【ライブレポート】Kroi、CHAIとの対バンで作り上げた《HAPPY》な夜

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Kroiが活動初期から実施している対バンツアー<Dig the Deep>。どんぐりず、韻シスト、ニガミ17才、CHAI、マハラージャン、在日ファンクといったトリッキーなゲストが各地に配された中で、11月27日(土)、SOLD OUTを記録した出発地・福岡でツアーの幕が上がった。到着したレポートをお届けする。

◆ライブ画像

<Kroi Live Tour 2021-2022“Dig the Deep”>札幌公演が12月16日(木)、札幌PENNY LANE24にて開催された。このツアーは対バンツアーとなっており、音楽ファンが思わず唸るようなゲストが各会場に配された。「自分たちがライブを観たいと思うアーティストに声をかけた」と以前の取材にて内田(Vo)が話していたが、本当に見事なラインナップが揃い全会場チケットはSOLD OUT。どんぐりずとの福岡公演、韻シストとの名古屋公演を終え、今年の7月ぶりに札幌にやってきたKroiがこの会場で迎えたのは海外での活動も活発的でワールドツアーも行うCHAIだ。



観客の期待が高まる中、ピンク色のふわふわとした衣装でステージに現れたCHAI。決めポーズで拍手が起こりライブがスタートするとCHAIの楽曲の中では比較的クールな「カーリー・アドベンチャー」、振り付けやコーラスなど見どころ聴きどころ満載な「アイム・ミー」を披露し、Kroiとは初めての対バンであることを告げた。2F席からライブを観ていたKroiに感謝を伝えると、メンバーが並んで鑑賞していたことに観客も気づき驚いた顔や温かい笑顔が会場中に広がった。キレキレなパフォーマンスで魅せた「IN PINK」、担当楽器をチェンジした「Nobody Knows We Are Fun」、4人の声の重なりがより楽しめた「チョコチップかもね」の後にはお楽しみタイムの自己紹介だ。ビートトラックにのせてマナ(Vo&Key)、カナ(Vo&Gt)、ユウキ(Ba&Cho)、ユナ(Dr)の順に一人ずつ自己紹介を終えるとアッパーチューン「N.E.O」でテンションは最高潮に。「END」の終盤では銀色のマントを着用し「NO MORE CAKE」へ。チップチューン「PING PONG!」では観客も一緒に振りを楽しみ、ユナ(Dr)によるラスト2曲のお知らせで「Donuts Mind If I Do」「フューチャー」を続けて披露。キラキラとしたナンバーで締めくくり、Kroiへバトンを繋いだ。


ステージが転換に入ると、なにやらラジオ番組のようなものが流れてきた。長谷部(Gt)の声で進行されるその番組は「銀河速報」「宇宙からの放送」などというワードが飛び交うおふざけたっぷりの内容だが(笑)様々なキャラクターが登場したりCMを挟んだりと力作。「かっこいい」イメージのKroiだが、こういったユニークさも惜しみなく見せてくれるのもまた魅力の一つだ。


暗がりの中、持ち場につく5人。妖しげに楽器を鳴らしているところに照明が当たり“黒い”衣装を身に纏ったその姿が映し出された。がなったボーカルから始まった「pith」はスロウテンポでありながらおどろおどろしい雰囲気を持ち、ライブでしか体感できない迫力に圧倒された。黒ずくめの5人が魅せたこの幕開けに思わず息を呑んだのも束の間、曲の終わりにはクラッカーが鳴らされ「はい、ちゅーわけで…」と絶妙なテンションのMCが始まり、黒い衣装も脱いで、つい先程の緊迫感が嘘だったかのように笑い声が飛び交った。益田(Dr)と内田(Vo)が「ここでしかやらない」と話していたが、札幌会場だけで観られる特別な演出だったのかもしれない…!

観客の手拍子とともに始まった「Balmy Life」では千葉(Key)のキーボードの音が照明とともにビームのようにまっすぐ客席へ。祝祭感に包まれた会場に続いたのは小気味良いギターと内田のラップが絡み合う「selva」。そして、セッション的なアレンジを見せながら「page」へ。サビ終わりでは腕をあげながらご機嫌に踊っていた内田(Vo)がCHAIと対バンできる嬉しさを伝えながら「最高の夜に居合わせましたね」とMCで語った。



「ヤバいEPができました」と表現された最新EP『nerd』の話から始まったのはファンクナンバーの「Juden」。《Everybody Funky》という繰り返すフレーズは観客が歓声を上げられる状況になったらとんでもないレスポンスになるのだろうと思わせられるほど最高な盛り上がりを見せた。彼らの本気の遊び場に混ぜてもらっているような気になる「dart」、関(Ba)と益田(Dr)のテクが交互に披露された「Custard」と続き、後のMCで今回のツアーは各会場セットリストを変えていることを話した。

跳ねて踊ってきたこれまでと打って変わってムードのある「おなじだと」「帰路」の2曲を続けて披露。多幸感と哀愁のどちらをも感じるような空気感にまだまだ酔いしれていたいと思う観客に、ラスト3曲と告げる内田(Vo)。「ぶち踊ってくださいね」と始めたのはイントロが聴こえてきた瞬間に観客の顔がパっと明るくなった「HORN」。ライブアレンジでパワーアップされた「Network」に続きラストナンバーは「WATAGUMO」。ここでずっとゆらゆらしていってよ、というメッセージが込められているようなセレクトであった。MVの舞台が北海道である「WATAGUMO」がセットリストに入っているといいな、と期待していたファンも多かったのではないだろうか。そんな思いを汲んだように北海道民にとって特別な1曲で本編を締めくくった。



アンコールでは先ず長谷部(Gt)が登場し「同じ目線で話がしたい」とステージに座ってのMC。転換時間に続き肩の力が抜けたトークで会場を沸かした。「Fire Brain」「Shincha」とインディーズ時代から愛される2曲を披露し、観客とCHAIと共に作り上げた《HAPPY》な夜の最後に、そこに集まったファンのためだけへの優しい言葉をがなり声で届けライブを終えた。

2021年7月に行われた札幌での初ライブも大盛況だったが、あの時よりも彼らの音楽が浸透していっていることが目に見えてわかるライブであった。まだニューカマーと言える立場でありながら、玄人受けする技術とセンスに誰でもかまいたくなる愛らしさを持ち合わせた5人。既に大躍進と言えるが、全国のライブハウスやフェスとまだまだ彼らの遊び場になる場所がたくさんあると思うと楽しみで仕方がない。

文◎二階堂ハイジ
撮影◎原田直樹

<Kroi Live Tour 2021-2022 “Dig the Deep”>

※終了公演は割愛
2022年
1月8日(土)東京・渋谷 CLUB QUATTRO w/マハラージャン(SOLD OUT)
1月9日(日)東京・渋谷 CLUB QUATTRO w/在日ファンク(SOLD OUT)

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