【インタビュー】なきごと、“幸せとは?”を大きなテーマに感性豊かな楽曲で彩られたミニアルバム『パトローネの内側で』

ツイート

■「不幸維持法改定案」は不幸であることが幸せみたいな風潮を変えたいなって
■自分が幸せだと思えることが大事なんだって思って書いた曲です


──先行配信された「D.I.D.」はファンクやジャズのエッセンスが盛り込まれていて、引きのアプローチが印象的です。

水上:「D.I.D.」は私が作りたかっただけなんですけど。

──“ソーサーシーサー これは言いたいだけだわごめんね”という最後のフレーズに笑いました。

水上:(笑)。メンバーに「ダメだったら、この歌詞はやめるけど、入れてもいい?」って聞いたらみんな「どうぞ」って。最後に書き足しました。韻を踏んだり、ダブルミーニングだったり、けっこう言葉遊びに振り切った曲ですね。最後はダジャレを言いたいだけみたいな(笑)。

──歌はヒップホップなノリがあります。

水上:「ラップロックみたいですね」って言われて、意識してなかったから「ラップに聴こえるんだ」って。確かに前から韻は踏みがちなんですけど、まわりに言われて気づきました。

岡田:ギターは考えるのに苦戦しましたね。ボーカルがしっかり言葉を伝えて歌っているし、メインのリフを弾いているのはベースだから、そこにどう乗っかっていこうって。この曲はギター1本なので、普段えみりが弾いていることと、私が弾いていることを組み合わせてみようと思ったんですね。それでカッティングしながらコードを弾くスタイルに辿り着きました。


──ブラックミュージックの要素がありますものね。

岡田:頑張ってみました(笑)。シンプルで音数が少ないのでライブでは緊張しますね。

水上:私はハンドマイクで歌うので、3人が出してくれるノリが大事だなって。身体を揺らせて聴ける曲だと思います。

──アルバムの中で最もアグレッシヴで攻めている「不幸維持法改定案」についてはどうですか? タイトルからして面白いなって。

水上:マニフェストみたいですよね(笑)。自分の苦労話だったり、これだけ辛い思いをしてきたって嬉々として語る人って私は苦手で「わざわざ自分から言わなくてもいいんじゃない?」って思うんです。「そうだったんだね。頑張ったね」って褒められると思うんですけど、そういうことを言わない人が裏でどんな想いをしてどんな生活をしてきたのかはわからないし、不幸であることが幸せみたいな風潮を変えたいなって。誰かに認めてもらえる幸せが幸せじゃなくて、自分が幸せだと思えることが大事なんだって思って書いた曲です。


──冒頭で話してくれた幸せの定義について問いかけた曲ですね。

水上:この曲に限らず「Hanamuke」なら“結婚”がモチーフになっているし、「ひとり暮らし」もひとりになって、今までが幸せだったのか? これからが幸せなのかということを問いかけているし、他の曲にも散りばめられていますね。

──「不幸維持法改定案」には“本当の仕合わせを教えてよ”という歌詞が出てきますが、“仕合わせ”にはハッピーなことだけじゃなく、いいことも悪いこともひっくるめてしあわせという意味があるんですよね。

水上:そうです。太宰治の「人間失格」を読んで書いた歌詞です。それでホントの幸せについて考えて書きました。

──文学的な歌詞ですもんね。“呻吟”だったり、普段目にしないような漢字が多く使われていて。

水上:はい。辞書を引いたりして深堀りして聴くと面白いかなって。ほかの4曲はいろいろな人に届くように情景が浮かびやすかったり、わかりやすく書いたんですけど、その分、この曲はめちゃくちゃ振り切って書いてやろうって(笑)。


▲水上えみり

──最初から激しい曲調だったんですか?

水上:最初から歪ませたエレキギターで弾いていました。レコーディングの時、めちゃくちゃ感動したぐらいに好きで、個人的にイチ推しかもしれないです。アルバムの中では埋もれがちかもしれないけど。

──そんなことないですよ。エッジがあって、ニルヴァーナとかオルタナロックの影響を感じます。

岡田:私は昔からギターサウンドが好きでハードロックだったり、海外の昔のバンドが好きなので。

──魂が突き刺さってきそうな?

岡田:そうですね。3年間、なきごとをやってきた中で、もっと自分がライブを楽しみたいという感情が生まれてきたんです。カッコいいフレーズでありつつ、力を抜いて弾きたいなって。

水上:早くライブでやりたいよね。

岡田:ね。楽しみだよね。

水上:私はスピッツのサウンド感にも通ずるものがあると勝手に思っている曲なんです。スピッツ好きなひとがなきごとを聴いてくれた時に良いって言ってくれることも多くて、私としては嬉しい限りです。勝手に思っている分、岡田とはまた違った解釈だとは思うんですけど。

──そういう違いがあるから面白い反応が生まれるんですよ、きっと。

水上:2人のルーツが合わさった曲ですね。

──アルバムのラストにふさわしい「フィルター」では“君は君だけだ”と歌っていますが、弾き語りから形にしていった曲ですか?

水上:はい。自分が推している人がいて、その人の生き方や、やりたいことに向き合っている姿を見て「もっと頑張らなきゃ」って思ったり、自分のやりたいことへの向き合い方を変えてくれた人なんですけど、その人が誹謗中傷で悲しんでいるのを知って書いた歌詞です。心ない言葉は夜の海に浮かぶ月のようにやけに目につくかもしれないけれど、ネットの海の中、もっと目を向けて欲しい言葉がある。その人にとって、夜の海に浮かんでいる月みたいに言葉が届いたらな、と。あなたはそのままのあなたでいいんだよって伝えたくて書いた曲です。

──“何を見つめるべきかフィルターをかけよう”という歌詞も気になりましたが、どういうニュアンスですか?

水上:端的に言うと取捨選択。自分にとって必要な言葉とそうじゃない言葉を見きわめるフィルターを持っていた方がいいなと思っているんです。


▲岡田安未

──なるほど。岡田さんにリクエストしたことはありましたか?

水上:アウトロのギターソロが壮大ですごく好きですね。岡田って空間系の歪んだギュイーンっていうギターが得意なプレーヤーだと思っていて、そういう部分が取り上げられることが多いんですけど、繊細な雰囲気作りも上手なんです。この曲では海の中にポトンと水を落としたような静けさがいいって伝えたんですが、イメージ通りに表現してくれました。私は曲と言葉を書いて歌ってギターも弾くけど、そこにカラーをつけてくれて2Dだったものが3D、4Dになって完成するのは岡田のおかげだと思っているんです。

岡田:曲の世界観がハッキリしているものじゃないとギターで表現しても限りがあると思うんですよ。そう受け取ってもらえるなら、えみりの曲のおかげだと思ってます。

──最強のコンビですね。2月から始まる東名阪ツアーはどんな内容にしたいと思っていますか?

水上:本当はもっと多くの箇所を廻りたかったんですが、コロナの状況がまだ見えないこともあって東名阪になったんです。その分、1本、1本に魂を込めるのでみんなで力を合わせて最強のライブにしたいと思っています。

岡田:なきごとを3年やって、ようやく自分たちの真髄みたいなものが見えてきたので、節目であり、リスタートのツアーになると思っています。終わった後、自分たちがどれだけ成長しているか楽しみですね。

取材・文:山本弘子


リリース情報

3rd mini album『パトローネの内側で』
通常盤(CD only)
品番:NOID-0040
価格:1,750yen(+tax)
【収録曲】
1.ひとり暮らし
2.Hanamuke
3.不幸維持法改訂案
4.D.I.D.
5.フィルター

ライブ・イベント情報

<「パトローネの内側で」Release Tour 2022 >
2022年2月11日(金・祝) 【愛知】名古屋CLUB QUATTRO
CAST:なきごと / GUEST
OPEN/START 17:00/17:30

2022年2月22日(火) 【大阪】梅田CLUB QUATTRO
CAST:なきごと / GUEST
OPEN/START 18:00/18:30

2022年3月18日(金) 【東京】恵比寿LIQUIDROOM
CAST:なきごと / GUEST
OPEN/START 18:00/18:30

【TICKET】
第2次プレオーダー:2021年12月2日13:00~12月7日23:59
TICKET:3,500yen(+1D)
PG:e+ (https://eplus.jp/nakigoto22pat/)

◆インタビュー(1)へ戻る
この記事をツイート

この記事の関連情報