【ライブレポート】激情のBiS×ZOC対バンツアー

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BiSとZOCのスプリットシングル「割礼GIRL/BEGGiNG」のリリースに伴って開催された対バンツアー<BiS×ZOC presents We are BZ tour>は、11月18日・Zepp Tokyo公演を皮切りにスタート。その模様をレポートする。

◆BiS ライブ画像(12枚)
◆ZOC ライブ画像(14枚)

ステージの背景に飾られていたのは、今回のツアーのために作成されたロゴの巨大なフラッグ。両グループの頭文字である「B」と「Z」を組み合わせたデザインの危険な香りにワクワクしながら開演を待ち構えていると、会場内の照明は突然暗転。SEは流れず、無音状態の中、BiSのイトー・ムセンシティ部、チャントモンキー、ネオ・トゥリーズ、トギーがステージに並んだのが、薄暗がりを通してぼんやりと見えた。


そして、突然鳴り響いた爆音と、「オラオラ! ついてこいよ!」という煽りの言葉。ZOCのプロデューサー兼メンバーの大森靖子が作詞作曲、大久保薫が編曲を手掛けた「割礼GIRL」からライブはスタートしたのだが……予想外の光景がいきなり繰り広げられたので、まずはそこに触れるべきなのであろう。

下手袖から車椅子で運ばれてきたメガネの人物、あれは一体誰なのか? 「新メンバーとして加入することになったナノ3?」と誤認するはずもなく、その男性は株式会社WACK代表取締役・渡辺淳之介氏。手にしたバリカンでトギーが渡辺氏の毛髪を容赦なく刈り込んでいく。渡辺氏とZOCのメンバー・巫まろとの間での一連の出来事に起因する断髪式を目の当たりにして研究員(BiSファンの呼称)、プレイヤー(ZOCのファンの呼称)は仰天したはずだが、セレモニーはあっという間に終了。


BiSの4人が全力で歌い、踊って表現した「割礼GIRL」が、我々のアドレナリンを急激に搾り上げ始めた。“かっこよくしてあげるよ”“私がちょん切ってやんよ”というフレーズが、先ほどの断髪式と何やら重なるような気もするのが実に痛快! ZOCメンバーの舞踊家・雅雀り子による振り付けのしなやかさと激しさの併せ技が、普段のBiSのダンスとは異なるきらめきを発していたのも大きな見どころであった。


現在の編成のBiSのパフォーマンスの名物となっている組体操がばっちりと決まった「STUPiD」、轟音がものすごい勢いで押し寄せてきた「FOR ME」を経て迎えた小休止。和やかなMCが始まるのかと思いきや、4人の自己紹介はあっという間に終わり、「テレフォン」へと雪崩れ込んでいった。ステージ全体を目一杯に使ってパフォーマンスをしていた彼女たちと向き合いながらふと浮かんだのは“生き急いでいる”という言葉。肉体と魂に鞭を打ち続けるかのような全力投球が鮮烈だった。続いて、4人の雄叫びの嵐となった「FUCKiNG OUT」。ビートはエネルギッシュだが、瑞々しいメロディが際立っていた「つよがりさん」……個性豊かな歌声が絶妙なバランスで融合しているBiSは、楽曲のメロディの良さ、ハーモニーの心地よさもじっくり体感させてくれた。


西海岸パンク的な疾走感に満ちた「BASKET BOX」の後に披露されたのは、ZOCの楽曲のカバー「family name」。BiSの4人もまさしく“クッソ生きてやる”という言葉に心を重ねていることが、歌声を通じて伝わってきた。続いて「BiS-どうやらソンビのおでまし」がスタート。研究員が飛び跳ねながら示す興奮が一際勢いを増す。ZOCのグッズを身に着けた人々も、実に楽しそうに身体を揺らしていた。普段は異なる現場に通っている人々が楽しさを共有し合い、初めて聴く音楽の魅力に目覚められるのが対バンライブだ。その理想形と言うべき空間が生まれていた。そして、BiSのステージのラストを飾ったのは「LOVE」。4人が両腕で大きなハートマークを形作ってエンディングを迎えた時、力強い拍手が客席全体から湧き起こった。


SEが鳴り響くや否や、客席内で人々が手にしていたペンライトの色の種類が一気に増えて、ZOCのライブへの期待が一気に高まる。そしてステージ上に藍染カレン、西井万理那、雅雀り子、巫まろ、鎮目のどか、大森靖子が集合して「ZOC実験室」がスタート。激しく刻まれるサウンド、言葉の楔を打ち込んでくるかのような6人の歌声の強度がとんでもない。ぶん殴られたかのような感覚を味わった後に雪崩れ込んだ「family name」は、サビで歌声がユニゾンになった瞬間の壮大さに息を呑まされた。この印象は“6人それぞれ全く別の色合いの声が1つになった”というよりも“互いに美しく乱反射し合うかのようだった”と表現した方が、おそらく正確なのだろう。ZOCは“孤独を孤立させない”という理念を結成当初から掲げている。その意味は、この曲のサビのユニゾンでまさしく体現されているように感じられた。


高鳴り続ける壮大なメロディにとことん興奮させられた「DON’T TRUST TEENAGER」を経て最初のMCタイム。メンバー1人1人が自己紹介をした後、「次は巫まろちゃん、禊のコーナーです!」と大森が言い、「BEGGiNG」がスタート。作曲:BiSのサウンドプロデューサー・松隈ケンタ、作詞:渡辺淳之介&松隈ケンタでZOCに提供されたこの曲をステージのセンターに立って歌い始めたのは巫まろ。本来はメンバー全員で歌うこの曲だが、1人で歌うことが先程のBiSのライブでの断髪式と並ぶ禊の儀となっていた。

様々な意見が当然あるのだろうが、あのキュート極まりない声で歌いながらアイドルとして目一杯に輝いてみせた姿に、まろの謝罪の気持ちが最大限に込められているのを感じた。曲が後半に差し掛かったところで他のメンバーも合流。プレイヤーも研究員も色とりどりのペンライトを振りながらステージに向かって温かなエールを送っていた。


BiSの楽曲のカバー「STUPiD」は、雅雀り子によるZOC版の振り付けで披露。全員で馬飛びをする間奏部分がとても印象的だった。そして、次の曲のイントロが始まった瞬間、胸がいっぱいになった人がたくさんいたのでは? 第1期BiSの曲である「primal.」を歌いながらステージに現れたのはMAPAの古正寺恵巳。彼女は第1期BiSのメンバー古正寺恵巳。彼女は第1期BiSのメンバー“コショージメグミ”であり、2013年4月3日に新宿ロフトで行われた対バンイベントで“大森靖子×BiS”によるコラボでこの曲が披露された際はまだ加入してはいなかったが、あれから約8年後に「primal.」がこうして届けられたのは、とても嬉しいサプライズであった。続いてスタートした「①④才」でも古正寺はステージに留まって、ZOCのメンバーと共に歌唱。6人それぞれが情感豊かに歌声を響かせながら舞い踊るこの曲は、何処かミュージカル的な色合いがある。7人編成での表現によってドラマチックさを一層際立たせていた。


繰り返される“女の子”というキラキラしたフレーズが、性別や年齢も超越した生命讃歌のように感じられた「CUTTING EDGE」。明るいライティングで照らし出されたステージ上で6人が様々なフォーメーションを描きながら歌う姿に誘われて、観客が一斉に腕を振り上げながら盛り上がった「AGE OF ZOC」。そしてラストを飾ったのは「IDOL SONG」。様々なアイドルのキャッチフレーズを引用しながら、“アイドル”という生き方の中にある凛々しさ、逞しさ、切なさ、覚悟をキュートに躍動させているこの曲は、2つのアイドルグループが共演したこのライブを締め括るのに実にふさわしかった。


ZOCとBiSのメンバーがステージ上に集合して記念撮影。そして終演を迎えた<BiS×ZOC presents We are BZ tour>初日。両グループの魅力を高密度で体感することができた。このような対バンイベントをまたぜひ観たい。古正寺恵巳が所属するMAPAも含めて、魅力的なアイドルグループが世の中にはたくさん存在する。素敵な組み合わせの企画は今後も様々な形で実現されていくはずだ。

取材・文◎田中 大

セットリスト

■BiS
1.割礼GIRL
2.STUPiD
3.FOR ME
4.テレフォン
5.FUCKiNG OUT
6.つよがりさん
7.BASKET BOX
8.family name
9.BiS-どうやらゾンビのおでまし-
10.LOVE

■ZOC
1.ZOC実験室
2.family name
3.DON’T TRUST TEENAGER
4.BEGGiNG
5.STUPiD
6.primal.
7.①④才
8.CUTTING EDGE
9.AGE OF ZOC
10.IDOL SONG

スプリットシングル「割礼GIRL/BEGGiNG」

2021年11月3日(水)発売

収録楽曲
01. 割礼GIRL
02. BEGGiNG
03. family name
04. STUPiD
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