【インタビュー】Angelo、キリトが語る活動休止の真意と『CIRCLE』「今ある形にこだわらずに前へ進んで行かないといけない」

ツイート

■どんな状況だろうと現在っていうものは
■唯一リアルに証明できるものなんですよ

──アルバムのラストを飾る「CONNECTED NEW CIRCLES」では、核心となるメッセージが凝縮されてますね。

キリト:そうですね、特に最後に入っている“現在(いま)を生きよう”ってことですね。それがすべてだと思います。何かが終わる時は当然悲しいし、確定していない未来へいきなり飛び込むことには不安も恐怖もあるだろうけど、やっぱり現在(いま)を生きるっていうことの積み重ねでしかないから。余計なことを考えないで、現在(いま)を生きましょうっていうメッセージです。

──“与えられた現在(いま)を生きよう”という言葉で作品を締め括ることは、早い段階で決めていたんですか?

キリト:歌詞として用意していたわけではなくて、“もともと自分の考えにあるものの一番大事な部分は何か?”って考えた時に、そういうセンテンスで終わるのが一番自然だと思ったし、それが僕が伝えたい感情の中の大きなテーマだったりするから。“いま”を“現在”と書いた、“現在(いま)を生きる”っていう言葉は、すごく大事なことなんです。2014年、PIERROTが8年ぶりくらいに復活した時も、最後のMCか何かで「過去でもなく未来でもなく、与えられた現在(いま)っていうものを大切にしなきゃいけない」って言ったと思うんです。

──<PIERROT DICTATORS CIRCUS FINAL -BIRTHDAY->では「大切なことは今現在だと思います」とおっしゃってました。

キリト:その思いは今も変わってなくて。過去に生きてても、未来に生きてても、何かが突然降りかかってきた時にそれだと受け入れられないんですよ。だけど、現在(いま)を生きているっていうことが前提にあれば、“何があっても、それが現在(いま)なんだ”って受け入れられる。だから、むしろそこしかないくらい大事なんじゃないかと僕は思っていて。現在(いま)を生きるって腹がくくれていれば、何があったとしてもそれが現在(いま)なんだからって思えるじゃないですか。“過去の自分はこうだったんだから”とか、“未来はこうじゃなきゃいけない”って考えて生きていても、それとは違う現在(いま)だったら、それは逃避でしかないから。それがどんな状況だろうと、現在(いま)っていうものは唯一リアルに証明できるものなんですよ。


▲KOHTA (B)

──じゃあ決して、“あの頃は良かった”っていう感情を持つことはないと?

キリト:ああ、もう全然。僕はまったくそういう感覚がないタイプです。

──さらに、この曲の歌詞で象徴的なのは、“不確定な明日を 選び取って行こう”とか、“想定外に胸躍らせよう” “予測不能に胸躍らせよう”といった部分ですよね。リスクがあるものを楽しもうというか、怯えるんじゃなく積極的にそっちに行くぐらいの気持ちでいるという。

キリト:そこも元からある僕の考えですよね、もう変えられないですよ。僕はやっぱり、自分で作っていくことが“生きる”っていうことだと考えているから。もちろんそこにはリスクもあるけど、だからこそ自由なのであって。誰も保証してくれないからこそ自分で責任を持って作っていけるし、制約もなく自由に生きていくにはリスクなんてあって当然だから。あって当然なら、いちいちビビってても疲れるだけだから、リスクそのものを楽しむように生きればいいわけで。そう思えれば、それすら愛せるんじゃないかなと。リスクがあるっていうことは、それだけのメリットもあるってことなんだっていう風に自動変換するんです。逆に、リスクがないっていうことは、じゃあ楽しみもないってことだなって自動変換する脳になっちゃったから。

──なるほど。そして、「SIGHT」については、キリトさんの中にずっとある、昔から描かれてきた心象風景ですよね。先ほど「インタビューでは説明しきれないような、そういう僕の感情も、たとえば今回の「SIGHT」という曲に入っている」とおっしゃってましたが、やはり今回のアルバムに必要なピースだったんだと感じます。

キリト:今回の作品の中でいろんなタイプの感情がありますけど、特に「SIGHT」に関しては、できるだけ自分の素の部分をスッと取り出して、そのまま置いたというか。変に加工せずに曲にすることを意識しましたね。だから、必要以上にわかりやすくするわけでもなく、難解にしようとするわけでもなく、体内から抜き取ったような感じだと思います。

──ここで描かれている“君”というのは、まさに自分自身であるわけですよね?

キリト:そうです。この曲での“君”は自分自身ですね。いろんな自我が目覚めた時の原点の自分自身で、“あの人”というのが受け手の人たちのことですね。


▲TAKEO (Dr)

──「砂の城」と「SIGHT」という、タイプは異なれどミドルテンポのバラードが続く終盤の構成が印象的でした。ここから最後にかけては……。

キリト:そう、全部の流れが大事だけど、やっぱり「砂の城」から最後の曲につながるまでの感情の流れが一番リアルかなと思いますけど。本当にラストスパートというか。

──ええ。この辺りのクライマックスに向けての感情の起伏が、グッと力がみなぎってくる感じがあって、ここからまた始まるということを思わせてくれるんです。

キリト:そうですね。あと曲順に関して言えば、今までAngeloはいろんなタイプの曲をやってきたけど、今回のアルバム全体でも“Angeloってこういうバンドだったよね”って思えるような、バラエティに富んだ曲をバランス良く入れたいなと思ったんですよ。だから「COUNTDOWN」や「スーサイドゲーム」みたいなヘヴィな曲もあれば、「VOICE」のように疾走感のある曲もあるし、「SIGHT」みたいなバラードもある。そのバランス感はしっかりと入れ込もうと思いました。このアルバムでやりきったなって思えますよ。

──Angelo流のポップサイドを見せる「PURELAND」のような曲も中盤に配置されていますし。歌詞と同時にサウンド面も集大成的な香りがしますね。では、あらためてAngeloの歴史を振り返ってみて、15年という年月は長かったですか?

キリト:いや、あっという間でしたね。なんか、すごく短かった感じがします。

──それは駆け抜けてきた感が強いってことになるんですかね。

キリト:結果そうなんでしょうね。あっという間だなって感じるし、それは今やるべきことに頭が切り替わっているということもあるでしょうね。もちろん、これまでのさまざまな歴史は受け手の人の中に置いておいてくれたらありがたいです。


──キリトさん個人は、曲も作って歌い続けていくことを早い段階で宣言していましたよね。Angeloの活動休止後に、キリトさんが伝えていきたいものというのは?

キリト:今回のアルバムを作ってしみじみ思ったけど、まったく違うことをやるわけじゃないだろうし、でも同時に、何をやったとしても今まで積み重ねてきたことが必ず助けてくれると思ったからこそ、全然違うこともできるというか。そういう安心感もありつつ、すごくワクワクする部分が大きいですね。やっぱり音楽を作っていく以上、どんな突飛なことや、今までやらなかったような違うことをやったとしても、これまでの積み重ねが絶対に無駄にならないことは分かっているから。だからこそ、変に考えが縛られることなく、思ったことをとことん突き詰めて、その時その時でやりたいことを今までより大胆に発表していけるんじゃないかなと思います。

──歌詞の部分でも、新たに伝えていきたい思いがあったりしますか?

キリト:どうだろう…? そこは根底が変わらないと思いますから。やっぱり、どうやっても「あ、キリトだな」ってことに結果なるだろうし。そこも変に意識せず、楽曲を作っていく中で、サウンドと同じように歌詞もその世界を構築するものとして自然とできていくと思いますね。

──根本にある自分のメッセージ性は揺るがないだろうってことですかね。

キリト:そうなりますよね。一貫している部分というのは絶対にあるから。でも、だからこそ僕が書く意味があると思うし。“他の人じゃダメなんだよね、ここに関してはキリトじゃないと”っていうもの……それは変わらないと思いますよ。あと思うのは、いろんなアプローチでやってきたし、自分で開拓してきたからこそ楽なんじゃないかなと。そうやってきたから、これから先も自由なんですよ、僕は。それが大変なようで楽なんです。別に既存の型みたいなものを探さないでもいいし、誰が何をやったとか気にしなくていい。自分が思ったところを掘って道を作ればいいのであって。そこはこれからもそうですよ。

──分かりました。無期限活動休止という状況は寂しいですが、このタイミングで話を訊くことができて良かったです。来年1月まで続くAngeloのツアーと、それを経た今後の展開を楽しみにしてます。

キリト:その出来事ひとつひとつに対して感情が揺れるのは、もちろん仕方のないことだけど……でも、何かが終わるということは、また知らない何かが始まるってことなんだろうなって思えれば、ワクワクできるんじゃないかな。だからこそ早い段階から、「僕は音楽をやめるわけじゃないし、ずっと描いてきたストーリーはこれからも続く」っていうことは、せめて言っておきたかったんですね。不安を抱くんじゃなく、そこに対して期待してくれる人がちょっとでも多くなるならと。もちろんそういう人たちに向けては、「大丈夫だよ」って自信を持って言えますから。

取材・文◎早川洋介

■13thアルバム『CIRCLE』

2021年11月17日(水)リリース
【初回限定盤 (CD10曲+DVD)】IKCB-9576~77 ¥3,850(税込)
・DVD:LIVE映像 (10/4@豊洲PITより「SIGHT」他4曲)
【通常盤 (CD10曲)】IKCB-9578 ¥3,080(税込)
▼CD
01. COUNTDOWN
02. VOICE
03. スーサイドゲーム
04. PIERCE THE SKY
05. ガイア
06. PURELAND
07. 砂の城
08. SIGHT
09. LINKAGE
10. CONNECTED NEW CIRCLES


▲初回限定盤


▲通常盤

■<Angelo Tour 2021-2022「THE END OF CIRCLE」>

2021年11月20日(土) YOKOHAMA Bay Hall
2021年11月21日(日) YOKOHAMA Bay Hall
2021年11月24日(水) 新宿 BLAZE
2021年11月25日(木) 新宿 BLAZE
2021年11月29日(月) CLUB CITTA'川崎
2021年11月30日(火) CLUB CITTA'川崎
2021年12月04日(土) 札幌 PENNY LANE 24
2021年12月09日(木) 仙台 Rensa
2021年12月11日(土) 名古屋 DIAMOND HALL
2021年12月12日(日) 大阪 umeda TRAD
2021年12月18日(土) 広島 CLUB QUATTRO
2021年12月19日(日) 福岡 DRUM LOGOS
2021年12月25日(土) TSUTAYA O-EAST (FC限定)
2022年01月08日(土) TSUTAYA O-EAST
2022年01月09日(日) TSUTAYA O-EAST
▼チケット
¥9,300(税込・ドリンク代別) 全席指定
※ファンクラブ先行:¥8,800(税込・ドリンク代別)
※3歳以上有料/別途手数料あり

■<Angelo「CONNECTED NEW CIRCLES」>

2022年01月15日(土) 代々木第二体育館
open16:30 / start17:30
2022年01月16日(日) 代々木第二体育館
open16:00 / start17:00
(問)ディスクガレージ 050-5533-0888
▼チケット ※全席指定
アリーナ席 ¥12,000(税込)
ファンクラブ先行:アリーナ席 ¥11,000(税込)
スタンド席 ¥10,500(税込)
ファンクラブ先行:スタンド席 ¥9,500(税込)
※制限枚数:お一人様1公演につき2枚まで ※同行者は非会員可
※3歳以上有料/別途手数料あり
https://interplaymembers.jp/blog/category/staff/


◆インタビュー【2】へ戻る
◆インタビュー【1】へ戻る
この記事をツイート

この記事の関連情報

*

TREND BOX

編集部おすすめ

ARTIST RANKING

アーティストランキング

FEATURE / SERVICE

特集・サービス