【インタビュー前編】Qaijff、「音楽をやめたくなる」苦悩を乗り越えた今

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■⻩色信号だったと思います。あの頃の人生のつまらなさはヤバかった

──ここ2年くらいの話も振り返ってみたいんですけど、コロナが流行して活動に制限がかかる中、追い討ちをかけるように三輪さんが活動休止することになったり、所属レコード会社を離れる決断をしたりと、おそらく精神的にしんどい時期がかなりあったと思うんです。

森:ありました。コロナ禍の前から、私はメンタル的に正直キツい状況になっていて。

内田:音源を聴いたりする中で、ファンの方には気づいてくれてる人もいたと思います。僕らもヘンに隠したくないし、少しお話しさせてください。

──ありがとうございます。音楽を楽しめなくなっていたという話もありましたし、ひょっとしてバンドの意向が通りにくい環境だったりしたのかなって。

森:そうですね。自分たちの作りたい音楽というよりも、会社を納得させないとリリースができないような状況があったりしたんです。 “なんのために音楽やっているんだっけ?” “これは本当にやりたいことなのか?”みたいな気持ちがずっとあって。

内田:自分たちの作品なのに、自分たちの意志がどんどん削られていっちゃってるというかね。

──苦しかったですね。

森:もう⻩色信号だったと思います。あの頃の人生のつまらなさはヤバかったですね。

内田:僕もどうにか状況を少しでも良くできないかと思って、何度もスタッフに歩み寄ってみようとしたんですけど、立て直すことができず、すごくもどかしい気持ちを抱えていました。

──そういう想いが「自由大飛行」や「337km」という楽曲に繋がったんでしょうね。

森:そうそう! 「自由大飛行」の“言いたいことも言えないような 窮屈な世界にバイバイ”とか、歌詞を聴いてもらえたら伝わりますよね。2019年の8月にリリースした『URAUE』は、書きたいことを書いてやるんだという私たちの気持ちを押し通したミニアルバムです。最終的に『URAUE』を出させてもらえたのはありがたかったです。

内田:『URAUE』はなんとかして自分たちらしさを取り戻すための作品でした。




──そのあとは?

内田:「光福論」(2019 年 10 月発表のシングル)のリリース後くらいかな。次のリリースに向けての話が進んでたんだよね?

森:うん。それはこれまでの制作とちょっと趣向を変えて、別のクリエイティブチームと組んで新しい試みをやってみようみたいな感じだったので、すごく楽しみにしていたんですよ。だから、私も精神的にキツいままだったけど、少なくともそこまではなんとかがんばろうと思って。「それをリリースしても自分の中で無理な気持ちがあったらもうやめたい」って、メンバーに相談していたくらいギリギリでした。でも、そんな中でコロナの感染拡大によって、そのプロジェクトが全部白紙になってしまったんです。

──それを頼みの綱としてやっていたのに。

森:そう。そこで“えっ! この話がなくなって、また今の環境で続けるのはもう無理だ......”となったんです。さすがに限界でした。

内田:同じくらいのタイミングでちょうど幸宏も体調を崩してしまったんです。

──そうだったんですか......。

森:このままじゃ私が音楽をやめたくなってしまうので、メンバーにその旨を伝えて。幸宏も群発頭痛で苦しいときに申し訳なかったんですけど、同意してもらいました。

内田:そこで腹を括って、自分たちでもう一回すべてをやってみようと。レコード会社も事務所も自ら離れる決断をしたんです。それが2020年の後半ですね。そしてその頃には、もうオーケストラの配信ライブの準備を始めてました。コロナ禍でバンドが何も動けていない状況だったのもあってか、この企画に関してはレコード会社も了承してくれて。

──早いですね、気持ちの切り換えが。

森:オーケストラとコラボすることになったのも、内田が「音大出身なんだから、母校(名古屋音楽大学)のオーケストラといっしょにやりましょうって企画してみよう!」と提案してくれたんです。

──森さんはまだそんなに元気ではなかったんじゃ?

森:心はまだ病んでたんですけど、そうやって何か目標を立てたほうがこいつは復活すると思ったんでしょうね(笑)。

内田:確かに、そんな感じだったと思う(笑)。

森:でも、実際にそれは合っていたんですよ。オーケストラとのコラボ企画をやるという目標があったから、2020年はがんばれた気がするので。


──内田さんは本当に強い人だなと思います。

森:(祈るポーズをしながら)“内田さん......!”って感じです、本当に。逆境に陥ったところからエネルギーをポジティブに転換できるこの性格は、すごい特徴だよ。

内田:ポジティブって言われると、パリピみたいな人だと思われそうだけど。

森:それはまったく思ってないです(笑)。

──(笑)。旗を振ってくれる人がいたからこそ、復活できたんでしょうね。

森:いやー、冗談とかじゃなくて本当にそうですね。あと、2020年の10月くらいかな。このままじゃヤバいかもとなったときに、メンタルクリニックというものに初めて行ったんですよ。で、カウンセリングを受けて「こうこういろいろあって、仕事のストレスで」みたいな感じで悩んでいることをバーッと話したら、お医者さんに「それだけ自分の状態を理解されてるならきっと大丈夫ですよ」と言われて。なんか気が楽になったんですよね。もうレコード会社を離れるのも決めていて、「環境を変えるんでしたら回復すると思います」とアドバイスをもらえたのも大きかった。

──いいお医者さんに当たった感じですか?

森:どうなんだろう(笑)。でも、行ってみてよかったです。そこから、だんだん“大丈夫!”という気持ちになっていったので。最初はこんなメンタルで走り切れるのかなとも思ってたけど、始まったらもう必死になってエンジンがかかってましたね。逆に、オーケストラの配信ライブがなかったとしたら怖かったかも。目標を立てて正解でした。結果、素晴らしい形でそれを実現することもできたし。

内田:レコード会社と事務所から独立して、全部をバンド主導でやってみると、“マネージャーやスタッフの方々は僕らが気づかないところでこんなに動いてくれていたんだな”とわかることも多いんです。いろいろつらかった時期の話もしましたけど、今まで出会った人たちには感謝しています。

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