【インタビュー】伊波杏樹、「25年間しっかりと真摯に役者として生き続けてきた結果が“ココ”」

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■みんなのたった一つの星になるために
■私は歌いたいし役者として生き続けたい


──ブラスの入ったジャズ調の「I bet my life」や、アッパーで勇ましいラテン曲「VICTORIA」と、ラヴソングに見えて違うのかも?と思うような曲もありますし、より多面的な見せ方は今作の特徴かもしれませんね。

伊波:そうやって想像を広げてもらえるのがすごく嬉しいです! 1曲1曲に想いが詰まっていて、例えば「I Copy ! You Copy ?」みたいな曲は、私のことをアニメやゲームで知ってくださった方にはより楽しんでもらえると思うんですよ。好きな人のために努力をする女の子の可愛さを描いた曲なんですけど、それをキャッチーかつコミカルなエッセンスも交えながら、でも、それをリアルな日常に反映すると意味合いが変わってきちゃうんで、SFチックな世界観で書いてみました。その方が発想も広がるし、もう、シャトルを飛ばしてみたりとやりたい放題! だから歌詞ができるのも一番速かったですね。3時間ちょっとでできていました。

──爆発力のあるキュートな声色は声優ならではですよね。逆に「An seule étoile」は純然たるクリスマスバラードで、歌詞もすごくリアルじゃありません?

伊波:実はこれ、去年の12月にファンの皆さんに向けて発表した曲なんです。もともとクリスマスに良い思い出の無かった私が、3年前のクリスマスには<An seule étoile>というカバー曲を歌うイベントをやって、初めてクリスマスに楽しい思い出を作ることができて。翌年のクリスマスにもイベントをして、じゃあ、今年は何をしようかな?って考えていたのに、コロナ禍で全部ダメになって落ち込んでいたんです。そうしたら多田さんが「曲作りはどう?」っていうのが始まりで作った曲なので、パッと聴きは普通のクリスマスラヴソングでも、ファンの方が聞けば“これってあのことだ”っていうのが一つひとつ明確にわかる歌詞になっているんですよ。そうやって、みんなと紡いできた記憶をたどりつつ、悔しい想いと希望を込めた「An seule étoile」なんです。



──主人公の相手に向ける想いが強すぎて、ちょっと怖いくらいだったんですが、それを聞いて腑に落ちました。ちなみにタイトルはフランス語で“一つ星”?

伊波:“たった一つの星”ですね。本来なら「Un seule étoile」のところ、名前が“Anju”なので“Un”を“An”にさせていただきました。みんなのたった一つの星になるために、私は歌いたいし役者として生き続けたい。それと同時に、応援してくださる一人ひとりが私にとってのたった一つの星なんです。

──つまり、お互いがお互いの“An seule étoile”であると。

伊波:そうです! ただ、この曲と1曲目の「もし叶うなら」は、曲順を決めるとき置き所はものすごく考えました。最初は「I bet my life」を1曲目にしたら、バン!と緞帳が上がるような雰囲気でいいかなと考えていたんですけど、作詞やレコーディングが進むうちに“違うな”と。これは「もし叶うなら」が1曲目なんじゃないかなって。

──2年前にリリース済みの曲ですが、今回はリアレンジした“25 years old”バージョンとして収録されていますね。

伊波:多田さんから頂いた初めてのオリジナル曲で、伊波杏樹としても一番ライヴで歌ってきた曲だから、アルバムには絶対収録したかったんです。ただ、そのまま入れるのも違うから、もっとオーガニックな感じでリアレンジしようということになり、多田さんのピアノと私の歌だけの構成になりました。曲に対するイメージも当時と今とでは全く違って、以前が希望の光に手を伸ばすような時間帯だとしたら、今は夜。トボトボと一人で帰り道を歩いていたら、都会のネオンが嫌な光を投げかけてきて、踏み込んでほしくないところにまで踏み込まれるけれど、曲が進むにつれて道が拓けて白い光に変わっていくんです。深夜から朝方4時頃の清々しい朝を迎えていくっていう、この景色って現代に合っているかもしれないって思うんですね。疲れ切っている人が多くて、でも、それも今だけだから。必ず朝は来るから……って寄り添える楽曲になったんじゃないかな。

──1曲目が伊波杏樹の始まりの曲だとしたら、ご自身で作曲しているラストの「また会えるよ。」は一番新しい曲なんでしょうか?

伊波:いえ、違うんです。実は2年前に作ったデモを引っ張り出してきていて、タイトルも歌詞もほぼ変えてません。だから初々しく、風を掻っ切って走っていくような歌詞になっているんですよ。もう何言われたって突っ走ってやる!っていう気持ちが迸っていて、どこからBメロでどこからサビなのかが自分でもわからない! おかげで、いざレコーディングするとなって苦労しました(笑)。

──確かに構成や歌詞の切り方が斬新ですよね。

伊波:吹き込んだときのボイスメモが未だに携帯に残ってるんで、何かタイミングがあったらみんなに聴いて欲しいですね(笑)。レコーディングをしていたら、ファンのみんなの笑顔や姿が鮮明に見えて、過去の自分に背中を押されたんですよね。“この夢叶えるぞ”とか“みんなを見たことのない世界に連れていくぞ”っていう、当時の張り切っていた気持ちが歌詞にそのまま書かれていて、でも、この1、2年はあがいたこともあり、過去の伊波杏樹に“何やってるんだよ、こんなところで”って言われたみたいだった。そういう過去も今も全部ひっくるめた伊波杏樹が、この10曲目には入っているので、みんなにも歌っている伊波杏樹の姿が見えると思います。

▲通常盤ジャケット

──他にも未披露のデモがあったりするのでは?

伊波:はい。もっとキャッチーな曲とかロックな曲とかありますね。でも、ボイスメモで録ってるだけで、唯一デモまで作っていたのが「また会えるよ。」だったんです。常に歌詞が先行なんで、歌いたい気持ちが出てるときにしか作曲はできてないんですよね。

──また、お披露目されるのを楽しみにしています。しかし、お話を聞くにつれ“点”のリリースではなく、以前から伸ばしてきた“線”が花開いたのが今作なんだなと。

伊波:そうですね。25年間しっかりと真摯に自分と向き合い、役者として生き続けてきた結果が“ココ”だったんだと思います。

──なので、年明けのライヴが舞浜アンフィシアターという、なかなか大規模な会場なのも納得ですし、ステージ装置も凝っているので楽しみです。

伊波:舞台人として、ステージが回るっていうのは最強に使いたいですね! 私、ディズニー大好きなんで、そのお膝元でできる嬉しさもありますし、みんなもそれを知っているので、私も“絶対に楽しませてやるぞ!”という思いでいっぱい。グッズも含めて愛がいっぱい詰まったライヴに絶対したいですし、そういえば今回のライヴのテーマカラーは水色とピンクにしようと考えていて、その2色を掛け合わせると紫になるんですよ。

──そういえば通常盤のジャケットは白ではなく、紫の衣装ですよね。

伊波:そう! 衣装さんとフィッティングをしていて、ナチュラルで透明感を崩さない色ということで選んだのが紫だったんですけど、すごい偶然だなって。今まで自分からは、選ばなかった紫を選んだのには何か心境の変化があったんだろうし、そもそも紫が似合うようになったのはこの歳になったからだろうし。年齢を重ねるって良いことだなぁって、ようやく素直に言えるようになってきたんです。舞台のオーディションに行くと年齢を言わなくちゃいけないから、その数が上がっていくことに22歳頃から焦りを感じるようになって、それこそ“飛び出したい”っていう想いの根底には、そういう焦りがあったんだと思うんですよね。そこから脱却できたのは、やっぱり少しずつ丁寧に積み上げて、みんなから言葉をもらううちに、ほんの少しだけ自分に自信がついたってだけの話なのかもしれない。だから自分で作詞をして、CDを広くお届けできることを嬉しいと感じられるようになったのは、私からしたらメチャクチャ大きなことなんですよ。おかげでジャケット写真の中でも、焦らず落ち着いたありのままを残せているし、フォトブックでも伊波杏樹という一人の女性像を丁寧に創り上げていただいたので、ぜひ細かいところまで見ていただきたいです。

取材・文◎清水素子


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1stフルアルバム「NamiotO vol.0.5 〜Original collection〜『Fly Out!!』」

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■初回生産限定盤【BOX】
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¥3,300(税抜価格 ¥3,000)
・ブックレットの写真は「初回生産限定盤」「初回盤」のものとは異なります。
・おひとり様3枚まで

Tracklist
1.「もし叶うなら」 25 years old
(作詞・作曲・編曲:多田三洋)

2. GOOD LUCK, の HANDSIGN
(作詞:伊波杏樹 作曲・編曲:多田三洋)

3. Dubing Water
(作詞:伊波杏樹 作曲・編曲:多田三洋)

4. I Copy ! You Copy ?
(作詞:伊波杏樹 作曲・編曲:多田三洋)

5. An seule étoile
(作詞:伊波杏樹 作曲・編曲:多田三洋)

6. I bet my life
(作詞:伊波杏樹 / 渡邊亜希子 作曲・編曲:多田三洋)

7. VICTORIA
(作詞:伊波杏樹 作曲・編曲:多田三洋)

8. 笑描き唄
(作詞:伊波杏樹 作曲・編曲:多田三洋)

9. I promise you...
(作詞:伊波杏樹 作曲・編曲:多田三洋)

10. また会えるよ。
(作詞・作曲:伊波杏樹 編曲:多田三洋)

<Fly Out!! ~Reach out your hand!~>

日程:2022年1月29日(土)
[昼の部] 開場12:30/開演13:30
[夜の部] 開場16:30/開演17:30
会場:舞浜アンフィシアター

■チケット料金(全席指定)
8,800円(税込)

【枚数制限】
お一人様1枚まで
【受付期間】
11月27日(土)12:00~12月19日(日)23:59
【当落発表・入金期間】
12月23日(木)12:00~12月26日(日)23:59

※Inamin Town会員限定

詳細:https://anjuinami.com/news/

◆伊波杏樹 オフィシャルサイト
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