【ライブレポート】My Hair is Bad、Zeppツアー最終日に「突き抜けたい。めちゃめちゃ光りたい」

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My Hair is Badが12月16日(木)、Zepp Haneda(TOKYO)にて<フラッシュホームランツアー>のファイナルを開催した。同ツアーは11月17日の愛知・Zepp Nagoya公演を皮切りに全国5大都市をまわるZeppツアーで、名古屋、福岡、大阪、東京の2days公演を含む全9公演の規模で実施されたものだ。そのファイナル公演の模様を届けしたい。

◆My Hair is Bad 画像7点

SEが流れる中、青色のライトで染まったステージに椎木知仁(G・Vo)、山本大樹(B・Cho)、山田淳(Dr)が登場。演奏の準備を手早く済ませた後、ドラムセットの前に集まった椎木と山本は山田と拳を合わせて気合入れの声を上げる──というお馴染みの場面を経てライブはスタートした。「いきなり新曲から!」と椎木が言い、オープニングを飾ったのは「歓声を探して」。軽快なビート、疾走感、瑞々しいメロディが気持ちよくて仕方ない。フロアに並べられた椅子に座っていた観客たちが立ち上がって身体を揺らす姿が、ステージ上の3人に素敵なエネルギーを届けているのを感じた。そして「手挙げていいよ! 踊っていいよ! 遊ぼうぜ!」という言葉が人々の盛り上がりを一層誘った「グッバイマイマリー」。続いて「運命」も届けられて、Zepp Hanedaは早くも最高の空間と化していた。


「本日ファイナルです。一番頭から興奮して、このツアーのことを思い返しながら今を夢中になれてる気分。いろんなところを回ってきてひしひしと感じたのは、みんながマスクをしていて、椅子があって、グジャグジャになれない状態でライブハウスにすることができるのか? それを考えてやってきました。心はできるだけ近くにいたいと思ってます。ゆっくり楽しんで帰ってください」──椎木知仁

という椎木の言葉を経て連発された「ドラマみたいだ」「接吻とフレンド」「虜」。MCで語った願い通りの風景が、ますます美しく色づいていくのを感じた。平時のようなライブができない状態は、まだ続いている。しかし、ライブハウスのかけがえのない楽しさは奪われていないと実感する場面の連続であった。


椎木がエレキギターを爪弾きながら歌った後、ベースとドラムが合流して曲が活き活きと躍動し始める、というMy Hair is Badのライブならではの楽しみとなっている展開を存分に堪能した「予感」「卒業」「恋人ができたんだ」が届けられた後、再び迎えたMCタイム。ライブ本番前のリハーサルで力みを感じた際、椎木は5分ほどステージから離れてリラックスするそうなのだが、それがPAのスタッフに不審に思われて、ここでは詳述を避けたほうが良いと思われる事実無根の疑惑を生んでいた旨を3人が和気あいあいと語り合っていた。

そして「ライブハウスやりませんか? 突き抜けたい。<フラッシュホームランツアー>だからめちゃめちゃ光りたい。頭の中、ビカビカビカビカ!ってなりたい。そんな夜にしたい。最高の夜にしましょう!」という椎木の言葉を合図に、新曲「カモフラージュ」がスタート。ダイナミックに躍動するサウンドが、ますます観客たちの心に火を点けていた。「突っ立てるだけじゃもったいないから遊ぼうぜ!」と呼びかけて、フロアの全面で掲げられたたくさんの腕を激しく揺らがせた「告白」を経て、切れ味の良いサウンドをますます響かせていたステージ上の3人。「クリサンセマム」「ディアウェンディ」「ワーカーインザダークネス」「燃える偉人たち」……エネルギッシュなサウンドで彩られながら奥行き深い物語が浮き彫りにされていく感覚が、本当に心地よかった。


「年をとればとるほど丸くなる。悪いことだとは思わない。どこまでも優しくなりたい。優しくなった結果が強さ。優しいやつが強い。そう思ってます」──椎木知仁

と想いを吐露し、ライブに懸ける強い気持ちも語った椎木は手にしたギターを弾き始めると、ポエトリーリーディングのようにさらに言葉を溢れ返らせていった。「誰もが自分のストーリーの主人公だ」「君の人生は君の映画だ」「何より自分が大事だろ? 自分が大事であるべきだ。自分を大事にできなきゃ誰も大事にできない」「俺は今夜、My Hair is Badを信じてる!」──そんな言葉たちがとても印象に残っている。その余韻と共に雪崩れ込んだ「フロムナウオン」と「戦争を知らない大人たち」は、観客たちの胸に深く沁み入ったはずだ。



昨年春以来、世の中の様相が大きく変化したことを振り返った椎木。「目には見えないウィルスを恨みましたが、誰かに感じた愛情、分かち合った友情、優しさ、そういうものも目には見えません。目に見えないものにたくさん救われてきた。そのことも思い出しました。いろいろなことが可視化される時代。僕は願います。どうか全てのものが目に見えるようになりませんように。心からそう思ってます」という言葉が添えられた「白春夢」は、ギターのアルペジオと共に届けられた歌声が温かかった。

続いて披露された「味方」も心動かされたひと時として思い出される。歌い始める直前、年齢を重ねる毎に失いたくないものが増えて、失わないための術も増やしている旨を語った椎木。「誰よりも自分を大切にしてくださいと言ったけど、誰よりも大切にしたい人がきっといるはずです。いなくても出会うはずです。そういう時、この歌を歌ってあげて欲しい。特に男子。戦わないでいい。負けないならば。勝たないでいい。負けないなら。そういう歌です。このステージで嘘なく面と向かって歌います」──この言葉は、曲に込められている想いを一際真っ直ぐに伝えてくれた。


「宿り」と「優しさの行方」が穏やかなムードで会場全体を包み、圧倒的な一体感を生んだ「アフターアワー」で締め括られた本編。アンコールを求める手拍子に応えてステージに戻ってきたメンバーたちは、2日後に山田が誕生日を迎えることについて語り合った。「今日が20代最後のライブ。一言ありますか?」と言われて、「最高!」と高いテンションで叫んだ山田。椎木はシャワーヘッドをプレゼント。山本は山田の部屋に場違いなくらい立派な高級ゲームチェアを贈ったらしく、「テーブルも買えよ! こいつはおかしいよ!」とツッコミを入れられていた。そんな3人のやり取りが観客たちを和ませた後に届けられた「真赤」は、会場を再び爽やかな熱気で満たしていた。

そして「みんなで最後、笑えますように。まじでそう思ってます。絶対大丈夫だから」と言ってから椎木が歌い始めたラストの曲は「いつか結婚しても」。耳を傾けながら観客たちが揺らした掌が、まるで大合唱のような波動を起こしているのを感じた。こうしてエンディングを迎えた<フラッシュホームランツアー>のファイナル公演。来年の活動への期待が自ずと高まる全力投球のライブであった。

取材・文◎田中大
撮影◎藤川正典

<My Hair is Bad presents「フラッシュホームランツアー」>2021年12月16日(木)@Zepp Haneda(TOKYO) セットリスト

01. 歓声を探して
02. グッバイ・マイマリー
03. 運命
04. ドラマみたいだ
05. 接吻とフレンド
06. 虜
07. 予感
08. 卒業
09. 恋人ができたんだ
10. カモフラージュ
11. 告白
12. クリサンセマム
13. ディアウェンディ
14. ワーカーインザダークネス
15. 燃える偉人たち
16. フロムナウオン
17. 戦争を知らない大人たち
18. 白春夢
19. 味方
20. 宿り
21. 優しさの行方
22. アフターアワー
encore
en1. 真赤
en2. いつか結婚しても

<My Hair is Bad presents「ダイナマイトホームランツアー」>

▼2022年
3月12日(土) 兵庫・神戸ワールド記念ホール
open16:00 / start17:00
3月13日(日) 兵庫・神戸ワールド記念ホール
open15:30 / start16:30
(問)サウンドクリエーター 06-6357-4400
3月25日(金) 東京・国立代々木競技場第一体育館
open17:30 / start18:30
3月26日(土) 東京・国立代々木競技場第一体育館
open15:30 / start16:30
(問)サンライズプロモーション東京 0570-00-3337
※開場、開演時間変更の可能性あり
▼チケット
各公演共通:全席指定 6,600円 (税込)
※チケット先行販売の詳細はオフィシャルサイトでご確認ください。


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