【インタビュー】she9、TikTokで話題のガールズバンドが放つ「ちょっと暗くなっちゃった世の中に届けたい明るい曲“ハイファイハハイファイ”」

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結成は2019年夏。思うような活動ができなかったコロナ禍で、TikTokへ投稿した“バンドあるある動画”がバズったことをきっかけに、2021年リリースの配信シングル「最強★ピース」「BPM」がTVドラマ『結婚できないにはワケがある。』の主題歌とエンディングテーマに起用されたほか、続く「トライミライ」がTVドラマ『家、ついて行ってイイですか?』の主題歌に抜擢されるなど、一躍話題を集めているガールズバンドがshe9だ。

◆she9 画像 / 動画

注目ポイントはまだある。「最強★ピース」のミュージックビデオではメンバーがダンスを披露するなど“ポップで可愛いガールズバンド”の一面も持っているが、メンバー個々の活動歴に裏打ちされた演奏力と練り込まれたアンサンブルにはインディーとは思えぬ意識の高さがある。

そして本日12月17日、デジタルシングル「ハイファイハハイファイ / Dolly」が配信リリースされた。「ハイファイハハイファイ」はキャッチーなサビとセッションのようなスリリングな間奏の対比が見事。一方の「Dolly」ではダークな詞世界を反映し、目くるめく展開が中毒性の高いアレンジを堪能できる。初インタビューで伝わってきたのは、各メンバーの音へのこだわりや、楽しみながら4人一体で楽曲を作り上げていく情熱だ。まだまだいろんな可能性を秘めていそうなshe9に、バンドへの思いや楽曲制作の裏側を語ってもらった。

   ◆   ◆   ◆

■“こんな感じに仕上がるんだ!”
■みたいなワクワクが毎回あります

──まずは結成のいきさつから伺えればと思います。yuzu(B)さんと苑(Dr)さんが同じ音楽専門学校に在籍していたんですよね。

苑:そうです。学園祭ライブのために友達が呼んでくれたベースがyuzuだったんですよ。

yuzu:「ベースやってよ」って誘われて、たまたま家にベースがあったので、学園祭のステージで弾いてみたら、すごく楽しくて「これだ!」と。私はもともとシンガーソングライターコースに入学してたんですけど、もうその日にベースコースに編入しました(笑)。

苑:その学園祭はコピーで出演したんですけど、そのあとオリジナルを演るためにバンドを組んで活動してたんです。で、学校を卒業する時に、他のメンバーが抜けて。「このまま一緒にバンドやりたいけど、ドラムとベース2人だけでどうしよう?」ってなっていた頃、高校卒業を控えてたじゅり(なみだじゅり[Vo])と知り合ったんですね。

じゅり:私は高校生の時からシンガーソングライターとして活動してて。高校卒業を前に、何か新しいことにチャレンジしたいって思っていた時、みんなと出会ったんです。

──となると、AMI(G)さんが最後のピースだったんですね。

AMI:はい。自分のバンドが解散しちゃった後、いろいろなバンドのサポートをしている中でみんなに出会って。これはやるしかない!と思って入りました。


──ちょうどいいタイミングで、結構短期間にぎゅっと集まったんですね。

苑:ほんとに、タイミングがすごくよかったです。

──yuzuさんと苑さんがバンドの母体だったようですが、当時好きな音楽とか演っていたジャンルもふたりに共通していたんですか?

yuzu:その学園祭のときはJ-ROCKとかJ-POPのコピーをやったんですけど、ふたりとも結構激しいサウンドのバンドが好きなので。そういう共通点はありました。

──じゅりさんはシンガーソングライターとして、すでに作曲もされていたんですよね?

じゅり:作曲は中学2年生から軽音楽部に入ってやっていて、高校の時にピアノの弾き語りで活動を始めました。aikoさんとかシンガーソングライターの音楽も好きだったし、バンドも好きで。意外と中田ヤスタカさんのPurfumeさん、きゃりーぱみゅぱみゅさんとかからも、かなり影響を受けてます。

──AMIさんは、ずっとバンド系という感じ?

AMI:お父さんが趣味でギターをやっていたので、もともと家にギターがあったんです。小学生の時にSCANDALさんを観て「女の子がギター弾いてる!」って衝撃を受けて、私も始めました。でも、最初はバンドっていうより、ただただギターを弾いてる感じで。高校でバンドを組み始めて、東京でバンドを組むことになって上京したんですけど、そのバンドが解散しちゃったり。そこからは新たにバンドを組んだり、サポートをやったり……みたいなことをずっと繰り返してました。

──組んでいたバンドのジャンルとしてはギターロック系?

AMI:そうですね、ほとんどギターロック系が多かったです。私が小さい頃、親が車でずっとMONGOL800さんの音楽をかけていて。その影響でメロコアが好きだったし、今でも『MASSAGE』っていうアルバムが本当に大好きで、よく聴いています。

──she9での作曲は、基本的にじゅりさんですか?

じゅり:はい。作詞作曲は私で、全員でバンドアレンジしていくっていうかたちです。

AMI:じゅりが結構な頻度で作ってくるので、それをアレンジしてみて、“どうしようか” “こうしようか”みたいな感じで進めていってますね。


──曲を作っていくなかで、だんだんバンドの色を掴んでいった感じですか?

苑:いや、掴めてきたのは結構最近ですね(笑)。みんな音楽的にはバラバラなものが好きなので、最初はかなり迷いました。

じゅり:私自身がいろんなジャンルが好きだったりするので、作る曲もバラバラだし、みんなのルーツもバラバラだから。最初はいろんなジャンルを試しましたし、今もチャレンジしている最中ですね。

AMI:そのアレンジ作業が面白いんです。もともと自分が聴いてきたものじゃない曲調もあるので、“こういう感じの曲はこういう構成なんだ”とか、いつも新たな発見があります。ドラムとかベースとかのアレンジが来ると、“ああ!こういう感じありだな”みたいな新鮮さがたくさんあるので。

──バンドアレンジは、それぞれの楽器パートが構築していくカタチですか?

じゅり:はい。曲の方向性についての話し合いを4人ですることはありますし、ピアノは私が入れることがあったりしますけど、基本的にはそうです。たとえば、すごくポップな曲を作って“これはあまりにポップすぎるかな、どういうバンドサウンドになるんだろう?”と思ってみんなに投げても、めちゃくちゃカッコいいロックなアレンジをしてくれて。“こんな感じに仕上がるんだ!”みたいなワクワクが毎回あります。


──確かにshe9の曲には、すごくポップなメロディとロックのアンサンブルが共存してますよね。今年デジタルリリースされた「最強★ピース」「BPM」と「トライミライ」はすべてドラマのタイアップソングでしたが、ドラマのために書き下ろすという作曲作業はまた違うものがありましたか?

じゅり:「トライミライ」は最初にドラマ(『"家、ついて行ってイイですか?』)の台本をいただいて、それを読んでから作った曲なんですけど、いろいろな物語がオムニバス的に合わさって構成されるドラマなので、どの回にも合うような感じを意識しましたね。そういう部分では、新しく悩んだりするところもあったんですけど、すごく楽しかったです。たとえば、ドラマの物語から“いろんなことがあって大変だよね。でも、人生って宝物だよね”みたいなメッセージを感じたので、あまり“頑張れ、頑張れ”って押し出しすぎないように、大変な部分をちゃんと肯定しながら、少しずつ進んで行けるような、それを後押しできるような曲になればと思いながら作りました。

AMI:だからギターアレンジも“青春”な感じを出せたらいいなと思って作ったり。

yuzu:疾走感があるイメージだったので、楽器もあまりバチバチする感じではなくて、聴きやすく爽やかなアレンジにしたかったんです。まず歌詞を届けるために、ベースフレーズもごちゃごちゃさせず、スタンダードな感じで。

苑:ドラムはスネア連打のキメも多いんですけど、ストレートに伝えたい曲なので、全体的には抑揚をつけながら広がりを持たせるとか、そういうところを意識してレコーディングしました。

──ミュージックビデオではドラマ主演の流星涼さんと共演されましたが、反響も大きかったんじゃないですか?

AMI:そうですね。うらやましいー!ってすごく言われました(笑)。

◆インタビュー【2】へ
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