【インタビュー】卓真 (10-FEET)、ソロ初作品完成「本格的に弾き語りに取り組んだとても大きな理由」

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10-FEETのTAKUMA (Vo/G)が11月24日、卓真名義によるデジタルシングル「軍艦少年」をリリースした。これまでもソロとして、アコースティック/弾き語りスタイルによるライブ活動を行ってきたものの、作品発表は今回が初。そのリリースに至ったのは、表題曲が主題歌を務める映画『軍艦少年』と、その原作者・柳内大樹との出会いが大きいという。いわゆる自己の表現欲求を満たすためのソロ活動でもなければ、10-FEETで出来ないことをやるという主旨でもない。卓真ならではのサウンド&リリックが心を奮わせる楽曲の源には「親友のために」というピュアな想いがある。

◆卓真 (10-FEET) 画像 / 動画

卓真自身が今表現したいこと、加えて主題歌となる原作のことを同配分で考えながら制作したという楽曲は、本人が意図せず、10-FEETらしさとソロならではの新スタイルが同居したものとなったようだ。BARKSは以前から弾き語りソロについての話を訊いていたが、作品が完成した今、改めてそのスタイルやソロ初作品についてじっくりと語ってもらった。なお、10-FEETは現在、<10-FEET “アオ” TOUR 2021-2022>および、マキシマム ザ ホルモンとELLEGARDENとのスリーマンツアー<Reunion TOUR 2021 〜Eat music in the same LIVE HOUSE〜>を開催中だ。まずは、そちらの手応えから語ってもらったロングインタビューをお届けしたい。

   ◆   ◆   ◆

■みんなを波に乗せるのがバンドだとすれば
■弾き語りはひとつの波に一緒に乗っていく

──今現在、10-FEETは<10-FEET “アオ” TOUR 2021-2022>の真っ最中ですけど、どんな手応えですか?

卓真:感染対策もこまめにやりながらですね。でもなんか、どんどん元に戻っていってる気がしますけどね。

──今回のツアーはホール会場で全席指定という、これまで10-FEETが経験したことのない環境でもあるでしょ。

卓真:声を出さないとか暴れないという条件下であれば、むしろホールは、すごく楽しめる環境なんだなって気づけましたね。椅子もあるし。たとえば、子供がいるからしばらくライブへは行けなかったというお客さんも、すごくたくさん来てくれるようになって。室内やけど、ちょっとフェスのときみたいに親子でも楽しんで観てくれている感じがします。音の響きも、ライブハウスと違うし、僕らもお客さんも新鮮な気持ちで楽しめているんじゃないかなと思ってます。


──あと発表になった<Reunion TOUR 2021 〜Eat music in the same LIVE HOUSE〜>は、なにがきっかけで、10-FEETとマキシマム ザ ホルモンとELLEGARDENのスリーマンツアーが決まったんですか?

卓真:けっこう前から「こんなのやってみない?」って提案はもらっていて。馴染み深いバンドばかりなんで、同窓会みたいでおもしろいなと思ってね。フェス会場で会うことはあるんだけど、やってそうでやってないメンツのスリーマンツアーなので、すごく楽しみにしてます。

──やっぱり楽屋では、チャイナドレスを着て「わたし、あなたたちのオモチャじゃないから」って言っちゃう感じ(笑)?

卓真:懐かしい。それ、やらないといけないですね(笑)。

──マキシマム ザ ホルモンとのコラボ“ビタミン7”のレコーディングでしたっけ。ホルモンのメンバーがスタジオに行ったら、10-FEETの3人がセクシー衣装をわざわざ着て待っていて、ホルモンのメンバーがなにか言うたびに「わたし、あなたたちのオモチャじゃないから」って片言の日本語で言っていたという(笑)。だからスリーマンツアーでも、楽屋入りするみんなをあのときのように出迎えるっていう?

卓真:それ大丈夫なんかな〜(笑)? ま、それはないとしても、スリーマンツアーは楽しくなると思いますよ。

──MCのバトン繋ぎ、別の言い方をするとボケ倒しとかも?

卓真:たぶん飛び出すんじゃないかな(笑)。


──ここまでは10-FEETのTAKUMAとして話してもらいましたが、ここからは卓真さんとして話していただきます。ずいぶん前からソロとしてアコースティックギターの弾き語りライブも始めていましたね?

卓真:けっこう昔からちょこちょこ呼ばれて弾き語りしていたんですけど、弾き語り用の曲を作ってやるようになったのは、ここ2〜3年ぐらいかな。

──弾き語りはシンガーとして新たな挑戦だったみたいなことも以前のBARKSインタビューで語っていただきましたが、最初のうちはクリアしなきゃいけない課題もありました?

卓真:今から思えばすごくありましたね。音数は少ないけど、ひとつひとつの音の存在感は大きくなるし。歌と楽器がうまく鳴り合わないと、全然良くならないんで。音楽や演奏の基礎を大事にしなくちゃ良くならないって環境は、すごく勉強にもなってます。

──最初のうちは気持ち良さと同時に悔しさもあったんですか?

卓真:弾き語りを始めたころは、10-FEETの曲のアコースティック版みたいなのがセットリストのメインだったんですよ。そこでなんとか盛り上がっていたな、という印象で。でも、みんなに楽しんでもらうためには、1から考えていかないといけないなってことに気づいてからは、10-FEETの曲をやるにしても弾き語りに合わせてアレンジをさらに考えるようになって。弾き語りに取り組めば取り組むほど、10-FEETに持って帰れるものがどんどん増えていった感じですね。

──弾き語りは詞と歌が主軸になることが多いから、同じ曲でも響き方が変わって、曲の別の魅力に気づくことも多いんですよ、聴き手としては。弾き語り用に曲を作っていくとき、なにを一番ポイントにすることが多いですか?

卓真:楽曲そのものが持っている世界観とか、自分の歌と演奏で作れる世界観。その世界観というものを本当に表現できないといけない。ただ歌がうまいだけとか、ギターがうまいだけでは、弾き語りを聴いてもらう場では良くならへんなって。自分でやっていてもそう思ったし、表現が素晴らしい人のステージを観てもすごく感じたことですね。バンドでやるときは迫力のある音が助けてくれたりするんですけど、それを弾き語りでやるときは大元にある音楽と歌で世界観を作って、そこにみんなでグッと入っていくような表現でないと、ライブもあんまり良くならない。すごく難しいんだけど、すごく音楽的でおもしろいと思いますね。どんどん磨き上げていくことに、意義があるし、意味があるし、やりがいがあります。

──ライブ中に得られる手応えも、バンドでのライブとは違う種類だったりします?

卓真:共通点もあるけど、やっぱりちょっと違うかな。ひとつの世界観の中にみんなで入っていって、気持ちを揺らして一緒に楽しむというのは、バンドの表現と一緒だと思うんです。でも、みんなを波に乗せるというより、ひとつの波に一緒に乗っていくという感じが弾き語り。だからMCとかで一体感を出すというよりも、やっぱり音楽と歌の世界観作りが基盤なんです。アレンジの足し算も引き算も顕著に反映される環境なので、やっていてそこがおもしろいですね。例えば、声のトーンとか倍音をちょっと抑えるだけで、すごくいい音楽やアンサンブルになるんだなとか。その場で演奏する歌と音楽が、自分にもよりダイレクトに聴こえるので。

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