【ライブレポート】38年間の紆余曲折を経てREACTION、終局

ツイート

去る11月20日と21日、REACTIONが東京は目黒・鹿鳴館での二夜公演を実施した。去る7月にリリースされた文字通りの最終アルバムと同様に『Farewell』とのタイトルが掲げられたこの二夜のうち20日は<Acoustic Night>、21日は<Last Night>と銘打たれ、それぞれREACTION史上初となるアコースティック公演、バンド編成での最終ワンマン公演という構成がとられていた。ちなみにREACTIONにとってメジャー・デビュー作にあたる2ndアルバム『AGITATOR』がリリースされたのは1986年11月21日のこと。それから35年、結成から数えれば38年を経て、このバンドが所縁深いライヴハウスで有終の美を飾ることになったというわけだ。


REACTIONといえば加藤純也(Vo)、斎藤康之(G)、反町哲之(B)、梅沢康博(Dr)という1985年から1989年にかけての布陣の印象が強いはずだが、2008年に斎藤、2015年には梅沢が他界。加藤も音楽活動から離れた状態が続いており、バンドの看板は反町により守り抜かれてきた。ただ、加藤を除く3人は2006年の時点で、元BODYの木村直樹(Vo)を迎えてバンドを再結成し、始動に向けて動き始めていた。その矢先に斎藤が他界したことでREACTIONの新たな歴史は具体的に綴られぬまま止まっていたわけだが、斎藤と共にこのバンドを結成した当事者である反町の中にはずっとわだかまりが残っていた。それを解消し、いわば自らの歩みにけじめをつけるために作られたのが、前述の『Farewell』というアルバムだった。同作には木村のヴォーカルによる過去楽曲の刷新ヴァージョンをはじめ、生前の斎藤が遺した楽曲、反町自身が物語を完結させるために書いた新曲も含まれている。


こうした事実関係からも、現時点において実質的にREACTIONのメンバーが反町と木村のみであることはご理解いただけるはずだが、『Farewell』という作品自体の成り立ちがそうだったように、今回の二夜公演にもこのバンドや故人たちと所縁の深いミュージシャンたちが集まり、ふたりの脇を固めた。第一夜にはCharlie Tanaka(G)、原田喧太(G)、清水賢治(Key)、山口昌人(Dr)という顔ぶれにより、マンドリンやアコーディオンまで導入しながらの大胆なアレンジによるアコースティック演奏が繰り広げられ、第二夜には小松優也(G)、本間大嗣(Dr)との4人編成を基本軸としながら、楽曲によっては第一夜と同様にキーボードの清水が加わり、さらには坂本英三(Vo)と藤本泰司(G)のゲスト出演も華を添える形となった。


さて、前置きが長くなったが、筆者自身はこの二夜公演のうち第二夜の模様を目撃した。1曲目に「JOY RIDE」を配し、本編のラストを「INSANE」で締め括るという構成は、まさに1980年代ジャパニーズ・メタルにおけるインディーズの名盤との誉れ高い『INSANE』(1985年)の幕開けとクロージングを踏襲するものだったが(注:同作がCD化された際には楽曲収録順が変更されている)、その狭間には1980年代の代表曲の数々ばかりではなく、『Farewell』にも収められていた斎藤の遺作にあたる「幻」、ごく初期の代表曲であると同時にメジャー期にはレコード会社側の意向によりバンドにとって不本意な形で収録されることになった「LUST」なども組み込まれ、まさにREACTIONの歴史を総括しながら、再結成後の姿を想像させるものになっていた。


アンコールの最後、反町が最新作のために作ったインストゥルメンタル「Farewell~THE KNIGHT LAST STAND」から「LONESOME KNIGHT」へと続いた場面は、まさに孤独な闘いの終焉を思わせるものだった。アグレッシヴな演奏にけたたましいサイレンの音が重なる中、往年のステージングそのままにベースの弦を引きちぎってみせた反町は、誰よりも先にステージ上から立ち去った。その背中を見届けたのは暖かな拍手と、我慢を抑えきれずに発された声援だった。ライヴ中も常時マスク着用を強いられ、一緒に歌うことすら叶わないという現状が恨めしくもあったが、それでも場内の一体感にはコロナ禍以前のライヴに匹敵するものがあったし、その熱気の中で、REACTIONの歴史が染みついたこの場所でかつて目にしてきた場面の数々がフラッシュバックするかのような感覚を味わったのは筆者だけではないだろう。


各プレイヤーの演奏の充実ぶりなどについては言うまでもないし、木村の丁寧な歌唱も、反町自身が過去のエピソードを交えながら来場者たちに深く謝意を伝えていた姿も印象的だった。ただ、こうして<LAST NIGHT>は幕を閉じたが、これはREACTIONの「完全なる終わり」を意味するわけではない。反町自身もステージ上で語っていたように、あくまで「REACTIONが主催する形で実施するワンマン公演はこれが最後」ということであり、2022年6月にはコロナ禍の影響により延期措置となっていた札幌でのイベント出演も残されている。また、反町はライヴ終了後にSNS上でも「引退すると言ったわけではない」とのメッセージを発信しており、REACTIONとして今回のような体制でのワンマン公演を行なうことはないものの、何らかの形でREACTIONの楽曲を演奏する可能性があることを認めている。


また、興行に伴う制約が多い状況下での開催だったために今回の公演の目撃者はごく限られた数となったが、その模様は映像収録されており、すでにその編集作業が進められているようだ。こちらの発売に関する情報も、今後、バンドのオフィシャル・サイトを通じて明かされることになるはずだ。

REACTIONは記録的な成功を収めたバンドでもなければ、常人離れした超絶ミュージシャンの集合体というわけでもなかった。しかし彼らにしかない特別な何かというのが、確実にあった。今回のライヴを通じて改めて痛感させられたのも、わかりきっていたはずのそうした事実だった。これがこのバンドとの“別れ”になるのは寂しいところではあるが、その音楽との付き合いは聴き手の気持ちひとつで一生のものになる。それは、バンドの看板を守り抜いてきた反町自身にとっても同じはずだし、ステージを去る際の彼の後ろ姿を、筆者はこの先も忘れないだろう。

撮影◎渡辺泰裕
文◎増田勇一

REACTION<Last Night>

2021年11月21日@鹿鳴館
1.JOY RIDE
2.DON'T STOP
3.幻
4.ETERNAL
5.YOU GOT ME BURNING
6.キミノタメニ
7.LUST
8.GET MY WAY
9.BAD BOYS TOY
10.EVERYBODY'S CRAZY
11.STARTIN' SOMETHING
12.HAMMER ON THE BEAT
13.I'M SO EXCITED
14.INSANE
15.-encore-
16.DARK ILLUSION
17.夢の欠片
18.Farewell~THE NIGHT LAST STAND
19.LONESOME KNIGHT

◆REACTIONオフィシャルサイト
この記事をツイート

この記事の関連情報