【ライブレポート】PhatSlimNevaeh、ロックの王道を歩む2022年初ワンマン

ツイート

PhatSlimNevaehが1月15日に東京・渋谷Spotify O-WESTでワンマンライブを開催。2022年初のワンマンとなる同公演で、アコースティックセクションやカバー曲を含む全11曲をパフォーマンスした。

◆ライブ写真

会場BGMが落ち、暗転したステージに現れたのは同道、葛城、komakiの3人。この夜のライブはジャムセッションからスタートする。3人のスリリングなソロバトルにフロアが沸き立つ中、愛器レスポールジュニアを抱えたロクが登場してバンドはオープニングチューンとなる「おままごと」へ。ロクのドスの効いたシャウトは1曲目と思えないトップギア、オーディエンスも大きな拍手でその熱演に応えていく。



メンバーの卓越したミュージシャンシップとフロントマンであるロクの圧倒的なボーカル。自分たちのバンドとしてのプロフィールを冒頭5分で完璧なまでにプレゼンテーションした4人だったが、それはまだほんのプロローグ。続くヘヴィファンク「読みかけの漫画」ではファンク、ジャズ、ロックとめくるめくアンサンブルでフロアの腰を揺らし、ストレートなロックチューン「きづかない」ではフロアに拳を突き上げさせ、パフォーマンスによってオーディエンスを縦横に操っていく。

冒頭3曲を駆け抜けたバンドはこの夜最初のMCへ。客席とのハンドサインによる掛け合いで、ライブ初参加の観客が多いことを知った4人。komakiが「結成して4か月ですが、ワンマンはもう4回目。友だちが少ないからワンマンしかやれないわけじゃないですからね」とおどけると、メンバー全員が「なんだかもう泣けてきた」と自らのアルバムタイトルをもじったリアクションで応じるなど、ステージ上はアットホームなフリートークに。サウンドとは裏腹の人懐っこいメンバーのキャラクターでもオーディエンスを引っ張っていく。



一体感を増したフロアにファスネが投入したのは「フィルムカメラ」。メロディにもリフにも一癖を持った”ひねくれロック”ながら、葛城とkomakiによる野性的なリズムセクションを軸に、変化球的な楽曲も剛速球に変えてしまうのが実にファスネらしい。さらにバンドは葛城作曲による「ろくでもない」でさらにディープな濃厚ファンクを叩きつけてセットリストの前半を堂々とまとめあげる。



ライブ中盤、会場が暗転するとステージからはリズム隊が消えてロクと同道のふたりに。ロクがアコースティックセクションの開始を告げ、ふたりは「521km」をギターのみのシンプルな編成でパフォーマンスする。

これまで数々の映像作品のテーマソングを吹き込んできたロクの歌をじっくりとオーディエンスに届けた後、葛城とkomakiのふたりがステージにカムバック。再び勢ぞろいしたバンドはクリープハイプの楽曲「オレンジ」のカバーへ。komakiもドラムをカホンに替えたコンパクトな編成ながら、サウンドの軸となったのは葛城のグルーヴィなベースプレイ。アコースティックであることが逆に生々しい、剥き出しのアンサンブルによって原曲をバンドのカラーにしっかりと染め上げた。



その後もファンフレンドリーなMCと緊張感に溢れたパフォーマンスを繰り返してファスネは観客を魅了。クラシックロックへのリスペクトを感じさせる「Dive」では同道がスティーヴィー・レイ・ヴォーン直系と称されるブルースプレイを存分に発揮。まるで時を超えて届くようなその音色は今後バンドの躍進とともにさらなる名声を得ていくことだろう。



ライブ終盤、バンドはアンニュイなバラード「なまたまご」をパフォーマンス。ロクの繊細なボーカルと、湿り気のあるアンサンブルでフロアを情感で満たしたあと、本編のラストにバンドはパンクチューン「声」を全身全霊で叩きつけてステージを後にした。



ゼロからロックを歌うために過去のキャリアを封印したボーカル、ロク。現代にタイムスリップした求道的なブルースマン、同道公祐。かつてKenKenにも師事し、次世代のベースヒーローと目される葛城京太郎。そして国内外での華々しいプレイ歴を誇るkomaki。まるでアベンジャーズのようにバックボーンもキャラクターも異なる4人組、PhatSlimNevaehが2022年どのような道を歩んでいくのか。少なくともこの夜、4人が歩いていたのは清々しいまでにロックの王道だった。










写真◎石原汰一

■公演情報

2022年1月15日(土)東京・渋谷Spotify O-WEST
[セットリスト]
01.Jam Session~おままごと
02.読みかけの漫画
03.きづかない
04.フィルムカメラ
05.ろくでもない
06.521km ※アコースティック
07.オレンジ(カバー)※アコースティック
08.Dive
09.なまたまご
10.ついてない
11.声
EN01.ろくでもない
EN02.おままごと

この記事をツイート

この記事の関連情報

*

TREND BOX

編集部おすすめ

ARTIST RANKING

アーティストランキング

FEATURE / SERVICE

特集・サービス