【ライブレポート】MONGOL800、約2年10ヵ月ぶりのワンマン開催「今宵は宴じゃあー！」

定番曲はもちろん、意外なレア曲(数年ぶり!?)も飛び出すなど、久しぶりのワンマン公演＜MONGOL800 ga LIVE『etc.works3 RELEASE PARTY!!』＞はMONGOL800(以下モンパチ)にとっても、観客にとっても新鮮かつ刺激に富む内容となり、大いに楽しむことができた。

◆MONGOL800 画像

モンパチが外仕事(デジタルシングル、アルバム未収録の新曲、コラボ曲、トリビュート参加曲)を集めた第3弾コンセプトアルバム『etc.works3』を2021年4月に発表。そのリリース記念となるレコ発は当初沖縄で行う予定だったものの、コロナ禍の影響で公演中止となり、場所を東京都・中野サンプラザホールに移して仕切り直し、公演を開催した。モンパチ単独公演としては2019年2月の日本武道館以来となる。




SE 曲「Enjoy Yourself」が流れると、高里悟(Dr/Vo)、サポートメンバーのKuboty(G/Cho)、「東京、遊びましょうー！」とキヨサク(Vo/B)が呼びかけ、パンキッシュな疾走曲「太陽雨」でショウは始まった。続く「Endless summer」では悟、Kuboty もコーラスで参加して力強く援護する。

「お久しぶりです！ 何年ぶり？ それぞれ歳を取りましたね」とキヨサクは語りかけ、次はサンボマスターの「青春狂想曲」を披露。ここでファンにお馴染みの愉快な仲間たち3人がステージに登場。NARI(Sax, Flute / SCAFULL KING)、Seasir(Tp / DOBERMAN)のホーン隊に加え、粒マスタード安次嶺(パーティーダンサー)は演奏に合わせて躍りまくり、観客の視線を釘付けにしていた。



ソウル・フラワー・ユニオンの「海行かば山行かば踊るかばね」では勇壮なホーンも相まり、お祭り感に拍車をかけた熱気を大放出。演奏後、「今宵は宴じゃあー！」とキヨサクが叫び、間髪入れずに「PARTY」へと突入。底抜けの明るさを解き放ち、会場には両手を叩いて、踊る人たちが多く見られた。

『etc.works3』の世界観を堪能してもらう今回のワンマンは、キヨサク曰く「ほぼほぼ新曲をやっている」感覚のようだ。モンパチは8th アルバム『Pretty good!!』(2016年)以降、オリジナルアルバムを出していないけれど、それと同等、あるいはそれ以上のエネルギーを『etc.works』シリーズに注入していると説明。序盤からその熱量は十二分に伝わってきたが、まだまだこんなものではなかった。




DREAMS COME TRUE の「a little waltz」は見事モンパチ色に染め上げていたし、さらにHY の「隆福丸」はホーン入りの独自解釈によるアレンジがライヴでも光っていた。しかも後半の歌メロは解体・再構築した新鮮な響きを帯びており、モンパチのオリジナル曲では味わえない新たな表情を強烈にアピール。その一方で、「OKINAWA CALLING」「honeymoon」と祝祭感溢れる曲調でも観客を激しく盛り上げていた。

後半のセクションでは「小さな恋のうた」「face to face」「あなたに」と鉄板曲もプレイ。本編を「Light」で締め括ると、アンコールに応え、メンバーが再び登場。ステージ背面が星空と化し、鈴の音が場内に響き渡ると、なんと「冬の思い出」を披露。これはモンパチからの季節限定とも言えるクリスマスプレゼント曲だ。筆者も過去に1、2回しか聴いたことがないレア中のレア曲である。久々にプレイしたこともあり、キヨサクも当時の状況を思い出したのだろう。この楽曲自体は2ndアルバム『MESSAGE』(今年発売20周年)発表後にリリースしたバンド初の8cmシングル「ヨロコビノウタ」(2003年)に収録されたもの。



しかし、驚くのはこれだけではない。キヨサクによるJT CMソング提供曲「想うた〜親を想う」をモンパチバージョンで特別に披露する大盤振る舞い。さらに2ndシングル「special thanks!!」(2008年)からクリスマスプレゼント第二弾として、こちらもレア曲「snow white」もやってくれたのだ。曲中にサンタクロース扮する粒マスタード安次嶺が各メンバーにプレゼントを置くパフォーマンスもあり、会場は和やかムード一色に包まれた。それにしても、今日の観客はかなりラッキーだと思う。

またいつこうした楽曲をライヴで聴けるかはわからない。それも応援してくれるファンに対するモンパチなりの贈り物なのだ。心温まる三連打に気分は高揚しっぱなしであった。ラストは「DON’T WORRY BE HAPPY」で盛大なフィナーレを迎え、全18曲2時間に及ぶワンマンは幕を閉じた。


「楽しかったあー！」とキヨサクは歓喜の言葉を述べていたが、それはここに集まった観客も同じ気持ちだろう。来年にはこれまで発表した外仕事集『etc.works』全3枚の収録曲からファン投票でセットリストを決めるツアーが開催される。2022年3月22日、中野サンプラザホールを皮切りに、全23公演にわたる全国ホールツアーである。いままで観ることができなかった、体感するチャンスがなかった、フレッシュなモンパチにたくさん出会えることだろう。来年の楽しみがまた一つ増えてしまった。

取材・文◎荒金良介
撮影◎SARU (SARUYA AYUMI)