【インタビュー】K、冬の景色と切ない心情をじっくり噛み締めさせてくれる「winter light feat. sloppy dim」

ツイート

■めちゃめちゃストレートを投げてみたかったんです
■お茶の間に届くようなものが良い音楽だと思っていますから


――2021年から柔軟な創作活動とコラボが加速していて、今回が3曲目ですけど、まだまだ面白くなっていきそうですね。

K:ね? 「次どうしようか?」って考えているんですけど、どうしましょう?  何も決まっていなくて(笑)。でも、トラックはずっと作り続けているんです。書いたトラックに対して歌をのせてくれる人を探すっていうのはアメリカや韓国ではよくあるので、そういうこともやってみたいですね。

――様々な挑戦をすると同時にキャッチーさが常にあるのもKさんの音楽の魅力です。「winter light」もとてもポップですからね。

K:めちゃめちゃストレートを投げてみたかったんです。僕はもともとお茶の間に届くようなものが良い音楽だと思っていますから。あと、こういう冬の曲って、あまり書いてこなかったんですよね。季節ものはそのシーズン以外は歌えないのがもったいないと思っていたからなんですけど。書いてみるといいもんですね。「次のライブでこの曲歌おうかな」と思うことで「冬が来たな」って感じられるでしょうから。

――この曲を聴くと、東京の表参道とかのイルミネーションが思い浮かびます。

K:嬉しいです。僕の中にも「東京の街」というイメージがあったので。

――《粉雪が舞い落ちたら 僕らの冬がまた始まる》と歌っていますから、この主人公はかなり長い間想いを伝えられていないんでしょうね。

K:そうなんです。「友達以上、恋人未満」という曲を1回も書いたことがなかったので、作ってみたいと思っていました。カラオケで好きな女の子の前でこの曲を歌って、なんとなく匂わすみたいなことがあったらいいなと(笑)。だからみなさん、ぜひ歌ってください。

――物語性のあるこういう曲は、フィーチャリングで参加しているアーティストと一緒に表現すると、効果的なカメラワークや場面展開のニュアンスが生まれるのも面白いです。

K:そうなんです。sloppy dimにこの曲を送る前の段階で自分のパートはほとんどできていて、「これをもし自分だけで作ったら、どういう変化をつけられるんだろう?」と思っていたんです。2番に少し違う歌詞を入れるか、メロディを少し変えるくらいしか思いつかなかったんですよね。でも、こうしてラップが入ると場面転換というか、変化がつけやすくて曲全体がさらに立体的になるんです。だから次に1人で作る時はどうしようかなと(笑)。


――(笑)この曲、東京のイメージだとおしゃいましたが、ソウルの冬と雰囲気はかなり違うんですか?

K:かなり違いますね。ソウルは寒いですし、雪があまり降らないんですよ。だからあまりロマンチックな感じではないと思うんです。この前、ある人と話しながら気づいたんですけど、韓国はクリスマスをテーマにした曲がめちゃめちゃ少ないんですよ。冬をテーマにした曲はありますけど、それもそんなに多くはなくて。ソウルは寒いから「寒さと戦って必死で生きる」みたいな感じだからかもしれない(笑)。冬のラブソングが全くないわけではないんですけど、日本ほどは多くない印象がありますね。

――ソウルの冬は、ロマンチックな気分で恋人同士が歩いている場合ではないんですか?

K:そうなんです。マイナス15℃とかになるので凍死する可能性もありますから(笑)。僕の実家もそうなんですけど、ソウルの家はベランダにサッシがあって、サンルームみたいになっているんです。洗濯機はまあまあ温かいそこに置いているのに、凍っちゃって使えなくなることもあるんですよ。だからロマンチックさはゼロですね。

――ソウルに住んでいたら「winter light」は作れなかったかも?

K:作れなかったと思います。気候や環境が音楽に反映されるというのは面白いですね。

――韓国で取り上げられる傾向が強いテーマはあるんですか?

K:サマーチューンは、めちゃめちゃ多いです。十数年前に僕も出演したイベントで韓国のアーティストがたくさん集まったんですけど、ほとんどがアッパーなダンスチューンでした。テンポが速くて勢いのある曲が多くて、夏をテーマにしたものが多いんですよね。悲しいことを歌っていてもダンサブルなものが多いので、そういう民族性なのかもしれないです。

――なるほど。

K:「音楽のどこを強調しているのか?」というのも国によって違うんですよ。僕は『アナと雪の女王』の「Let It Go」の各国のバージョンをサブスクで一気に聴いたことがあるんですけど、同じオケで歌っているのにミックスが全部違っていました。歌が前に出ている国、キックドラムが前に出ている国、全体のバランスがいい国……っていうような違いがあって、それは各国のみなさんの感覚の違いなんでしょうね。

――改めて言うのも変ですけど、音楽って面白いですね。

K:面白いです。僕は一時期「歌を作る」「歌を歌う」っていうのを仕事と捉えていた時期があったんですけど、今はやっている1つ1つが本当に楽しくて。例えば友だちが「こういうメロを作ったんだけど、トラック作ってくれない?」とかいうのも、僕は全部やるんです。実はさっきまで家でやっていたのも、僕の従弟の曲なんです。韓国の大学1年生で、曲を書けるようになって、歌も歌っているという話を聞いたので送ってもらって、それをアレンジしています。リリースするものではなくて、僕の名前も出ないですけど、「音楽に関わる」ということ自体に今の僕はめちゃめちゃワクワクするんですよね。


――「winter light」も音作りを存分に楽しんでいるのが伝わってきます。女性コーラスっぽい声はオートチューン?

K:あれはそういうサンプルを作るソフトシンセでいろいろな声を混ぜて使っています。僕の声も入っているんですけど、それだけだとああいう感じにはならないので、様々な手を加えたんです。昔だったらテープで伸ばしてやるような作業が、今はソフトでできるんですよね。アナログ的な作業ができるソフトがいろいろ出ていて、すごく面白いんです。

――「winter light」のトラックも新しいソフトシンセを買ったところから始まったそうですし、今後もそういうことはたくさんあるでしょうね。

K:そうなんだと思います。この前もパソコンを買って、その勢いで何曲か作りましたから。僕、機材貧乏(笑)。でも、それが作品とか、何かしらの形になっていくんです。

――様々な機材を活用した音作りを楽しんでいると同時に、人力サウンドならではの魅力を存分に体感させてくれるのもKさんの音楽ですよね。「winter light」の終盤のファルセットのこの感じは、人間の声じゃないと出せないです。

K:80年代の音楽のあの感じを自分のオリジナル曲でやってみたかったんです(笑)。ここまで歌い上げるのって久々なんですよ。

――この1年くらいの中で刺激的なコラボレーションが続いていますが、今後に関して何か考えていることはありますか?

K:またいろんな人とやってみたいですね。ぜひ声もかけていただきたいです。僕はめちゃめちゃフットワークが軽いですから。でも、なかなか声をかけていただけなくて。あんまり声をかけちゃいけないイメージなんですかね? 気軽にDMをいただければ、どんどんやりたいんですけど。

――「コラボのお話、お待ちしております!」と、このインタビュー記事の場を使ってアナウンスしておきましょう。

K:ぜひ(笑)。僕のチームはめちゃめちゃ柔軟なんで、声をかけてください。

――楽曲制作は、毎日の作業の中で自然に積み重ねているんですよね?

K:はい。常にトラックを作っていて、何かあった時にその中から出すという感じなので。もちろん何かのために新たに作ることもありなんですけど、ずっと趣味みたいな感じで作っています。

――外出した時の空き時間にパソコンを開いて作業をすることはあるんですか?

K:本当はそういうことをすごくやりたいんです。僕、スタバとかでキーボード打って仕事をしている方々が羨ましいんですよ。アメリカだとスタバとかでパソコンを開いて小さいキーボードを使って曲を作る人がいるんですけど、東京でそういうことをすると「気取っているように見えるんじゃないか?」っていうのが僕の中にあって(笑)。移動中に携帯とかで歌詞を書くことはあるんですけどね。

――ライブに関してはイベント出演とかがいくつか発表されていますが、状況を見ながら今年もたくさんやっていくことになりそうですか?

K:はい。2月14日にBillboard Live TOKYOでワンマンライブをやりますし、その後も積極的にアウトプットする場所を作っていきたいです。そして良い曲ができたらすばやくリリースしていきたいですね。とにかく素直な気持ちでいろいろ表現していきたいです。表現ができる場が常にあるのは幸せなことですから。

取材・文:田中大

リリース情報

2021年 NEWプロジェクト第3弾
Digital Single
「Winter light feat.sloppy dim」
2021.12.15 Release

ライブ・イベント情報

<STUDIO PURSUIT in Billboard Live TOKYO>
2月14日(月)
1st
Open15:30 Start16:30
2nd
Open18:30 Start19:30
■会場
Billboard Live TOKYO
■料金
サービスエリア
¥7,400
カジュアルエリア
¥6,900(1ドリンク付)
■チケット
Club BBL会員先行
1/14(金)12:00
一般予約受付開始
1/21(金)12:00
公演詳細
http://www.billboard-live.com/pg/shop/show/index.php?mode=detail1&event=13236&shop=1
■お問い合わせ
ビルボードライブ東京
03-3405-1133

<佐藤竹善&NEIGHBORS COMPLAIN feat. 根本要 & K>
■日時
2022/3/2(水)
Open 18:00 Start 19:00
■会場
かつしかシンフォニーヒルズ モーツァルトホール
■出演
佐藤竹善、NEIGHBORS COMPLAIN、根本要(スターダスト☆レビュー)、K
■料金
全席指定 一般 ¥7,000
シンフォニークラブ会員 ¥6,500
■チケット
FC先行
12/2(木) 10:00~
お申し込みはこちら
一般発売
2022/1/14(金)
■お問い合わせ
キョードー東京 0570-550-799
https://kyodotokyo.com

<LIVE in the DARK w/K>
■日時
3/14(月)
1st Stage OPEN 17:30 / START 18:00
2nd Stage OPEN 19:30 / START 20:00
■会場
コニカミノルタプラネタリウム天空in東京スカイツリータウン
■料金
一般シート:¥7,000(税込)
三日月シート:¥16,000(税込)※二名掛け・各公演3席限定
※『三日月シート』は一枚のチケット料金に大人二名様分の鑑賞料金を含んでいます。
■チケット
▼ファンクラブ先行(抽選)
受付期間:1/15(土)10:00~1/23(日)23:59
お申し込みはこちら
▼一般発売(先着)
2/5(土)10:00~
https://planetarium.konicaminolta.jp/livedark/k/
※予定枚数に達し次第販売を終了します。
■『LIVE in the DARK』特設サイト
https://planetarium.konicaminolta.jp/livedark/k/

◆インタビュー(1)へ戻る
この記事をツイート

この記事の関連情報

*

TREND BOX

編集部おすすめ

ARTIST RANKING

アーティストランキング

FEATURE / SERVICE

特集・サービス