【俺の楽器・私の愛機】567「四半世紀越しの」

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【Gibson FlyingV】(千葉県 kljasoiu 50歳)


もう既に、四半世紀が経っております。…かつて、僕が20代前~中盤の頃、全曲オリジナルの約二十余曲を携えて、最低1ヵ月に1本のライブを3箇所程度の都内ライブハウスで遂行していました。

そして僕が、バンド内でギターボーカル兼コンポーザーでした。あの頃は、youtubeなんて便利なモノはなかったから、スタジオで作ったデモテープを100本とかダビングしてばら撒いていたモノでしたが、当然普及活動をするにもカセットテープ代をはじめ、録音スタジオ費、カセットレーベルの印刷費…等、あらゆる場面で金がかさんでしまう。

ライブだって、半年に一度の頻度なら義理で友達も来てくれるが、毎月となるとなかなか来てくれないし、モノ好きな微々たるファンは付いてくれたが、それだけでは出演費には絶望的に足りず、90%以上は毎回自腹だった。…結局、そんな自転車操業を維持する方が、何の利もなく、時間も金も自尊心もすり減っていって止める、と言う顛末に至る…おそらくこんな、奥歯を噛みしめた零細インディーズバンドは、日本各地に何十・何百バンドもあるだろう…

そして、その頃にどうしても欲しかったギターがあった。それが【Gibson FlyingV1958年型・コリーナウッド】だった。GibsonのFlyingVは、ハードロックに興味のない人でも『奇抜ギターの代表』という事くらいは解っているし、むしろ代名詞とも言えよう。だが奇抜な中にも、1958年型Vは鋭角的でありながらも、アンティークな、骨董的なたたずまいがある。現在は1958年Vよりも現行V(’60年後半以降)が主流になっているが、自分は58年Vが何よりも好きだった。

…バンドを辞めて20余年、ちゃんと働くようになった自分が、50万ちょっとを払って一括で買った。…ただもしもタイムマシンがあったなら、かつての、若かりし自分に、「これを持ってステージに出てきな」と言いたいくらいです。


   ◆   ◆   ◆

多くのバンドマンが夢を見て、そして夢に破れ、でもその夢はまだ鮮やかで、ちょっとだけノスタルジックもありながら、今もなお憧れやまない楽器を手にする…まるで当時のリベンジのように。そういうストーリーって、誰しもありますよね。そう、バンドマンに限らず。年齢を重ねて初めてできることってありますよね。そんなささやかな喜びって、私は大きな幸せに感じます。(JMN統括編集長 烏丸)

★皆さんの楽器を紹介させてください

「俺の楽器・私の愛機」コーナーでは、皆さんご自慢の楽器を募集しています。BARKS楽器人編集部までガンガンお寄せください。編集部のコメントとともにご紹介させていただきますので、以下の要素をお待ちしております。

(1)投稿タイトル
 (例)必死にバイトしてやっと買った憧れのジャガー
 (例)絵を書いたら世界一かわいくなったカリンバ
(2)楽器名(ブランド・モデル名)
 (例)トラヴィス・ビーン TB-1000
 (例)自作タンバリン 手作り3号
(3)お名前 所在 年齢
 (例)練習嫌いさん 静岡県 21歳
 (例)山田太郎さん 北区赤羽市 X歳
(4)説明・自慢トーク
 ※文章量問いません。エピソード/こだわり/自慢ポイントなど、何でも構いません。パッションあふれる投稿をお待ちしております。
(5)写真
 ※最大5枚まで

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