【レポート】東京力車、喜劇と歌謡ショー2本立てのステージ

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東京力車が12月15日(水)、12月17日(金)に東京・浅草木馬亭にて<浅草21世紀×東京力車『四つ子のくろうばぁ~』>特別公演を開催した。

◆ステージ写真

本公演は1部に喜劇『四つ子のくろうばぁ~』、2部に東京力車の歌謡ショーが披露される豪華2本立て。今回、東京力車は喜劇に挑戦した。浅草で人力車をひっぱっている彼らが、歌でもなくダンスでもなく、なぜ喜劇なのか。そこには「浅草という場所柄もあり、木馬亭のお客様はご年配の方が多い。東京力車のように若くて熱気のある、エネルギッシュなパフォーマンスを見て、浅草21世紀にはないものを新鮮に感じ、是非一緒に喜劇をやってみたかった」という浅草21世紀座長・大上こうじの熱い思いがあった。

東京力車のリーダー・石橋拓也は座長・大上の熱い思いを受け、「“浅草”という共通の場所で活動している浅草21世紀と東京力車が、浅草の木馬亭という歴史ある場所でコラボレーションするということはすごく光栄なことだと実感しています。初の喜劇ということで、1日目は反省点もありましたが、気持ちを切り替えてとにかく楽しんで演じ切りたい」とコメントし、意気込みを語った。

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■舞台レポート

舞台は座長・大上が演じる母が電話を掛けるシーンで開幕。上京した四つ子を心配し電話を掛けるも留守電の応答が続き、挙句の果てには「この番号は使われておりません」との声が。落胆したかのように見えるが光の速さで切り替え、母が東京で四つ子を探しに上京を決意するところからストーリーが展開していく。


四つ子はもちろん東京力車のメンバーが演じる。警察官の長男をリーダー・石橋拓也、政治家秘書の次男を田井裕一、お水のお仕事をしている三男を白上一成、サラリーマンをしている四男を渡邉善央が務めた。想像しただけで既にどこかクスっと笑ってしまう配役であるが、どの役も愛すべきキャラクターがメンバーひとりひとりにマッチしていて、一瞬で物語に引き込まれる。

舞台は浅草、雷門の前にある雷門交番。警察官の衣装に身を包んだ長男・石橋が登場すると会場からは待ってましたと言わんばかりに拍手が沸き起こった。「浅草で人力車に乗るならば、“東京力車が1番!”」と笑いを誘い、喜劇ならではの温かい雰囲気に会場が一気に包まれる。仕事に熱く、しかし熱いが故に空回りしてしまい美人巡査長に叱られる長男はどことなくリーダー石橋と重なって見え、微笑ましい。叱られる長男を目の当たりにした母は心配し、長男に声をかけるが「仕事に戻るから」とそっけなく言われ、心配し後ろ髪をひかれながらも弟たちを探していく。


続いて登場したのはかっちりと髪を固め、黒縁メガネとスーツを着こなした次男・田井。愉快な政治家との掛け合いはさすが東京力車の切り込み隊長、テンポが良く見ていて心地いい。漢字の読めない政治家にすべてひらがなの原稿を渡し、さらにはアドリブで政治ネタも飛び出す、これぞまさに喜劇の醍醐味である。


そして物語は後半へ。幕が上がると化け物(?)と言っても過言ではないスナック「おかめ」の美人ママがただじっとこちらを見て座っている。その姿に観客からは悲鳴交じりの爆笑が止まらない。そのママが営むスナック「おかめ」で三男・白上は新米スタッフとして働く。四男・渡邉が演じるサラリーマンは、三男が働いているとも知らず会社の社長と課長と共にスナック「おかめ」に来店。正直すぎて、お調子もののキャラクターを演じる渡邉のいつもとやや違った雰囲気と、止まらない物真似に観客からは笑いが沸き起こる。

そこへお使い帰りの三男が登場。白いワンピースに身を包み、ロングの髪をなびかせトレードマークのかりんとう色の肌にこれでもかと頬紅を塗りたくり登場した白上に会場の盛り上がりはピークに達し、本日一の爆笑が沸き起こる。母と次男も合流し、三男の姿にびっくりするも、三男の「自分を誤魔化したくないの。後悔したくない」とありのままの姿への一途な思いを語り、母らを説得。その姿が又、白上の歌にかける一途な思いと重なり、観客からは自然と拍手が起こった。


スナック「おかめ」にて、母は長男の仕事を心配し、どうにか長男に手柄を立てたいと弟たちに相談する。そこで強盗の役者を用意し長男に逮捕させるというドッキリを仕掛けることに。当日、芝居通り長男は犯人を逮捕するも、ドッキリがばれてしまい、長男は母と弟らに怒りをぶつけるが、母の「立派な警察官になってほしい。そして兄弟の気持ちも大切にしてほしい。だってあなたたち四人は大切な息子、四つ葉のクローバーなんだから」と説得し、長男と家族の絆が改めて深まり感動の拍手が沸き起こった。

ここで喜劇も終演……と思いきやなんと母は続けざまに「私の息子たち4人は東京で必死に頑張っています!どうか、どうか息子たちを、東京力車をどうぞよろしくお願いいたします!!」と声を張り上げ、長男・石橋が涙ぐむサプライズが。家族愛・兄弟愛をも超える予想外のラストに観客は感動の嵐に包まれ、物語は幕を閉じた。


本作『四つ子のくろうばぁ~』のストーリーは母を故郷に残して上京する息子たちのストーリーである。彼らが8月に発売した新曲「ニビイロトーキョー ~チャンチキおけさ~」は故郷に彼女を置いて夢をかなえるために上京した若者の物語を歌った歌であり、思い人は違えど大切な人を置いてきて上京してきたという世界観、そして劇のラストで繰り広げられた兄弟愛・家族愛は、家族をテーマに歌ったカップリング曲「東京」の世界観とも非常にマッチしており、東京力車ファンとしてはこれ以上にない最高な構成だったに違いない。

興奮冷めやらぬ客席からの熱い拍手に応え、2部の東京力車の歌謡ショーがスタート。曲のイントロが流れ始め、メンバーの影が映し出されると割れんばかりの拍手が鳴り響き、照明がメンバーに!なんとステージに立っていたのは、震えながら必死でポーズをとる座長・大上こうじ、めだちけん一、真木淳、甘味けんじであった!


大上が「拓也です!」と声を上げると、めだちが「善央です!」、真木が「一成です!」と続き、なぜか甘味は「太郎です!」と存在しないメンバーの名前を発し、ステージでズッコケが起こる。東京力車のライブではなかなか味わえない演出に観客も自然と笑顔に包まれた。

歌謡ショーでは、新曲「ニビイロトーキョー ~チャンチキおけさ~」をはじめ、全9曲を披露。つい数分前まで役者をしていたと思わせない熱いパフォーマンスに観客が釘付けとなった。

2021年の集大成ともいえる新たなチャレンジを成し遂げた東京力車。2022年はいったいどのような試練が彼らを待ち構えているのだろうか。しかし、どんな時も彼らは乗り越え、浅草から日本へ元気を届けてくれるに違いない。


■<浅草21世紀×東京力車『四つ子のくろうばぁ~』>

2021年12月15日(水)/12月17日(金)
開場 17:45/開演 18:30
会場:東京・浅草木馬亭
[歌謡ショーセットリスト]
【前半】
1.男道
2.祭り太鼓 ~男の旅路~
3.前略、道の上より
4.天下御免の伊達男
5.雨のち晴れ

【後半】
6.ヤイロチョウタマシイ
7.ニビイロトーキョー ~チャンチキおけさ~
8.東京
9.ARIGATOU

◆東京力車 オフィシャルサイト
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