【コラム】Def Techベスト・アルバム『The Best』が放つ、音楽の説得力

ツイート

2020年に結成20周年、デビュー15周年のアニバーサリー・イヤーを迎え、10枚目のオリジナル・アルバム『Power of Ten』をリリースし、彼らの音楽にぴったりな海辺を舞台に、リアルな波音がSEとなった初のストリーミングライブ<Def Tech Streaming Live“Surf Me To The Ocean”~20th Anniversary Special~>を開催したDef Tech。

2021年は、アルバム『Power of Ten』収録の「Surf Me To The Ocean」が2021ワールドサーフィンゲームス日本代表“NAMINORI JAPAN”公式応援ソングに決定し、秋には待望の有観客によるライブツアー<Billboard Live 20th Anniversary Special~Surf Me To The Ocean~>を開催、追加公演を行なう盛況ぶりで幕を閉じた。

コロナ禍を経験し、多くの人がまだ暗中模索で1日1日を過ごしている現在、Def Techの音楽はひとときの安らぎや、ポジティヴに一歩を踏み出す勇気に手を添えるようなあたたかさを感じる。

2020年、YouTubeの人気チャンネル「THE FIRST TAKE」で、デビュー・ミニ・アルバム『Def Tech』(2005年)収録の「My Way」をTHE FIRST TAKEのためのアレンジで披露したが、約1年を経てその再生回数は2790万回(12月現在)を超えている。今なお書き込みが続くコメント欄ではこの曲を聴いていた当時の自分や曲への思いを綴る声や、このタイミングで初めて聴き、その出会いの感動を実直に綴る声も見える。


2005年、インディーズながらCM曲に抜擢された「My Way」は英語と日本語が混じり合った曲で、開放的なサーフサウンドにグルーヴィなラップがのっかっていく心地よさが口コミで広がっていき、アルバム『Def Tech』は280万枚を超えロングセールスとなった。そしてTHE FIRST TAKEの出演で、名曲は軽々と時を超えて輝きを放つことを証明した。「地に足付け 頭雲抜け 進む前に前に前に」という直球のフレーズ、そしてともに手を取り合いながらも、それぞれの道へと歩みだす、互いを送り出して行く歌詞は、聴き手の様々な人生やシーンに寄り添う普遍的で力強いものになっていると改めて感じる。

Def Techは、そうした音楽を数多く描いてきた。ちなみにMicroのYouTubeチャンネル「Def Tech Micro's Lifestyling.」では、このときのTHE FIRST TIMEの裏話や、大学の卒業パーティで披露するために作られた「My Way」の制作秘話、実はデビュー作に入れたくなかったのだが…という話、Def TechがShenとMicroのふたりである事の意義、理由までもが明かされていて面白い。20代の等身大の思いを写したパーソナルな曲だったからこそ、多くの人に波及する力を持っていたのだとも思う。

12月22日、ハワイ育ちのShenと東京出身のMicroによるユニットDef Techが、9年ぶりのオールタイムベスト・アルバム『THE BEST』をリリースした。CD2枚組の通常盤、そして全MV(24曲)を収録したDVD付きの限定盤も同時発売となる。DISC1は「My Way」でスタートし、1stミニ・アルバム『Def Tech』から、4thアルバム『Mind Shift』(2010年)までのなかから13曲を収録。ミニマルなビートにのせアッパーなラップが掛け合う「In Outside」や、盟友RIZEとのコラボレーションによる「KONOHAMA Def Tech reintroducing RIZE」、2006年の映画『Catch a Wave』主題歌として書き下ろした、しなやかでオーガニックな歌をドラマティックに彩る「Catch The Wave」、そして「おんがくMUSIC」は今回ドラマー酒井響希を迎えたニューバージョン「おんがくMUSIC(feat.酒井響希)」が収録された。

今年開催された<東京2020オリンピック>の開会式とパラリンピックの閉会式で活躍した現在15歳のドラマー・酒井響希とDef Techとの出会いは2013年に遡る。家族とともに観に行っていたDef TechのライブでMicroと約束したステージでの共演が、2018年7月の大阪城野外音楽堂でのライブで実現。そこで披露されたのが、「おんがくMUSIC」だった(この模様が読売テレビ制作のドキュメント「ママもう泣かんといてな~12歳 全盲ドラマーが奏でる“音の世界”」で、全国オンエアされた)。

「人の心を結ぶのが音楽 傷ついた心を癒すのも音楽 言葉の壁乗り越えてゆく音楽 目には見えない偉大な力 それが音楽」と歌う、音楽のシンプルな姿や音楽がもたらす力を綴った曲がひとりの少年とのケミストリーで、とても軽やかでいてパワフルな1曲になった。この少年がのちに、念願だったというオリンピック/パラリンピックの晴れ舞台でドラムを披露したストーリーもまた、「おんがくMUSIC」そのもので美しい。

DISC2は、「My Way」に続きTHE FIRST TAKEで披露されたふたりのハーモニーが冴える「Like I Do」で始まり、2011年の5thアルバム『UP』から最新アルバム『Power of Ten』からの曲が収録された。2012年にリリースされた「Bolero」は当時日本赤十字社のCMソングに起用されたが、現在“つながる”をテーマとしたNTT東日本の企業CMにも採用されTVCMとしてオンエアされている(東日本地区限定)。

マーチングバンドのようなドラミングから、徐々に景色が熱を帯びて鮮やかに広がっていくようなダイナミックなサウンドと、闇の中でもひとりひとりが希望をつなげながら静かな高揚感を生んでいくこの「Bolero」は、今現在の世界にもともし火になるような曲だ。


また、ハワイと日本というそれぞれのルーツ、バックボーンが自然に音に練り込まれ、Jake Shimabukuroのウクレレがリラックスしたムードを誘う「One Day with Jake Shimabukuro」や、セルフプロデュースで制作された2018年の「Cloud 9」からファンキーな遊び心がふんだんな「Defunkdaflied」や、都会的でライトなギターのカッティングに絡むホーンやハーモニーがどこか大人の哀愁を感じさせる「Love,Peace and Harmony」など、多彩なタッチのサウンドが広がる。“ジャワイアンレゲエ(JAPAN +HAWAII +JAMAICAをミックスしたレゲエ)”という新たなジャンルを打ち立てスタートしたDef Techサウンドが、このDISC2ではより自在に、自由にとそのアイディアを広げていくのを感じられるだろう。

最新オリジナル・アルバム『Power of Ten』からの曲は、チルでメロウなサウンドが心地よい。「Face 2 Face」では情緒的なトラックで、SNSよりも面と向かったコミュニケーションやリアルな体験が生み出すロマンスが描かれる。絆や愛情、希望や探究心にフォーカスする歌のテーマは普遍だが、その表現はより深みを帯び、しかし大げさなものでなく、ふたりの立つ日常から湧き上がるものになっている。「My Way」から着実に、ふたりならではのテンポで歩んできたからこその説得力が、このベスト・アルバム『The Best』に詰まっている。音楽が持つ様々な力や作用を、味わってほしい作品だ。

文◎吉羽さおり



『The Best』

2021年12月22日発売
限定盤:2CD+DVD: 4928円(税込)
通常盤:2CD: 2980円(税込)
Disc1
.My Way
.Pacific Island Music
.Consolidation Song
.Lokahi Lani
.KONOMAMA Def Tech reintroducing RIZE
.In Outside
.Power in da Musiq ~Understanding
.Irie Got ~ありがとうの詩~
.Cancio'n de la Expansio'n
10.Catch The Wave
11.おんがく MUSIC(feat.酒井響希)
12.Rays of Light
13.A-1
Disc2
1.Like I Do
2.Surf Me To The Ocean
3.Face 2 Face
4.High on Life(Cloud 9 Remix)
5.Love, Peace and Harmony
6.Defunkdafied
7.Town & Country
8.Journey
9.One Day with Jake Shimabukuro
10.Freeing Ur Pain
11.Marathon
12.Be The One
13.Bolelo
14.Golden Age
15.All That's In The Universe
16.My Baby Love
DVD
1.High on Life
2.My Way
3.Lokahi Lani
4.KONOMAMA Def Tech reintroducing RIZE
5.Catch The Wave
6.いのり feat.SAKURA
7.A-1
8.The Come Back
9.Rays of Light
10.Goleden Age
11.take it HIGHER!!
12.4 Eye, for You
13.Vocaline
14.The Best Time
15.Be The One
16.Marathon
17.B-3
18.One Day with Jake Shimabukuro
19.Journey
20.Defunkdafied
21.High on Life(Cloud 9 Remix)
22.Surf Me To The Ocean
23.Like I Do
24.おんがく MUSIC(feat.酒井響希)

◆Def Tech『The Best』配信リスト
◆Def Techオフィシャルサイト
この記事をツイート

この記事の関連情報