【ライブレポート】<DIAMOND FES>、般若、NORIKIYO、呂布カルマなど7組が3時間半の熱演「HIPHOPはこういう時代に強い」

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総合エンターテイメントフェスとして2019年よりダイヤモンドブログが開催している<DIAMOND FES>。ヒップホップ、J-POP、K-POPなど、毎回様々なジャンルに特化した豪華共演が実現している同イベントが、2022年1月25日、<DIAMOND FES 2022 HAPPY NEW YEAR HIPHOP ARTIST>と題したHIPHOPイベントを開催した。同公演のレポートをお届けしたい。

■<DIAMOND FES 2022 HAPPY NEW YEAR HIPHOP ARTIST>出演者 画像

1月25日、<DIAMOND FES 2022 HAPPY NEW YEAR HIPHOP ARTIST>を観た。生配信もあるが、現場で観た。コロナ感染者は再び増加に転じ、ライブを取り巻く環境は厳しい。まさにこの日も、出演予定だったサイプレス上野とロベルト吉野が、吉野の発熱のために出演をキャンセルした。そんな中でアーティストがどんなライブを見せるか。誤解を恐れずあえて言えば、これは最高のドキュメンタリーだ。





▲BOO

18時30分、前日に緊急決定したオープニングアクト、BOOがステージに姿を現す。ゴツイ肉体、スキンヘッド、渋いガラ声。

「オマエ誰だって? 大丈夫、今日は間違いないアーティストしか出て来ない」と、ふてぶてしさを見せながら、GDXとbay4kも呼び込んで、「NO LIMIT」「IT'S NOT PLAY 」など15分間の堂々たるパフォーマンス。フロム横浜、肝の据わったアーティスト。





▲Rei©︎hi

ここから本編、先陣を切るのはフィメールラッパー・Rei©︎hi。デニムに白のノースリーブ、ポニーテールをキュッと締めたキュートな出で立ちと、美しいヨガの動作のようなアクションがとても綺麗。

しかもラップスキルは確かな場数を感じさせる確かなもので、柔らかな関西弁でオーディエンスにクラップや足踏みを求め、一緒に盛り上がる度胸も満点。“男が愛嬌で女が度胸”というリリックは伊達じゃない。DJリアとのフィメールコンビで「JINGI」など5曲をぶちかまし、風のように去ってゆく。実に痛快だ。






▲HI-D

さあHI-Dのお出ましだ。サイプレス上野とロベルト吉野のキャンセルを受け、急遽ステージに上がった究極のピンチヒッターに、リスペクト以外の言葉がない。「シンガーの俺でいいの?と思ったけど。“HI-Dはヒップホップだからいいんじゃない?”って」と、出演の経緯を淡々と、しかし熱く語る口調はさすが大ベテラン。腹の座りが違う。

雷家族「哀愁'97」、DABO「恋はオートマ」、AK-69「CUT SOLO」など、“フィーチャリングキング”の名に違わぬヒットチューンを連射し、圧巻の歌声でフロアを黙らせる。ノッてないわけじゃない、みんな聴き入ってる。Def Jam Japanでのデビューから19年、黄金の歌声は未だ健在だ。







▲ラッパ我リヤ

映画『ジョーズ』のテーマが流れたら、ヤバスギル奴らがやってくる。泣く子も黙るラッパ我リヤ、Qと山田マンとDJ TOSHIが、本物のラップを聴かせにやって来る。2017年のアルバム『ULTRA HARD』からの曲を中心に、とんでもない音圧と、ミクスチャーロックとも言える重厚なサウンドでぶっ飛ばす。結成からそろそろ30年だが、Qのパワフルボイス、山田マンのトリッキーなフロウは衰えるどころか切れ味を増している。

走馬党のマイメン・ARKを呼び込み、Kj(Dragon Ash)との共演で話題をさらった「My Way」を演り、ラストはクラシックチューン「Do the GARIYA thing」で締めくくる。すげぇ、と口を開いている間にあっという間に終わった。「ヒップホップはこういう時代に強い」と、力強く言い放つQの言葉に痺れた。ラッパ我リヤ、やっぱすげぇや。





▲呂布カルマ

呂布カルマ。もう出てきた瞬間に空気が違う。上げるというより巻き込む、巻き込むというより飲み込む、独特すぎる世界の吸引力。クールでエレクトロニックなトラックに乗せ、淡々と饒舌に言葉を吐き出すスタイルは、ラップでありつつむしろポエトリー。「…ネクスト」とつぶやきながら、どんどん曲を連ねてゆくスタイルは、ライブでありつつむしろラップの講義。

「オミクロンとか、流行りものに興味はない。ここにいる人、アーティストは筋の通った人間です」と、いかしたMCに拍手が湧く。体がかゆくなるほどのヘヴィな重低音を響かせるベースライン、あえて不安や緊張をかきたてるエクスペリメンタルなトラック、警句のようなリリック、青白い炎のように実は温度の高いラップ。「SAMSAVANNA」から「THE KENJA」まで8曲。呂布カルマ。唯一無二の存在感で支配する。





▲NORIKIYO

なんて歯切れのいいラップだろう。NORIKIYOが第一声を放つと、再び場内の空気がガラリと変わる。いつの間にかフロアを埋めたオーディエンスから、自然に手が上がる。さすがの人気だ。スキルを見せつけるよりもリリックで共感させる、「問題ねぇ」「コンビニ」「Hey Money」など、身近なモノや感情をはっきり伝えるスタイルが実にリアル。曲を短く繋げながら盛り上げ、後半は「What Do You Want?」「俺達の唄」などメッセージ色の濃い曲をがっつり聴かせる。ある意味アクターであり、セリフ的な節回しでぐいぐい説得する。

「みなさん、あったかい血が流れて、生きてますか?」──さりげなく発する言葉がやけに沁みる。ザ・ブルーハーツを引用した「終わらない歌」でフロアが一つになる。いかつさと、情緒と、包容力と。フロム相模原、これがNORIKIYOのパフォーマンス。






▲般若

長いライブもいよいよ終わりだ。ラッパーというよりもパンクスのたたずまい、黒Tに黒デニムで暴れ回る、般若の形相のこの男が般若だ。ブッダブランド「人間発電所」をリスペクトした「最ッ低のMC」、ビート無しですさまじい早口ラップを叩きつけた「サイン」。狂気すら感じる超絶スキルにオーディエンスは呆然と立ち尽くす。そうかと思えば「手」のように、あたたかく人間臭く人間の営みを見つめるリリックもある。喜びも悲しみもあきらめも希望も、人が生きる実感を歌に閉じ込めのが本当に巧い。冷静と情熱のあいだでそれを支えるスキルがハンパない。

「20年前、海のものとも山のものともつかない俺を、初めてフィーチャリングに呼んでくれたのがラッパ我リヤ。一生感謝します」という粋なセリフは、ついさっきフロアを歩いていたQの耳に届いただろうか?そして全てを歌い終え、般若はピースサインでステージを去った。

終わってみれば、3時間半近くに及ぶロングイベント。7アーティストがそれぞれにリスペクトを持ち合い、現場と配信を尊重し、ルールの中で最大限のパフォーマンスを見せてくれた濃密な時間。Qの言葉をもう一度最後に掲げよう。「ヒップホップはこういう時代に強い」。筋書きがないことを楽しめ。ドキュメンタリーはまだ続く。

取材・文◎宮本英夫

■<DIAMOND FES 2022 HAPPY NEW YEAR HIPHOP ARTIST>1月25日@Zepp Hanedaセットリスト

【BOO】
01. 心音 -KO.KO.NE-
02. 疵那 -キズナ- feat bay4k
03. NO LIMIT feat GDX bay4k
04. IT'S NOT PLAY feat GDX
05. STILL ROLLIN feat DJtanaken
【Rei©︎hi】
01. NOKINAMI
02. JINGI
03. #Bowdown
04. Excuse boy
05. UCHIRA
【ラッパ我リヤ】
01. INTRO (JAWS)
02. Big Show
03. ヤバスギルスキル10
04. Goes On (ARK)
05. 邦楽界
06. My Way
07. Do the GARIYA thing
【HI-D】
01. Medley1
  Blood & sweat〜哀愁97’〜Girlfriends
02. Medley2
  I’M NOT KING〜It’s Not Over
03. Medley3
  Welcome 2 Da Party〜恋はオートマ〜パズル
04. Medley4
  Scenario〜House Party〜FLIGHT MASTER〜Miss Luxury〜CUT SOLO
【呂布カルマ】
01. SAMSAVANNA
02. New Value
03. 図星
04. ヌエ※
05. タナボタ※
06. Against the World
07. Be-Bop
08. THE KENJA
【NORIKIYO】
01. 問題ねぇ
02. REP (Remix)
03. コンビニ
04. 夜に口笛
05. Hey Money
06. 秘密
07. Stay Strong
08. Go so far
09. 一網打尽 REMIX
10. What Do You Want?
11. 俺達の唄
12. 終わらない歌
【般若】
01. INTRO
02. 理由
03. 最ッ低のMC 人間発電所
04. 土砂降りでも REMIX
05. サイン
06. 覚えてる
07. 手
08. うまくいく
09. あの頃じゃねえ
10. やっちゃった

■<DIAMOND FES2022 HIP HOP ARTIST in OSAKA>

2022年2月4日(金) 大阪TTホール
open18:10 / open18:40
出演:Zeebra、韻踏合組合、呂布カルマ、ラッパ我リヤ&DJ TANAKEN、晋平太&DJ MASTER KEY
▼チケット
¥5,500(税込)
※当日:¥1,000UP
配信チケット:¥4,000
https://diamond-ticket.zaiko.io
※アーカイブ配信あり(3日間)
発売日:2022年1月27日(木)10:00
(問)DIAMOND FES運営事務局 event@diamondblog.jp






■<DIAMOND FES2022 -ON LINE LIVE- Vol.3>

2月10日(木) 18:30開演
※アーカイブ配信あり(3日間)
▼出演
Bro.KORN、Baby Boo、Miyuu
OP ACT:夏目龍一(アマアシ)
▼チケット
・配信チケット:¥6,000(税込)
・特典付き(出演者全員サイン入りイベントTシャツ)配信チケット:¥10,000(税込)
発売日:1月25日(火)10:00〜
https://diamond-ticket.zaiko.io
(問)DIAMOND FES運営事務局 event@diamondblog.jp





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