなジャンルが生まれるはず。だからエルは今、それを作ろうとしてるの。自分のジャンルをもっと色濃くっていうか。

──自分自身で思う“エルの悪いところ”って何なんですか?

Elle Teresa:悪いところマジでないからなあ。


──では、良いところは?

Elle Teresa:全部(笑)! ざっくりしてるけど。

──例えば「言いたいことを言ってくれる」みたいなところが、ファンのみなさんから見たエルさんの良いところなんだと思いますけどね。

Elle Teresa:そうなんですけど、エルのファンはみんなエルになるんですよ。見た目とか超エル。めっちゃエルのこと分析して研究してるの。……何の話だっけ(笑)?

──エルさんの良いところ。

Elle Teresa:あっ、そうでした(笑)。身近なところだと思う。手が届きそうな存在。実際、手が届く存在だし。例えば浜崎あゆみ、安室奈美恵とか、手が届かなそうじゃないですか? でも、エルは手が届きそう。

──「届きそう」って、失礼になりそうだから言いにくいけど(笑)。

Elle Teresa:そんなことないです。それが良いところなんだと思う。曲も身近なんだと思います。

──10月27日に配信された「baD bitch」は、“みんなえるになりたい”っていうフレーズが出てきますが、「みんなエルになればいいのに」くらいの感覚があるということですね。

Elle Teresa:そうなんです。

──「みんなエルになればいいのに」っていう感覚は、言い換えるならば「みんなそれぞれ良いところがあるんだから、やりたいようにやればいいんじゃない?」っていうことなのかなと僕は捉えています。

Elle Teresa:ほんとそう!

──エルさんはやりたいことを素直にやりつつ、ほんわかした雰囲気なのが良いですね。

Elle Teresa:会ったことがない人には「キツそう」って思われるらしいけど。でも、実際に会うと結構普通だから、「いい子だった」ってみんな言ってくれるんですよ(笑)。

──「いい子なんだろうな」って実際に会ってそうでもないより、「実際に会ったらいい子だった」っていう方が印象が良くなりますよね。

Elle Teresa:そうそう! ポイントアップ(笑)。私はかなり得してます。

──それがまた新しい何かに繋がりそうな。

Elle Teresa:そうなんですよ。私、やりたいこともたくさんあるんですよね。他のアーティストの人とかも、みんないろいろやりたいことがあると思うんです。でも、いろいろとちょいちょいやったら全部が中途半端になっちゃう。だからエルは1個何か区切りができたら新しいことを始めようかなって思ってます。

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